結婚後の保険見直し完全ガイド|夫婦での手続きと保障の決め方

この記事の要点
  1. 結婚後の保険見直しは「手続き→棚卸し→計算→種類選び」の順で進めると漏れが防げる。
  2. 名義・受取人の未変更は通知不達や支払い遅延につながり、公的保障を把握せず加入すると重複や不足が生じる。
  3. 以下で手続き・必要保障額の計算・保険種類の優先順位を整理する。

結婚して名字や住所が変わったのに、保険の手続きを放置していないだろうか。受取人が親のままでは、万が一のときに配偶者へ届かないかもしれない。

手続き漏れと保障の過不足——この2つを同時に解消するには、正しい順番で動くことが欠かせない。手続きの優先順位、必要保障額の計算方法、共働き・片働きで変わる選び方まで、夫婦で読み合わせできる形で整理した。

※本記事の数値情報は2026年2月時点のものだ。制度・税・約款は個別条件で異なるため、必ず公式情報で確認いただきたい。

目次

面倒な比較は不要!全国どこでも面談可能!

結婚後の保険見直しで最初にやる3つの手続き

結婚後、保険の変更手続きを放置すると、大切な通知が届かなくなったり、保険金の支払いに時間がかかったりする。保険会社の案内でも「住所や受取人の未変更は不利益につながりうる」と明記されている。

入籍から日が経つほど「何を変えたか」を忘れやすい。まずは手続きを終わらせ、見直しの土台を固めておきたい。

手続きは「名義→受取人→支払い・連絡先」の順で進めると漏れにくい。保険会社ごとに連絡先や手続き方法が異なるため、最初に「どの保険会社に連絡するか」を夫婦でリストアップしておこう。生命保険だけでなく、損害保険(自動車・火災など)も対象になる点は見落としやすい。

名義(姓・住所)を変更する

氏名や住所の変更は、連絡不達を防ぐための基本。保険会社からの重要な通知が届かなければ、更新案内や契約変更を見落としかねない。引っ越しを伴う結婚なら、住所変更も同時に済ませておきたい。

変更の対象となる名義は複数ある。契約者(保険料を払う人)、被保険者(保障の対象となる人)、指定代理請求人(本人が請求できないときに代わりに請求できる人)——それぞれ誰の名前で登録されているかを確認しよう。

契約者と被保険者が同一人物とは限らない。証券を見ながら一つずつチェックするのが確実だ。

保険金受取人を配偶者にする

受取人が親のままだと、万が一のときに配偶者や子どもへ直接届かないことがある。受取人の変更は、保険会社への届け出で行う。結婚を機に「誰に届けたいか」を改めて考え、必要なら変更手続きを進めよう。

受取人の設定は税金にも関わってくる。国税庁によると、死亡保険金は契約者・被保険者・受取人の組み合わせで、相続税・所得税・贈与税のいずれかに分かれる。

たとえば、親が受け取った保険金を配偶者に渡せば、贈与税の対象になりうる。なお、相続税には「500万円×法定相続人の数」という非課税枠があるが、これは受取人が相続人である場合に限られる。税の扱いは契約形態で異なるため、判断に迷ったら税理士や保険会社に確認するのが安全だ。

受取人を変更する前に、現在の契約が「契約者=被保険者=自分、受取人=親」なのか、「契約者=親、被保険者=自分」なのかを把握しておこう。後者の場合は契約者変更の検討も必要になることがある。証券を手元に置き、3者の関係を書き出してから動けば混乱しにくい。

引落口座と連絡先を更新する

保険料の引落口座や保険金の送金口座は、家計の変化に合わせてズレやすい。結婚で家計の管理方法が変わるなら、どの口座から引き落とすか、どこに送金してもらうかを夫婦で決めておきたい。払込経路(クレジットカード・口座振替など)や払込回数(月払い・年払いなど)も、このタイミングで見直せる。

連絡先(電話番号・メールアドレス)の更新も忘れやすい。保険金を請求するときや、契約内容の確認が必要なときに、登録された連絡先へ電話が入る。平日に連絡が取れる番号を登録しておくと、やり取りがスムーズに進む。

手続き漏れ防止の追加チェック(契約者変更・指定代理請求人等)

名義・受取人・口座以外にも、結婚を機に検討したい手続きがある。以下は見落としやすい項目なので、一覧でチェックしておこう。

  • 契約者変更:親が契約者の保険を自分名義に変えるかどうか
  • 指定代理請求人の設定・変更:配偶者を指定するかどうか
  • 保険料払込免除特約の確認:特約の内容と条件を把握しているか
  • 損害保険の名義・住所変更:自動車保険や火災保険も対象か

すべての項目を変更する必要はない。自分の契約に該当するかどうかを確認し、必要なものだけ手続きすればよい。判断に迷う場合は、保険会社のカスタマーセンターに「結婚に伴う変更で確認すべき項目を教えてほしい」と問い合わせると、漏れを防ぎやすい。

手続きが済んだら、次は「なぜ見直しが必要なのか」を整理しよう。

結婚後に保険を見直すべき理由は生活が変わるから

結婚後に保険を見直す理由は、生活の前提が変わるからだ。独身時代と比べて守るべき家族が増え、病気やケガで収入が減ったときの影響も大きくなる。

夫婦それぞれが保険に入っていれば重複が生じやすく、ムダな保険料を払い続けているかもしれない。見直しの理由は大きく3つに整理できる。

家族の生活費を守る責任が増える

結婚すると、自分に万が一のことがあったときに「配偶者や将来の子どもの生活費をどう守るか」という視点が加わる。死亡保障は「残された家族の生活費の穴」を埋めるために設計する。

ただし、公的な保障もある。日本年金機構によると、遺族基礎年金は令和7年4月分から年額831,700円(子のある配偶者が受け取る場合)で、子の加算は1人目・2人目が各239,300円、3人目以降は79,800円。

受給には要件があり全員がもらえるわけではないが、公的保障で埋まる部分を把握してから民間保険の必要額を考えるのが基本となる。

病気やケガで収入が落ちる

病気やケガで働けなくなると、医療費と収入減のダブルパンチを受ける。ただし、医療費には公的な上限がある。

協会けんぽによると、70歳未満の高額療養費制度では、所得区分ウ(年収約370万〜770万円)の場合、自己負担限度額は「80,100円+(総医療費−267,000円)×1%」。同一月内の医療費がこの金額を超えた分は後から払い戻される。まずはこの上限を把握し、貯蓄で対応できるかを確認するのが先決となる。

収入減についても公的保障がある。会社員や公務員が病気やケガで働けなくなった場合、傷病手当金が支給される。協会けんぽによると、連続3日休んだうえで4日目以降が支給対象となり、支給額は「支給開始日前12か月の標準報酬月額平均÷30×2/3」。支給期間は支給開始日から通算して1年6か月だ。

この「2/3」と「1年6か月」を起点に、不足分を民間保険で補うかどうかを検討する流れになる。なお、自営業やフリーランスは傷病手当金の対象外であるため、別の備えが必要になる。

家計のムダな保険料を減らせる

生命保険文化センターの2024年度調査によると、2人以上世帯の生命保険加入率は89.2%、年間払込保険料は平均35.3万円。これはあくまで「平均」であり、各家庭の必要保障額とは関係がない。

加入率が高いということは、夫婦それぞれが独身時代に入った保険をそのまま持っているケースも多く、保障内容が重複しているかもしれない。

たとえば、夫婦とも医療保険に入っていて、入院日額が同じ5,000円だったとする。公的な高額療養費制度を考えると、本当にその保障が必要かどうかは家計の貯蓄状況次第だ。平均保険料を「相場」と思い込んで加入を続けると、ムダな出費が積み重なる。見直しの目的は「削る」ことではなく「過不足をなくす」こと。

理由が整理できたところで、次は夫婦で情報をそろえる準備に入る。

結婚後の保険見直し前に夫婦でそろえる情報一覧

見直しを始める前に、夫婦で「保険の棚卸し」をしておくと判断が速い。必要な情報は大きく3つ——保険証券、家計の収支、公的保障の内容だ。これらをそろえてから計算に進めば、過不足が見えやすくなる。

保険証券と特約を一覧化する

まずは夫婦それぞれの保険証券を集め、内容を一覧にする。押さえたい項目は以下のとおり。

  • 契約者(保険料を払う人)
  • 被保険者(保障の対象となる人)
  • 受取人(保険金を受け取る人)
  • 主契約の保障内容と保険金額
  • 特約の種類と保障内容
  • 保険料(月額または年額)
  • 保険期間(満期や更新時期)

契約者・被保険者・受取人の3者が誰なのかは、税金の扱いに関わる。国税庁によると、この3者の組み合わせで相続税・所得税・贈与税のいずれになるかが変わる。証券を見ながら書き出しておくと、後で受取人変更を検討するときにも役立つ。

収入と固定費をざっくり出す

次に、家計の収入と固定費を把握する。保険料に回せる金額の上限感を持つためだ。漏れやすい固定費は以下のとおり。

  • 住居費(家賃またはローン返済額)
  • 通信費(スマホ・インターネット)
  • 保育料・教育費
  • 車関連費(ローン・駐車場・保険)
  • その他のローン返済

収入は手取りベースで把握しておくと、保険料とのバランスが取りやすい。将来の住宅購入や子どもの予定があるなら、その時期と概算も書き出しておきたい。

公的保障(遺族年金など)を確認する

民間保険で「不足分だけ」補うためには、公的保障でどこまでカバーされるかを先に確認する必要がある。主な公的保障と金額の目安を整理しておこう。

医療費については、高額療養費制度で自己負担に上限がある。協会けんぽによると、70歳未満の所得区分ウでは「80,100円+(総医療費−267,000円)×1%」が月の上限だ。入院前に「限度額適用認定証」を申請しておけば、窓口での支払いを限度額までに抑えられる。有効期間は最長1年間。

休業中の収入減については、会社員なら傷病手当金がある。協会けんぽによると、日額は「標準報酬月額平均÷30×2/3」で、支給期間は通算1年6か月。この金額と期間を把握し、生活費との差額を計算しておけば、就業不能保険が必要かどうかの判断材料になる。

死亡時の保障については、遺族基礎年金がある。日本年金機構によると、令和7年4月分から年額831,700円(子のある配偶者の場合)で、子の加算は1人目・2人目が各239,300円。受給には要件があるため、自分が該当するかどうかは年金事務所や「ねんきんネット」で確認しよう。

妊娠・出産を考えているなら、出産育児一時金も押さえておきたい。厚生労働省によると、子ども1人につき原則50万円が支給され、申請期限は出産日の翌日から2年以内。妊娠4か月(85日)以上の出産が対象となる。

公的保障チェックの優先順位(医療→休業→死亡→出産)

公的保障を調べる順番は、家計へのインパクトが大きいものから進めると効率的だ。おすすめの順番は以下のとおり。

  1. 医療(高額療養費の上限と限度額適用認定証)
  2. 休業(傷病手当金の金額と期間)
  3. 死亡(遺族年金の金額と受給要件)
  4. 出産(出産育児一時金の金額と申請期限)

勤め先の健康保険組合や自治体の窓口で確認できる項目も多い。「自分たちにはどの公的保障があるか」を把握してから、民間保険の検討に進みたい。

材料がそろったら、次は必要保障額の計算に入る。

結婚後の保険で必要保障額をどう計算する?

必要保障額は「将来の支出−(公的保障+貯蓄+残された側の収入)」で考える。式自体はシンプルだが、変数の置き方で結果が大きく変わる。以下、変数を決める手順を整理していく。

生活費と教育費の期間を決める

最初に決めるのは「いつまで生活費が必要か」だ。子どもがいない夫婦と、子どもがいる(または予定している)夫婦では、期間の置き方が異なる。

家族構成期間の考え方
子どもなし配偶者が働き続ける前提なら、数年〜10年程度の期間で設定することが多い
子どもあり(予定含む)末子が独立するまでの期間(例:22歳まで)を基準にする
住宅ローンあり団体信用生命保険(団信)でローンが消える場合、住居費は除外できる

教育費を含める場合は、想定する進路(公立・私立・大学など)によって期間と項目を決める。ただし、教育費の金額は家庭ごとに大きく異なるため、「何年間必要か」を先に固定し、金額は家計の実情に合わせて設定する流れがよい。

遺族年金と貯蓄を差し引く

次に、差し引く収入と資産を整理する。差し引く項目の代表例は以下のとおりだ。

  • 遺族年金(遺族基礎年金+遺族厚生年金がある場合)
  • 残された配偶者の収入
  • 現在の貯蓄のうち、生活費に充てられる金額
  • 死亡退職金や企業の弔慰金(ある場合)

遺族基礎年金については、日本年金機構によると年額831,700円(子のある配偶者の場合)で、子の加算は1人目・2人目が各239,300円、3人目以降は79,800円。ただし、受給には要件があり、誰でももらえるわけではない。自分が該当するかどうかは、年金事務所や「ねんきんネット」で確認しておこう。

貯蓄は「生活防衛資金(当面の生活費)」と「教育費・老後資金」など用途別に分けて考えると、どこまで取り崩せるかが見えやすい。全額を差し引くのではなく、目的別に分けたうえで「生活費に使える分」だけを差し引く形が現実的だ。

必要保障額に合わせて保険期間を調整

必要保障額が大きいのは「子どもが小さい時期」や「住宅ローンの残債が多い時期」。時間が経つにつれて必要保障額は減っていくため、保険期間も「必要な時期だけ」に絞るのが基本だ。

たとえば、子どもが独立するまでの期間を20年と置くなら、定期保険や収入保障保険の保険期間を20年に設定する選択肢もある。「長期=安心」と考えて保険期間を伸ばすと、保険料が上がる。期間と保障額のバランスを見ながら調整したい。

計算の考え方(例)

共働き新婚で、子どもは将来検討中、住宅ローンは検討段階——という場合を例に考えてみる。

項目考え方
生活費の期間子どもができるまでは配偶者の収入でカバーできる前提で、当面は短めに設定
差し引く収入配偶者の収入+遺族年金(子がいれば加算あり)
差し引く資産現在の貯蓄のうち、生活防衛資金を除いた分
不足分上記を差し引いた残りが必要保障額の目安

数値は家庭ごとに異なるため、「式だけ固定して、変数は自分たちで埋める」やり方が失敗しにくい。計算に自信がなければ、後述の保険相談を活用してもよい。

必要保障額が見えたら、次はどの保険で埋めるかを考える。

結婚後に検討したい保険の種類と優先順位整理

保険の優先順位は「生活が止まるリスク」から並べると整理しやすい。死亡・医療・休業・損害——それぞれのリスクに対して、まず公的保障でどこまでカバーされるかを確認し、不足分を民間保険で補う。

死亡保障(定期・収入保障)

死亡保障は、遺族年金を差し引いた「不足分」を埋める発想で考える。日本年金機構によると、遺族基礎年金は年額831,700円(子のある配偶者の場合)で、子の加算もある。この金額を把握したうえで、残された家族の生活費に足りない分を民間保険でカバーする。

生命保険文化センターの調査によると、2人以上世帯の普通死亡保険金額は平均1,936万円だ。ただし、これはあくまで「平均」であり、各家庭の必要保障額とは関係がない。平均値を目安にするのではなく、自分たちの計算結果に基づいて決めたい。

医療保障(医療・がん)

医療保障を検討する前に、高額療養費制度の上限を確認しておきたい。協会けんぽによると、70歳未満の所得区分ウでは月の自己負担限度額が「80,100円+(総医療費−267,000円)×1%」。入院前に限度額適用認定証を申請しておけば、窓口での支払いを限度額までに抑えられる。有効期間は最長1年間だ。

この上限を踏まえると、「入院しても月10万円前後で済むなら、貯蓄で対応できる」という判断もあり得る。民間の医療保険は、公的保障でカバーされない部分(差額ベッド代、先進医療、収入減など)を補う目的で検討するとよい。

働けない保障(就業不能)

会社員が病気やケガで働けなくなった場合、傷病手当金が支給される。協会けんぽによると、日額は「標準報酬月額平均÷30×2/3」で、支給期間は通算1年6か月。この「2/3」を起点に、生活費との差額がどれくらいあるかを確認しよう。

差額が大きく、貯蓄でもカバーしきれない場合は、就業不能保険を検討する選択肢がある。ただし、自営業やフリーランスは傷病手当金の対象外であるため、会社員とは前提が異なる。自営業なら、所得補償保険など別の選択肢を検討したい。

損害保険(自動車・火災・賠償)

生命保険だけでなく、損害保険の見直しも結婚のタイミングで行いたい。特に見落としやすいのは以下の点。

  • 自動車保険の「運転者限定」:本人限定のままだと配偶者が補償対象外になる場合がある
  • 火災保険の名義・住所変更:引っ越しを伴う場合は必須
  • 個人賠償責任特約の重複:自動車保険と火災保険の両方に付いていることがある

運転者限定の設定は商品や約款によって異なるため、保険証券や約款を確認するか、保険会社に問い合わせるのが確実だ。

公的保障→民間保険の埋め方を比較表で整理

以下、ここまでの内容を表にまとめた。夫婦で同じ判断軸を持つために活用してほしい。

スクロールできます
リスク公的保障の代表例不足が出やすい点見直しアクション
死亡遺族基礎年金(年額831,700円+子の加算)子なし世帯は受給要件を満たさない場合がある必要保障額を計算し、不足分を定期・収入保障で検討
医療高額療養費(区分ウで月80,100円+α)差額ベッド代、先進医療、収入減は対象外貯蓄で対応できるか確認し、不足分を医療保険で検討
休業傷病手当金(給与の約2/3、通算1年6か月)自営業は対象外、1年6か月以降は支給なし生活費との差額を確認し、不足分を就業不能保険で検討
損害なし(民間保険で備える)運転者限定の設定漏れ、特約の重複名義・住所・運転者条件を確認し、重複を整理

この表は「推奨額」を示すものではない。自分たちの公的保障と貯蓄を確認し、不足分だけを民間保険で補う——この考え方を夫婦で共有しておきたい。

種類が整理できたら、次は共働き・片働きなど世帯のパターンごとに優先順位を調整する。

結婚後は共働き・片働きで保険の選び方が大きく変わる

保険の優先順位は、共働きか片働きかで大きく変わる。自分たちの世帯が「共働き」「片働き」「自営・フリーランス」のどれに当たるかを最初に確認する。収入の比率、扶養の有無、住宅ローンの有無によっても前提が変わる。

共働きは収入減の穴を小さくする

共働き世帯は、片方が働けなくなっても、もう片方の収入である程度カバーできる。この「穴の小ささ」が共働きの強み。

会社員が病気で休職した場合、傷病手当金で給与の約2/3が支給される。配偶者の収入と合わせれば、生活費の大部分を賄えるかもしれない。この前提なら、死亡保障や就業不能保障を「最小限」に抑える選択肢も出てくる。

ただし、共働き=保険不要ではない。子どもができたり、住宅ローンを組んだりすれば前提が変わる。ライフイベントごとに見直しを入れる意識を持っておきたい。

片働きは死亡保障を手厚くする

片働き世帯は、主な稼ぎ手が亡くなったときの影響が大きい。遺族年金を差し引いても不足が出るケースが多いため、死亡保障を優先的に検討する流れになる。

日本年金機構によると、遺族基礎年金は年額831,700円(子のある配偶者の場合)で、子の加算もある。この金額を把握したうえで、残された配偶者と子どもの生活費に足りない分を計算する。

一方、専業主婦(夫)が亡くなった場合は、収入への直接的な影響は小さい。ただし、家事や育児の負担が増えるため、そのコストをどう見積もるかは家庭ごとの判断だ。

扶養や住宅ローンで前提が変わる

扶養に入っているかどうかも、保険の前提に影響する。協会けんぽによると、被扶養者の年収要件は「130万円未満」が基本で、60歳以上または一定の障害がある場合は「180万円未満」となっている。2025年10月以降は、19〜23歳(配偶者を除く)について「150万円未満」の特例も設けられている。

扶養を外れるかどうかで、社会保険料や税金の負担が変わり、結果的に保険料に回せる金額も変わる。手続きには1〜2か月程度かかる場合があるため、働き方を変えるタイミングで早めに確認しておきたい。

住宅ローンを組んでいる場合は、団体信用生命保険(団信)の有無を確認する。団信に加入していれば、ローン契約者が亡くなったときにローン残債がゼロになるため、死亡保障と重複する部分が出てくる。重複を整理すれば、保険料を抑えられるかもしれない。

共働き・片働き・自営で変わる優先順位
スクロールできます
世帯パターン優先リスク公的保障の効き方民間で補う候補
共働き収入減(休業)傷病手当金(2/3、1年6か月)が両方に適用就業不能保険は必要性を吟味、死亡保障は最小限でも可
片働き死亡遺族年金はあるが、収入の柱がなくなる影響が大きい死亡保障を優先、収入保障保険も検討
自営・フリーランス収入減(休業)傷病手当金がない所得補償保険・就業不能保険を優先、死亡保障も検討

自分たちの世帯パターンに当てはめて、優先順位を調整する。

優先順位が決まったら、最後に「損しないための注意点」を押さえておきたい。

結婚後の保険見直しで損しないための注意点

見直しで損をしないためには、タイミング・順序・過剰加入の3点に注意が必要だ。解約や加入のタイミングを間違えると、空白期間ができたり、税金で想定外の負担が生じたりする。以下、よくある失敗パターンを潰していく。

健康状態が変わる前に動く

保険は健康状態によって加入できるかどうかが変わる。見直しを先延ばしにしているうちに、健康診断で異常が見つかったり、妊娠が判明したりすると、選択肢が狭まることがある。

「今は健康だから」と後回しにせず、結婚を機に一度チェックしておきたい。加入可否は商品や保険会社によって異なるため断定はできないが、早めに動いた方が選択肢が広いのは一般論として言える。

解約返戻金と空白期間に注意

今の保険を解約して新しい保険に入り直す場合、順番を間違えると「無保険期間」ができてしまう。新しい保険の「契約成立」と「保障開始」を確認してから、古い保険を解約する。これが鉄則だ。

また、解約返戻金や満期保険金を受け取ると、税金が発生する場合がある。国税庁によると、一時所得の計算では「収入−支出−特別控除50万円」を行い、その「1/2」が課税対象となる。金額によっては確定申告が必要になるため、解約前に税額の目安を把握しておきたい。個別の計算は税理士に相談するのが確実だ。

特約を付けすぎない判断軸

保険の見直しで「せっかくだから」と特約を追加しすぎると、保険料が膨らむ。特約は「公的保障でカバーされない部分」を補う目的で検討する。

たとえば、高額療養費制度で医療費の上限があることを考えると、入院日額を高く設定する必要性は下がる。傷病手当金で給与の約2/3が出ることを考えると、就業不能保障の金額設定も変わってくる。

特約を追加する前に、「この保障は公的制度でカバーされないか」「貯蓄で対応できないか」を確認する。目的が不明な特約は、削減の候補になる。

迷うなら保険相談で第三者に聞く

「自分たちに何が必要かわからない」という場合は、保険相談を活用する方法がある。保険ショップやファイナンシャルプランナー(FP)に相談すれば、第三者の視点でチェックしてもらえる。

相談に行く際は、以下を持参すると効率的だ。

  • 保険証券の一覧(契約者・被保険者・受取人・保障内容・保険料)
  • 家計の収支メモ(手取り収入と固定費)
  • 必要保障額の計算メモ(式と変数)

棚卸しが済んでいれば、相談時間を短縮でき、提案内容も具体的になる。相談=加入ではない。「話を聞いてから判断する」スタンスで臨めばよい。

税と制度に関する補足

受取人や契約形態によって税目が変わる点は、何度か触れてきた。国税庁によると、死亡保険金は契約者・被保険者・受取人の組み合わせで相続税・所得税・贈与税のいずれかになる。相続税には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があるが、これは受取人が相続人である場合に限る。税の判断は個別条件で変わるため、断定せず、税理士や税務署に確認するのが安全だ。

高額療養費などの公的医療制度は、見直しの議論が行われることがある。本記事の数値は2026年2月時点のものであり、制度改正があれば上限額などが変わる可能性もある。最新情報は厚生労働省や協会けんぽの公式サイトで確認してほしい。

まとめ

結婚後の保険見直しは、「手続き→棚卸し→計算→種類選び」の順で進めると漏れが防げる。まずは名義・受取人・口座の変更手続きを済ませ、夫婦で保険証券と家計の情報を一覧化する。公的保障(遺族年金・高額療養費・傷病手当金など)でどこまでカバーされるかを確認してから、不足分を民間保険で補う——これが基本の流れだ。共働きか片働きかで優先順位が変わるため、自分たちの世帯パターンに合わせて調整してほしい。計算や判断に迷ったら、棚卸し表と計算メモを持って保険相談を活用するのも一つの手である。

FAQ

結婚後の保険は一つにまとめるべき?

「まとめる」とは契約本数を減らすことではなく、保障の過不足を整えること。生命保険文化センターの調査によると、2人以上世帯の加入率は89.2%と高く、夫婦それぞれが保険に入っているケースは珍しくない。重複している保障を整理し、不足している保障を補う——これが「まとめる」の本来の意味だ。契約本数が多いこと自体は問題ではなく、内容が整理されているかどうかが重要となる。

親がかけてくれた保険は結婚後も継続できる?

継続自体は可能だが、契約者・被保険者・受取人の関係を確認しておく必要がある。国税庁によると、この3者の組み合わせで税目が変わる。親が契約者のままで受取人も親のままだと、万が一のときに配偶者に届かないかもしれない。継続するにしても、受取人の変更や契約者の変更を検討した方がよいケースがある。まずは証券を確認し、必要なら親と相談して手続きを進めたい。

妊娠が分かった後でも医療保険に入れる?

加入可否は商品や保険会社によって異なり、一律には言えない。妊娠中でも加入できる商品はあるが、妊娠・出産に関する保障が一定期間免責になるなど、条件が付くことがある。妊娠後に慌てて探すより、結婚のタイミングで検討しておく方が選択肢は広い。なお、公的保障として出産育児一時金(子ども1人につき原則50万円)があるため、民間保険がなくても一定の備えはある。申請期限は出産日の翌日から2年以内。

保険料は夫婦でどう分担する?

分担ルールに正解はない。ただし、「誰の保障か」と「家計の財布」を分けて考えると整理しやすい。夫の死亡保障なら夫が払う、妻の医療保険なら妻が払う——という考え方もあれば、家計の財布を一本化して全額そこから払う方法もある。扶養に入っているかどうかで社会保険料や税金の前提が変わるため、働き方と合わせて検討したい。協会けんぽによると、扶養の年収要件は130万円未満(例外あり)であり、この要件を超えると扶養を外れる手続きが必要になる。

保険名義変更に必要な書類は?

必要書類は保険会社や契約内容によって異なる。一般的には、届出書(保険会社所定のもの)、本人確認書類、印鑑などが求められるが、オンラインで完結する手続きもある。保険会社の案内では、住所や受取人の未変更は通知不達や支払い遅延につながる場合があると明記されている。加入している保険会社のカスタマーセンターに「結婚に伴う名義変更の手続きと必要書類を教えてほしい」と問い合わせるのが確実だ。

見直しが完了したら、「手続き完了チェック」「棚卸し表」「必要保障額の計算メモ」「優先順位表」の4点を保存しておきたい。次のライフイベント(出産、住宅購入など)で見直しを入れるときに、ゼロから始めずに済む。

出典一覧

国税庁 タックスアンサー No.4114(相続税がかかる生命保険金)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4114.htm

国税庁 タックスアンサー No.1750(生命保険金を受け取ったとき)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1750.htm

日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」
https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/seido/izokunenkin/jukyu-yoken/20150401-04.html

全国健康保険協会(協会けんぽ)「高額な医療費を支払ったとき(高額療養費)」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/sb3030/

全国健康保険協会(協会けんぽ)「医療費が高額になりそうなとき(限度額適用認定)」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/sb3020/

全国健康保険協会(協会けんぽ)「傷病手当金」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320/sb3170/sbb31710/1950-271/

全国健康保険協会(協会けんぽ)「令和7年度被扶養者資格再確認について」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/event/cat590/info250731/

厚生労働省「出産育児一時金等について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/shussan/index.html

厚生労働省「傷病手当金の支給期間の通算化について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_22308.html

公益財団法人 生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」
https://www.jili.or.jp/research/report/zenkokujittai.html

日本生命保険相互会社「結婚したとき」
https://www.nissay.co.jp/keiyaku/tetsuzuki/sonohoka/lifeevent/kekkon.html

執筆者

生命保険ナビ編集部は、「保障を無駄なく、安心を最大化する保険選び」を目的として、保険相談のおすすめ先保険相談のキャンペーンを紹介。読者がライフステージに応じて最適な保険設計ができるよう、公平かつ分かりやすい情報発信を心がけている。運営元のアドバイザーナビ株式会社は、IFAや保険代理店のアドバイザーと生活者をつなぐマッチングサービス「生命保険ナビ」を展開中。