- 孫のために祖父母が学資保険に加入することが可能なのか知りたい
- 孫のために祖父母が学資保険へ加入する際の注意点が知りたい
- 学資保険の保険金を孫へ渡すときの注意点が知りたい
学資保険は、一定期間にわたり保険料を払い込み、時期が来た際に子どもの教育資金を保険金や祝い金として受け取ることが出来る貯蓄型の保険である。
そんな学資保険だが、中には孫の教育資金のために加入したいと考えている祖父母もいるのではないだろうか。
結論から言うと、祖父母も孫のために学資保険に加入することは可能だが、利用時や溜まった保険金を孫に渡す際には注意点がある。
そこで本記事では、孫のために学資保険に加入する際、そして学資保険の保険金を孫に渡す際の注意点について解説する。
孫に教育資金を渡したいと考えている方は、ぜひ参考にしてほしい。
孫のために学資保険へ加入できるのか
祖父母は孫のために学資保険に加入できる
多くの家庭では、親が契約者、子が被保険者となって学資保険に加入する。
一般的な学資保険では、契約者は「被保険者の父・母・3親等内の親族 または被保険者を扶養する方」などの条件があり、3親等内の親族である祖父母も契約者になれる。
孫への教育資金の支援についての祖父母の意向は?
祖父母の教育資金支援について、一般社団法人信託協会が調査している。
所定の条件のもと、教育資金をまとめて非課税で贈与できる「教育資金一括贈与」は、信託銀行などを経由する。
信託業務を営む金融機関が加盟しているのが一般社団法人信託協会である。
当該調査では、教育資金贈与信託を利用しない理由について調査している。
おもな理由を紹介する。
お孫さまにかかる費用はお孫さまの親が負担すべきものと考えているから | 36.1% |
お孫さまは経済的な援助を必要としていなかったから | 31.6% |
自分自身の将来に備えて資産を残しておきたかったから | 31.0% |
あなたに援助する経済的余裕がなかったから | 25.3% |
教育資金贈与信託を利用しない理由として最も多いのが、「親が負担すべき」(36.1%)、次いで「経済的支援が不要」(31.6%)、「自分(祖父母)のために資産を残しておきたい」(31.0%)と続く。
この調査は、教育資金贈与信託の利用についてであり、学資保険に関する調査ではないが、孫への教育資金の支援について、祖父母の意向が読み取れる。
孫へ金銭的援助の経験はあるか?
もうひとつ興味深い調査結果を紹介する。孫への金銭的援助の経験とその内容である。
教育資金の支援がどの程度あるか確認する。
孫への金銭的援助の経験
お祝い事にかかる費用 | 59.0% |
おもちゃやゲーム代 | 45.4% |
お小遣い | 42.4% |
衣料品・靴などの購入費用 | 41.1% |
書籍の購入費用 | 30.4% |
レジャー費 | 18.8% |
教育資金 | 16.2% |
スポーツ用品の購入費用 | 8.0% |
その他 | 2.5% |
経済的援助はしていない・したことがない | 18.9% |
孫への金銭的援助の内容では、祖父母と一緒に買いに行けるものや直接渡せるお小遣いなどが多い。
教育資金は16.2%とあまり多くない。前述の調査結果のように「親が負担すべき」と考えているのかもしれない。
次にこの16.2%のうち、具体的にどのような教育資金を援助したか、その内訳を確認する。
教育資金援助の内容
学用品の購入費用 | 58.2% |
入学金 | 42.7% |
習い事に必要な物品の購入費用 | 26.3% |
授業料 | 22.1% |
習い事の月謝等 | 21.8% |
学習塾の月謝等 | 18.2% |
修学旅行費や給食費等の学校教育に伴う費用 | 15.2% |
留学費用 | 4.8% |
その他 | 5.4% |
教育資金の援助で最も多いのは、「学用品の購入費用(58.2%)」で、次に「入学金(42.7%)」が続く。
ここでも物品の購入費用が目立つが、入学金や授業料、習い事・学習塾の月謝などの資金を援助していることがわかる。
調査結果をみると、孫のために祖父母が契約者となって学資保険に加入するケースはあまり多くなさそうである。
しかし、学資保険を利用することは可能であるため、利用したい人向けに具体的なポイントや注意点を解説していく。
孫のために学資保険へ加入する時の注意点
祖父母が学資保険の契約者、孫を被保険者にすることができる。
この契約形態であれば、祖父母が教育資金を支援できる。祖父母が契約者となる場合の注意点を解説する。
祖父母の年齢や健康状態によっては学資保険に加入できない
祖父母が孫のために学資保険に加入する場合、祖父母の年齢や健康状態に注意する必要がある。
学資保険を販売している保険会社5社の契約者年齢上限をまとめた。
なお、契約者の年齢上限は変わる可能性があるため、検討している人は保険会社に確認しておくと確実である。
保険会社 | 商品 | 年齢上限 |
日本生命 | ニッセイ学資保険 | 67歳 |
ソニー生命 | 学資保険 | 72歳 |
アフラック生命 | アフラックの夢みるこどもの学資保険 | 50歳 |
かんぽ生命 | みらいのつばさ | 65歳 |
太陽生命 | 貯蓄型学資保険 | 65歳 |
契約者の年齢上限は、子どもの年齢や保険期間などによって異なる。
たとえば、ソニー生命の学資保険で、契約者が72歳でも加入できるのは、「Ⅲ型・22歳満期・保険料払込期間10歳・子どもの年齢0歳・契約者女性」のみである。
また学資保険に保険料払込免除特約を付帯する場合、契約者の健康状態も加入できるかどうかの審査基準になる。
契約者が万一のときには保険料免除のうえ、保険金が支払われるため、健康状態によっては加入できないか、保険料払込免除特約を付帯できないことがある。
学資保険は契約者の条件を確認する必要がある
契約者の年齢や健康状態のほかにも、契約者としての条件を満たす必要がある。次のような条件が考えられる。
- 続柄は、被保険者の父・母・3親等内の親族 または被保険者を扶養する方
- 親権者の署名が必要
一般的に祖父母であれば、続柄で契約できないことはない。
子どもの親権者である親の署名(同意)があれば、祖父母も学資保険の契約者になれる。
学資保険の保険料が高くなる可能性もある
学資保険に保険料払込免除特約を付帯する場合は特に、契約者の年齢、健康状態、性別が保険料に影響する。
夫婦で契約する場合であっても、夫と妻では保険料は異なる。年齢と性別によって亡くなるリスクが異なるためだ。
保険料が高くなると、返戻率は下がるため、学資保険のメリットをあまり活かせない可能性がある。
返戻率のみを考えると、夫婦で加入したほうがよいと言えるだろう。
ただし、祖父母の余剰資金で学資保険に加入するため、夫婦が加入する場合と比較する意味はあまりない。
ポイントは祖父母が孫のために資金を提供する場合、学資保険という方法が適しているかどうかである。
先述したように、祖父母が契約者として学資保険に加入することにはメリット・デメリットがあり、その適性は子どもの年齢や家計の状況によって変化する可能性が高い。
属性別におすすめの学資保険についてまとめた記事もあるので、自身の置かれている環境に当てはめて考えることで、より効果的な選択肢に近づけるはずだ。
孫に学資保険の保険金を渡す時に注意するべき点
祖父母が教育資金を支援する場合には、課税関係に注意しなければならない。
学資保険を通して支援する場合や学資保険の保険料を負担する場合では考え方が少し異なる。
ここでは祖父母から孫へと教育資金を支援する場合の注意点を解説する。
学資保険の祝金や保険金は贈与税の対象
契約者 | 被保険者 | 保険金受取人 | 課税関係 | 備考 | |
① | A | A・B | A | 所得税 | (保険金-保険料-50万円)×1/2 |
② | A | A・B | B・C | 贈与税 | 年間110万円まで非課税 |
契約者が親の場合、 ①のように被保険者が子ども、保険金受取人が親となり、所得税の課税対象となる。
受け取る保険金が保険料総額の50万円を超えなければ非課税になるため、ほとんどのケースで所得税は課税されない。
一方、契約者が祖父母の場合、②のように被保険者が子ども、保険金受取人が親または子どもとなり、贈与税の課税対象となる。
贈与税は年間110万円までの非課税枠があるが、学資保険の保険金を超える可能性がある。
学資保険の保険料を孫に贈与する方法もある
学資保険を通して贈与するのではなく、保険料を贈与する方法もある。
年間110万円まで非課税で贈与できるため、学資保険の保険料分を贈与できる。
保険料を贈与し、親が①のパターンで契約すれば、所得税も贈与税も非課税で教育資金の支援ができる。
まとまった資金を贈与したいなら教育資金一括贈与
学資保険や保険料の贈与では難しい、まとまった資金を贈与したい場合には、教育資金一括贈与を活用する方法がある。
要件を満たせば、最大1500万円まで非課税で贈与できる。
ただし、贈与した資金が余った場合は贈与税の課税対象となってしまう点には注意が必要だ。
孫のために学資保険への加入を検討するなら保険料や税金から判断しよう
本記事では、孫のために学資保険に加入する際、そして学資保険の保険金を孫に渡す際の注意点について解説した。
基本的に祖父母でも孫のために学資保険に加入することは可能だが、健康状態や年齢によっては加入できない場合もあるので、注意が必要である。
また、保険金を渡す際に贈与税が発生する場合もあるので、契約者と受取人を変更するなどの方法で税金がかからないようにしておこう。
ただ、実際に学資保険には多数の商品があり、本記事を理解しただけでは学資保険を選ぶことができないと感じる人もいるだろう。
そんな時は、保険のプロに相談することも検討しよう。
一人一人に合ったアドバイスをもらうことで、あなたに合った学資保険を選ぶことができるはずだ。
ただ、保険のプロは数多く存在し、自分にとって最適な担当なのかをすぐに見定めることもまた難しい。
マッチングサイトである「生命保険ナビ」を使えば、自身の条件に合った保険のプロを簡単に見つけることができる。
無料で利用できるので、是非活用してほしい。