- 県民共済のがん共済がどんな保険なのかわからない
- がん保険とがん共済の特徴やメリット・デメリットを把握したい
- 自分にはどちらの保障が適切なのか知りたい
「がん共済」とは、県民共済が提供するがん保障に特化した保険のことを指す。
がんへの備えとして一般的なのはがん保険であるが、果たして両者の違いはどこにあるのだろうか。
また、それぞれどのような特徴のある人に適した保障なのだろうか。
そこで本記事では、がん保険県民共済の「がん共済」について、保障の違いやそれぞれのメリット・デメリットを解説する。
また、自分に適した保障を見つけるためのポイントについても述べるので、どちらの保障を選ぶべきか悩んでいる、という方にはぜひ参考にしてほしい。
「がん保険」と県民共済の「がん共済」の違いとは
新聞の折込チラシや郵便受けに入れられるパンフレットで見かける都道府県民共済(以下、県民共済)であるが、がんに対しても備えられる。
「県民共済=死亡保険や医療保険」というイメージかもしれないが、民間の生命保険会社が販売しているがん保険のように、がんに対しても保障される。
県民共済が提供しているがん保障(以下、がん共済)は、向いている人もいれば不向きな人もいるため、がんに対して備えたい場合は、がん保険とがん共済の比較もぜひしてみてほしい。
ここでは、がん保険とがん共済の違いについて詳しく解説する。がん共済の具体的な保障内容についてもまとめているので、保険選びの参考にしてほしい。
がん保険とがん共済は運営母体が大きく異なる
そもそも、県民共済は「誰もが真に必要とする掛け金負担の小さい共済」を目指して生まれた、消費生活協同組合(生協)が行う共済制度のことだ。現在は全国47都道府県に展開しており、お住まいの都道府県民共済が運営する保険に加入する仕組みとなっている。
2023年3月末時点で、すべての共済で合計2,190万件の加入があり、加入者の掛け金により共済事業を非営利で運営しているのが最大の特徴だ。
また、県民共済には剰余金を還元する仕組みもあり、事業母体の健全性・透明性が担保されている点も特徴的と言えるだろう。
一方、がん保険を提供するのは生命保険会社であり、相互扶助を理念とするものの、自社の利益追求や株主への還元に重きを置いている点で県民共済とは根本的に異なる。
言い換えると、民間の生命保険会社は利益を追求するからこそ独自の商品・サービスを展開しており、ラインナップも豊富だ。
この点、県民共済が提供するがん共済は、シンプルで分かりやすい商品設計となっている。
がん共済の保障内容は分かりやすくシンプル
県民共済で加入できるがん共済は、いわゆる「がん保険」のように単体で存在しているものではなく、医療保険に対する特約として加入する点でがん保険とは異なる。
県民共済で加入できる「新がん特約」の保障内容は下表のとおりだ。
月掛金1,000円|18〜60歳の場合
項目 | 給付額 |
---|---|
がん診断(診断一時金) | 50万円 |
入院(入院給付金)※1日目から無制限(支払い日数限度なし) | 日額5,000円 |
通院(通院給付金)※1日目から通算60日目まで | 日額2,500円 |
がん手術※組合の定める手術 | 5万円・10万円・20万円 |
がん先進医療※組合の基準による | 1〜150万円 |
県民共済の場合、「新がん1型特約」「新がん2型特約」の2種類と、「18〜60歳」「60〜65歳」の2分類を掛け合わせた4パターンがおもな加入方法だ。
上記は「新がん1型特約」の保障内容で、年齢が上がると保障額はおよそ半減する(通院日額は1,500円、先進医療の上限は100万円に変更)。
「新がん2型特約」にすると、保障額は上記の倍になるという仕組みだ。
つまり、「新がん1型特約」に加入する18〜60歳の人と、「新がん2型特約」に加入する60〜65歳の人はほぼ同じ保障内容になるというわけである。
なお、厳密には保障額がすべて2倍または半減になっているわけではないため、詳しくはお住まいの都道府県民共済のパンフレットを確認してほしい。
表を見てもわかるように、県民共済のがん共済は、一般的ながん保険と同じような給付金が用意されている。
さらに、がん共済の特徴として以下が挙げられるだろう。
- 入院給付金は支払い日数無制限
- 上皮内新生物の治療にも対応している
- 2度目のがん診断に対しても共済金が支払われる(5年経過後に限り)
- 先進医療にも対応している
- 保険料は変わらない
民間のがん保険の場合、初期のがんである上皮内新生物に対しては保障が限定的な場合も多いが、がん共済は満額の保障を受けられる。
がんが再発した際も期間を超えていれば保障の対象になり、保険料が変わらない安心感も大きいだろう。
また、通常のがん保険であれば先進医療は特約扱いが一般的であるが、がん共済は保障内容に盛り込まれている点も特徴的だ。
がんに対する備えの必要性
なかには「がん保険は不要では」と考える人がいるかもしれないが、がんに対する備えは誰もがすべきである。
- 一生涯で罹患する確率は男性が約65%、女性が約50%
- 日本人の死因の第一位
- 治療費が高額になるケースが多い
- 治療が長引く可能性や再発・転移するリスクもある
- 一度罹患すると加入できる保険が限られる
がんに罹患する可能性は少なくとも2人に1人とされており、リスクとしてはかなり高い部類に入るだろう。
がんは三大疾病の1つであり、罹患した際のステージ・進行具合によっては治療が長期化する。
また、先進医療を受けた場合、300万円近い費用がかかることもある。
そして、一度がんに罹患してしまうと、加入できる保険の選択肢はグッと狭められてしまうのが実情だ。
がんに対する備えは、ほかの疾病以上に事前の備えが欠かせないのである。
がんに対する備えの必要性は下記の記事にて解説しているので、あわせて参考にしてほしい。
「がん保険」と県民共済の「がん共済」のメリット・デメリット
がん保険とがん共済のおもな違いは上記のとおりだが、ここでは、それぞれに加入するメリット、デメリットを解説する。
がん保険への加入が向いている人とがん共済が向いている人の特徴もまとめたので、自分がどちらに加入すべきか検討する際の参考にしてほしい。
がん保険のメリット・デメリット
がん保険に加入するメリットとデメリットは下表のとおりである。
メリット | デメリット |
保障内容をカスタマイズできる 保障を一生涯用意できる 年齢を重ねても手厚い保障を用意できる | 健康状態によっては審査が通らない 保障内容によっては保険料が割高になる 商品内容が複雑で最適化するのは難しい |
民間の生命保険各社が提供するがん保険であれば、自身のニーズや必要な保障内容に応じて保険を自由に選択・カスタマイズできるのが大きなメリットになるだろう。
がん共済の場合、月掛金2,000円の2型特約の場合、診断一時金100万円、入院給付金10,000円、通院給付金5,000円が上限だが、がん保険であればさらに手厚い保障を用意することも可能だ。
また、終身型のがん保険を選べば保障は一生涯続くため、年齢を重ねてがんの罹患リスクが高まった際においても安心できる。
がん共済の場合、「熟年型」という保険に加入すれば最長80歳まで保障を継続させられる。
しかし、平均寿命が伸びている昨今の事情を踏まえると、がんに対する備えは一生涯継続しているほうが助かるだろう。
一方、がん保険は商品設計が複雑なことも多く、最適な保障を用意するのが難しい側面は否めない。
また、健康状態によっては審査に通らず、希望する保険に入れない場合もあるだろう。
ほかにも、「もしも」に備えてあれこれ特約を付けてしまうと、保険料は高額になる。
がんに罹患しなければ保険料は支払い損になるうえ、費用対効果の側面がイマイチになるケースもあるだろう。
がん共済のメリット・デメリット
がん共済のメリットとデメリットは下表のとおりだ。
メリット | デメリット |
掛金が安い 保障内容がシンプルで分かりやすい 上皮内新生物の場合も保険が適用される 先進医療が保障に含まれる 割戻金として掛金の還付がある | 保障が物足りない人もいる 保障が一生涯続かない 特約でしか入れないため見直しに不便 若年層の場合はむしろ割高なことも 60歳を境に保障額が半減する |
がん共済は毎月の掛金が1,000円または2,000円から選べる設計になっており、保障内容も極めてシンプルだ。
診断一時金や入院・通院・手術給付金が用意されているため、もしもの時に最低限の保障があれば十分などのニーズには問題なく満たせるだろう。
掛金に対する保障内容の充実さを踏まえても、がん共済はコスパのよい選択肢になる人は多いはずだ。
ただし、がん共済は県民共済の医療保険(「総合保障型」「入院保障型」などの商品)に対する特約のため、単体で加入できない点はデメリットになるだろう。
医療保険やがん保険を含む各種生命保険は、それぞれで自身のニーズに合った商品を選びたいものだ。
医療保険とがん保険がセットになってしまう点で、保険の見直しに不向きであることは覚えておこう。
また、保障内容を充実させるのに限度があるため、がん共済では保障に物足りなさがある場合はがん保険に加入したほうがよい。
加入する年齢によっても考え方が異なり、30歳以下の若年層ががんに備える場合は、がん共済よりもがん保険のほうが保険料を抑えられる場合もある。
また、60歳以降は保障が半減し、保障の上限は80歳である点も踏まえて、がんに対するリスクをいつまで用意するか慎重に判断する必要があるだろう。
どちらの保険でがんに備えるのがおすすめなのか
がんに対する備えをがん保険にすべきか、がん共済にすべきか、それぞれ向いている人の特徴をまとめると下表のとおりとなる。
がん保険が向いている人 | がん共済が向いている人 |
一生涯の保障を用意したい人 保障内容を一生涯変えたくない人 がんに対して手厚い保障を用意したい人 30歳以下の若年層 | 最小限の保障を用意したい人 保険料を抑えたい人 健康状態に不安がある人 保障が最長80歳までで構わない人 |
がん保険が向いているのは、子育て世代の大黒柱や生計をメインで支えるような人だ。
がんの罹患による入院・通院費用や収入減少を補うためにも、まとまった額の保障を用意したほうが安心できるだろう。
また、長生きするのもある種のリスクで、がんに対する備えを一生涯・同じ保障額で用意したい場合はがん保険が向いている。
さらに、若年層の場合、契約条件によってはがん共済よりも割安な保険料で充実した保障を用意できる場合もある。
健康状態が相対的に良好とされる若いうちにがんに備えたい場合は、がん保険のほうがおすすめだ。
がん共済が向いている人は、がんに対して最小限の保障を用意しておきたいと考える人だ。
がん共済の場合は医療保険への加入も必要なため、がんに対する備えに限らず、公的医療保険以外の保障は最低限あれば問題ないという価値観の人は、がん共済がおすすめである。
ほかにも、子育てがひと段落してまとまった保障が必要なくなった人や、資産が比較的潤沢にあり、がん共済の保障があれば十分対応できる人も、がん共済が選択肢に入るだろう。
また、がん共済は告知内容がかなり限定的であるため、健康状態に不安がある人でも加入しやすい。
上記の分類はあくまで一例であるが、どちらのほうが自身の傾向として合っているかを踏まえて、必要な保険を検討しよう。
がん保険と県民共済の「がん共済」はどちらを選ぶべき?
がん保険とがん共済が向いている人の特徴をそれぞれ解説したが、結局どちらにすればよいか決められない人もいるだろう。
ここでは、がんに対する備えをどちらで行うべきか、選び方のポイントを解説しよう。以下の内容を踏まえて、自身のがん保障に対するニーズを明確にしてみてほしい。
最適な保険はライフスタイルや価値観によって異なる
前提として、がんに対する最適な保険・保障は、ご自身のライフスタイルや価値観によって異なるのは前提として押さえておこう。
- 家族構成
- 収入や資産形成状況と職業
- 健康状態
- 保険に対する考え方
がん保険に限らず、各種生命保険は「もしもの事態が発生した際」に備えるものだ。
実際、人によってもしもの事態の対象範囲は異なり、その事態が発生した際の影響の大きさも異なる。
がんに罹患した場合、罹患した前後でどのような変化が想定されるかによって対応は変える必要があるため、適切な保障内容を自分で設定することが何よりも大切である。
選び方①:がんに対してどの程度備えたいか明確にする
がんに対する備えを考える際は、先ほど解説したようにどの程度備えたいか明確にすることから始めよう。
がんの治療にかかる費用はもちろん、治療期間における収入減少も想定しなければならない。
がんで入院した際は、差額ベッド代や食費、日用品の費用、先進医療や自由診療にかかる費用などは公的医療保険の対象にならないため、全額自己負担だ。
がん治療にかかる総額と収入の減少額に対して、どの程度を保険で補填したいかは、人によって考え方が異なるところだ。
- 公的医療保険の適用分だけ補填できれば構わない
- 自己負担分も含めて補填したい
- 収入減少にも備えられるようにしたい
補填したい範囲が広がるほど保険料は上がるため、まずはがんに対してどの程度備えたいか明らかにすることで、商品を選びやすくなるだろう。
選び方②:毎月の家計から支払える保険料を計算する
続いて、がんに対する備えをするにあたって、いくらまでなら支払えるか計算してみてほしい。
その際、既に医療保険や死亡保険などに加入している際は、それぞれを含めた保険料総額が家計を圧迫していないかも確認しよう。
高過ぎる保険料で毎月の家計を圧迫させるのは本末転倒で、適正な保険料に抑えるためにも予算の設定が重要である。
保険料の考え方も人によって異なり、まとまった貯蓄がある人は、敢えて保障が充実する生命保険に加入する必要はないだろう。
むしろ、高額な医療費がかかった際に支払えない可能性がある家庭こそ、貯蓄をしつつ充実した保険で備えるべきだ。
家計の見直しを踏まえて、がんに対する備えの適正価格を計算してみよう。
選び方③:保険料と保障内容のバランスのとれた商品を選ぶ
がんにどの程度備えたいか明確になり、月々払える保険料の目安が分かれば、あとは保険料と保障内容のバランスを見て最適な商品を選べば良い。
現在、生命保険会社の医療保険に加入しているものの、がん共済の保障で十分と分かれば、県民共済に保険を一本化させても良いだろう。
ほかにも、既に医療保険に加入しているが、県民共済で医療保険+がん共済に加入することで、より充実した保障内容を用意できるケースも想定される。
もちろん、がん共済では保障が足りないため、がん保険に加入すべきという選択も当然考えられる。
がんに対するリスクの捉え方次第で選択肢は異なるため、上記のポイントを踏まえて自身に最適な保険を選んでみてほしい。
がん保険と県民共済の「がん共済」はあなたに合った保障内容で比較しよう
本記事では、がん保険県民共済の「がん共済」について、保障の違いやそれぞれのメリット・デメリットを解説した。
がんは私たち日本人にとって、最も備えるべきリスクの一つと言える。
がん保障には「がん保険」と県民共済の「がん共済」があり、どちらの保障が適切かは生活環境や経済状況、健康状態によって異なる。
今回紹介した選び方のポイントを参考に、あなたに合ったがん保障を見つけるようにしてほしい。
このように、何より重要なことは、一人ひとりのライフステージに合わせ、自分に必要な保障内容を備えた保険に入ることだ。
そのため、どの保険に入るべきかの判断に少しでも疑問や不安があれば、保険のプロに相談することも積極的に検討してほしい。
一人一人に合ったアドバイスをもらうことで、あなたに合った保険を見つけることができるはずだ。
また、保険のプロは数多く存在し、その中から自分にとって最適な担当を見つけるのは難しいだろう。
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