- 独身者は保険の受取人をどのように決めるべきかわからない
- 保険の受取の際にかかる税金について知りたい
- 保険加入時に注意するべき点を知りたい
生命保険の契約時には、保険金の受取人を設定します。
よくあるのが、遺された家族への保障を目的として保険に加入し、配偶者や子供を受取人として設定するパターンではないだろうか。
では、独身者は保険金受取人の設定をどのように行えばいいのか。
本記事では、独身者の受取人設定方法や、かかる税金の種類、保険加入の際の注意点について解説していく。
保険の受取人設定、独身者はどうする?
「独身者には生命保険は不要だろう」「配偶者や子どもがいない場合は生命保険に加入しても意味がない」と考えている人もいるだろう。
しかし、生命保険は独身者にとっても必要な保険である。
貯蓄がない人が生命保険に加入していなければ、遺族が葬儀費用を負担しないといけなくなるからだ。
葬儀には約200万円かかると言われている。生命保険に加入していれば、遺族に金銭的な負担をかけなくて済むのだ。
また、老後に向けて資金を確保できたり、がんに罹患した際の費用を負担してもらえたり、ケガや病気で働けなくなった際に収入を補填してくれたりもする。
遺族にお金を残すという一面だけではなく、加入者自身のお守りのような役目を果たしてくれるのだ。
ただ、独身の場合は受取人として一般的である配偶者や子どもはいない。
そこで誰を受取人にするか困る人もいるだろう。ここでは、独身者の保険金の受取人設定可能な範囲を紹介する。
保険金の受取人に設定できる範囲
独身者の保険金の受取人として一般的なのは、両親や兄弟姉妹だ。
ただ、保険金の受取人は誰でも良いわけではない。
保険金詐欺のようなリスクを回避するために、「配偶者および2親等以内の血族(祖父母、父母、兄弟姉妹、子、孫など)」に限定している保険会社が多い。
個別確認が必要な受取人
2親等ではない人を受取人に設定したいケースもあるだろう。
保険会社によっては家庭事情を考慮したうえで条件を満たすと、受取人として認めてくれる場合もある。
2親等から外れるものの受取人として設定できる可能性があるのは以下のケースだ。
- 甥や姪
- 事実婚や内縁関係にある人
- 同性のパートナー
ただ、上記に該当する人は法定相続人としては認められないため、相続税の非課税が適用されない点に注意が必要だ。
つまり、1,000万円を受け取った場合は、全額が相続税の課税対象となる。
保険会社ごとの設定可能範囲を比較
保険会社ごとの設定可能範囲は以下のとおりだ。
生命保険会社 | 設定可能範囲 | 同性パートナー |
---|---|---|
日本生命 | 原則、配偶者および2親等以内の血族(祖父母、父母、兄弟姉妹、子、孫など) | パートナーシップ証明書を持っている場合は簡易に手続きが可能 |
明治安田生命 | 原則、戸籍上の配偶者、6親等以内の親族 | 一定の要件のもと、同性パートナーの受取人等への指定を取り扱うことが可能 |
住友生命 | 配偶者、3親等以内の血族 (親・子・祖父母・兄弟姉妹・孫・おじおば・甥姪・曾祖父母・曾孫) (※)配偶者の血族は姻族となるため不可 | 要個別相談(規定なし) |
三井住友海上 あいおい生命 | 2親等内の血族以外の親族(ただし、以下のすべてを満たしている場合) 被保険者に戸籍上の配偶者または2親等内の血族に該当する者がいないこと 保険者と生活的・経済的に結びつきがあること | 一時的な内縁関係・同性パートナー関係ではなく、3年以上同居している事実上の夫婦(同性パートナーの場合実質的な夫婦と同等)であること 被保険者・死亡保険金受取人の双方に戸籍上の配偶者がいないこと |
プルデンシャル生命 | 配偶者、6親等以内の血族または3親等以内の姻族 | パートナーシップ証明書の写しを提出することで手続き可能 |
設定可能範囲ではない関係性の方でも、個別の相談によって保険金受取人として設定できるケースもある。
また、パートナーシップ証明書を提出しなくても、所定の条件を満たすと同性パートナーを指定することも可能だ。
それぞれの保険会社によって設定可能範囲や内縁者・同性パートナーの取扱いが違うため、加入前に必ずチェックしておこう。
独身者の受取人設定は税金も考慮しよう!受取人別の税金の種類とは
生命保険の受取時、金額によっては税金がかかるケースがある。
計算方法が一律であればそれほど困ることもないだろうが、保険の契約者・被保険者・受取人の関係によって税金の種類が変わってくるのだ。
税金の計算方法が違うため、納税額にも差が出てくる。
ここでは、契約者・被保険者・受取人が違うことによって、税金の種類がどのように変わるのか紹介しよう。
相続税になるケース
保険の契約者と被保険者が同一で、保険金受取人のみ違う場合は相続税の対象となる。
税法上で被保険者のみなし相続財産と判断されるからだ。
相続で受け取る場合、法定相続人の数に応じて保険金が非課税になる。
計算方法は以下のとおりだ。
法定相続人が両親の2人だった場合、1,000万円までは保険金を非課税で受け取ることができる。
両親と兄弟が相続人だった場合の2パターンで税金を計算してみよう。
- 法定相続人は両親の2人で保険金は800万円の場合
- 1,000万円までは非課税であるため、相続税はかからない。非課税で保険金を受け取れる。
- 法定相続人は兄弟の4人で保険金は1,500万円の場合(次男は相続を放棄)
- 相続を放棄した人がいても法定相続人の人数としてカウントされるため、2,000万円までは相続税がかからない。非課税で保険金を受け取ることができる。
贈与税になるケース
契約者と被保険者、受取人がそれぞれ違う場合は贈与税の対象となる。
保険料を支払った契約者のお金が受取人に贈与されていると考えることができるからだ。
贈与税は1年につき110万円の基礎控除が認められている。
そのため、保険金が110万円よりも小さい場合は非課税で受け取ることができる。
超える場合は以下の表から税金の計算方法をチェック可能だ。
基礎控除後の課税価格 | 200万円以下 | 300万円以下 | 400万円以下 | 600万円以下 | 1,000万円以下 | 1,500万円以下 | 3,000万円以下 | 3,000万円超 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
税率 | 10% | 15% | 20% | 30% | 40% | 45% | 50% | 55% |
控除額 | – | 10万円 | 25万円 | 65万円 | 125万円 | 175万円 | 250万円 | 400万円 |
兄弟間の贈与、夫婦間の贈与、親から子への贈与で子が未成年者の場合などに適用される。
一方で、父母や祖父母などの直系尊属から贈与を受けた場合の計算方法は以下のとおりだ。
基礎控除後の課税価格 | 200万円以下 | 400万円以下 | 600万円以下 | 1,000万円以下 | 1,500万円以下 | 3,000万円以下 | 4,500万円以下 | 4,500万円超 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
税率 | 10% | 15% | 20% | 30% | 40% | 45% | 50% | 55% |
控除額 | – | 10万円 | 30万円 | 90万円 | 190万円 | 265万円 | 415万円 | 640万円 |
たとえば、一郎の父親である親夫が契約者で、母親である両子が310万円の保険金を受け取る場合。
基礎控除後の課税価格は200万円になる。
夫婦間の贈与は1つ目の表に該当するため、200万円×10%=20万円の納税が必要だ。
所得税になるケース
契約者と受取人が同一で、被保険者のみ違う場合は所得税の対象となる。
保険料を支払っている契約者本人が、被保険者の死亡によって保険金を受け取るからだ。
生命保険の保険金は一時所得になるため、受け取る保険金-これまでに支払った保険料-特別控除(50万円)で計算できる。
一時所得に1/2をかけた金額が、その年の給与所得や事業所得、雑所得などと合算されて税金が計算される。
独身者が保険加入時や見直しの際に注意するべきこと
独身の人も生命保険に加入するべきと紹介したが、選び方がわからない人もいるだろう。
すでに加入している人でも、見直し方や見直すタイミングで迷っている人もいるかもしれない。
ここでは、保険加入時や保険の見直しの際に注意するべきことを紹介する。
保険加入時や保険の見直しの際に注意するべきことは以下のとおりだ。
- 保険に加入する目的を明確にする
- 自分に合った保険料と保険金にする
- 保険の見直しを定期的に行う
それぞれ解説しよう。
保険に加入する目的を明確にする
保険を契約する際は、必ず加入する目的を明確にしよう。
加入目的が曖昧なままだと、自分に合った保険を選ぶのが難しいからだ。
保険にはさまざまな商品があるため、これからのライフプランや必要な保障内容が不明確なままだと、商品を決めきれない。
結果的に商品の大半をチェックすることになり、膨大な手間と時間がかかってしまう。
しかも、絞り切れていない分、自分に合った保険商品を見落としてしまう恐れもある。
加入目的が曖昧なまま保険を選ぶのは、ゴールのないマラソンを走るようなものだ。
どこに向かうべきかわからず、結果的に損をしてしまう。
保険選びを始める前にこれからのライフプランを整理し、加入目的を確認しておこう。
自分に合った保険料と保険金にする
加入目的から商品を絞れたら、次に保険料と保険金をチェックしよう。
受け取る保険金を大きくしすぎて保険料が高くなりすぎると、継続して加入することが難しいからだ。
保険選びに時間をかけて加入しても重たい保険料負担が原因になって解約してしまっては元も子もない。
一般的に保障内容が手厚くなると保険料は高くなる。
万が一の場合にいくらあれば十分なのか把握し、保険料負担が重くなりすぎないように設定しよう。
保険の見直しを定期的に行う
契約後は保険の見直しを定期的に行おう。生活していくうえで考え方が変わったり、別の保障が必要になったりすることもあるからだ。
保険の見直しをすべきタイミングは以下のとおりだ。
- ライフステージが変化するタイミング
- 定期保険の更新タイミング
- 保険料が家計を圧迫しているタイミング
独身の場合はライフステージが変わるタイミングは少ないだろう。
ただ、マイホーム購入のために住宅ローンを組んで団体信用生命保険に加入した際は、効果的な見直しタイミングである。
また、期間に定めのある定期保険の更新が近づいてきたら、保障内容や保険料を見直してみると良いだろう。
ただ、「自分に合った保険の選び方がわからない」「加入目的がうまく言語化できない」という人もいるだろう。
そんな時は保険のプロに相談するのも選択肢だ。豊富な経験と知識から、顧客ごとにカスタマイズされた保険商品を提案してくれる。
加入後の手続きのサポートや見直しに関するアドバイスも提供してくれるため、非常に心強い味方となってくれるだろう。
しかし、そもそも保険のプロの選び方がわからない人もいるかもしれない。
保険のプロ選びは「生命保険ナビ」を活用することをおすすめする。入力した条件を参考に相性の良いアドバイザーを紹介してくれる。
独身者の生命保険の受取人は慎重に検討しよう
本記事では、独身者の受取人設定方法や、かかる税金の種類、保険加入の際の注意点について解説した。
生命保険は、自分に万が一があった場合の保障であり、遺された家族の保障となる重要な役目を担っている。
独身の場合は、誰を受取人に設定するかが重要である。
特に遺したい人がいる場合や、生前死後の面倒を見てくれる人に遺したい場合などもあるだろう。
しかし、保険の受取人は、保険会社によって設定できる範囲が変わってくるので、注意が必要だ。
もし、自分の知識のみで決断することが不安な場合は、保険のプロに相談するのも良いだろう。
保険のプロに相談することで、あなたの状況に合った具体的なアドバイスが得られるだろう。
各種保険のプロが集まる「生命保険ナビ」を利用すれば、自分にとって最適な保険のプロを選んでくれる。
自身のライフスタイルに沿った適切な受取人設定について相談することができるだろう。
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