- 共働き家庭に生命保険が必要か判断する基準が知りたい
- 共働き家庭が払っている保険料の平均と入るべき保険の種類が知りたい
- 共働き家庭が生命保険を選ぶ際の注意点が知りたい
共働き家庭は夫婦それぞれの収入から貯蓄が確保されるため、生命保険に入る必要はないのではないか、と考える方もいるだろう。
そこで本記事では、生命保険が必要な共働き家庭の特徴や、保険料の支払額平均と入るべき保険の種類、さらに実際に保険を選ぶ際の注意点について解説する。
共働きで生命保険への加入を悩んでいるという方には、ぜひ最後までお読みいただき、生命保険への加入や見直しの基準としてもらいたい。
共働き家庭に生命保険はいらないのか?
生命保険は「夫または妻のどちらかのみ働いていて、万一の事態が発生すると残されるパートナーや子どもが経済的に困窮することを防止するために加入する」というイメージを持つ人も多いのではないだろうか。
そのため共働き家庭の場合は「万一どちらかが亡くなったとしても、それぞれ経済的に独立しているから働いて収入を得れば問題ない」と思われることもあるかもしれない。
「パワーカップル」といった言葉もあるように共働きの収入規模によっては夫や妻のどちらかが働くケースに比べると経済的リスクは軽減されるかもしれないが、だからといってリスクがなくなるわけではない。
ここでは共働き家庭の特徴や抱えるリスクについて解説する。
共働き家庭が抱えるリスクとは
例えば夫や妻1人が月50万円稼ぐ家庭とそれぞれ30万円ずつ稼ぐ家庭では、全体的な収入は後者が多くなる。
そのため共働き家庭は専業主婦(夫)がいる家庭に比べると高収入で経済的リスクは小さいと思われるかもしれない。
ただし共働き家庭だからこそ抱えるリスクも存在する。
- 夫婦別会計でそれぞれの家計状況を把握していない
- 見栄を張るあまり資産が増えない
- 互いに他力本願で実は貯金が全くできていない
共働き家庭といってもそれぞれ状況は異なるが、それぞれ収入を得ているからこそ上記のように陥りやすいパターンもあるので注意が必要だ。
保険が必要な世帯の特徴
共働きでも生命保険が必要となる世帯は主に以下のとおりだ。
- 共働き前提の家計で預貯金が少ない
- 未就学児等の子どもがいる
- 住宅ローンがある
- 遺族年金の給付対象外または金額が少ない
夫と妻それぞれ収入があることを前提に家計のやりくりをしているケースもあるかもしれない。
共働き前提で家計設計をすると、どちらかの収入がなくなると経済的に困窮するおそれがある。
そのため、夫と妻にそれぞれ不測の事態が発生して収入減少による家計への影響を最小限に抑えるための手段として、生命保険の加入や活用も検討したい。
「生命保険は一家の大黒柱である夫が加入するもの」といったイメージも強いかもしれないが、共働きの場合は妻の収入がなくなっても困るため夫だけでなく妻も生命保険に加入する必要がある。
「子どもがうまれたら生命保険に加入するべき」と言われることも多いが、これはなぜか。
子どもはまだ自分で仕事をして稼ぐことは難しい一方で生活費や教育費もかかり、何も対策しなければ経済的に困窮するおそれがあるからだ。
日本政策金融公庫が公表している2021年度の「教育費負担の実態調査結果」では、高校、大学でかかる子ども1人あたりの教育費は942万5000円とされている。
一般的に文系よりも学費が高いとされる理系や私立高校や大学に進学すると想定よりも大きい費用がかかり、1000万円を超えることもあるだろう。
1000万円以上の資金を会社員の収入や預貯金等でカバーするのは容易ではないため、例えば万一の際に数千万円以上支給される保険に加入するなどの工夫が必要かもしれない。
持ち家を購入して住宅ローンがある場合も生命保険が必要なケースだ。
金融機関から住宅ローンの借入れを行うと団体信用生命保険に加入するケースが多く「家族に万一の事態があっても、その後はローン負担がなくなるから大丈夫」と思われるかもしれない。
確かに万一の際にローン残債分の返済が免除されるのは大きいが、全ての場合に返済が不要となるわけではない。
団体信用生命保険が適用されるのは住宅ローンの契約者が死亡または高度障害状態となった場合であり、契約者以外が死亡した場合は適用されない。
そのため例えば契約者が夫でも事実上2人で返済額を負担している場合、住宅ローン契約者ではない妻が亡くなった場合は支払いを免除されるわけではないため、経済的な負担が増えて家計バランスが崩れるおそれがある。
配偶者が死亡するとローンの支払いが困難となる場合は保険でカバーすることも大切だ。
日本は国民皆保険制度が導入されており、20歳以上の国内居住者は国民年金に加入して会社員として働く場合は厚生年金にも加入するケースが多い。
国民年金や厚生年金の被保険者が亡くなると残された家族は遺族基礎年金や遺族厚生年金を受け取れる。
ただし一定の要件を満たす必要があり、受け取れても生活するためには十分とはいえない金額である可能性が高いため、年金に依存せず生命保険等で対策する必要があるだろう。
保険がいらない世帯の特徴
一方で共働きで生命保険が必要でない世帯は主に以下の特徴がある場合だ。
- 預貯金等の資産が豊富にあり、残される家族の生活に全く問題ない
- 収入が安定しており、配偶者の死亡等の不測の事態が発生しても減らない可能性が高い
残される家族全員の生活に全く困らない資産金額はいくらなのかについてはそれぞれ状況が異なるため一概にはいえない。
配偶者が死亡したり高度障害等で事実上寝たきり状態となってしまう場合はもちろん、急に大きな病気やけがをして長期間に及ぶ通院や入院が必要となっても経済的に困窮しないか試算することが重要だ。
病気やけがだけでなく、冷蔵庫や洗濯機等の生活家電、日常的に車を利用する場合はマイカーの故障や買い替え等が発生した場合も対応できるか、家計を圧迫しないか確認しておこう。
労働収入以外も含めて安定的に収入があり、万一家族の死亡等の不測の事態が発生して働くことが困難となっても、収入金額が減らない場合も生命保険は必要ではないかもしれない。
おもに大企業の会社員や公務員として働き、自身が働けなくなっても有給休暇や独自の福利厚生制度によって収入が保障される場合や複数の収入源を持っており、労働収入が途絶えたとしても全く問題ない場合等が挙げられる。
「預貯金や収入が十分あれば生命保険は全く必要ない」といった意見もあるが、実際は自身の目論見通りに事が進むとは限らない。
例えば、万一の際に5000万円の保険金が支給される死亡保険に加入すると仮定する。
預貯金5000万円あれば加入する必要がないと思われるかもしれないが、預貯金は流動性がある反面「いつでも引き出せる」ため、万一の際に必要な金額が貯まっているとは限らない。
一方で生命保険は預貯金のように簡単に引き出せないデメリットがある一方で、万一の際は要件を満たすと確実に定められた保険金や給付金を受け取れる。
資産規模の大きさはもちろん重要だが、預貯金の流動性、自身や家族を取り巻く環境や起こり得るリスクの内容等を総合的に考慮したうえで、生命保険が必要かどうか判断することをおすすめする。
本当にいらない?共働き家庭が払う保険料の平均額と入るべき保険とは
共働き家庭が保険に加入する場合、保険料はどのくらい負担すると適切といえるのか気になるかもしれない。
共働き世帯といっても年代や家族構成等もそれぞれ異なるが、ここでは適切な保険料の設定や加入すべき生命保険の種類について解説する。
共働き家庭の年代・家族構成別の平均保険料
共働き家庭の年代や家族構成別では、最も年間保険料の払込みが多いのは「末子就学終了」で42.1万円、次いで「末子保育園児・幼稚園児」が40.2万円となっている。
一方で子どもがいない夫婦のみの家庭は40歳未満だと21万円、40歳以上は37.4万円である。
60歳以上の高齢者がいる家庭は約31万円から37万円だ。
これらのデータから、特に子どもがいる家庭では年代問わず生命保険に加入して万一に備えていることが分かる。
子どもがいない場合でも健康不安もあるのか40歳を超えると保険料負担額が増え、60歳以上も健康面や老後資金等のリスクに備えるために生命保険を活用している。
適切な保険料を設定するには
保険料の負担が重荷となり家計を圧迫して生活に悪影響を及ぼしては意味がない。
将来のリスクに備えることも大事だが、現在の生活を疎かにしてしまっては本末転倒だ。
一般的に保障が一生涯続く終身保険よりも、まずは掛け捨てと呼ばれる定期保険や収入保障保険に加入するのも1つの方法だ。
保険金が500万円以下の場合は月額1000円以下で加入できる商品もある。
ただし、保険料が安くなるほど保障も薄くなりやすいので要注意だ。
共働き家庭が加入すべき生命保険とは
世帯収入や資産規模、働き方、子どもの有無等によって加入すべき内容は変わるが、共働き家庭が加入を検討したい生命保険は以下の3種類である。
- 死亡保険
- 医療保険
- 就業不能保険
特に子どもがいる場合は家族に万一の事態が発生すると生活費や教育費を工面できなくなるおそれがある。
被保険者が死亡または高度障害状態になると保険金が支給される死亡保険に加入し、大きな病気やけがに備えるには医療保険への加入も検討してみてはいかがだろうか。
死亡や高度障害状態にならずとも病気やけがが原因で長期的に入院や通院が必要となり、働けずに収入が激減するリスクもある。その場合は就業不能保険に加入して、働けない間の収入を確保することも重要だ。
なお、夫婦に必要な保険については以下の記事でも解説しているので、あわせて参考にしていただくとより具体的にイメージすることができるはずだ。
共働き世帯が生命保険を選ぶ際の注意点
将来不安を理由に保険に加入する人も多いと考えられるが、自身や家族にとって最適な保険を選ばなければ払込む保険料が無駄になってしまうおそれもある。
いざというときにしっかり保障を受けられる状態にするためにも、共働き家庭が生命保険を選ぶ際の注意点を確認しておこう。
20代の場合 最低限の保障で十分
20代社会人の場合は、たとえ大切なパートナーがいたとしてもまだ独身の人も多いだろう。
自身に万一の事態が発生すると、もちろん残される家族やパートナー等にも精神的に大きな影響を与えるが、経済的な部分で考えると既婚者に比べるとリスクは少ない。
とはいえ全くリスクがないわけではなく、自身の葬儀や遺品整理等にかかる費用は準備しておく必要がある。
一般的に葬儀等にかかる費用は200万円程度かかるといわれるが、預貯金等で対応できるのか、厳しい場合は生命保険に加入して保障をつけておこう。
30ー40代の場合 子どもの有無で必要な保障が変わる
30代になると結婚して独身時代とは環境や備えるべきリスクも変わるケースが少なくない。
生命保険の選び方も主に自身に子どもがいるかどうかで必要な保障や内容は大きく変わる。
子どもがいない場合、自身に万一の事態が発生すると残される配偶者の生活環境がどう変わるのかによって選ぶべき生命保険は変わる。
共働きでそれぞれ経済的に独立している場合は、20代の場合と同様に自身の葬儀等にかかる費用対策ができているか確認し、不足分を最低限の保障でカバーしよう。
どちらかが働き一方は専業主婦(夫)として活動している場合は、特に後者が残されると新たに仕事を始めるとしても一時的に生活が困窮するおそれがある。
そのような事態を防ぐために生活立て直しに使える資金を保険で備えよう。
子どもがいると必要な保障や保険に対する考え方も大きく変える必要がある。
たとえ共働きで収入規模も同程度あり、互いに経済的に独立していても、自身や配偶者に万一の事態が発生すると子どもの世話をするため「仕事を続けたくてもできない」状況になるかもしれない。
やむを得ず退職すると収入がなくなってしまうため、生活費や子どもの教育費をどう確保するかが大きな課題となる。
極端かもしれないが安定的に収入を確保するのが困難な場合は、今後必要となり得る自身と子どもの生活費と教育費を全て保険でカバーすることが重要だ。
50ー60代の場合 迫る老後に備えた保障を選ぶ
50代に入ると本格的に老後を意識する人も多いだろう。
以前「老後2000万円問題」が話題になったが、自身や家族が満足できる老後を過ごすためには具体的にいくら必要なのか、現在の資産状況と照らし合わせて、どのくらい不足する可能性が高いのか試算してみよう。
その上で不足分を補える保障を選ぼう。
60代に入ると子どもが社会人となり、経済的に独立するケースもあるだろう。
その場合は子育て重視となっている保険を見直し、自身の老後に備えたものに変える必要もあるかもしれない。
一方で晩婚化により第一子が誕生する時期が40代となるケースも考えられる。
その場合は最も教育費がかかるとされる高校生や大学生になるタイミングと自身の老後が始まるタイミングが重なる。
収入が減る一方で支出が大幅に増え、家計破綻リスクも上がることも考えるため対策が欠かせない。
「共働き家庭に生命保険はいらない」は誤解!必要な保障を備えよう
本記事では、生命保険が必要な共働き家庭の特徴や、保険料の支払額平均と入るべき保険の種類、さらに実際に選ぶ際の注意点について解説した。
共働き世帯で住宅ローンを組んでいたり、年金が給付されないという家庭は、生命保険に加入する必要があるだろう。
しかし、生命保険の保険料は世帯の構成や年代によっても適正額が異なり、夫婦だけで適切な生命保険を選ぶのは難しいと考えている人もいるだろう。
そんな時は保険のプロに相談することも検討しよう。一人一人に合ったアドバイスをもらうことで、あなたの家庭に必要な保険を的確に選択することができるはずだ。
ただ、保険のプロは数多く存在し、自分や夫婦にとって最適な担当なのかを見極めることは難しい。
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