- 夫婦それぞれが学資保険に入る複数契約のメリットを知りたい
- 夫婦別の加入の効果と最適な契約者選択の方法を知りたい
- 学資保険を検討する際のポイントが知りたい
子供の教育資金準備に関する不安は、多くの保護者が直面する重大な問題だ。
これから準備を始める方も、既に学資保険を契約している方も、「現在の保障で十分か」「資金が不足しないか」と不安を覚えることはあるだろう。
学資金をより多く準備する方法の一つとして、学資保険や他の保険商品の追加契約が考えられる。
本記事は、学資保険の複数契約についての解説である。
夫婦それぞれが同じ学資保険に加入することの可否や、複数契約のメリット・デメリットを整理する。
さらにより賢く学資金を準備するための契約のポイントや、検討のステップについても触れる。
教育資金の準備に不安を感じている方や、保険の複数契約に関心がある方に、この記事が役立つことを願っている。
ぜひ最後まで読んで、参考にしていただきたい。
学資保険は夫婦で別々に契約できる
一つの家計が学資保険に複数契約することは可能だ。
たとえば、同じ保険商品を夫婦それぞれが契約することはできる。
学資保険も複数契約することができる
生命保険では、同じ保障内容に対して複数の契約を行うことが可能である。
学資保険でも同様に、複数の契約を持つことができる。
複数の学資保険を契約するパターン
保護者(契約者)は、子供一人に対して複数の学資保険を持つことができる。
学資保険の複数契約には、以下のようなパターンが考えられる。
パターン | 例 |
---|---|
同一保護者による異なる保険会社の学資保険契約 | 父親がA社の学資保険とB社の学資保険に別々に加入する |
夫婦それぞれが異なる学資保険に加入 | 父親がA社の学資保険に、母親がB社の学資保険に加入する |
同一保護者による同じ保険会社の異なるプランへの複数契約 | 父親がA社の異なる学資保険プランに複数加入する |
夫婦で同じ保険にそれぞれ契約 | 父親と母親が同じA社の学資保険に個別に加入する |
ただし保険業界の自主制限にかかる可能性がある
複数の生命保険契約を持っている場合、保険金の支払いは、契約ごとに独立して行われる。
理論上は保険契約が何件あっても、それぞれから定められた保険金を受け取ることが可能だ。
しかし、業界規定や保険会社独自の規定によって、一定の制限が設けられている場合がある。
未成年者に対しては、特に厳しい規制を設けていることが多い。
まず、日本の保険業界では実務において、未成年者を被保険者とする生命保険契約の保険金額を1000万円までと制限する自主規制措置がとられている。
これは、未成年者の生命保険に関する道徳的なリスクや、不正な保険金請求を防ぐために設けられたものである。
また、生命保険協会が令和5年6月に発表した『未成年者を被保険者とする生命保険契約の適切な申込・引受に関するガイドライン』では、特に15歳未満の未成年者を被保険者とする場合の制限が明確に示されている。
これには、「合理的な付保額の範囲内での引受」「法定代理人の同意の必要性」「モラルリスクの排除・抑制」「保険契約内容の厳格なチェック」などが含まれる。
つまり、学資保険の契約においては、道徳的な問題がなく、保険金額が必要性に見合っているかどうかが判断されるため、理論上は可能な複数契約であっても、保険会社の判断で受け付けられないことはありうる。
夫婦が複数の学資保険に加入する4つのメリット
学資保険に複数契約することは、教育資金の準備において以下のようなメリットをもたらす可能性がある。
より多くの教育資金を準備できる
複数契約により、必要な教育資金をより多く確保することが可能となる。
これは、子供の学校教育や進学に関連する費用をカバーし、教育に関する選択肢を広げることにもつながる。
夫婦双方のリスクをカバーできる
父親と母親が別々に学資保険を契約することで、どちらか一方に万一のことが起きても、もう一方の保険から保険金を受け取れる。
これにより、家族全体のリスクを分散し、子供の教育資金を安定的に確保することができる。
リスクが分散ができる
異なる保険会社やプランに加入することにより、リスクを分散することができる。
たとえば、一つの保険が期待したような成果をもたらさなかった場合や、保険会社の破たんなどがあった場合でも、他の保険によってカバーできる可能性がある。
資金計画に柔軟性が生まれる
異なる特徴を持つ保険商品を組み合わせたり、保険料の支払い期間や、保険金受取タイミングをずらすことで、より柔軟に教育資金の準備ができる。
たとえば、父親の保険金は大学入学時にかかる一時的費用として、母親の保険金は大学生活にまつわる様々な費用に充てるなど、最適な使い道を選択できる。
夫婦で複数の学資保険に加入する3つのデメリット
学資保険を複数契約する際には、デメリットも考慮する必要がある。
保険料負担が増える
複数の学資保険に加入すると、それぞれの保険に対して保険料を支払う必要があり、結果として家計への負担が増加する。
この支払いは長期にわたるため、他の家計ニーズや将来の財務計画に影響を及ぼす可能性がある点を認識しておくことが重要だ。
たとえば、就業状況が変わったり、突然の大きな出費が発生した場合でも、保険料の支払いは続けなければならず、それによって利用可能な資金が制限されることになる。
契約や手続きなどの管理が複雑になる
複数の保険契約を管理することは、時間的、精神的な負担になる可能性がある。
各契約における支払い条件や保険金の受け取り方法を定期的に確認する必要があり、これが大きな負担となり得るのだ。
加入時や保険金請求時はもちろん、住所変更や受取人の変更など、様々な場面で必要となる手続きについても予め認識しておくことが重要である。
保障内容が重複するおそれがある
複数の学資保険契約により、保障内容が重複し、不必要な保険料の支払いにつながるリスクがある。
特に、保障が手厚い学資保険商品には注意が必要で、医療保障や死亡保障が家計にとって過度に高額でないかを確認することが重要である。
このように、夫婦それぞれが学資保険に加入することにはメリット・デメリットがあり、その適性は子どもの年齢や家計の状況によって変化する可能性が高い。
属性別におすすめの学資保険についてまとめた記事もあるので、自身の置かれている環境に当てはめて考えることで、より効果的な選択肢に近づけるはずだ。
「夫婦それぞれで学資保険加入」で、より賢く教育資金を確保しよう
ここでは、夫婦それぞれで学資保険を持つことにより、より賢く保険契約を結ぶためのヒントをご紹介する。
学資保険の保険金の受取タイミングを調整する
学資保険を複数契約すると、各契約の保険金受取時期を計画的に配分することが可能になる。
子どもの教育段階ごとに、必要な資金が確保できるようプランニングできるのだ。
たとえば、一つ目の契約では、満額保険金を大学入学に要する費用に充て、もう一つの契約では中学校や高校の入学時に祝い金が受け取れる設計にする。
大学入学時に保険金を受け取る契約は、運用期間が長期にわたることを考慮し、長期契約に適した安全性が高い保険商品を選ぶことが重要である。
一方、「進学タイミングで祝い金を受け取る」契約を選ぶ場合は、短期の資金需要に応えうる柔軟性を持つかどうかに注目すべきである。
具体的には「据え置き」が可能である商品を選ぶことで、祝い金が必要ないときは据え置きして積立を継続し、利息を受け取りつつ、必要なときに引き出す自由も得るのだ。
学資保険の契約者を母親にする
学資保険を複数持つ場合、夫婦それぞれが契約者となることでもメリットが得られる。
特に、契約者を母親にすることで、保険料が安くなる可能性がある。
保険料の算定には性別と年齢が影響します。統計によると、女性は一般的に寿命が長く、若年時の死亡リスクが低いため、同条件の男性に比べ、保険料は安くなる傾向があるのだ。
家計で一つの学資保険を持つ場合、契約者を母親にすると、父親が亡くなった際に「保険料払込免除」の恩恵を受けることができなくなる可能性がある。
収入を父親に依存している場合、保険料の支払いが困難になり、解約を余儀なくされるリスクもでてくる。
しかし、複数契約の場合、一つの契約において「一家の大黒柱がなくなる」リスクをカバーし、もう一つの契約でより高い貯蓄性を狙うことが可能となる。
たとえば、二つ目の契約では母親を契約者として、死亡保障を付けない貯蓄性の高い商品を選ぶなどが考えられる。
学資保険の保険料の支払いを「長期」と「短期」で組みわせる
最初の学資保険契約が長期の支払い計画である場合、二つ目の契約を短期支払いプランにすることで、家計における保険料のバランスを取ることが可能となる。
一般に、保険料の支払い期間が短いほど、長期にわたる総支払額は減少する。
短期間での高額な支払いは、一時的に負担が大きくなる可能性があるが、長期的にはコスト削減の効果が期待できる。
学資保険の中には、短期間で一気に保険料を支払うプランと、少ない保険料を長期にわたり支払うプランとがある。
夫婦がそれぞれ異なるタイプの学資保険を選ぶことにより、家計への負担のバランスを取ることができる。
学資保険を夫婦で別々に契約するために!複数契約を検討するステップ
ここからは、学資保険を複数契約する場合に注意すべき主なポイントを整理する。
教育資金の見積と現在の家計の評価
学資保険の複数契約を検討する際、最初に行うべきは家計の状況と子どもの教育ニーズを正確に把握することだ。
ニーズを明確にする
「なぜ複数の学資保険が必要か」について再考しよう。
具体的には、資金ニーズに基づくものなのか、リスク分散のためなのか、または資金を分割して受け取りたいためなのか、などを明確にすることだ。
まずは複数契約によって何を得たいのかをはっきりさせることが重要である。
教育資金を具体的に見積もる
複数契約検討の理由が「教育資金の不足」にあるなら、次に行うべきは、教育に必要な費用を全て洗い出すことである。
これには学費だけでなく、学校での行事費用、習い事や留学の費用に加え、子どもの教育に対する親の期待や希望も考慮に入れよう。
どの時点でいくら必要なのかを把握することで、資金確保計画を具体化することができる。
家計の現状分析から支出可能金額を見積もる
現在の収入、支出、貯蓄、投資などの財務状況を確認し、「学資保険を追加しても家計に負担がかからないか」「どれだけの金額を追加学資保険に割り当てることが可能か」を判断しよう。
この際、将来的な家計の変動も考慮し、途中解約の必要性を見極めることが大切である。
学資保険以外の選択肢を考慮する
次に行うべきは、学資保険以外の選択肢の検討である。
教育資金の準備には、「学資保険の複数契約」だけでなく、貯蓄プランや投資などと組み合わせる選択肢もある。
家庭のニーズを特定した上で、そのニーズに適した商品を検討することが重要だ。
以下は、ニーズと保険商品の組み合わせの一例である。
もちろん商品の数だけ選択肢はあるので、もっと詳しく知りたい場合は、保険のプロに相談して欲しい。
ニーズ | 方法 | 内容 |
---|---|---|
万一の場合でも教育資金を確保する | 他の生命保険(死亡保険)と組み合わせる | 学資保険は教育資金の準備に特化し、生命保険で、万一のときの生活費や残されたローンの支払いをカバーする。 |
収入が落ち込んでも教育機会を諦めない | 医療保険や収入保障保険等と組み合わせる | 「一家の大黒柱の収入が途絶えた場合」の備えを手厚くする |
より多くの資金を貯める | 外貨建て終身保険と組み合わせる | 学資保険は教育資金の確実な準備を目的とし、外貨建て終身保険では高い受取額を期待する |
専門家の意見を求める
ニーズを把握し、大まかに計画を立案したら、専門家に相談してみよう。
学資保険の複数契約や他の保険との組み合わせは、計画から契約に至るまで複雑なことが多く、慎重な検討が必要だからだ。
保険契約を行う際は、すべての保険の「保険証券」を詳細に確認し、重複を避けることが大切である。
また、長期間にわたる保険料の支払いが家計に及ぼす影響を見積もるのは難しい作業だ。
専門家は、これらの問題について、家庭にとっての最適解を提案してくれる頼もしい存在だ。
ぜひ、保険のプロの力を活用してご家庭にとっての「最適解」を導き出していただきたい。
学資保険は夫婦それぞれで加入しよう
本記事では、学資保険の複数契約について詳しく解説した。
一人の子供に対して複数の学資保険を契約することは可能だが、同じ性質の保険を複数保有することには、メリット・デメリットのどちらも存在する。
家計の現状と将来のライフプランを考慮し、それぞれのご家庭に適した商品の組み合わせを選択していただきたい。
保険の選択に不安がある場合は、専門家への相談がおすすめだ。保険のプロなら、家庭の現状やニーズ、将来の計画に基づいて、ご家庭ごとに最適なアドバイスができる。
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