- 払込期間をどのように設定すれば良いのか分からない
- 払込期間によってどのような影響があるのか知りたい
- 将来の子供の教育費に備えたいが、どのように計画すれば良いのか分からない
学資保険とは、子どもの教育費のために積み立てる貯蓄型の保険である。
しかし学資保険の払込期間によっては、保険の返戻金が異なるケースもある。
保険の選択が将来の子供の教育に大きく影響するため、自身の状況に基づいて適切に設定したいものだ。
この記事では、学資保険の払込期間の設定に関する基礎知識と、その選択方法について詳しく解説する。
この記事を参考にして、学資保険の加入や見直しについて検討してほしい。
学資保険の払込期間を設定する前に!学資保険の基本
子どもの誕生により学資保険を検討している人も多いだろう。
そして「いくら貯める必要があるんだろう」「学資保険にはどんなメリットがあるんだろう」「学資保険に加入するなら、より多くの恩恵を受けたい」などの悩みを抱える人も多いのではないだろうか。
学資保険に加入する際のポイントはいくつかあるが、この記事では学資保険の「払込期間」に重点を置いて解説していく。
その前にまずは学資保険の概要・種類・メリットなどを理解しておこう。
学資保険の概要
学資保険とは、保険料を積み立てて子どもの教育資金を準備する、貯蓄性の保険である。
さまざまタイプがあるが、子どもの成長に合わせて祝い金や満期金が受け取れる仕組みだ。
「子どもが生まれたら学資保険に入るべき」と考える人は多いだろう。
銀行預金やさまざまな投資商品がある昨今だが、学資保険の人気は根強く多くの人が利用している。
各保険会社から販売されている学資保険。大きく分けて2つのタイプがあることをご存じだろうか。
学資保険の種類を下記で解説していく。
どちらのタイプが自分には合っているか、確認しながら参考にしてほしい。
学資保険の種類【貯蓄重視タイプ】
払い込む保険料よりも、より多くの祝い金や満期金を受け取りたい人には「貯蓄重視タイプ」の学資保険がおすすめだ。
どれだけ多く受け取れるかは、各商品の返戻率を確認することで比較ができる。
返戻率とは、払い込む保険料の総額に対して、将来受け取る祝い金・満期金の総額の割合を表した数字である。
- 返戻率100%→払い込む保険料と受け取り金の総額が同額
- 返戻率100%以上→受け取る金額のほうが多い
- 返戻率100%以下→払い込む保険料のほうが多い
貯蓄を重視したい人は返戻率が高い学資保険を選ぶといいだろう。
「貯蓄重視」といっても保障がまったくない学資保険はない。
基本的には、契約者が死亡・高度障害状態になった際の保障や、死亡・高度障害状態になったとき以降の保険料払込が不要になる「保険料払込免除」の特約が付加されている場合が多い。
学資保険を選ぶ際は、返戻率の数値とどのような保障がついているのかを確認して検討すべきだ。
学資保険の種類【保障重視タイプ】
保障重視タイプの学資保険は上記の保障に加えて、被保険者(子ども)が入院した際の保障や、契約者(父母)が死亡した際に育英年金が支払われるものである。
保障重視タイプの学資保険も祝い金や満期金は受け取れる。
しかし、貯蓄重視タイプよりも保障部分に支払う保険料は高くなるので、返戻率は下がるのが特徴だ。
貯蓄をしつつ「自分が万一のときの保障を手厚くしたい」と思う人におすすめだ。
学資保険が必要な理由
子どもが生まれたからといって、必ずしも学資保険が必要とは限らない。
例えば、自分に万一のことがあったとしても死亡保険で十分に備えている人や、子どもが独立するまでに必要な金額が貯蓄できている人は、学資保険に入る必要性は低いだろう。
しかし反対に、貯蓄が少ない場合や子どもが数人いる場合は学資保険の必要性は高い。
なぜなら子どもの教育費だけでも多額の費用がかかるからだ。文部科学省によると、子ども1人に対し大学卒業までにかかる教育費は、下宿費や住居費を除いて幼稚園から大学まで国公立で約800万円、すべて私立だと約2,200万もかかるといわれている。
親に万一のことがあっても、子どもが金銭面を気にせずに進学するためには学資保険は必要といえるだろう。
- 引用:文部科学省「教育費負担」
学資保険のメリット
ここからは学資保険に加入するメリットを紹介していく。
教育資金を確実に準備できる
学資保険のメリットは将来の教育資金を確実に貯められることだ。
「自分ではなかなか貯められない」という人はとくに、学資保険のように強制的に貯められる仕組みを利用するのがおすすめである。
さらに、祝い金や満期金を受け取るタイミングを自分で設定できるのも魅力の1つである。
子どもが中学・高校・大学に入学する際に受け取れるものや、大学入学時にまとめて受け取れるものなど、自分の希望に合わせて決めることができる。
死亡保障と払込免除がある
学資保険は、契約者に万一のことが起こった場合、それ以降の払込は不要になる。
加えて、祝い金や満期金を予定通り受け取ることができるのがメリットであり、預貯金や投資と大きく異なる点だ。
「自分に万一のことがあっても子どもの教育費を確実に準備してあげたい」と思う人には学資保険がおすすめである。
生命保険控除が使える
学資保険は生命保険料控除が使え、税金が軽減できるのもメリットの1つである。
払い込んだ保険料に対して控除額が変わってくるが、最大で所得税40,000円、住民税28,000円の控除を受けることができる。
所得税の控除
1年間の支払保険料等 | 控除額 |
---|---|
20,000円以下 | 支払保険料等の金額 |
20,000円超40,000円以下 | 支払保険料等×1/2+10,000円 |
40,000円超80,000円以下 | 支払保険料等×1/4+20,000円 |
80,000円超 | 一律40,000円 |
住民税の控除
1年間の支払保険料等 | 控除額 |
---|---|
12,000円以下 | 支払保険料等の金額 |
12,000円超32,000円以下 | 支払保険料等×1/2+6,000円 |
32,000円超56,000円以下 | 支払保険料等×1/4+14,000円 |
56,000円超 | 一律28,000円 |
上記のように、学資保険は子どもの教育費を準備しながら税金も軽減できるのだ。
学資保険の払込期間の選択とのその影響について
学資保険を選ぶ際はいつ・どのタイミングで・どのくらい受け取るかなどのポイントで決める人は多いだろう。
「支払う保険料はいくらになるのか」を気にする人は多いが、払込期間の選択が保険料や返戻率に影響があることを知っているだろうか。
学資保険の払込期間は、満期金を受け取るまで支払い続ける他に、5年払いや10年払いといった短い期間で支払いを終わらせる方法と、一括で納める一時払いなどがある。
ここからは払込期間が短い場合と長い場合、そして一時払いを選択した場合のそれぞれのメリット・デメリットを解説していく。
学資保険の適切な保険料を判断する際の材料としてぜひ役立ててほしい。
払込期間が短い場合のメリット
各保険会社により異なるが、5年払い・10年払いと設定するものや、10歳まで・15歳まで、というように子どもの年齢で払込期間を短くする方法がある。
払込期間を短くするメリットは主に2つだ。
メリット1:返戻率が高くなり多くの満期金を受け取ることが可能
払込期間を短くするメリットは、長く支払うよりも返戻率が高くなることだ。
学資保険を選ぶうえで返戻率を重視する方は多いだろう。
払込期間を短くし早めに保険料を納めることで、保険会社は運用する期間が長くなる。
そのため、長く支払うよりも返戻率が高くなり、より多くの満期金が受け取れるというわけだ。
メリット2:教育費がかかる前に支払いが終了する
払込期間を短くすると、子どもの教育費の負担が大きくなる前に支払いを終わらせることができるのが2つ目のメリットだ。
教育費の負担が少ないうちに支払いを済ませることで、中学生や高校生になってから「保険料が家計を圧迫して生活が厳しい」という事態を防ぐことができる。
払込期間が短い場合のデメリット
つづいて払込期間を短くした場合のデメリットについて解説していく。ぜひ参考にしてほしい。
月々の保険料負担が大きくなる
通常18年、22年かけて支払う保険料を、短い期間で支払うことになるため毎月の保険料負担は大きくなる。
保険料総額でみると払込期間が短い方が少なくなるが、毎月の負担が大きいので今の収入や家計状況をよく確認して設定すべきだろう。
保険料払込免除が受けられる期間も短くなる
学資保険には契約者に万が一のことが起きた際に、それ以降の払込が不要になる保険料払込免除が付加されている。
例えば払込期間が18歳までで、子どもが10歳のときに契約者に万が一のことがあった場合、残りの約8年間は保険料を支払わずに祝い金や満期金が受け取ることができる。
しかし払込期間が10歳までの場合、このケースではすでにすべての保険料を納めているため、仮に子どもが10歳のときに契約者に万が一のことがあっても保険料払込免除の特約は対象外になるのだ。
払込期間が長い場合のメリット
払込期間を長くするメリットは、上記で紹介した「払込期間が短い場合のメリット・デメリット」の反対だ。
月々の保険料負担が軽くなる
払込期間を長くすると、毎月の保険料負担が軽くなる。
「家計にあまり余裕がない」「月々の負担を軽くしたい」という人におすすめだ。
保険料払込免除の特約を長く利用できる
上記で解説したように学資保険には保険料払込免除という特約がある。
契約者に万が一のことがあった場合、保険料の払込期間が長い方が保険料払込免除の恩恵をより多く受けられる可能性がある。
払込期間が長い場合のデメリット
つづいて払込期間を長くした場合のデメリットについて解説していく。
教育費がかかる時期に保険料を払う必要がある
中学生や高校生になると、定期代・部活代・塾の月謝などの出費が増える。
払込期間を長くすると、これらの出費に加えて保険料を支払わなければならない。
そのため家計を圧迫し、保険料の支払いが困難になる可能性が考えられる。
一時払いのメリット・デメリット
加入時に一括で保険料を納める一時払いのメリットを解説していく。
一時払いは、上記で解説したメリット・デメリットの特徴をさらに大きくするようなものだ。
返戻率は1番高いが払込免除の恩恵がない
一時払いは他のどの支払い方法よりも返戻率が高くなるのがメリットだ。
一括で支払うことで、保険料よりもより多くの満期金を受け取ることができる。
しかし、払込免除の恩恵を一切受けられず、一度に高額な資金が必要になるのがデメリットといえるだろう。
一時払いを検討するなら、払込免除の特約を外すことができる学資保険を検討しよう。
払込期間や学資保険の選び方
払込期間を短くする場合・長くする場合・一時払いのメリットとデメリットを理解したうえで学資保険を選ぶポイントについて解説していく。
ライフプランを考える(必要なタイミングはいつか・いくら必要か)、自分の性格に合った保険を選ぶ(リスク許容度など)、無理のない範囲で設定する(保険料、払込方法など)の3点について説明するので、これから学資保険の加入を考えている人はぜひ参考にしてほしい。
ライフプランを考える
学資保険に加入する際は、どのタイミングでいくら必要になるかを考えるべきだ。
子どもが大学まですべて私立に通う予定なら、小学校・中学校・高校などの進学に備えて祝い金を受け取るのも1つの手段である。
反対に高校まで公立の場合は、最も大きな費用がかかる大学入学時にまとめて満期金を受け取るタイプがおすすめだ。
子どもの希望もあるためライフプランどおりにいく保障はないが、将来設計をして受取時期や満期金額を決めるといいだろう。
返戻率を考慮する
学資保険に加入するなら「なるべく返戻率を高くしたい」と多くの方が考えるだろう。
返戻率は払込期間や払込方法によっても変わるため、返戻率を考慮して選ぶことをおすすめする。
無理のない範囲で設定する
学資保険は一時払いを除き、数年間、十数年間といった期間支払うことになる。
「理想の満期金額だけど保険料の支払いが困難になってしまった」「保険料が家計を圧迫して苦しい」と早期解約することになっては本末転倒だ。
満期金額や理想の受け取り時期を考えるとともに、保険料や払込方法、払込期間などは無理のない範囲で設定しよう。
学資保険は払込期間の選択によって支払う保険料や返戻金が異なる
子どもの将来のためにも、保険は欠かせない存在である。
学資保険は、払込期間の選択によって、支払う保険料や返戻金が異なる可能性がある。
それぞれメリットデメリットが存在するため、自分や家族のライフプランに照らし合わせて、適切な保険選びが求められる。
しかし、保険の世界は専門知識が必要となり、自身で判断するのは難しいものである。
少しでも不安を感じた際には、保険のプロに相談することをおすすめする。
また、誰に相談すべきかわからない場合は、「生命保険ナビ」を活用するとよい。
「生命保険ナビ」では、全国の保険のプロの中から、あなたが相談したいと思える保険のプロを探すことができる。
ぜひ活用して、あなたに合った保険を見つけてほしい。