- 医療保険の通院保障特約がどんなものか分からない
- 医療保険に通院保障特約を付加するメリットやデメリットが知りたい
- 通院保障特約のほかで通院費用を賄う方法が知りたい
医療保険には、病気やけがで入院・手術をしたときを保障する「主契約」に加えて、さらに保障内容を充実させるための「特約」がある。
その特約の一種である通院保障特約は、通院で治療を受けた際に保障が受けられるものだ。
入院期間が短くなり、通院で治療を受けるケースが多くなっている昨今の医療事情を鑑みると、一見魅力的に思える通院保障特約だが、ネット上には必要ないという意見も見られる。
果たして本当に必要のない特約なのか、判断できずに悩んでいる方もいるだろう。
そこで本記事では、通院保障特約の概要を整理し、特約を付加するメリットとデメリット、通院保障特約のほかで通院費用を賄う方法について解説していく。
医療保険加入時に通院保障特約を付加すべきか悩んでいるという方には、ぜひ参考にしてほしい。
医療保険における通院保障特約の概要
医療保険における通院保障特約の概要を掴むために、以下3点について解説していく。
- 医療保険の特約とは
- 通院保障特約とは
- 通院給付金が支払われる期間
医療保険の特約とは
医療保険の特約とは、入院時に受け取れる入院給付金や手術時に受け取れる手術給付金などから成る「主契約」に対し、保障をさらに充実させるために付加できるものをいう。
保険会社によって取り扱っている特約は異なるが、通院保障特約以外にも以下の特約がある。
名称(例) | 保障内容 |
---|---|
入院一時金特約 | ・入院をした場合に一時金が受け取れる ・一時金額は5〜20万円程度の間で選択できる商品が多い |
先進医療特約 | ・先進医療を受けた場合に、自己負担となった技術料が受け取れる ・給付金に加えてお見舞金が受け取れる商品も多い |
女性医療特約 | ・女性特有の病気で入院や手術を受けた場合に給付金が受け取れる |
三大疾病特約 | ・がん、心疾患、脳血管疾患で入院や手術をした場合などに給付金が受け取れる ・三大疾病での入院が無制限で保障される特約もある |
がん診断特約 | ・がんと診断された場合に一時金が受け取れる ・一時金の受け取りは1回だけの商品もあれば、再発に備えて複数回受け取れる商品もある |
特定損傷特約 | ・骨折や脱臼、腱の断裂をした場合に一時金が受け取れる ・入院をしなくても保障される |
上記はあくまでも一例であり、これら以外にもさまざまな特約が用意されている。
自身のニーズに合わせて特約を組み合わせることで、よりカスタマイズできる。
ただ、特約を付加する際に気をつけなければならないことが2点ある。
1つは、特約を付加すれば、その分保険料も上がっていく点だ。
特約にも保険料がかかるため、必要な特約を取捨選択することが大事になる。
もう1つは、主契約を解約すると特約も全て解約となってしまう点だ。
特約はあくまでも主契約に付加できるものであるため、単体では契約できない。この仕組みを知らずに解約しないように注意しよう。
通院保障特約とは
医療保険における通院保障特約とは、通院にて治療を受けた際に給付金が受け取れるものをいう。
「通院」と聞くと、熱がでて病院に行った場合でも保障されるように感じる。
しかし、通院保障特約で保障されるのは、一般的に「退院後の通院」だ。
そのため、入院を伴っていないと保障されない点には注意しなければならない。
加えて、たとえ退院後の通院であった場合でも、入院の原因となった病気やけがとは異なる病気・けがでの通院であった場合は保障の対象とはならない点も覚えておこう。
通院給付金を請求する際には、診断書等の提出を求められるケースがある。
診断書は保険会社指定のものが用意されている場合もあるため、あらかじめ請求方法を確認しておくことが大切だ。
入院が短期化し、通院によって治療を受けることが多くなってきている現代において、通院保障特約は大きな力を発揮するはずだ。
給付金をしっかり受け取るためにも、請求漏れがないようにしよう。
通院給付金が支払われる期間
通院給付金が支払われる期間は商品によってばらつきがあるが、主に以下の期間で設定されている。
通院給付金の支払対象となる期間 | 退院してから180日以内 (入院前60日から保障する商品もある) |
---|---|
1回の入院に対する通院給付金の支払日数 | 30日限度 |
保険期間中の通算の支払日数 | 1,095日限度 |
退院してから180日を超えて通院した場合や、1回の入院に対する通院給付金の支払日数が30日を超えた場合などは、保障されないため注意しよう。
また、保険期間中の通算に支払日数が1,095日に達した場合は、通院保障特約は消滅となる。
例えば、保険期間20年の通院保障特約に加入し、保険期間18年目で通院給付金の通算の支払日数が限度に達したとしよう。
そうなると、残りの保険期間2年は通院保障特約からの保障が受けられないのだ。
ただ、消滅したら通院保障特約分の保険料はマイナスされるため、その点は安心してほしい。
通院保障特約のメリット・デメリット
ここでは、通院保障特約のメリットおよびデメリットに加えて、必要性について解説していく。
通院保障特約のメリット
通院保障特約のメリットとしては、主契約だけでは保障されない通院に対する保障を準備できる点にある。
先述したとおり、医療保険の主契約は、入院給付金や手術給付金、放射線治療給付金などを保障するものであり、通院に特化した保障は準備できない。
ただ、通院保障特約を付加すれば、退院後の通院に対する治療費だけでなく、通院時の交通費なども賄うことが可能だ。
保障される期間は限られているが、通院による治療機会が増加していることを考えると、通院保障特約を付加することで安心して治療を受けられるだろう。
また、商品によっては外来手術(入院をせずに手術すること)を受けたときに通院保障特約から給付金が受け取れることもある。
通院に限らずとも保障が受けられる場合もあるため、保障内容はしっかりとチェックすることが大切だ。
通院保障特約のデメリット
通院保障特約のデメリットとしては、以下の2つがある。
- 入院しなければ保障の対象とならない
- 保障が受けられる期間が退院してから180日以内などに限られているため、長期にわたって通院する際は途中から保障がなくなってしまう
入院しなければ保障が受けられない点は、大きなデメリットといえる。
入院をしない通院の場合に対しても保障を準備したいのであれば、傷害保険への加入がおすすめだ。傷害保険については後ほど詳述する。
また、保障の期間が退院後180日以内などと限られているため、長引く通院治療に対しては不向きな場合がある。
特にがんの通院治療は長引くケースが多いことから、医療保険に付加できる通院保障特約ではなく、がん保険に付加できる通院保障特約で備えるのも一つの手だ。
通院保障特約の必要性
退院後、入院先と同じ病院に通院する人の割合は80%を超える※。
このような状況からみても、退院してからの通院に備えておく必要性は高いといえる。
ただ、通院保障特約に加入することによって、受け取れる給付金額が見合っているかも確認すべきである。
通院保障特約は数百円で付加できる商品が多いが、その分給付金額も通院1日あたり数千円となるなど、決して多くはない。
貯蓄やその他の保険に加入して通院費用を賄うといった方法もあるため、通院保障特約のメリット・デメリットや自身の資産状況も踏まえながら必要性を判断することがおすすめだ。
通院保障特約のほかに通院費用を賄う方法とは
通院保障特約のほかにも、通院費用を賄える保障がある。
それは以下の3つだ。
- 傷害保険
- 就業不能保険
- 医療保険の入院一時金
それぞれ特徴を見ていこう。
傷害保険
傷害保険とは、損害保険の一種だ。損害保険といっても、傷害保険は自動車保険などの「実損填補型※」とは異なり、通院1日につき2,000円といった形で保険金が受け取れる。
※実際に被害を受けた金額を補償するタイプ
保障が受けられる期間は、一般的に通院の原因(事故など)が発生した日から180日以内で、通算して30日が支払限度となっている商品が多い。
医療保険へ付加可能な通院保障特約は、入院しなければ保障されないが、傷害保険では入院の要件は設けられていない。
ただ、保障の対象は「傷害※」であるため、病気での通院は保障の対象外である点には注意が必要だ。
※「急激・偶然・外来」の3要件を満たした事故などでのケガをいう
就業不能保険
就業不能保険とは、病気やけがが原因で長期間働けなくなってしまったときに給付金が受け取れる保険だ。
収入減少に対する給与補填の意味合いが強いため、給付金額は月額単位で設定する。
給付金額は5万円〜50万円の間で設定できる商品が多いが、保険会社によっては保障の対象となる方(被保険者)の年収によって設定できる給付金額に制限を設けている場合もある。
あらかじめ保険会社の担当者などに確認しておこう。
就業不能保険は、60日以上継続して入院をした場合や180日以上働けない状態が継続している場合に、初めて給付金の支払対象となるものも少なくない。
そのため、働けない状態となってから実際に給付金が受け取れるまでは、タイムラグが生じてしまう点には注意する必要がある。
就業不能保険の中には、働けない状態が長期化しやすい精神疾患は保障の対象外としている商品がある。
保障の範囲は広いにこしたことはないが、保障の範囲が広がれば広がるほど保険料は高くなっていく点には気をつけてほしい。
また、日本において罹患者数が多い「がん」は、入院期間は短くてもその後の通院が長引くケースが多い。
そのため、仕事に復帰したとしても残業が制限され今まで通りの収入が得られない場合もあるだろう。
そのような現状を踏まえて、近年では入院が14日継続した時点で給付金が受け取れる「短期就業不能保険」も販売されており、支払要件を満たした時点で最大6ヶ月分まで一時金で受け取れる。
就業不能保険は、医療保険と同じく保険会社によって保障内容がさまざまである。
より自分のニーズにあった商品を選べるよう、複数社の商品を比較して選択することがおすすめだ。
医療保険の入院一時金
医療保険の入院一時金とは、先述したとおり入院したときに一時金が受け取れるものだ。
受け取った入院一時金を通院費用に充てるという使い方もできるだろう。
ただ、入院の際には治療費の他にも差額ベッド代や入院中の食事代など、さまざまな雑費が発生する。
通院費用も入院一時金で賄いたいと考えるのであれば、一時金額を高めに設定することも検討しよう。
まとめ
本記事では、通院保障特約の概要を整理し、特約を付加するメリットとデメリット、さらに通院保障特約以外で通院費用を賄う方法について解説した。
医療保険に付加可能な通院保障特約は、入院を伴う通院に対して保障を提供する特約であり、入院を伴わない通院は保障の対象外となる。
そのため、付加するメリットはさほど大きくはない。
ただ、退院してからも通院で治療を受ける方の割合が高いことを鑑みると、通院に対する保障は準備しておくべきだ。
そのため、通院保障特約だけでなく、傷害保険や就業不能保険、医療保険の入院一時金に加入するといった方法で通院費用を賄うことも検討しよう。
本記事の内容だけでは、通院保障特約に変わる保険を選ぶことに不安があるという人は、保険のプロへの相談も選択肢に入れてほしい。
一人一人の悩みに合わせたアドバイスをもらうことで、あなたに必要な保険を選択できるはずだ。
一方で、保険のプロは数多く存在するため、その中から自分にとって最適な担当者を見つけるのは難しい。
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