- 終身型医療保険の支払いについて詳しく知りたい
- 終身型医療保険の保険料の払込み期間によって、どのような違いがあるのか知りたい
- 自分に適切な保険料が知りたい
終身型医療保険とは、保障期間が終身まで続く医療保険のことである。
老後への備えとして加入を検討する方も多いが、年金が主な収入源になる老後生活において保険料の支払いに不安を覚える方も多いのではないだろうか。
万が一保険料が支払えなくなってしまい高齢期を迎えてから解約すると、それまでよりも不利な条件でしか加入できない可能性が高い。
そのため、どの医療保険に加入するのか、医療保険の種類については慎重に検討することをおすすめする。
そこでこの記事では、終身型医療保険の支払いについて、保険料支払期間の種類やそれぞれの特徴とメリット・デメリットを解説する。
この記事を参考にして、損をしない保険料の払い方と最適な保険の探し方についての理解を深めてほしい。
終身型医療保険の払込期間は終身払いか65歳払い済みの2種類
医療保険に限らず、各種生命保険の支払いは累計すると相当な額になる。
個人の買い物としては、住宅に次いで2番目に高額な買い物とも言われる生命保険だが、終身型の場合、保険料を生涯かけて支払い続けることに不安を抱く人もいるだろう。
特に、現時点で20代後半から30代くらいの世代にとって、定年が何歳になるかわからず、年金がいくらもらえるかもはっきりしない。
そのため、医療保険や生命保険の保険料を働いている間に支払ってしまいたいと考えるのは無理もないだろう。
以下で、終身型医療保険の特徴や払込期間に関する基本的な情報をまとめた。
年齢別・払込方法別の保険料シミュレーションもしているので、保険料の払込方法に悩む人はぜひ参考にしてほしい。
終身型医療保険の特徴
終身型医療保険の特徴は以下のとおりだ。
- 保険を解約しない限り、保障は一生涯継続する
- 毎月の保険料は、加入時の年齢や健康状態などに応じて一定額に定まる
- 保険料の支払い期間は、「終身払い」「払い済み(期間を選択できる)」から選べる
- 保険料払込免除特約を付けられることが多い
医療保険は年齢が上がるほど使用する確率が上がると考えるのが妥当で、潤沢な資産で医療費を負担できない限り、保障は一生涯続いているほうが安心できるだろう。
なお、2023年11月時点において、日本の医療保険制度はかなり充実しており、毎月の治療費が一定額を超えれば、高額療養費制度によって還付を受けられる。
一般的には9万円前後に医療費を抑えられるものの、今後少子高齢化がさらに進み、社会保障制度が抜本的に見直される可能性もあるだろう。
その結果、医療費の負担が増える可能性も十分想定され、民間の医療保険の必要性が高まってもおかしくない状況だ。
「医療保険は不要だ」などの主張をする人も一定数いるようだが、現行の社会保障制度が維持される確約はない。
そのため、リスクに備えて早めに終身型の医療保険に入るのは賢い選択と言えるだろう。
終身型医療保険で選べる主な払込期間
終身型医療保険の払込期間は、大きく分けて終身払いと払い済みの2つから選べる。
終身払いは名前のとおり、保険が有効である限り毎月保険料を払い続けるものだ。
払い済みには、「65歳払済」「60歳払済」といった「歳満了」タイプや、「10年」「20年」などの「年満了」もある。
払い済みを選ぶと、総支払い保険料を決めた期間で割ることで計算できる保険料を、毎月支払うことになる。
保障が充実しているものであれば支払うべき保険料の総額はもちろん上がり、保険に加入する年齢が遅いほど保険料は値上がりする。
保険料の払込方法をどちらにするかの判断は人によって異なり、一概に言えないのが結論ではあるが、それぞれにメリット・デメリットがあるのは事実だ。
次の章で、各払込方法におけるメリット・デメリット、その方法が向いている人の特徴をまとめているので、ぜひ参考にしてほしい。
終身型医療保険の終身払いと65歳払い済みの保険料支払いシミュレーション
終身払いと払い済みのどちらを選ぶか迷う最大の理由は、「どちらがお得か分からないから」だろう。
ここでは、払込期間と加入時の年齢別で、保険料がいくらになるかシミュレーションしている。
年齢は30歳と35歳の男性で、加入する医療保険の条件は以下のとおりだ。
- 入院の日額給付金:10,000円
- 手術を受けた際の給付金:200,000円
- 入院一時金:100,000円
- 先進医療特約あり
30歳男性の場合
払込期間 | 保険料 | 65歳時点払込総額 | 70歳時点払込総額 | 80歳時点払込総額 | 90歳時点払込総額 |
---|---|---|---|---|---|
終身払い | 3,911円 | 1,642,620円 | 1,877,280円 | 2,346,600円 | 2,815,920円 |
65歳払い済み | 6,052円 | 2,541,840円 | 2,541,840円 | 2,541,840円 | 2,541,840円 |
30歳男性の場合、払込期間によって毎月の保険料は2,000円ほど異なっている。
90歳まで生存した場合において、65歳払い済みを選択したほうが保険料は抑えられることがわかった。
具体的には、85歳時点で終身払いの場合は2,581,260円を支払うため、85歳を境に払込保険料の総額は終身が上回る結果となった。
35歳男性の場合
払込期間 | 保険料 | 65歳時点払込総額 | 70歳時点払込総額 | 80歳時点払込総額 | 90歳時点払込総額 |
---|---|---|---|---|---|
終身払い | 4,633円 | 1,667,880円 | 1,945,860円 | 2,501,820円 | 3,057,780円 |
65歳払い済み | 7,560円 | 2,721,600円 | 2,721,600円 | 2,721,600円 | 2,721,600円 |
35歳男性の場合、払込期間の違いで保険料は3,000円ほど異なり、終身払いの保険料は30歳男性に比べて約700円増加した一方、65歳払い済みの場合は1,500円近く保険料が値上がりした。
35歳で加入した場合、84歳時点で終身払いの保険料総額は2,724,204円になる。
そのため、84歳を境に保険料は終身払いが高くなる結果となった。
医療保険の加入年齢が上がるほど、65歳払い済みを選択した場合の支払い期間は短くなるため、月々の保険料が値上がりするのはやむを得ない。
しかし、保険料合計が逆転するのは35歳のほうが一年早い結果となり、「〇〇歳の場合は65歳払い済み」と言えるわけでもなさそうだ。
また、65歳払い済みを選択した場合、加入年齢が5つ違うと払込保険料の総額は179,760円異なることもわかった。
この点、保険への加入を早くするだけで保険料総額を約18万円節約できるのは覚えておいて損はないだろう。
終身医療保険の保険料は終身払いか65歳払い済みどちらが良いか
終身型医療保険の払込期間をどのようにすべきか、それぞれメリットとデメリットをまとめた。
終身払い・65歳払い済みのそれぞれが向いている人の特徴もまとめたので、自分がどちらに当てはまりそうか考えながら読み進めてみてほしい。
終身医療保険の保険料を終身払いで支払うメリット
終身医療保険を終身払いで支払うメリットは以下のとおりだ。
- 毎月の保険料を比較的安価に抑えられる
- 医療保険を見直しやすい
- 保険料払込免除特約によって保険料を支払わずに済む場合もある
先ほどの結果を見てもわかるように、払込期間を終身払いにすることで、65歳払い済みに比べて毎月の保険料は2,000〜3,000円ほど安価に抑えられる。
自身が65歳になるまでの間、どのようなライフイベントがあるかは人によってさまざまだが、結婚して子どもがいる現役世代においては、保険料は安く抑えられるに越したことはないだろう。
また、医療技術の進展はめざましく、新たな治療が医療保険の適用になったり、時代に合わせて新しい保険商品が販売されたりする。
終身払いであれば、契約した医療保険に固執する必要はなく、より最適な保険が見つかれば容易に乗り換え可能だ。
さらに、終身払いの場合に効果を発揮し得るのが「保険料払込免除特約」だ。
特定の事由に該当した場合、保障はそのままに、以後の保険料を支払わなくて済む特約であるが、状況次第では終身払いのほうが割安に医療保険をかけられることもある。
終身医療保険の保険料を終身払いで支払うデメリット
終身医療保険を終身払いで支払うデメリットをまとめた。
- 保険料を支払い続けなければならない
- 長生きするほど保険料の負担が重くなる
終身払いは名前のとおりだが、死亡または高度障害状態、保険料払込免除特約を付けた場合で該当したケースを除いて、保険料を支払い続ける必要がある。
保険料は上がらないため一定額を支払い続けることになるが、退職して年金生活がスタートすると、保険料の負担は相対的に高まる点は大きなデメリットになるだろう。
長生きするほど払込保険料の総額も増えるため、65歳払い済みに比べて割に合わない状態になるのも否めない。
人生の終わりがいつ来るかは誰にも分からないが、平均寿命を超えるほど長生きをする可能性が高いのであれば、終身払いは保険料負担の観点でデメリットが大きいだろう。
終身医療保険の保険料を終身払いで支払うのに向いている人
終身医療保険を終身払いで支払うのに向いている人の特徴は以下のとおりだ。
- 毎月の保険料をできる限り抑えたい人
- 定期的に医療保険を見直して保険を最適化させたい人
- 定年を迎えた後などにおいても保険料の支払いが苦でない人
- 健康状態などを加味して、終身払いのほうが得だと思う人
その時々に応じて、医療保険を最適なものにアップデートさせるフットワークの軽さを重視したい場合は、終身払いにしておいたほうがよいだろう。
また、ライフステージが変化しても保険料の支払いが負担にならないのであれば、あえて早期で払い済みにする必要性も高くないはずだ。
さらに、人によって判断は分かれるが、自身の健康状態や遺伝的な要因などから健康寿命がそれほど長くない見込みであれば、終身払いでもよいかもしれない。
いずれにせよ、終身払いの場合は保険料払込免除特約をつけておくのがおすすめだ。
場合によっては保険料を払わなくてよくなり、安価な保険料で医療保険を一生涯持つことができる。
終身医療保険の保険料を65歳払い済みで支払うメリット
終身医療保険を65歳払い済みで支払うメリットは以下のとおりだ。
- 長生きするほど終身払いより総支払額を抑えられる
- 年金や貯蓄などから保険料を支払わなくて済む
- 長期的なスパンで支払う保険料を見通せる
シミュレーション結果によると、30歳または35歳男性の場合、一般的な保障内容の医療保険に加入すると、84〜85歳を迎えると各払込期間における保険料総額が同じになる。
男性の平均寿命は約80歳とされているため、長生きすればするほど、65歳払い済みのほうが保険料の支払い総額に関して優位性が高まる。
また、65歳は一般的に企業を退職する年齢と同じで、年金を受給できる年齢でもある。
65歳を境に収入がガクッと下がるケースが大半で、その時期を境に保険料を支払う必要がなくなるのは大きなメリットだろう。
加えて、65歳払い済みにすることで保険料の支払い総額が明確になる。
生涯年収に対して何%を保険料の支払いに充てるかという、長期的かつマクロな視点で医療保険を捉えられるのもメリットと言えるだろう。
終身医療保険の保険料を65歳払い済みで支払うデメリット
終身医療保険を65歳払い済みで支払うデメリットをまとめた。
- 月々の保険料は終身払いに比べて割高で家計を圧迫しやすい
- 医療保険を見直しにくい
- 終身払いよりも保険料総額が上回る場合もある
65歳払い済みの場合、終身払いに比べて毎月の保険料は2,000〜3,000円ほど割高になる。
先ほどは30歳または35歳男性の場合であったが、年齢が上がると払込期間が短くなるため月々の負担はさらに厳しいものとなる。
子どもが高校生から大学生になる頃は特に教育費がかかり、割高な保険料が家計を想像以上に圧迫する可能性もあるだろう。
また、近年の医療体制にも変化が起きており、入院日数は短くなっている。
その分通院日数が長くなる傾向にあるのだが、昔の医療保険に加入していると、現在のニーズにはマッチしない可能性が高い。
保険金を思うように受け取れないようでは、保険に加入する意味も薄れてしまうだろう。
65歳払い済みにすると、医療保険の見直しがしづらくなる点は大きなネックだ。
保険料総額に関しては、終身払いと逆のパターンであり、自分が長生きしそうかどうかで、メリットになることもあればデメリットになる場合もあるだろう。
終身医療保険の保険料を65歳払い済みで支払うのに向いている人
終身医療保険を65歳払い済みで支払うのに向いている人は以下のとおりだ。
- 働いている期間中に保険料を払い終えたい人
- 保険料が多少高くなっても支払いが苦にならない人
- 加入する医療保険の見直しをしない予定の人
- 健康的な生活を送っており、長生きする自信がある人
保険料の支払い期間を決められ、家計の支出に関する将来設計がしやすくなる点に魅力を感じる場合は、65歳払い済みがおすすめだ。
期間中の保険料は高くなるものの、毎月の生活が苦しくならないのであれば、払い済みを選択してもデメリットに感じることはないだろう。
ほかにも、一度加入した保険を継続するつもりで、平均寿命を超えて長生きする自信があるなら、終身払いよりも65歳払い済みがおすすめである。
終身型医療保険の最適な払込期間を選ぶポイント
終身医療保険の払込期間に対する考え方について、ポイントをいくつか解説する。
本記事では終身払いまたは65歳払い済みのいずれかを紹介しているが、60歳払い済みを選択しても構わないし、20年払いでも問題ない。
以下の内容を踏まえて、自身に最適な払込期間を検討してみてほしい。
終身型医療保険の保険料がいくらになるか比較する
払込期間を検討する際に最初に行ってほしいのが、払込保険料の総額がいくらになるか計算することだ。
本記事のように2パターンで比較するのはもちろん、払込期間を60歳にした場合、10年・20年にした場合でも計算してみてほしい。
まずはじめに、何歳時点で、どの払込期間が保険料総額を抑えられるか比較してみよう。
当然であるが、月々の保険料の変化についても慎重に比較してほしい。
子どもの教育費がかかるタイミングはいつか
払込期間別で月々の保険料や、年齢別の保険料総額をリストアップしたうえで、子どもの教育費がかかるタイミングをもとに払込期間を検討してもよいだろう。
子どもが高校生や大学生になる前までに、10年ないし20年払込で保険料を支払うのがベストな場合もある。
65歳を迎えるタイミングと子どもの大学入学が重なる場合は、終身払いで保険料を抑えて支払い続けたほうがよいケースも想定されるだろう。
子どもが生まれた時点で、いつ、どのようなライフイベントがあるか明確になる。その時期を見据えて保険料の支払いを検討するのも一つの方法だ。
医療保険に加入する年齢
ライフイベントを検討する前提として、保険に加入する年齢も、払込期間を決める際の重要な指標になる。
50歳で医療保険を乗り換えた場合、65歳払い済みを選択すると15年間で保険料を支払う必要があり、必然的に月々の保険料は高くなる。
30歳で加入すれば、65歳払い済みの場合は35年かけて保険料を払うことになり、20年払い済みを選択すれば50歳で保険料の支払いは完了する。
年齢が若いほど取り得る選択肢は増えるのだが、割高な保険料の支払いは家計を圧迫しやすいだろう。逆に、年齢を重ねているほうが、保険料が割高になっても支払いが苦になりづらい。
加入する年齢によって払込が完了する年齢も当然異なるため、さまざまな指標からパターンわけして考えることが重要だ。
必ずしもどれか一つに絞る必要はない
保険料の払込期間に関して考え方を解説したが、そもそも、必ずしもどれか一つに絞る必要はないことも押さえておこう。
当初は終身払いを選択していても、途中で払い済みに変更することも可能だ。なかには、終身払いと65歳払い済みのメリット同士を組み合わせた「半額タイプ」といった支払い方法も選べる。
医療保険の加入には絶対的な正解があるわけではなく、その時々によってベターな選択肢が変わるものだ。
さまざまな加入方法があるなかで、「自身の状況を踏まえて適切にリスクに備える」という保険の根本的な考え方を見失わないことが最も重要である。
終身型医療保険を終身払いか65歳払い済みどちらにするか、ポイントを押さえて自分に合った方を選ぼう
医療保険の払込期間には、終身型と期間を決めて支払うものが存在する。
終身型医療保険はその名の通り保障が一生涯続くが、契約時に決めた払込期間まで保険料の支払いも続く。
例えば、老後の保険料支払いを免除することもできるが、そうすると今の保険料が高くなる傾向にある。
このように、今後の家庭の支出に関係することなので、重大な決断となるだろう。
そのため、ライフプランに合わせて最適な払込期間を選択する必要がある。
本記事では、終身型医療保険の払込期間について、終身払いと65歳払い済みを比較してご紹介した。
保険の加入時にぜひ参考にしてほしい。ただ、一人で決断することに少しでも不安を感じた場合は保険のプロに相談してほしい。
また、誰に相談すればよいかわからない方は、「生命保険ナビ」を活用しよう。
「生命保険ナビ」は、全国の保険のプロの中から、あなたが相談したいと思える人を見つけることができる。
ぜひ、「生命保険ナビ」を活用して、あなたに最適な保険料の支払い方を見つけてほしい。