50代におすすめの医療保険とは?必要な保障内容と加入時の注意点を解説

この記事の要点
  1. 50代の医療保険は「公的保障の穴を埋める」視点で選ぶのが基本だ。
  2. 入院時の自己負担費用は平均18.7万円で、差額ベッド代など公的保障の対象外費用が発生する。
  3. 以下で3タイプ診断、公的保障の穴、比較軸、見直し手順を整理する。

50代に入り、医療保険の見直しや新規加入を考え始めた人は多い。

「どの商品がおすすめなのか」と検索しても、ランキングや商品名ばかりが並び、結局どう選べばいいかわからない——そんな状態ではないだろうか。

医療保険選びのコツは、商品名を先に見ることではなく、自分に必要な保障を先に把握すること。公的保障でカバーできる範囲と、そこから漏れる「穴」を知れば、比較すべき軸が見えてくる。

※本記事の数値情報は、厚生労働省資料は令和5〜6年時点、生命保険文化センター調査は2025年度時点のものだ。制度や統計は変更される可能性があるため、最新情報は各公式サイトで確認されたい。なお、本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の加入判断や契約内容については、保険会社やファイナンシャルプランナー等の専門家に相談することをおすすめする。

目次

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50代の医療保険おすすめは結論、3タイプ

50代の医療保険選びは、「商品名」ではなく「自分に合う型」から入ると迷いが減る。

医療保険のおすすめを探すとき、多くの人はランキングや人気商品から見始める。だが、それでは「なぜその商品が自分に合うのか」が曖昧なまま契約してしまいがちだ。

50代という年齢は、健康リスクが徐々に高まり、同時に老後の家計設計も視野に入ってくる時期。だからこそ、まずは自分がどのタイプに該当するかを把握し、そのうえで具体的な商品を比較するほうが効率的だ。

厚生労働省の患者調査によれば、令和5年10月時点の推計患者数は、50〜54歳で入院42.5千人・外来424.1千人、55〜59歳で入院50.8千人・外来428.1千人、60〜64歳では入院62.9千人・外来474.4千人となっている。

年齢が上がるにつれて受療の機会が増える傾向は明らかだ。この現実を踏まえれば、自分の備えを点検しておくのは自然な流れだ。

50代の医療保険は3問診断

まずは3つの質問に答えてみてほしい。これだけで、自分がどのタイプに近いかの目安がつく。

質問は「貯蓄」「健康状態」「収入減への耐性」の3軸だ。

  • 質問1:急な入院で50万円程度の出費があっても、生活に大きな支障はないか?
  • 質問2:現在、持病や通院歴がなく、健康診断でも大きな指摘を受けていないか?
  • 質問3:入院で収入が減っても、半年程度は家計を維持できる見込みがあるか?

3問すべてに「はい」と答えられるなら、医療保険は最低限の備えで足りる可能性が高い(タイプA)。1〜2問が「いいえ」なら標準的な保障を検討するタイプB。3問とも「いいえ」に近いなら、手厚い保障を優先して考えるタイプCに分類できる。

もちろん、これは目安にすぎない。中間的な回答になる人も多いだろう。その場合は「迷ったらタイプB寄りで考える」くらいの感覚でいい。診断結果を断定する必要はなく、あくまで検討の出発点として使ってほしい。

医療保険おすすめ50代の3タイプ

A・B・Cの3タイプは、「家計の余力」「健康への不安度」「家族への負担」の組み合わせで決まる。

タイプA(最低限型)は、貯蓄で医療費をカバーできる余力があり、健康状態も良好な人向けだ。入院一時金や先進医療特約など、公的保障で賄えない部分だけを補う設計が中心になる。保険料を抑えつつ、万一の大きな出費に備えるイメージだ。

タイプB(標準型)は、貯蓄はあるが入院が長引くと不安、あるいは収入減のダメージが気になる人向け。入院日額と一時金を組み合わせ、通院保障も視野に入れる。多くの50代がこのゾーンに該当すると考えられる。

タイプC(手厚め型)は、持病があったり、貯蓄が心もとなかったり、入院で家族に負担をかけたくない人向け。日額・一時金・通院・先進医療をフルで検討し、場合によっては引受基準緩和型も選択肢に入る。

生命保険文化センターの調査では、直近入院時の自己負担費用の平均は18.7万円と報告されている。この「穴」をどこまで自力で埋められるかが、タイプ選びの分かれ目になる。

50代の医療保険で優先順位

保障を考える順番は、「公的保障で足りない部分」→「発生頻度が高いリスク」→「発生時の金額が大きいリスク」の順で整理するとわかりやすい。

50代は入院・外来ともに受療の機会が増える年代だ。先ほどの患者調査のデータが示すとおり、年齢とともに医療機関にかかる頻度は上がっていく。

だからといって、すべてのリスクに備える必要はない。公的保障でカバーされる部分は公的保障に任せ、そこから漏れる費用だけを民間保険で補うのが効率的だ。

では、公的保障の「穴」とは具体的に何なのか。

50代は公的医療保険の穴を把握

日本の公的医療保険は手厚いが、すべての費用をカバーするわけではない。

高額療養費制度があるから大丈夫——そう思っている人は多い。たしかに、医療費の自己負担には上限が設けられており、一定額を超えた分は払い戻される仕組みがある。

だが、この制度の対象は「保険適用の医療費」に限られる。差額ベッド代や食事代、先進医療の技術料などは対象外だ。この「対象外」こそが、民間の医療保険で備えるべきポイントになる。

公的医療保険で守れる範囲

公的医療保険の最大の強みは、自己負担に上限があることだ。これを可能にしているのが高額療養費制度である。

高額療養費制度は、暦月(1日から末日まで)の医療費自己負担が限度額を超えた場合、超過分が払い戻される仕組みだ。限度額は所得区分によって異なる。

70歳未満の場合、年収約370〜約770万円の区分では「80,100円+(医療費-267,000円)×1%」が限度額となる。年収約370万円以下なら57,600円、住民税非課税なら35,400円が上限だ。

つまり、保険適用の医療費であれば、どれだけ高額になっても自己負担は一定の範囲に収まる。これは非常に心強い制度だ。

ただし、ここで注意すべきは「保険適用の医療費」という条件。保険外の費用は、この限度額の計算に含まれない。

50代で出やすい自己負担費用

生命保険文化センターの調査によれば、直近入院時の自己負担費用の平均は18.7万円だ。自己負担費用の分布で最多は「10〜20万円未満」で32.4%を占める。

この自己負担費用には、保険適用分の窓口負担だけでなく、差額ベッド代などの保険外費用も含まれている。つまり、高額療養費制度を使っても、実際にはこれだけの出費が発生しうるということだ。

差額ベッド代については、厚生労働省の報告によると、1人室の1日あたり平均徴収額は8,437円、全体平均でも6,714円となっている。差額ベッド病床は総病床数の約20%を占めており、入院時に利用する可能性は決して低くない。

仮に10日間の入院で1人室を利用すれば、差額ベッド代だけで8万円を超える計算になる。これは高額療養費の対象外だ。こうした「穴」があるかどうかが、医療保険を検討するかの判断材料になる。

高額療養費制度の使いどころ

高額療養費制度は多くの人が利用している。生命保険文化センターの調査では、直近の入院で高額療養費制度を「利用した」人は67.6%にのぼる。内訳は「現物給付」が49.6%、「現金給付」が17.9%だ。

「現物給付」とは、あらかじめ「限度額適用認定証」を取得し、窓口での支払いを限度額までに抑える方法。「現金給付」は、いったん全額を支払い、後から超過分の払い戻しを受ける方法だ。

項目現物給付現金給付
窓口支払限度額まで全額(3割負担分)
必要手続事前に認定証を申請退院後に申請
払い戻しまでの期間なし診療月から概ね3〜4か月後
立替の必要なしあり

現金給付を選んだ場合、払い戻しまでに時間がかかる。練馬区の案内によれば、高額療養費の払い戻し通知は診療月の概ね3〜4か月後に届き、申請書提出から振込まではさらに1か月半〜2か月ほどかかるとされている。

つまり、立替資金が必要になる場面がある。入院費用を一時的に自己負担し、数か月後に戻ってくる——この流れを頭に入れておこう。

公的保障の仕組みがわかったところで、次は医療保険の「期間」をどう選ぶかだ。

医療保険は50代で終身か定期か

医療保険を比較する最初の分岐点は、「終身」か「定期」かの選択だ。

この選択によって、保険料の支払い方や老後の保障の有無が大きく変わる。どちらが正解というわけではない。自分のライフプランに合った方を選べばいい。

終身医療保険は50代向き

終身医療保険は、契約した時点の保険料が一生変わらず、保障も一生続くタイプだ。50代で加入すれば、その時点の年齢で保険料が決まり、70代・80代になっても同じ保障が維持される。

メリットは明確で、老後も保障が続く安心感がある。退職後は収入が減るケースが多いため、「保険料が上がらない」という点は家計管理の面でも心強い。

一方、50代で加入すると、若いころより保険料は高くなる。払込期間を短くすれば月々の負担が増え、終身払いにすれば月額は抑えられるが、長生きするほど総支払額はかさむ。

この「保険料固定」と「保障継続」のバランスをどう取るか。ここが判断の分かれ目になる。

定期医療保険は更新を確認

定期医療保険は、一定期間(10年など)ごとに契約を更新するタイプだ。若いころは保険料が安く、必要な期間だけ保障を持てる柔軟さがある。

ただし、更新のたびに保険料が上がるのが一般的だ。50代で更新を迎えると、保険料が大幅に上昇することも珍しくない。さらに、更新には上限年齢が設定されていることが多く、70歳や80歳で更新できなくなる商品もある。

定期を選ぶ場合は、以下の点を契約概要や注意喚起情報で必ず確認しておきたい。

  • 更新時の保険料がどの程度上がるか
  • 更新の上限年齢は何歳か
  • 更新時に保障内容が変わる可能性はあるか

「今は安い」だけで選ぶと、老後に保障がなくなるリスクがある。長期的な視点を忘れずに。

掛け捨て・貯蓄型の違い

医療保険には、掛け捨て型貯蓄型(解約返戻金があるタイプ)がある。この違いも理解しておきたい。

掛け捨て型は、支払った保険料が戻ってこない代わりに、保険料が比較的安い。純粋に「保障を買う」イメージだ。

貯蓄型はどうか。解約時に返戻金が受け取れるが、その分だけ保険料は高くなる。

貯蓄型を選ぶ際の注意点は、途中解約すると元本割れする可能性があることだ。また、資金が保険に拘束されるため、急な出費に対応しにくくなる面もある。「保障」と「貯蓄」は別々に考えたほうがシンプルという考え方もある。

項目終身型定期型貯蓄型
保険期間一生涯一定期間(更新あり)一生涯または満期まで
保険料の変動固定更新ごとに上昇固定(高め)
解約返戻金なし〜少額なしあり
向く人老後も保障を維持したい一定期間だけ備えたい貯蓄も兼ねたい

どの型を選ぶにせよ、問いかけるべきは「自分の目的に合っているか」だ。型が決まったら、次は具体的な保障内容を見ていこう。

50代の医療保険で見るべき保障8項目

医療保険を比較する際、迷いの原因になるのは「項目と条件が揃っていない」ことだ。

A社とB社の保険料を単純に比べても、保障内容や給付条件が違えば意味がない。まずは比較すべき項目を揃え、同じ土俵に乗せることが先決だ。

保障8項目のチェックリスト

医療保険を比較する際、最低限チェックしておきたい項目は以下の8つだ。契約概要を見るときの参考にしてほしい。

  1. 入院日額:1日あたりいくら給付されるか
  2. 日帰り入院の対象:日帰り入院でも給付されるか
  3. 入院限度日数:1入院あたり何日まで給付されるか
  4. 入院一時金:入院時にまとまった金額が給付されるか
  5. 手術給付金:手術時にいくら給付されるか、倍率はどうか
  6. 通院給付金:通院時に給付されるか、条件は何か
  7. 先進医療特約:先進医療の技術料がカバーされるか、上限はいくらか
  8. 特定疾病保障:がん・心疾患・脳血管疾患などへの上乗せ保障はあるか

これらの項目を同じ条件で並べて初めて、「どちらが自分に合っているか」の比較ができる。

入院日額より一時金が効く

入院日額をいくらに設定するかは、多くの人が悩むポイントだ。ここで参考になるのが、入院日数と1日あたりの自己負担費用のデータだ。

厚生労働省の病院報告によれば、一般病床の平均在院日数は15.5日。入院は以前より短期化している。一方、生命保険文化センターの調査では、入院の自己負担費用は1日あたり平均24,300円と報告されている。

短期入院が増えているなら、「日額×日数」で計算する従来型の設計だと、思ったより給付額が少なくなる可能性がある。

そこで注目されるのが入院一時金だ。入院したら日数に関係なく、まとまった金額が給付される仕組みで、初期費用(差額ベッド代や雑費など)をカバーしやすい。

生命保険文化センターの調査では、疾病入院給付金日額の平均(全生保)は8,500円、必要と考える額の平均は10,100円となっている。また、疾病入院給付金一時金額の平均は19.4万円だ。

タイプ選好では日額タイプが69.3%、一時金タイプが18.6%となっているが、これはあくまで現状の加入傾向であり、「正解」を示すものではない。

日額と一時金をどう組み合わせるかは、自分の貯蓄状況や不安度に応じて決めればよい。

通院保障は条件で差が出る

通院保障は、入院後の通院治療をカバーする特約だ。がん治療などでは通院が長期化することもあり、あると安心という声は多い。

ただし、通院保障は商品によって条件が大きく異なる。

  • 「退院後の通院のみ対象」という商品がある
  • 「特定の治療(放射線治療など)に限る」という条件がある場合も
  • 通院日数に上限が設けられていることが多い
  • 入院を伴わない通院は対象外のケースがほとんど

「通院保障あり」と書いてあっても、中身を見ると対象範囲が狭いことがある。契約概要の「通院給付金の支払事由」は必ずチェックしておこう。

先進医療・特定疾病の注意

先進医療特約は、公的保険の対象外となる先進医療の技術料をカバーする特約だ。生命保険文化センターの調査では、先進医療保険・特約の加入率は28.4%と報告されている。

先進医療は費用規模が大きいものがある。厚生労働省の報告によれば、令和5年7月〜令和6年6月の実績で、陽子線治療の先進医療総額は約22億1,581万円(827件)、重粒子線治療は約13億9,004万円(442件)となっている。1件あたりの金額は単純計算で数百万円規模だ。

先進医療特約は月額100円前後で付けられる商品も多く、「万一の大きな出費に備える」という目的では検討に値する。

ただし、先進医療の対象となる治療は限定されており、すべての最新治療がカバーされるわけではない。特約の上限額や対象範囲は商品ごとに異なるため、契約前に確認が必要だ。

特定疾病保障(がん・心疾患・脳血管疾患などへの上乗せ)についても、対象となる疾病の定義や支払回数の条件が商品によって違う。「三大疾病」と書いてあっても、細かい定義が異なることがあるため、注意喚起情報を読み込んでおきたい。

保障項目が整理できたら、次は保険料の話だ。

医療保険の保険料は50代でどう抑える

保険料は「月額」だけでなく「総支払額」で比較すると判断しやすい。

50代で医療保険に加入する場合、保険料は若いころより高くなる。だからこそ、保障を削りすぎずに負担を抑える工夫がいる。

50代の保険料は払込期間が鍵

保険料の総額は「月額×払込月数」で決まる。同じ保障内容でも、払込期間の設定によって月額と総額のバランスが変わってくる。

払込期間には主に3つのパターンがある。

  • 終身払い:一生涯払い続ける。月額は安いが、長生きするほど総額は増える
  • 払込満了(60歳払済、65歳払済など):一定年齢で払込が終わる。月額は高いが、老後の負担がなくなる
  • 短期払い(10年払済など):短期間で払い終える。月額は最も高いが、総額を抑えられる可能性がある

50代で加入する場合、退職後の収入減を見据えて「65歳払済」などを選ぶ人も多い。一方、「月々の負担を抑えたい」という理由で終身払いを選ぶ考え方もある。正解はないが、将来の家計イメージを持って決めたい。

保障を残して保険料を下げる

保険料を下げたいとき、真っ先に削りがちなのは特約だ。だが、何でも削ればいいわけではない。削る順番を間違えると、給付請求のときに「これは対象外でした」となりかねない。

削る優先順位の考え方は、「公的保障でカバーされる部分」から検討するのが基本だ。

たとえば、入院日額を高く設定しすぎている場合は、日額を下げて一時金を残す選択肢がある。通院保障も、条件が厳しくて実際には使いにくい商品なら、思い切って外すことも選択肢になる。

逆に、先進医療特約は月額が安い割にカバー範囲が広いため、削る優先度は低いといえる。「頻度は低いが発生時の金額が大きいリスク」への備えは、保険の本来の役割だからだ。

保険料だけで決めないポイント

保険料が安い商品には理由がある。給付条件が厳しかったり、対象範囲が狭かったりするケースが多い。

たとえば、日帰り入院の扱いは商品によって異なる。「日帰り入院も対象」と謳っていても、実際には「入院基本料の算定がある場合に限る」などの条件が付いていることがある。手術給付金も、対象となる手術の種類や倍率が商品ごとに違う。

保険料の比較は、同じ条件で揃えてこそ意味がある。契約概要と注意喚起情報を読み、「何が対象で、何が対象外か」を把握したうえで判断したい。

さて、ここまでは健康な人を前提に話を進めてきた。では、持病がある場合はどうすればいいのか。

持病がある50代は医療保険の選択肢

持病がある場合でも、医療保険に加入できる選択肢は複数ある。

「持病があるから入れない」と最初から諦める必要はない。ただし、検討する順番を間違えると、必要以上に高い保険料を払うことになりかねない。

告知は50代の医療保険で最重要

医療保険に加入する際は、健康状態についての告知が求められる。告知書には、過去の通院歴、服薬状況、検査結果などを記入する。

50代になると、何かしらの通院歴や服薬歴がある人は珍しくない。告知で重要なのは、「正確に」「漏れなく」記入することだ。

告知義務違反があると、いざ給付を請求したときに支払いを拒否されたり、契約が解除されたりするリスクがある。

告知に備えて、以下の情報を整理しておくとスムーズだ。

  • 過去5年以内の通院歴(病名、時期、治療内容)
  • 現在服用している薬(薬品名、処方理由)
  • 直近の健康診断の結果(要再検査の有無など)

告知書の期間(「過去5年以内」「過去3か月以内」など)は商品によって異なる。契約前に告知書の内容を確認し、不明点は保険会社に問い合わせるのが確実だ。

引受基準緩和型を選ぶ目安

通常の医療保険で告知が通らない場合、次の選択肢として「引受基準緩和型」がある。告知項目が少なく、持病があっても加入しやすい商品だ。

ただし、緩和型には注意点がある。

  • 保険料は通常型より高めに設定されている
  • 契約から一定期間(1年など)は給付金が削減されることがある
  • 持病に関連する入院・手術は対象外となる場合がある

緩和型は「通常型が難しい場合の次善策」と位置づけるのが妥当だ。まずは通常型で告知してみて、条件付き承諾や謝絶になった場合に緩和型を検討する、という順番が合理的だ。

無選択型は条件を要確認

さらに告知が難しい場合、「無選択型」という選択肢もある。告知なしで加入できる商品だが、制限が多い。

  • 保険料は最も高くなる傾向がある
  • 契約から一定期間(90日〜2年など)は給付対象外となることがある(待機期間)
  • 保障の上限が低く設定されていることが多い

無選択型は最後の手段として検討するものであり、条件をよく確認してから判断したい。

持病の有無にかかわらず、すでに医療保険に加入している人は「見直し」という選択肢もある。その手順を次に見ていく。

医療保険は50代で見直しの手順

医療保険の見直しは、「現状把握」→「不足・重複の確認」→「新旧比較」の順で進めると迷わない。

生命保険文化センターの調査によれば、疾病入院給付金が支払われる生命保険の加入率は65.6%。すでに何らかの医療保障に入っている人は多い。問題は、その保障が「今の自分に合っているか」だ。

見直しは3ステップで進める

見直しの手順は以下の3ステップで整理できる。

ステップ1:現状把握
保険証券と契約概要を手元に用意し、現在の保障内容と保険料を確認する。入院日額、一時金の有無、特約の内容、払込期間、更新時期などを書き出しておく。

ステップ2:不足・重複の確認
現在の保障と、自分が必要とする保障を比較する。不足している保障はないか、逆に重複している保障はないかを洗い出す。

ステップ3:新旧比較
新しい商品と現在の契約を同じ条件で比較する。保障内容だけでなく、総支払額、告知の可否、切り替えのタイミングも考慮する。

なお、高額療養費の払い戻しには時間がかかることを忘れないでおきたい。診療月から概ね3〜4か月後に案内が届き、そこから申請・振込となる。見直しの際は、立替資金の余裕も同時に点検しておくと安心だ。

医療保険の重複チェック

医療保障は、主契約の医療保険だけでなく、生命保険の医療特約、共済、会社の団体保険などに分散していることがある。これらを整理しないまま新しい保険に入ると、保障が重複して無駄な保険料を払うことになりかねない。

以下の観点で棚卸しをしてみよう。

  • 生命保険の主契約に医療特約が付いていないか
  • 県民共済やこくみん共済などに加入していないか
  • 勤務先の団体保険に医療保障が含まれていないか
  • 配偶者の保険に家族特約として含まれていないか

重複があれば、どれを残してどれを整理するかを検討する。ただし、「重複しているから全部やめる」のではなく、保障目的ごとに必要性を見極めたい。

切り替え前の解約は避ける

見直しで最も注意すべきは、新しい保険の契約が成立する前に、古い保険を解約してしまうことだ。

新しい保険に申し込んでも、告知の結果によっては契約が成立しないことがある。もし先に古い保険を解約してしまうと、「どちらの保険もない」という無保険状態になりかねない。

正しい順番は以下のとおりだ。

  1. 新しい保険に申し込む
  2. 契約が成立し、保障が開始されたことを確認する
  3. 古い保険を解約する(または整理する)

二重払いの期間が発生することもあるが、それは安全に切り替えるためのコストと考えたほうがいい。

手順がわかったところで、いよいよ商品比較に入る。

50代の医療保険おすすめ商品の見方

商品比較は、「同じ条件で横並びにする」ことがスタートラインだ。

ランキングや人気商品を参考にするのは悪いことではない。ただし、それだけで決めてしまうと、自分に合わない商品を選んでしまうリスクがある。比較軸を揃えて、自分の目で判断することが欠かせない。

比較表で医療保険を横並び

比較表を作る際は、以下の列を設定すると同条件で比較しやすい。

項目A社B社C社
入院日額
入院一時金
手術給付金(倍率)
通院給付金(条件)
先進医療特約(上限)
1入院の支払限度日数
払込期間
月払保険料

通院給付金の「条件」は特に注意が必要だ。「退院後のみ」「入院を伴う場合のみ」など、商品によって異なる。セルに書ききれない条件は、脚注として別途まとめておくとよい。

人気ランキングは指標を理解

保険の比較サイトでは「人気ランキング」が掲載されていることが多い。これは参考にはなるが、「人気=自分に最適」ではない点に注意が必要だ。

ランキングの指標は、資料請求件数や申込件数など、サイトによって異なる。「多くの人が選んでいる」ことは、その商品が広く認知されていることを示すが、自分のニーズに合っているかどうかは別の話だ。

ランキングは「候補を絞る入口」として使い、最終判断は比較表と契約概要で行う——この流れを意識しておきたい。

比較候補に入る商品例

参考までに、50代向けの医療保険として比較候補に挙がりやすい保険会社を例示する。

  • ライフネット生命
  • チューリッヒ生命
  • SOMPOひまわり生命
  • SBI生命
  • メディケア生命

※上記は例示であり、特定の商品を推奨するものではない。各社の商品内容は変更される可能性があるため、最新情報は各社の公式サイトや契約概要で確認されたい。

商品の候補が絞れたら、契約前に「後悔しないための注意点」を押さえておこう。

50代の医療保険で後悔しない注意点

後悔のほとんどは、「出ると思っていたのに出なかった」から生まれる。

給付を受けられないケースの多くは、契約前の確認不足が原因だ。約款や注意喚起情報の「読むべきポイント」を整理しておく。

免責・不担保・待機期間

医療保険には、給付されない期間や条件が設定されていることがある。代表的なものを整理しておく。

  • 免責期間:契約から一定期間は給付対象外となる期間。がん保険では90日間の免責が設定されていることが多い
  • 不担保:特定の部位や疾病を給付対象外とする条件。持病がある場合、その部位に関する入院・手術は対象外となることがある
  • 待機期間:無選択型などで、契約から給付対象となるまでの期間

これらは契約概要や注意喚起情報に記載されている。「給付金の支払事由」「支払われない場合」の項目は必ず目を通すこと。

給付対象外になりやすい例

「医療保険に入っているのに給付されなかった」というケースで多いのは、以下のようなパターンだ。

  • 日帰り入院だと思っていたが、商品の定義では「入院」に該当しなかった
  • 通院保障があると思っていたが、「退院後の通院」に限定されていた
  • 差額ベッド代がかかったが、そもそも医療保険の給付対象外だった
  • 先進医療を受けたが、その治療が特約の対象外だった

差額ベッド代については、先述のとおり1人室の平均が1日8,437円と報告されている。これは高額療養費の対象外であり、医療保険の入院給付金でカバーする必要がある費用だ。

50代の医療保険で後悔3パターン

50代の医療保険で多い後悔のパターンを3つ挙げる。

パターン1:更新で保険料が急増した
定期型に加入していたが、更新時に保険料が大幅に上がり、継続を断念。結果として保障がなくなった。→ 更新時の保険料と上限年齢を事前に確認しておくことで回避できる。

パターン2:保障が重複していた
複数の医療保障に加入していたが、内容が重複しており、無駄な保険料を払っていた。→ 棚卸しで重複を確認し、整理することで回避できる。

パターン3:給付条件を満たさなかった
入院したが、日帰り入院の条件に該当せず給付されなかった。→ 契約概要で「支払事由」を事前に確認しておくことで回避できる。

いずれも、契約前の確認で防げるものだ。面倒でも、注意喚起情報には目を通しておきたい。

50代の医療保険に関するよくある質問(FAQ)

50代で医療保険は不要ですか?

「不要」か「必要」かは、公的保障と貯蓄で医療費をカバーできるかどうかで決まる。高額療養費制度により、保険適用の医療費には上限がある。ただし、差額ベッド代や先進医療の技術料など、公的保障の対象外となる費用は自己負担となる。

生命保険文化センターの調査では、直近入院時の自己負担費用の平均は18.7万円と報告されている。この金額を貯蓄で問題なくカバーできるなら、医療保険の優先度は下がる。一方、収入減や長期入院のリスクが気になるなら、備えを検討する価値はある。一律に「不要」「必要」とはいえない問題だ。

50代の入院日額はいくら目安?

「目安」は統計値を参考にしつつ、自分の不足額から逆算するのが基本だ。生命保険文化センターの調査では、疾病入院給付金日額の平均(全生保)は8,500円、必要と考える額の平均は10,100円となっている。

一方、入院の自己負担費用は1日あたり平均24,300円というデータもある。これは差額ベッド代などを含んだ数字だ。日額だけでなく一時金との組み合わせも考慮し、「自分の貯蓄で足りない部分」を補う設計が合理的だ。平均値はあくまで参考であり、「この日額が正解」というものではない。

医療保険とがん保険は両方必要?

医療保険とがん保険は役割が異なる。医療保険は病気やケガ全般をカバーする広い保障、がん保険はがんに特化した深い保障となる。

がんは治療が長期化しやすく、通院での抗がん剤治療や放射線治療が続くケースもある。医療保険の通院保障だけではカバーしきれない場合があり、がん保険で補うという考え方はある。

「がんだけは手厚く備えたい」ならがん保険を追加してもいいし、「広く浅く備えたい」なら医療保険だけで済ませる手もある。

先進医療特約は付けるべき?

先進医療特約は、「自己負担許容額」と「特約の上限・対象範囲」で判断するのが基本。先進医療は公的保険の対象外であり、全額自己負担となる。陽子線治療や重粒子線治療など、1件あたり数百万円規模の費用がかかるケースもある。

生命保険文化センターの調査では、先進医療保険・特約の加入率は28.4%だ。特約自体の保険料は月額100円前後と安いことが多く、「万一の大きな出費に備える」目的では検討に値する。ただし、先進医療の対象となる治療は限定されているため、「すべての最新治療がカバーされる」と誤解しないようにしたい。

持病がある50代でも入れますか?

持病があっても、医療保険に加入できる可能性はある。検討する順番は、まず通常型で告知→条件付き承諾または謝絶→引受基準緩和型→無選択型、の流れが基本だ。

緩和型や無選択型は保険料が高くなる傾向があり、給付条件にも制限がある。まずは通常型で告知してみて、結果を見てから次の選択肢を考えるのが合理的だ。不安な場合は、保険会社の相談窓口やファイナンシャルプランナーに聞いてみるのもいい。

医療保険の見直しはいつが良い?

見直しのタイミングとして考えやすいのは、以下のようなイベント時だ。

  • 定期保険の更新時期が近づいたとき
  • 退職前後で収入や働き方が変わるとき
  • 家族構成が変わったとき(子どもの独立など)
  • 健康状態に変化があったとき

「何も変化がないから見直さない」のではなく、定期的に保障内容と保険料を確認しておくと、必要なときにスムーズに動ける。

まとめ

50代の医療保険選びは、「自分に必要な保障を把握する」ことから始まる。公的保障でカバーされる範囲と、そこから漏れる「穴」を理解すれば、比較すべき軸が明確になる。

やることは5つ。

  1. 3問診断でタイプ(A・B・C)の目安をつける
  2. 高額療養費制度の限度額と、対象外費用(差額ベッド代など)を確認する
  3. 終身か定期か、払込期間をどうするかを決める
  4. 8項目のチェックリストで複数商品を同条件比較する
  5. 契約前に免責・不担保・待機期間を確認する

医療保険は「入れば安心」ではない。「自分の穴を埋める設計になっているか」——そこを見極めたい。

判断に迷う場合は、保険会社の相談窓口やファイナンシャルプランナーに相談してみるのも選択肢になる。焦らず、納得のいく形で備えを整えてほしい。

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執筆者

生命保険ナビ編集部は、「保障を無駄なく、安心を最大化する保険選び」を目的として、保険相談のおすすめ先保険相談のキャンペーンを紹介。読者がライフステージに応じて最適な保険設計ができるよう、公平かつ分かりやすい情報発信を心がけている。運営元のアドバイザーナビ株式会社は、IFAや保険代理店のアドバイザーと生活者をつなぐマッチングサービス「生命保険ナビ」を展開中。