60代におすすめの医療保険とは?必要な保障内容と加入時の注意点を解説

この記事の要点
  1. 60代の医療保険は、商品名のランキングではなく「公的保障・貯蓄・既契約の不足分」から候補を絞るのが近道である。
  2. 高額療養費制度では、2026年8月見直し前の現行制度において、70歳未満・標準報酬月額28万〜50万円の人なら月80,100円+(医療費-267,000円)×1%が自己負担限度額の目安となる。
  3. 民間の医療保険で備えたいのは、食費、差額ベッド代、通院費、先進医療、長期入院時の家計負担など、公的保障だけではカバーしにくい費用である。

60代で医療保険を見直そうとすると、「結局どの商品がいいのか」で迷いやすい。

しかし、商品名を並べたランキングだけでは、自分に合う医療保険かどうかは判断できない。

60代の医療保険選びで大切なのは、公的保障でどこまでカバーされるか、貯蓄でいくら払えるか、すでに持っている保険と重複していないかを先に確認することだ。

本記事では、60代が医療保険を選ぶときの判断軸、公的保障からの逆算方法、持病がある場合の選び分け、見直し手順を順番に整理する。

※本記事の制度・数値情報は、2026年5月時点で確認できる公的機関・中立機関等の情報をもとに作成しています。制度や金額は変更される場合があるため、契約前には最新情報をご確認ください。

目次

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60代の医療保険おすすめの結論|商品名より「終身・不足分・既契約」で絞る

60代の医療保険選びで最初に決めるべきなのは、どの商品に入るかではなく、何を保険で補うかである。

公的医療保険と高額療養費制度があるため、医療費そのものをすべて民間保険で準備する必要はない。

一方で、入院時の食費、差額ベッド代、日用品費、家族の交通費、退院後の通院費、長期療養中の生活費などは、公的保障だけではカバーしきれないことがある。

60代では、退職や年金生活への移行で収入が変わりやすい。保険料を払い続けられるかも、保障内容と同じくらい重要な判断材料になる。

終身型は候補になりやすいが、払込期間まで確認する

60代から医療保険を検討する場合、保障が一生涯続く終身型が候補になりやすい。

定期型や更新型は、一定期間ごとに更新があり、更新時に保険料が上がる場合がある。70代・80代になってから保険料負担が重くなると、継続が難しくなることもある。

ただし、終身型でも「保障期間」と「保険料の払込期間」は別の概念だ。

保障が一生続くとしても、保険料を終身で払い続けるのか、65歳・70歳などで払込満了にするのかによって、月々の負担と総支払額は変わる。

60代で医療保険を選ぶ際は、「終身保障かどうか」だけでなく、「いつまで保険料を払うのか」「年金生活でも継続できる金額か」を必ず確認しよう。

60代の目的別おすすめパターン

60代の医療保険は、一律におすすめを決められるものではない。貯蓄額、既契約の有無、家族のサポート体制、希望する入院環境によって、必要な保障は変わる。

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タイプ優先したい保障確認したいこと
貯蓄少なめ型入院一時金
入院日額
急な入院で20万〜50万円程度を出せるか。
初期費用に備えたい。
貯蓄多め型最低限の入院保障
先進医療特約
医療費の多くを貯蓄で払えるなら、保険は大きな出費への備えに絞る。
固定費を抑えたい型シンプルな医療保障特約を増やしすぎず、年金生活でも続けられる保険料にする。
家族の手続き負担が不安型一時金
請求しやすさ
家族が給付金を請求しやすいか、保険会社の連絡先や証券番号を共有できるか。
既契約あり型保障の棚卸し新規加入より、既存契約の重複・不足・更新後保険料を確認する。

医療保険・医療特約は、民間保険に加入している2人以上世帯(かんぽ生命を除く)ベースで世帯加入率95.1%となっている。

加入率が高いということは、すでに何らかの保障を持っている人も多いということだ。新しく加入する前に、まずは手元の保険証券を確認しよう。

おすすめできない契約例

60代で後悔しやすい契約例も押さえておきたい。

  • 特約を盛りすぎて、月々の保険料が家計を圧迫している
  • 既存の保険と保障内容が重複している
  • 更新型で契約し、70代以降の保険料上昇を想定していない
  • 高額療養費制度を確認せず、医療費そのものを過剰に保険で備えている
  • 新契約が成立する前に旧契約を解約し、保障の空白期間を作ってしまう

医療保険は「不安だから手厚くする」だけではなく、「公的保障と貯蓄で足りない部分だけを補う」と考えると、保険料の無駄を抑えやすい。

60代の医療保険で不足しがちな費用|食費・差額ベッド代・通院費に注意

医療保険で備えるべき費用は、公的保障でカバーされない部分である。

高額療養費制度があるため、保険診療の医療費には月ごとの自己負担限度額がある。問題は、その限度額に含まれない費用だ。

入院時の自己負担は1日平均24,300円・総額平均18.7万円

生命保険文化センターの2025年度調査によると、直近の入院時にかかった自己負担費用は、1日あたり平均24,300円、総額平均18.7万円となっている。

この自己負担費用には、治療費だけでなく、食事代、差額ベッド代、交通費、衣類、日用品費なども含まれる。

また、令和6年病院報告によると、病院の平均在院日数は全病床で25.6日、一般病床で15.5日、療養病床で117.4日だった。

一般的な入院は短期化している一方、療養病床などでは長期化するケースもある。平均だけでなく、自分がどの程度の入院期間まで貯蓄で対応できるかを確認しておきたい。

入院時の食費と差額ベッド代

入院時の食費は、高額療養費制度の対象外だ。

一般所得者の場合、2026年5月31日までは1食510円、2026年6月1日以降は1食550円へ引き上げられる予定である。

1日3食で考えると、2026年5月31日までは1日1,530円、2026年6月1日以降は1日1,650円となる。30日入院すれば、食費だけで約5万円前後の負担になる。

差額ベッド代も、希望して個室や少人数部屋を利用する場合に発生しやすい費用だ。令和6年8月1日時点の1日あたり平均徴収額(推計)は、1人室8,625円、2人室3,149円、全体平均6,862円となっている。

差額ベッド代は、患者側の同意がない場合、治療上の必要がある場合、病棟管理の必要性などで実質的に患者の選択によらない場合には、請求されないケースがある。入院時は同意書の有無や室料を確認しておこう。

通院・在宅療養で続く費用

退院後も、通院費、薬代、リハビリ費用、家族の送迎費などが続くことがある。

総務省の家計調査(2025年平均)では、65歳以上の夫婦のみ無職世帯の保健医療費は月平均17,941円、65歳以上の単身無職世帯は月平均8,388円だった。

これは平時の家計支出であり、治療中や通院が続く場合は負担が増える可能性がある。

通院保障がある医療保険でも、「退院後○日以内」「通院○回まで」などの条件がある。通院保障を重視する場合は、支払対象になる通院の条件を約款で確認したい。

先進医療・自由診療の扱い

先進医療は、保険診療と併用できる一方で、技術料は全額自己負担となる。

厚生労働省の令和7年度実績報告(令和6年7月1日〜令和7年6月30日)では、先進医療の全患者数は211,153人、先進医療費用の総額は約126.5億円、総金額は約1,084.0億円だった。

また、先進医療特約の世帯加入率は、民間保険に加入している2人以上世帯(かんぽ生命を除く)ベースで54.0%となっている。

ただし、先進医療特約は自由診療すべてをカバーするものではない。厚生労働省が定める先進医療が対象であり、対象技術は変わることがある。特約を付ける場合は、上限額、対象範囲、給付条件を確認しよう。

介護費用は医療保険とは別に考える

60代以降は、入院後に介護が必要になるケースも想定しておきたい。

生命保険文化センターの2024年度調査では、介護に要した一時的な費用は平均47.2万円、月々の費用は平均9.0万円だった。介護を行った場所別では、在宅が平均5.3万円、施設が平均13.8万円となっている。

ただし、介護費用は医療保険の主な守備範囲外であることが多い。医療保険に介護まで期待すると設計がぶれやすい。

医療保険は医療費・入院費用への備え、介護費用は公的介護保険・貯蓄・民間介護保険などで別に考えると、保障の役割が整理しやすい。

医療保険(60代)の比較ポイント5つ

医療保険を比較するときは、商品名ではなく比較軸をそろえることが重要だ。

60代で確認したい比較ポイントは、次の5つである。

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比較軸確認ポイント60代の注意点
入院日額・一時金日額型か、一時金型か
両方あるか。
平均額をそのまま選ばず、食費・差額ベッド代・雑費から逆算する。
支払限度日数60日型
120日型
無制限型など
平均入院日数だけでなく、長期療養時にどこまで備えるかを決める。
手術給付金対象手術
倍率
給付条件
同じ手術でも商品により対象が異なる場合がある。
通院保障退院後通院
通院日数
対象期間
「入院後の通院のみ」など条件が狭いことがある。
先進医療特約上限額
対象範囲
通算限度
自由診療すべてが対象ではない。保険料と対象範囲を確認する。
保険料・払込期間終身払い短
期払い、
新有無
年金生活でも続けられるか、総額で比較する。

入院日額は「平均」ではなく不足分から決める

入院日額は、1日5,000円や10,000円などから選べる商品が多い。

ただし、平均額や人気の金額をそのまま選ぶのではなく、自分の不足分から考える必要がある。

たとえば、個室を希望せず、貯蓄で20万〜50万円を払える人なら、日額を厚くしすぎる必要はないかもしれない。

反対に、貯蓄が少ない人や個室を希望したい人は、入院一時金や日額保障を厚めにする選択肢がある。

支払限度日数は長期療養リスクで考える

支払限度日数は、入院給付金が何日まで支払われるかを示す条件だ。

60日型は保険料を抑えやすい一方、入院が長引くと給付が打ち切られる。120日型や長期入院対応型は、保険料が高くなる場合がある。

平均在院日数は一般病床で15.5日だが、療養病床では117.4日である。平均だけで判断せず、どこまでの長期入院リスクを保険で持ちたいかを考えよう。

先進医療特約は「付ける・外す」を慎重に判断する

先進医療特約は、保険料が比較的低く設定されている商品も多いため、安易に削るべきとは限らない。

一方で、対象となるのは厚生労働省が定める先進医療であり、自由診療すべてではない。保険会社によって、上限額や給付方法が異なる場合もある。

比較するときは、「通算2,000万円まで」「技術料と同額」「交通費・宿泊費も対象か」など、条件をそろえて確認したい。

保険料は年金生活でも続けられる金額にする

60代は、退職前後で収入が変わりやすい。保険料は「今払えるか」ではなく、「70代以降も無理なく払えるか」で判断する必要がある。

生命保険文化センターの2024年度調査では、生命保険の世帯年間払込保険料は全生保で平均35.3万円となっている。

これは医療保険単体の金額ではないが、保険全体の固定費として無視できない。医療保険を見直すときは、死亡保険、がん保険、個人年金保険、共済などを含めた保険料総額も確認しよう。

60代の医療保険は高額療養費制度から逆算する

医療保険の必要保障額は、高額療養費制度の自己負担限度額を確認してから逆算するのが基本である。

高額療養費制度を知らずに保険を選ぶと、医療費そのものを過剰に民間保険で備えてしまう可能性がある。

70歳未満の自己負担限度額

2026年8月見直し前の現行制度では、70歳未満の自己負担限度額は所得区分により次のように分かれる。

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所得区分目安月単位の自己負担限度額
区分ア標準報酬月額83万円以上252,600円+
(医療費-842,000円)×1%
区分イ標準報酬月額53万〜79万円167,400円+
(医療費-558,000円)×1%
区分ウ標準報酬月額28万〜50万円80,100円+
(医療費-267,000円)×1%
区分エ標準報酬月額26万円以下57,600円
区分オ住民税非課税35,400円

たとえば、70歳未満・年収約370万円〜約770万円の人が医療費100万円の治療を受けた場合、自己負担は約8.7万円まで抑えられる。

なお、2026年8月からは月額負担上限額の見直しと年間上限の新設、2027年8月からは所得区分の細分化などが予定されている。契約前には、最新の制度内容を確認しておきたい。

70歳以上になると上限の仕組みが変わる

60代後半で医療保険を検討する場合は、70歳以降の自己負担限度額も確認しておきたい。

70歳以上では、現役並み所得者を除き、外来(個人ごと)と外来+入院(世帯ごと)で上限額が分かれる。

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区分外来
(個人ごと)
外来+入院
(世帯ごと)
一般18,000円
年14.4万円上限
57,600円
多数回44,400円
住民税非課税8,000円24,600円
住民税非課税
所得が一定以下
8,000円15,000円

70歳以降は医療費の自己負担上限が変わる一方、食費、差額ベッド代、通院交通費、日用品費などは引き続き対象外となる。

自己負担額を出す手順

医療保険の必要額は、次の手順で考えると整理しやすい。

  1. 自分の高額療養費制度の所得区分を確認する
  2. 食費を加算する(2026年5月31日までは1食510円、2026年6月1日以降は1食550円)
  3. 差額ベッド代を利用するか決める
  4. 日用品費、交通費、退院後の通院費を見積もる
  5. 合計額から貯蓄で払える金額を引く
  6. 残った不足分を医療保険で補う

入院時の自己負担費用は1日平均24,300円という調査結果があるが、これはあくまで平均だ。個室を希望するか、入院日数がどれくらいになるかで負担は大きく変わる。

平均額をそのまま入院日額に設定するのではなく、自分の入院環境と貯蓄額から逆算しよう。

貯蓄がある人は医療保険を小さくできる

貯蓄に余裕がある場合、医療保険で備える範囲を絞りやすい。

たとえば「入院時の自己負担は100万円まで貯蓄で払える」と決められるなら、保険は長期入院、先進医療、がんなど特定リスクへの備えに絞ることもできる。

反対に、貯蓄が少ない場合は、入院一時金や入院日額を厚めにして、急な入院費用に備える設計が向いている。

どちらが正解ということではない。重要なのは、貯蓄で払う範囲と保険で補う範囲の境界線を決めることである。

持病がある60代の医療保険の選び分け

持病があるからといって、医療保険に入れないとは限らない。ただし、申し込みの順番と保険タイプの違いを理解しておく必要がある。

まずは通常型を確認し、難しければ緩和型を検討する

持病がある場合でも、まずは通常型(標準型)の医療保険に申し込めるか確認したい。

通常型のほうが、保険料が安く、保障内容も広いケースが多いためだ。

告知内容によっては、通常型で引き受けられる場合もある。最初から引受基準緩和型を選ぶと、保険料が割高になる可能性がある。

通常型が難しい場合に、次の選択肢として引受基準緩和型を検討する。引受基準緩和型は告知項目が少なく加入しやすい一方、保険料が高めになりやすく、契約後一定期間は給付金が削減される商品もある。

告知は資料を見ながら正確に行う

医療保険の申し込みでは、健康状態や通院歴、入院歴、服薬状況などを告知する。

告知は記憶だけで書かず、次の資料を確認しながら正確に記入したい。

  • お薬手帳
  • 健康診断結果
  • 診療明細・領収書
  • 入院・手術歴がわかる書類

告知内容に誤りがあると、給付金を請求する段階で問題になる可能性がある。不明点は、医療機関や保険会社に確認し、推測で記入しないことが大切だ。

引受基準緩和型・無選択型の注意点

引受基準緩和型を検討する際は、加入しやすさだけで決めないようにしたい。

  • 契約から一定期間、給付金が削減される条件がないか
  • 特定の病気や部位が対象外になっていないか
  • 通常型と比べて保険料がどれくらい高いか
  • 更新や払込期間の条件はどうなっているか

無選択型は、告知なしで加入できる商品もあるが、保険料が高く、保障内容が限定的になりやすい。通常型も緩和型も難しい場合の最終手段として考えるのが無難だ。

保険料に対して保障が見合わないと感じる場合は、保険ではなく貯蓄で備える選択肢もある。

60代の医療保険の保険料を抑えるコツ

保険料を抑えるには、必要な保障まで削らず、削る順番を決めることが大切だ。

削る順番は「使わない特約→重複保障→過大な保障」

保険料を下げたいときは、次の順番で確認すると失敗しにくい。

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削る順番確認する内容注意点
1. 使わない特約必要性が低い特約、目的が不明な特約。なんとなく付けている特約から確認する。
2. 重複保障医療保険、がん保険、共済、勤務先制度との重複。同じ入院・手術保障が複数ないか確認する。
3. 過大な保障高すぎる入院日額、長すぎる限度日数。貯蓄で払える範囲まで保険で備えていないか確認する。

先進医療特約は、保険料が低めの商品もあるため、単純に「削る候補」と決めつける必要はない。対象範囲と上限額を確認し、必要性を判断しよう。

払込満了と終身払いを比較する

60代の医療保険では、払込期間の選び方も重要だ。

短期払い(65歳払込満了・70歳払込満了など)は、老後の保険料負担を減らせる一方、月々の保険料は高くなりやすい。

終身払いは月々の保険料を抑えやすい一方、一生涯払い続ける必要がある。

退職金や貯蓄に余裕がある人は払込満了型、毎月の負担を抑えたい人は終身払いなど、自分の家計に合わせて比較したい。

掛け捨て型と貯蓄型は目的を分ける

医療保険は、基本的には医療リスクに備えるための商品である。

貯蓄型の医療保険は、解約返戻金や健康還付金などがある場合もあるが、その分保険料が高くなりやすい。

保障が目的なら掛け捨て型で保険料を抑え、資産形成は預貯金や投資で別に行う選択肢もある。

医療保険で資産形成まで同時に行おうとすると、保障内容と保険料の判断が複雑になりやすい。まずは「医療保障が必要なのか」「貯蓄が目的なのか」を分けて考えよう。

共済と医療保険は同じ軸で比較する

共済は掛金が比較的抑えられ、保障内容がシンプルな商品が多い。

一方で、年齢が上がると保障額が下がる場合や、一定年齢以降の保障が限定される場合もある。

共済と民間医療保険を比較するときは、次の項目を同じ条件で並べよう。

  • 保障期間
  • 掛金・保険料
  • 入院日額・一時金
  • 手術給付金
  • 更新の有無
  • 年齢による保障額の変化
  • 割戻金の有無

共済と民間医療保険のどちらが優れているかではなく、自分が必要とする保障に合っているかで判断することが大切だ。

医療保険を60代で見直す手順

見直しで最も避けるべきは、保障の空白期間を作ることだ。旧契約を先に解約すると、新契約が成立するまで無保険状態になる可能性がある。

1. 現契約の保障を棚卸しする

まず、手元の保険証券を確認し、主契約と特約を一覧化する。

確認したい項目は次の通りだ。

  • 入院日額
  • 入院一時金の有無
  • 支払限度日数
  • 手術給付金の対象
  • 通院保障の有無
  • 先進医療特約の有無
  • 保険料
  • 払込期間
  • 更新の有無

棚卸しの目的は、不安をあおることではなく、重複と不足を見える化することだ。

2. 新契約が成立してから旧契約を解約する

乗り換えを検討する場合、旧契約の解約は新契約の承諾後に行うのが基本だ。

新しい保険に申し込んでも、健康状態や告知内容によっては引き受けられない場合がある。

旧契約を先に解約してしまうと、新契約が不成立になった場合に保障の空白が生まれる。

数カ月の二重払いを避けたい気持ちはわかるが、保障がない期間を作るリスクのほうが大きい。

3. 告知ミスを防ぐ準備をする

新しい医療保険に申し込む際は、告知ミスを防ぐ準備が必要だ。

特に60代では、通院歴、服薬歴、健康診断の指摘事項がある人も多い。お薬手帳や健康診断結果を見ながら、正確に記入しよう。

不明点があれば、かかりつけ医や保険会社に確認する。推測で記入すると、将来の給付金請求時に問題になる可能性がある。

4. 家族に請求の導線を共有する

入院や手術をしたとき、本人ではなく家族が給付金請求を手伝うケースもある。

請求漏れを防ぐため、次の情報は家族と共有しておくと安心だ。

  • 保険会社名
  • 証券番号
  • 保険証券の保管場所
  • 給付金請求の連絡先
  • 入院・手術時に必要な書類の概要

すべての契約内容を細かく伝える必要はないが、「困ったときにどこを見ればよいか」だけでも共有しておくと、家族の負担を減らしやすい。

まとめ|60代の医療保険は「公的保障で足りない部分」だけ備える

60代の医療保険選びは、商品名のランキングから始めるのではなく、公的保障、貯蓄、既契約を確認することから始めたい。

高額療養費制度により、保険診療の医療費には自己負担限度額がある。一方で、食費、差額ベッド代、日用品費、通院費、先進医療の技術料、長期療養時の生活費などは、公的保障だけではカバーしにくい。

60代で医療保険を検討するなら、次の順番で確認しよう。

  • 高額療養費制度の自己負担限度額を確認する
  • 食費・差額ベッド代・通院費など対象外費用を見積もる
  • 貯蓄で払える金額を決める
  • 既契約の重複と不足を確認する
  • 不足分だけを医療保険で補う
  • 保険料が年金生活でも続けられるか確認する

見直しでは、新契約が成立する前に旧契約を解約しないことも重要だ。

60代の医療保険は、必要な保障を必要な範囲だけ持ち、無理なく続けられる設計にすることを意識しよう。

60代の医療保険おすすめFAQ

最後に、60代の医療保険選びでよくある疑問を整理する。

60代は何歳まで医療保険に加入できますか?

加入可能年齢は商品によって異なる。65歳まで、70歳まで、80歳までなど幅がある。

ただし、年齢だけでなく健康状態による審査もある。候補を比較する際は、加入可能年齢、告知内容、引受条件をあわせて確認しよう。

入院日額はいくらが目安ですか?

一律の正解はない。高額療養費制度の自己負担限度額、食費、差額ベッド代、日用品費、通院費から、貯蓄で払える分を差し引いて考える。

入院時の自己負担費用は1日平均24,300円という調査結果があるが、個室利用の有無や入院日数で変わる。平均額をそのまま日額に設定するのではなく、自分の条件で逆算しよう。

先進医療特約は付けるべきですか?

先進医療特約は、リスク許容度と保険料のバランスで判断する。

先進医療の技術料は全額自己負担となるため、高額な治療への不安がある人には検討価値がある。一方で、対象は厚生労働省が定める先進医療であり、自由診療すべてをカバーするわけではない。

付ける場合は、上限額、通算限度、給付対象、交通費や宿泊費の扱いを確認しよう。

持病があると医療保険には入れませんか?

持病があっても、医療保険に入れる可能性はある。

まずは通常型で申し込めるか確認し、難しい場合に引受基準緩和型を検討する。それでも難しい場合は無選択型という選択肢もある。

ただし、緩和型や無選択型は保険料が高く、保障内容が限定される場合がある。加入しやすさだけでなく、給付条件や保険料も確認しよう。

医療保険とがん保険は両方必要ですか?

医療保険とがん保険は守備範囲が異なる。

医療保険は入院・手術全般、がん保険はがんの診断一時金や通院治療などに重点を置く商品が多い。

両方に入ると保障が重複することもあるため、まず既契約を確認し、入院・手術・診断一時金・通院保障のどこが重なっているかを整理しよう。

共済と医療保険はどう違いますか?

共済と民間医療保険は、運営主体や仕組みが異なるが、保障内容は同じ軸で比較できる。

共済は掛金が抑えられ、保障内容がシンプルなことが多い。一方で、年齢が上がると保障額が下がる場合や、一定年齢以降の保障が限定される場合がある。

掛金、保障期間、更新の有無、入院日額、手術給付金、割戻金の有無を比較して判断しよう。

見直しで損しないコツはありますか?

見直しで大切なのは、保障の空白期間を作らないこと、告知を正確に行うこと、既契約の棚卸しを先にすることだ。

旧契約の解約は、新契約の承諾後に行う。告知はお薬手帳や健康診断結果などを確認しながら正確に記入しよう。

また、保険料だけでなく、支払条件、免責、更新後の保険料、家族が請求しやすいかも確認しておくと安心だ。

出典

厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」(更新日:2026年5月8日)
厚生労働省「高額療養費制度の概要(現行:令和8年8月見直し前)」
厚生労働省「令和8年度診療報酬改定 2. 物価対応」
厚生労働省「令和6(2024)年 医療施設(動態)調査・病院報告の概況」(公開日:2025年9月26日)
厚生労働省「主な選定療養に係る報告状況」(公開日:2025年7月23日)
厚生労働省「先進医療の実績報告について」(公開日:2026年1月16日)
神奈川県「よくあるお問合せ」(更新日:2026年1月15日)
生命保険文化センター「入院費用(自己負担額)はどれくらい?」
生命保険文化センター「入院給付金(日額)はいくらで設定している?」
生命保険文化センター「介護にはどれくらいの費用・期間がかかる?」
生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査 速報版」
生命保険文化センター「世帯年間払込保険料」
総務省統計局「家計調査報告〔家計収支編〕2025年平均結果の概要」

執筆者

生命保険ナビ編集部は、「保障を無駄なく、安心を最大化する保険選び」を目的として、保険相談のおすすめ先保険相談のキャンペーンを紹介。読者がライフステージに応じて最適な保険設計ができるよう、公平かつ分かりやすい情報発信を心がけている。運営元のアドバイザーナビ株式会社は、IFAや保険代理店のアドバイザーと生活者をつなぐマッチングサービス「生命保険ナビ」を展開中。