20代におすすめの医療保険とは?必要な保障内容と加入時の注意点を解説

この記事の要点
  1. 20代の医療保険は公的保障と貯蓄で足りない部分だけを補う設計が基本である。
  2. 高額療養費制度で医療費の上限は決まるが、差額ベッド代や先進医療の技術料は対象外となる。
  3. 以下で要否判定、保障の優先順位、特約の選び方、予算の決め方を整理する。

医療保険は必要なのか、入るならいくらが妥当か、何を選べばいいのか。20代で初めて保険を検討すると、判断材料が多すぎて手が止まる。

公的医療保険の上限や、貯蓄で吸収できる範囲を把握すれば、自分に合った保障の形が見えてくる。要否の判定から保障の優先順位、比較の進め方まで順を追って整理していく。

※本記事の数値情報は2026年2月時点の制度情報に基づく。制度や統計は改定される可能性があるため、最新情報は公式サイトで確認されたい。

目次

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20代の医療保険は必要?5分セルフチェック

医療保険の要否は「公的保障でカバーできる範囲」「貯蓄で吸収できる金額」「働き方による収入保障」の3点で判断できる。

20代は入院リスクが相対的に低いとはいえ、ゼロではない。だからといって「念のため入っておく」では、保険料がムダになりかねない。まず自分の状況を棚卸しして、本当に足りないものだけを補う——その発想で臨みたい。

判断のステップはシンプルで、公的保障の上限を知り、貯蓄で耐えられる範囲を決め、休業時の収入をどう補うかを確認する。この順番で進めれば、5分もあれば一次判定が終わる。

公的医療保険で足りる範囲を整理

日本には高額療養費制度がある。1か月の医療費が高額になっても、自己負担には上限が設けられている。70歳未満なら、所得区分によって上限額が決まる仕組みだ。

たとえば、標準報酬月額が28万〜50万円程度の「区分ウ」に該当する人は、自己負担限度額が「80,100円+(総医療費-267,000円)×1%」となる。仮に総医療費が100万円かかっても、窓口で最終的に負担するのは約8万7,000円程度に収まる計算だ。

ただし、見落としがちな点がひとつ。高額療養費制度は「保険診療」の自己負担に対する上限であり、差額ベッド代や入院時の食事負担額などは対象外となる。個室を希望したり、入院が長引いたりすると、制度の上限とは別に費用がかさむ。公的保障で「足りる」と思い込んでいると、この対象外費用で想定外の出費を招きかねない。

貯蓄で吸収できる金額を決める

入院時の自己負担費用は、入院日数によって大きく変わる。2022年度の調査によると、直近入院の自己負担費用の平均は19.8万円だった。入院日数別に見ると、5日以下は平均8.7万円、15〜30日は平均23.5万円、61日以上になると平均75.9万円まで上がる。

1日あたりの自己負担費用は平均20,700円という数字もある。これは治療費だけでなく、食費やベッド代などを含んだ金額だ。ただし、あくまで平均であり、自分のケースが必ずこの範囲に収まるとは限らない。

ここで考えたいのは、「今の貯蓄で何日分の入院費を吸収できるか」という視点だ。20万円の貯蓄があれば平均的な短期入院には対応できるが、長期化すると心もとない。自分の家計に当てはめて、どこまで耐えられるかを具体的に決めておくと、保険で補うべき範囲が見えてくる。

会社員の傷病手当金を確認する

会社員や公務員など健康保険に加入している人は、業務外の病気やケガで働けなくなったときに「傷病手当金」を受け取れる。連続3日間の待期を経て、4日目から支給が始まり、通算1年6か月が上限となる。

支給額は「支給開始日以前の継続した12か月の標準報酬月額平均÷30日×2/3相当」で計算される。たとえば標準報酬月額が30万円の人なら、1日あたり約6,520円が支給される計算だ。フルタイムで働いていた収入には届かないが、休業中の生活費の一部を補える。

注意点として、転職直後などで被保険者期間が12か月未満の場合は、算定に使う標準報酬月額に上限がある。2025年4月1日以降に支給開始となる場合は32万円が基準となる。入社して間もない人は、自分がどのルールに該当するか確認しておきたい。

一方、フリーランスや自営業で国民健康保険に加入している人には、傷病手当金の制度がない。休業時の収入減を自力でカバーする必要があり、医療保険や就業不能保険の必要性が相対的に高まる。

医療保険が必要な20代の特徴

医療保険の必要性が高まるのは、次のような条件が重なるケースだ。

  • 貯蓄が少なく、入院費用を自己資金で吸収しにくい
  • 差額ベッド代や先進医療など、保険外費用への備えを重視したい
  • 自営業やフリーランスで傷病手当金がない
  • 妊娠・出産を控えており、帝王切開などへの備えを検討している
  • 持病があり、将来の加入が難しくなる可能性がある

先進医療を例に取ると、技術料は全額自己負担となる。厚生労働省の説明では、総医療費100万円のうち先進医療が20万円のケースで、患者負担は計44万円になる例が示されている。こうした費用を貯蓄で出せるかどうかも判断材料になる。

逆に、十分な貯蓄があり、会社員として傷病手当金も受けられ、先進医療を受ける可能性も低いと考えるなら、医療保険の優先度は下がる。必要性は人それぞれで、一律に「入るべき」とも「不要」とも言えない。

では、必要だと判断した場合、どの保障から優先すればいいのか。次章で整理する。

20代向け医療保険おすすめの保障はこの順

医療保険の保障は「入院→手術→通院」の順で優先度を決めていく。

2022年度の調査によると、直近入院の平均日数は17.7日だった。15〜30日の入院が33.5%と最も多く、5日以下の短期入院は11.9%にとどまる。入院は「短期で終わるとは限らない」という前提で保障を組み立てたい。

保障の優先順位を決めるには、何をカバーしたいのかを明確にする必要がある。医療費なのか、生活費の補填なのか、保険外負担への備えなのか。目的が曖昧だと、あれもこれもと特約を足してしまいがちだ。

保障の種類主な目的公的保障注意点
入院給付入院中の医療費・生活費高額療養費あり差額ベッド代等は対象外
手術給付手術費用の補填高額療養費あり対象手術の定義を確認
通院保障通院時の費用・収入減高額療養費あり入院保障と重複しないか確認

入院給付は日額か一時金かを決める

入院給付には「日額タイプ」と「一時金タイプ」がある。日額タイプは入院1日あたりいくらと決まっており、入院日数に応じて受取額が変わる。一時金タイプは入院したら一定額がまとめて支払われる。

短期入院が多いなら一時金が使いやすい。入院日数分布を見ると、5日以下は11.9%、6〜14日は25.1%で、約4割弱が2週間以内に退院している。一方、15〜30日が33.5%、61日以上も3.1%存在する。長期化リスクを重視するなら日額タイプが向いている。

入院日数別の自己負担平均を見ると、5日以下は8.7万円、61日以上は75.9万円と大きな差がある。どちらのリスクに備えたいかで、受取形態を選ぶとよい。

また、差額ベッド代や食事代は高額療養費の対象外となる。個室希望や長期入院を想定するなら、これらの保険外費用もカバーできる設計にしておきたい。

手術給付の対象範囲を確認する

手術給付は「すべての手術が対象」とは限らない。商品によって対象手術の定義が異なり、約款で「所定の手術」と記載されている場合は、対象一覧を確認する必要がある。

確認すべきポイントは次の通りだ。

  • 対象手術の一覧または定義
  • 給付金額(入院給付日額の何倍か、または定額か)
  • 同一手術の給付回数制限
  • 日帰り手術が対象に含まれるか

先進医療に該当する手術は、通常の手術給付とは別枠で扱われることが多い。「手術給付があるから先進医療もカバーされる」と思い込むと、実際には対象外だったというケースがある。先進医療は技術料が全額自己負担となるため、別途特約で備えるかどうかは切り分けて考えたい。

通院保障は目的がある場合に絞る

通院保障は、入院前後の通院を保障するものが多い。ただし、通院だけで医療費が高額になるケースは限定的で、公的保障の高額療養費も適用される。

通院保障が必要になるのは、医療費というより「通院による収入減」を重視する場合だ。2022年度の調査では、直近入院で逸失収入があった割合は全体で17.4%、20歳代では9.1%だった。この数字を見る限り、20代で通院による収入減リスクが高い人は多くない。

通院保障を付けるなら、「何のために備えるのか」を明確にしてから検討したい。漠然と「あったほうが安心」で付けると、保険料が上がるだけでムダになりかねない。

ライフステージ別のおすすめ例

同じ20代でも、独身・共働き・自営業・妊娠予定など、状況によって優先順位は変わる。

独身で会社員の場合、傷病手当金があるため収入減への備えは相対的に軽くできる。入院給付を中心に、先進医療特約を付けるかどうかを検討する程度でよいケースが多い。

自営業やフリーランスの場合、傷病手当金がないため、就業不能保険との組み合わせも視野に入る。2022年度調査では、就業不能保障の加入率は全体で5.3%、20歳代は男性5.1%、女性6.7%にとどまる。認知度は低いが、自営業者にとっては検討価値がある保障だ。

妊娠を予定している場合、帝王切開などの異常分娩は医療保険の給付対象になることが多い。ただし、妊娠後の加入は条件が付いたり、保障対象外になったりするケースがあるため、検討するなら早めが望ましい。

どのケースでも、保障は「足りない部分だけを補う」発想で組み立てる。次は、終身型と定期型のどちらを選ぶかを整理する。

20代で入る医療保険は終身型?定期型?

終身型か定期型かは「見直しの頻度」と「保険料の動き方」で判断するのが合理的だ。

終身型は保険料が一生変わらず、解約しない限り保障が続く。定期型は一定期間で契約が終了し、更新すると保険料が上がることが多い。どちらが得かは一概に言えず、自分のライフプランに合うかどうかで選ぶ。

タイプ保険期間保険料の変動見直し自由度
終身型一生涯原則変わらない低い(解約が必要)
定期型一定期間更新時に上がる高い(満期で見直しやすい)

終身型が向く20代の条件

終身型が向くのは、長期間同じ保障を持ち続けたい人だ。20代で加入すれば保険料は安く設定され、その金額が一生続く。健康状態が変わっても、契約を続ける限り保障は維持される。

一方、終身型は途中で保障内容を変えにくい。医療技術や制度が変わっても、当初の保障内容のままになりがちだ。また、保険料が固定費として家計に乗り続けるため、収入が不安定な時期には負担に感じることもある。

「将来の見直しが面倒」「とにかく保障を確保しておきたい」という人には終身型が合いやすい。

定期型が向く20代の条件

定期型が向くのは、数年後に見直す前提で加入する人だ。結婚、出産、転職、独立など、ライフイベントで保障ニーズは変わる。そのたびに保障を組み替えたいなら、定期型のほうが柔軟に対応できる。

ただし、更新時には保険料が上がる。年齢が上がるほど保険料は高くなり、健康状態によっては更新できないケースもある。定期型を選ぶなら「いつ見直すか」をあらかじめ決めておくと、更新時の判断がスムーズになる。

「今は最低限の保障で十分」「貯蓄が貯まったら保険を減らしたい」という人には定期型が向く。

保険期間を決める判断フロー

保険期間を決めるときは、次のような流れで考えるとよい。

  • 今後5年以内に大きなライフイベント(結婚、出産、転職など)がありそうか
  • イベント後に保障ニーズが変わる可能性は高いか
  • 見直しを自分で管理できるか、それとも手間を省きたいか

イベントが近いなら定期型で様子を見る、イベントが当面なく長期で固定したいなら終身型を検討する。迷ったら「5年後の自分がどうなっていそうか」を想像してみると、方向性が見えてくる。

型が決まったら、次は特約をどこまで付けるかを整理する。

20代に合う医療保険の特約:先進医療ほか

特約は「公的保障でカバーされない費用かどうか」を基準に優先度を決めるとムダが減る。

医療保険には多くの特約があり、先進医療、女性疾病、三大疾病、就業不能など、選択肢は幅広い。しかし、すべてを付けると保険料が膨らむ。何のために備えるのかを明確にして、必要なものだけを選びたい。

2022年度の調査では、先進医療特約の加入率は全体で25.6%、20歳代は男性10.2%、女性15.7%だった。特約を付けている人は多数派ではない。自分にとって本当に必要かどうか、立ち止まって考えてから決めても遅くはない。

特約の種類対象費用公的保障検討の目安
先進医療技術料(全額自己負担)なし貯蓄で技術料を出せるか
女性疾病女性特有の病気高額療養費あり妊娠前に検討する価値あり
三大疾病がん・心疾患・脳血管疾患高額療養費あり医療費の穴を埋めてから
就業不能収入減傷病手当金(会社員)自営業は優先度高め

先進医療特約の仕組みと注意点

先進医療は、厚生労働省が認めた高度な医療技術のうち、保険診療と併用できるものを指す。通常の診療部分は保険が適用されるが、先進医療にかかる技術料は全額自己負担となる。

厚生労働省の説明によると、総医療費100万円のうち先進医療が20万円のケースでは、技術料20万円は全額自己負担、共通部分の自己負担24万円と合わせて、患者負担は計44万円になる。技術料が高額な先進医療を受ける場合、数百万円の自己負担になるケースもある。

先進医療特約は、この技術料をカバーするための特約だ。保険料は月数百円程度のことが多く、「万が一のときの安心料」として付ける人もいる。一方、先進医療を受ける確率は高くなく、貯蓄で対応できるなら不要という考え方もある。

自分の貯蓄状況と、先進医療を受ける可能性をどう見積もるかで判断が分かれる。

女性疾病・妊娠出産の考え方

女性疾病特約は、子宮や卵巣の病気、乳がんなど女性特有の疾患に対して、入院給付や手術給付を上乗せするものが多い。通常の医療保険でも保障対象になるケースがほとんどだが、上乗せしたい場合に検討する。

妊娠・出産に関しては、正常分娩は医療保険の対象外だが、帝王切開などの異常分娩は給付対象になることが多い。ただし、妊娠後に加入すると「今回の妊娠に関する入院・手術は対象外」などの条件が付くことがある。

妊娠を予定しているなら、妊娠前に加入しておくほうが保障範囲が広くなりやすい。加入を検討するタイミングは早めに設定しておきたい。

三大疾病・生活習慣病は優先度で判断

三大疾病特約は、がん・心疾患・脳血管疾患と診断されたときに一時金が出るものが多い。これらの病気は治療が長期化しやすく、医療費以外の生活費負担も増えがちだ。

ただし、優先順位としては「基本の医療費の穴を埋める→先進医療の備え→上乗せ」の順で考えたい。入院給付や手術給付が十分でないのに、三大疾病特約だけ手厚くしても、実際の入院で「出ない」ケースが生じかねない。

まずは基本保障を固め、余裕があれば三大疾病や生活習慣病の特約を検討する。この順番だけは押さえておきたい。

就業不能・がん保険との役割分担

医療保険は「医療費」をカバーするもの、就業不能保険は「収入減」をカバーするもの。この役割分担を理解しておくと、保障の重複やムダを防げる。

2022年度調査では、直近入院で逸失収入があった割合は全体17.4%、20歳代は9.1%だった。逸失収入の総額平均は30.2万円、1日あたりでは21,000円という数字もある。入院による収入減が気になるなら、医療保険ではなく就業不能保険で備えるほうが目的に合う。

会社員は傷病手当金があるため、不足分だけを補う設計で十分なことが多い。傷病手当金は連続3日の待期後、4日目から通算1年6か月支給される。この範囲で足りるかどうかを計算し、足りない部分だけ就業不能保険でカバーする発想だ。

がん保険についても同様で、医療保険のがん特約と単体のがん保険では保障内容が異なる。2022年度調査では、がん保険・がん特約の加入率は20歳代で男性14.0%、女性21.9%だった。がんへの備えを手厚くしたいなら、単体のがん保険を検討してもよい。

特約が絞れたら、次は予算の決め方を整理する。

医療保険の保険料目安:20代の予算の決め方

保険料の予算は「貯蓄を止めない固定費の上限」から逆算する。

保険料は毎月の固定費になる。高すぎる保険料を設定すると、貯蓄に回す余裕がなくなり、結局「保険があっても貯蓄がない」状態になりかねない。まずは家計を圧迫しない上限を決め、その範囲で保障を組み立てたい。

家計を圧迫しない上限を決める

入院時の自己負担費用は平均19.8万円、逸失収入を含めた総額平均は26.8万円という調査結果がある。この金額を「保険でカバーするか」「貯蓄で吸収するか」で、必要な保障額が変わる。

会社員で傷病手当金がある場合、収入減の一部は傷病手当金でカバーできる。標準報酬月額30万円の人なら1日あたり約6,520円、30日で約19.5万円が支給される計算だ。入院中の収入減は傷病手当金で補い、医療費の自己負担分だけを医療保険でカバーする設計なら、保険料を抑えられる。

予算の上限は、手取り収入の3〜5%程度を目安にする考え方もあるが、絶対的な基準はない。結局のところ「この保険料を払い続けても、貯蓄や生活費に支障が出ないか」を自分で判断するしかない。

見積もり比較で見るべき数字

複数の商品を比較するときは、同じ条件に揃えて数字を見る。これを怠ると比較にならない。押さえておきたい項目は以下だ。

  • 月額保険料(同じ保障内容で比較)
  • 入院給付の日額または一時金額
  • 1入院あたりの限度日数
  • 手術給付の対象範囲と金額
  • 免責期間(支払対象外の期間)の有無

保険料だけを見て「安いからこれ」と決めると、保障が薄かったり、支払条件が厳しかったりすることがある。同じ土俵で比較するために、条件を揃えてから数字を並べる。

また、高額療養費でカバーされる部分と対象外の部分を分けて考えると、本当に必要な保障額が見えてくる。差額ベッド代や食事代は高額療養費の対象外なので、これらを保険でカバーしたいなら、その分を上乗せして見積もる。

貯蓄優先と両立する考え方

20代は資産形成の入り口でもある。保険料に多くを割くより、まずは貯蓄を優先し、保険は最低限にとどめる考え方もある。

具体的には「まず小さく入り、ライフイベントで見直す」というやり方だ。独身のうちは最低限の入院給付と先進医療特約だけにしておき、結婚や出産で保障ニーズが変わったら、そのタイミングで見直す。過剰な保障を抱え込まず、必要に応じて柔軟に調整する。

保険は一度入ったら放置していいものではない。定期的な見直しを前提にして、今の自分に合った保障を選んでいく。

予算が決まったら、次は申込時の注意点を確認しておく。

後悔しない医療保険おすすめ:20代の注意点

医療保険で後悔するのは「入ったのに出ない」と「乗り換えで無保険になった」のパターンが多い。

せっかく保険料を払っていても、いざというときに給付が出なければ意味がない。申込前に確認すべきポイントを押さえて、失敗を避けたい。

特約を盛りすぎない

不安を挙げていくと、あれもこれもと特約を付けたくなる。しかし、特約が増えるほど保険料は上がり、「何のための保障か」がぼやけてくる。

特約を検討するときは「その費用は公的保障でカバーされないか」「貯蓄で対応できないか」を先に考える。先進医療の技術料のように公的保障がない費用は特約で備える価値があるが、高額療養費でカバーされる費用をさらに保険で上乗せする必要があるかは検討の余地がある。

迷ったら「基本保障+先進医療特約」程度からスタートし、必要を感じたら後から追加するくらいの気持ちでよい。

支払条件と限度日数を見落とさない

「入院したら給付が出る」と思っていても、約款の支払条件を満たさないと給付されない。確認すべきポイントは次の通りだ。

  • 入院の定義(何日以上の入院が対象か、日帰り入院は含むか)
  • 1入院あたりの限度日数(60日、120日、無制限など)
  • 通算限度日数(契約期間全体での上限)
  • 免責期間(支払対象外の期間)
  • 同一疾病での再入院の扱い

入院日数の平均は17.7日だが、長期化するケースもある。1入院60日が上限の商品だと、それを超えた分は給付されない。自分がどこまでのリスクに備えたいかで、限度日数を選ぶ。

告知と健康診断でつまずかない

医療保険の申込時には告知が求められる。過去の通院歴、現在の投薬、健康診断での指摘などを正確に申告する必要がある。

告知で問題になりやすいのは「軽い通院だから書かなくてもいいと思った」「健診で要再検査だったけど放置した」といったケースだ。告知義務違反があると、契約が解除されたり、給付が受けられなかったりすることがある。

告知の範囲や基準は商品によって異なる。持病や通院歴がある場合は、引受条件を事前に確認するか、保険会社や代理店に相談してから申し込むのが安全だ。

乗り換え前に無保険期間を避ける

既存の医療保険を解約して新しい保険に乗り換える場合、順番を間違えると無保険期間が生じる。新しい契約が成立する前に旧契約を解約してしまうと、その間に入院しても給付が受けられない。

乗り換えの手順は「新契約の申込→審査・成立→旧契約の解約」の順が基本だ。新契約の審査に通らないリスクもあるため、成立を確認してから旧契約を解約する。

また、新契約には免責期間(責任開始前の待機期間)が設けられていることがある。この期間中に入院しても給付対象外となるため、旧契約の解約タイミングは免責期間終了後まで待つほうが確実だ。

注意点を確認したら、いよいよ申込の手順に進む。

医療保険を20代で申し込む手順と見直し

申込は「要件メモの作成→見積比較→申込→見直しタイミングの設定」の順で進めるとスムーズだ。

比較前に要件メモを作る

複数の商品を比較する前に、自分の要件を整理しておくと判断がブレない。要件メモに書くべき項目は次の通りだ。

  • 保障の目的(医療費の補填、収入減への備え、先進医療への備えなど)
  • 希望する保険期間(終身か定期か)
  • 入院給付の形態(日額か一時金か)
  • 付けたい特約(先進医療、女性疾病など)
  • 月額保険料の上限

このメモを手元に置いて比較すれば、営業トークに流されて不要な保障を付けてしまうリスクを減らせる。

ネット申込と相談の使い分け

医療保険の申込方法は、ネット完結型と対面相談型に大別される。どちらが合うかは、自分の状況による。

ネット申込が向くのは、要件が明確で迷いが少ない人だ。シンプルな保障内容で、告知に問題がなければ、ネットで比較・申込まで完結できる。手続きが早く、自分のペースで進められるのがメリットだ。

対面相談が向くのは、迷うポイントが多い人だ。妊娠予定で保障範囲を確認したい、自営業で就業不能保険も検討したい、持病があって引受条件を確認したい——こうしたケースでは、専門家に相談したほうが話が早い。

どちらを選ぶにしても、要件メモは持っておく。相談時に「何を求めているか」を伝えやすくなる。

見直しタイミングはイベントで決める

医療保険は定期的な見直しが欠かせない。見直しのきっかけになるのは、ライフイベントで保障ニーズが変わるタイミングだ。

  • 結婚:配偶者の保障との調整
  • 出産:子どもの有無で必要保障額が変わる
  • 転職:傷病手当金の有無が変わる可能性
  • 独立:自営業になると公的保障が変わる
  • 住宅購入:団信との兼ね合いで死亡保障を見直す

イベントがなくても、3〜5年に一度は保障内容を確認する習慣をつけておくと、過剰な保障を抱え続けるリスクを減らせる。

20代の医療保険おすすめに関するFAQ

20代は医療保険に入らないとダメ?

必須ではない。高額療養費制度で医療費の自己負担には上限があり、貯蓄で対応できるなら医療保険なしでも成り立つ。ただし、差額ベッド代や先進医療の技術料は対象外となるため、これらに備えたいなら検討する価値がある。自分の貯蓄状況と公的保障の範囲を照らし合わせて決めればよい。

20代の医療保険は月いくらが多い?

医療保険単体の月額相場は商品や保障内容で大きく異なるため、一概には言えない。参考として、2022年度調査では生命保険全体の年間払込保険料の平均は18.7万円(月換算で約1.6万円)だが、これは医療保険だけでなく死亡保険なども含んだ数字だ。医療保険の予算は「続けられる金額」を基準に、自分の家計から逆算して決めたい。

先進医療特約は本当に必要?

必須ではないが、先進医療の技術料は全額自己負担になる点は押さえておきたい。厚生労働省の例では、患者負担が計44万円になるケースが示されている。技術料が高額な先進医療を受ける場合、数百万円の自己負担になることもある。貯蓄で対応できるなら不要という考え方もあるが、月数百円程度の保険料で備えられるため、「安心料」として付ける人もいる。2022年度調査では、20歳代の先進医療特約加入率は男性10.2%、女性15.7%だった。

女性は妊娠・出産前に医療保険が必要?

必須ではないが、妊娠前のほうが保障範囲が広くなりやすい。妊娠後に加入すると、今回の妊娠に関する入院・手術が対象外になるなどの条件が付くことがある。帝王切開などの異常分娩は医療保険の給付対象になることが多いため、出産に備えるなら早めの検討が望ましい。加入可否や保障範囲は商品によって異なるため、具体的な条件は保険会社に確認したい。

共済と医療保険はどっちがいい?

どちらが良いかは一概に言えず、比較して選ぶのが基本だ。共済は掛金が安い傾向にあるが、保障内容がパッケージ化されていてカスタマイズしにくいことがある。医療保険は保障を細かく設計できるが、保険料は高くなりやすい。比較の軸としては、保障範囲、更新時の保険料変動、特約の選択肢、告知の基準などを揃えて検討したい。

持病や通院があっても20代で入れる?

持病や通院歴があっても、加入できるケースはある。ただし、引受条件は商品や保険会社によって異なり、条件付きでの加入(特定部位不担保など)になることもある。告知内容によっては引受不可となるケースもあるため、申込前に引受条件を確認するか、保険会社や代理店に相談してから進めたい。

まとめ

20代の医療保険は、公的保障と貯蓄で足りない部分だけを補う設計でよい。高額療養費制度で医療費の自己負担には上限があるが、差額ベッド代や先進医療の技術料は対象外だ。入院の自己負担費用は平均19.8万円、先進医療の患者負担例は44万円といった数字を参考に、自分の貯蓄で吸収できる範囲を見極めたい。

保障の優先順位は「入院→手術→通院」が基本で、特約は公的保障でカバーされない費用を中心に検討する。終身型か定期型かは見直しの頻度で選び、保険料は貯蓄を止めない範囲で設定する。申込時は支払条件と告知に注意し、乗り換え時は無保険期間を避ける。

判断材料がそろったら、要件メモを作って見積もりを比較し、必要に応じて専門家に相談するのも一つの手だ。ライフイベントに合わせて保障を見直していけば、過剰な保険料を払い続けるリスクも減らせる。まずは今の自分に合った保障を選び、定期的に確認する習慣をつけておこう。

出典一覧

全国健康保険協会(協会けんぽ)「高額療養費簡易試算(70歳未満用)」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/sb3030/sbb30302/1935-66724/

全国健康保険協会(協会けんぽ)「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/sb3040/r139/

厚生労働省「先進医療の概要について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/sensiniryo/index.html

生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」
https://www.jili.or.jp/files/research/chousa/pdf/r4/p050-099.pdf

執筆者

生命保険ナビ編集部は、「保障を無駄なく、安心を最大化する保険選び」を目的として、保険相談のおすすめ先保険相談のキャンペーンを紹介。読者がライフステージに応じて最適な保険設計ができるよう、公平かつ分かりやすい情報発信を心がけている。運営元のアドバイザーナビ株式会社は、IFAや保険代理店のアドバイザーと生活者をつなぐマッチングサービス「生命保険ナビ」を展開中。