- 自分が医療保険に加入する必要があるのかわからない
- 医療保険にどれくらいの人が加入しているのか知りたい
- 医療保険の選び方のポイントが知りたい
少子高齢化が進む日本では、老後の生活に備え医療保険への加入を検討する人が増えてきている。
ただ、日本では公的医療保険制度が整備されているので、民間の医療保険の必要性がわからないという人もいるだろう。
医療保険に入らないと、万が一の際に差額ベッド代や先進医療といった、自己負担費用が家計を圧迫する可能性がある。
将来後悔しないよう、「自分が医療保険に加入する必要があるのか」について検討することが大切だ。
本記事では、「医療保険に入らないと後悔するのか?」という疑問について、想定されるリスクや医療保険に加入するべき人の特徴を踏まえて解説する。
また、医療保険を選ぶポイントについても解説するので、加入するべきか悩んでいるという人にはぜひ参考にしてほしい。
医療保険に入らないと後悔することとは?
民間の医療保険の加入は任意である。加入すると保険料分だけ金銭的な負担がかかるが、病気やケガに関するさまざまな保障を受けることが可能だ。
もし医療保険に加入しないとどのようなリスクがあるのか、メリット・デメリットや入らないと後悔するケースを基に解説する。
医療保険に入るメリット・デメリット
民間の医療保険とは、民間の生命保険会社と損害保険会社などが提供する生命保険の一種である。
主に、被保険者が病気やケガをしたときの、医療費や生活費を保障するのが目的の商品だ。
医療保険に加入しておけば、万が一の身体・精神的なリスクに備えられる。
医療保険に加入する具体的なメリットは次の通りだ。
- 入院や手術、特定の疾病など、公的医療保険(国民健康保険や後期高齢者医療制度など)ではカバーできない範囲を保障できる
- 保険金額を決められた範囲内で任意に設定できる
- さまざまな特約を付加して、自分が思うリスクに対して備えられる
- 払込保険料が介護医療保険料控除(年間上限4万円)の対象になる可能性がある
しかし一方で、医療保険に加入すると次のデメリットがある。
- 月々数千円~数万円の支払いが発生する
- 年齢や持病などの告知の内容によっては、審査に落ちる、保険料が高くなるなどが発生する
- 貯蓄機能がある保険商品が少なく、資産形成方法としては向いていない場合もある
医療保険への加入は、メリット・デメリットを比較してから検討するのがよい。
とはいえ、医療保険に加入しない選択をしたとき、「入っておけばよかった」と後悔するケースも見られる。
後悔しないためには、加入前に「医療保険に入らなかったことによるリスク」をしっかりチェックしておこう。
公的医療保険ではカバーしきれない部分がある
民間の医療保険に加入していないと、公的医療保険ではカバーしきれない範囲の保障が受けられない。
公的医療保険の保障は手厚いものの、次のようなものは保障の対象外だ。
- 入院中の食事代、入院に伴う雑費・日用品代(着替えやタオルなど)
- 差額ベッド代
- 公的医療保険の適用外の治療費・手術代
- 高度先進医療費
- 家族が見舞いに使う交通費
- その他、医師が治療を必要と認めないもの
「公的医療保険で十分だから問題ない」と油断していると、万が一のときに公的医療保険が適用外となる支出に気づき、想像以上の出費につながるリスクがある。
予想外の医療費や生活費の出費が発生すると、医療保険に入らないことを後悔する可能性がある。
想像以上に医療関係の自己負担費用がかかる
原則として、入院中や在宅医療中の治療費・手術費・生活費をまかなえる貯蓄があれば、医療保険に入る必要性は薄くなる。
しかし、医療関係の自己負担費用が想像以上に高くなると、医療保険に入らなかったことを後悔する可能性がある。
例えば、治療や長期入院などで考えられる負担は次の通りだ。
- 必要な先進医療が全額自己負担となり、数万円~数百万円の出費が出る
- 入院が長引き、差額ベット代やその他雑費の出費がかさんだ
- 退院後も障害や治療で仕事に復帰できず、収入が大幅に減少する
- 高額療養費制度を利用しても、医療費の負担が重くなるほど出費が出る
- 資金計画や収支の見積もりが甘く、貯蓄が想像以上に残らない
公益財団法人 生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査(2023年3月)」によると、直近の入院時の自己負担費用の平均は19.8万円となっていた。
全体のうち30万円以上かかった人は、約20%に上る。また、1日あたりの入院費用の平均は2万700円と出ている。
20日入院すれば、41万4,000円もかかるのだ。1日当たりの差額ベッド代は約6,600円、食事代(入院時食事療養費)は1日1,380円となっている。
そして価格が大きくなりがちなのは、先進医療の技術料である。
以下では、先進医療にかかる技術費の主な平均額を見ていこう。
もし医療保険を契約していなかったときは、これらの費用の負担が一気にのしかかってくる可能性がある。
入院が長引けば長引くほど、大きな支出につながるだろう。
医療保険に入ろうと思ったときにはすでに審査に通らず後悔することも
医療保険は、審査に通らないと加入できない可能性がある。
あなたが医療保険に入ろうと思ったときに高齢になっている、持病を持っているなどの状態だと、希望する医療保険に加入できず後悔する可能性がある。
医療保険は原則として、若くて健康なときに選ぶのが一番選択の幅が広いのだ。
そのため、医療保険は早いうちから加入を検討したほうがよい。
もしすでに高齢である、持病を持っているなどの場合は、審査基準が低い引受基準緩和型保険や、保険会社への告知や医師による診察が必要ない無選択型保険を検討しよう。
ただし、引受基準緩和型保険と無選択型保険は保険料が割高になる傾向がある。
医療保険の加入率と入るべき人の特徴とは
ここからは医療保険についての判断の参考となるよう、医療保険の加入率や加入すべき人の特徴を解説する。
なお、解説内容は一意見であり、該当する方に医療保険が必ず合うと保証するものではない。
参考程度に見ていただけると幸いだ。
医療保険の加入率の推移
公益財団法人 生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査(2023年3月)」によると、疾病入院給付金が支払われる生命保険加入率(民間の生命保険・個人年金保険限定、18~69歳)は、1996年から2022年まで80%以上となっている。
年代 | 疾病入院給付金が支払われる生命保険加入率 (民間の生命保険・個人年金保険のみ) |
---|---|
2022年 | 81.6% |
2019年 | 86.8% |
2016年 | 86.5% |
2013年 | 88.1% |
2010年 | 87.9% |
2007年 | 87.6% |
2004年 | 86.4% |
2001年 | 87.6% |
1998年 | 86.1% |
1996年 | 84.8% |
2022年は新型コロナウイルス感染拡大や世帯収入減少などの影響で少し下がっているが、それでもほとんどの人が医療保険に加入していることがわかる。
さらに同法人による「2021(令和3)年度生命保険に関する全国実態調査(2021年12月)」によると、民保に加入している世帯(かんぽ生命を除く)における、特定の保障機能を持つ生命保険や特約の世帯加入率として、「医療保険・医療特約」が93.6%と非常に高い数値が出た。
このように、日本で医療保険に加入する人は非常に多い。将来的な病気やケガへの備えを、しっかりと準備していると言えるだろう。
年齢別・性別別の医療保険加入率
同調査の「付属統計資料」における、疾病入院給付金付き生命保険・個人年金保険加入率を、年齢別・男女別で見ていこう。
男性の年齢 | 疾病入院給付金付き生命保険加入率 |
---|---|
20歳代 | 28.5% |
30歳代 | 64.4% |
40歳代 | 66.9% |
50歳代 | 70.9% |
60歳代 | 67.8% |
70歳代 | 55.5% |
女性の年齢 | 疾病入院給付金付き生命保険加入率 |
---|---|
20歳代 | 43.8% |
30歳代 | 70.2% |
40歳代 | 74.9% |
50歳代 | 78.3% |
60歳代 | 74.9% |
70歳代 | 66.5% |
上記の結果を見るに、男女共20代の医療保険加入率が非常に低いことがわかる。
30代になると、加齢によるリスク、家族が増えることによる保険への意識の向上、収入増による保険商品購入の余裕度などが要因で、加入率が上がっていると考えられる。
さらに、同調査から本人職業別の統計も紹介する。
女性はいずれの職業も70%を超えているが、男性は自営業が63.2%、農林漁業が58%、非正規社員が47%と低い数値となっていた。
また無職の場合は男性53.3%、女性67.4%と性別ごとの平均を下回る結果となっている。
職業別を全体的に見ると、加入率は平均で60〜70%と高水準を保っている。
医療保険に入るべき人の特徴
各統計調査の加入率や傾向を分析した上で、医療保険に加入すべき人の特徴を以下でまとめた。
- 貯蓄が少なく、入院費や治療中の生活費などを確保できない人
- 自分が働けなくなったときに経済ダメージが大きい人
- 自営業者・フリーランスなど、会社員より社会的な保障が手薄な人
- 配偶者や子どもを養っており、自分が倒れると家族にも大きな影響が出る人
- 専業主婦(主夫)で、企業保険の加入や収入がない人
上記に該当するときは、医療保険への加入を検討するとよいだろう。
医療保険を選ぶ際のポイントとは
医療保険を選ぶ際のポイントとして、「あなたに必要な保障内容は揃っているか」「必要保険期間や保険料を計算しているか」「特定疾病保障保険・特定疾病保障特約があるか」の3ポイントを確認しよう。
あなたに必要な保障内容は揃っているか
医療保険へ加入する前には、契約予定の商品に「あなたが必要とする保障内容が揃っているか」をチェックしよう。
医療保険とは一言で言っても、保険会社や保険商品ごとに主契約の保障内容、保険料、設定できる給付金額、付けられる特約などに違いがある。
どの商品を選んでも、自分が思う保障が受けられるわけではない。
例えば先進医療に関する保障を受けるときは、先進医療に対応するプランのものや、先進医療の特約が付けられる商品を選ぶのがよい。
「自分にはどの保障が必要かわからない」という場合は、保険商品を選ぶ前に「なぜ医療保険に入りたいのか」「自分にとって一番恐れるリスクは何か(一番受けたい保障は何か)」について、自己分析を行おう。
必要保険期間や保険料を計算しているか
医療保険における、あなたが必要だと思う保険期間や保険料はあらかじめ計算しておこう。
必要保険期間や保険料が曖昧だと、給付金額が足りなくなったり、必要以上の保障のために月々の保険料を多額に支払ったりなどのトラブルに発展する可能性がある。
必要保険期間と保険料を計算するときは、最初に自身の経済状況を正確に把握することが大切だ。
経済状況が明確になれば、〇〇日入院したときに貯蓄で足りるか、半年間働けなくなったときに生活できるお金があるかなどがわかり、保険期間や保険料が決まりやすくなる。
特定疾病保障特約や先進医療特約は必要か
特定疾病保障特約や先進医療特約が付いている医療保険なのかは、事前に確認しておこう。
とくに高齢者は特定疾病にかかる可能性やかかった際のリスクが高いので、健康なうちに加入を検討することがおすすめだ。
先進医療特約については、先進医療を受けると家計を大きく圧迫する場合に加入しておくのがよい。
公益財団法人 生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」の特定疾病保障保険・特定疾病保障特約の加入率(18〜69歳)を見ると、約3割前後となっている。
年代 | 全生保の特定疾病保障保険等加入率 | 民保の特定疾病保障保険等加入率 |
---|---|---|
2022年 | 34.1% | 31% |
2019年 | 36.1% | 31.8% |
2016年 | 33.6% | 29.5% |
2013年 | 33.7% | 29.3% |
2010年 | 29.8% | 26.2% |
2007年 | 28.2% | 24.8% |
2004年 | 24.5% | 21.8% |
2001年 | 22% | 19.2% |
とくに加入率が多い年代は、30〜50代だった。また、2022年における先進医療保険・先進医療特約の加入率は全生保25.6%・民保22.7%となっている。
こちらの数値も参考に医療保険を選んでほしい。
医療保険に入らないと後悔することを理解しながらあなたに最適な保険選びを
本記事では、「医療保険に入らないと後悔するのか?」という疑問について、想定されるリスクや医療保険に加入するべき人の特徴を踏まえて解説を行った。
医療保険に加入しないと、長期入院による生活費圧迫や将来の貯蓄減少などのリスクが考えられる。
年代や職業問わず加入率は高水準となっているが、加入の際には自分に必要な保障内容を検討することが重要になるだろう。
もし、一人で自分に必要な医療保険を選べるか不安だという方は、保険のプロに相談するのがよい。
1人ひとりに合ったアドバイスをもらうことで、あなたに必要な医療保険を的確に選択できるはずだ。
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