- がん保険の死亡保険金が支払われない事例を把握したい
- 死亡保険金にかかる相続税についての知識を身に付けたい
- がん保険をどのように選ぶべきかわからない
がん保険は、高額な医療費から日々の生活を守るために有効な手段と言える。
しかしながら、死亡保険金については対象となる範囲が限定的であることから、がん保険で死亡保障を備えることはおすすめできないという意見もある。
そこで本記事では、がん保険の死亡保険金について、支払い条件と注意点を解説する。
また、死亡保険金の他に受け取ることのできる給付金の種類や、がん保険を選ぶ際のポイントについてもまとめた。
ぜひ本記事を参考にして、がん保険を賢く活用してほしい。
がん保険の死亡保険金とは?支払い条件と注意点
がん保険の死亡保険金は、支払い条件を満たせば数百万円〜数千万円が受取人へ給付される保障である。
がん保険の死亡保険金の概要や支払い条件、死亡保険金が支払われないケース、その他注意点などについて見ていこう。
がん保険の死亡保険金とは
がん保険の死亡保険金は、がん死亡保険金とそれ以外の死亡保険金に分かれる。
がん死亡保険金とは、がんが原因で死亡したときに、あらかじめ設定した受取人が受け取れる保険金の一種である。
がん死亡保険金の金額は、保険契約にあるがん入院給付金日額(がんの治療を目的として、入院したときに支払われる給付金)を基準に決められることが一般的だ。
通常の死亡保険金より、高い金額が設定されているケースが多い。
一方で、がん以外で死亡したときに受け取れる死亡保険金を設けた保険商品も存在する。
このタイプの商品はがん保険で他の病気などに備えられるメリットがあるものの、がん死亡保険金より安い金額が設定されているのが一般的である。
あくまでがん保険の補助的な役割だと認識しておこう。
国立研究開発法人国立がん研究センター「最新がん統計」の「がんで死亡する確率~累積死亡リスク(2021年度累計死亡リスク グラフデータベース)」によると、生涯がんで死亡する確率は男性26.2%・女性17.7%と、4~6人に1人が、がんで死亡しているとの結果が出ている。
また厚生労働省の「令和4年(2022)人口動態統計(確定数)(2023年9月)」では、悪性新生物(腫瘍)による死亡率が全体の24.6%(前年26.5%)と1位となっていた。
2位の心疾患の14.8%(前年14.8%)と比較しても、非常に大きな割合を占めている。
がん保険の死亡保険金による備えを検討することは、決して他人事ではないと言えるだろう。
がん保険の死亡保険金にかかる税金
がん保険の死亡保険金にかかる税金は、保険料を払い込む人・被保険者・保険金の受取人の3者の関係で種類が変わる。1つずつ例を見ていこう。
相続税が課せられるパターン
保険料払込者 | 被保険者 | 保険金の受取人 |
---|---|---|
A | A | B |
がん保険の保険料を支払う人が被保険者でもある場合は、「亡くなった人の財産を相続する」という流れになるので、相続税が発生する。
配偶者や子どもに死亡保険金を残すケースなどが考えられるだろう。
相続税が発生するパターンだと、死亡保険金に非課税枠が適用される。
具体的には、「500万円×法定相続人」までの金額が非課税だ。
例えばがん死亡保険金が1,500万円で相続人が妻と子ども2人だったときは、非課税枠は500万円×3=1,500万円となり、がん死亡保険金1,500万円の全額に税金がかからない。
所得税が課せられるパターン
保険料払込者 | 被保険者 | 保険金の受取人 |
---|---|---|
A | B | A |
がん保険の保険料を支払う人が保険金の受取人となっているときは、「保険料を支払っていた人が収入を得る」という流れになるので、所得税が発生する。
被保険者の配偶者や子どもが亡くなったケースなどが挙げられるだろう。
がん死亡保険金を一時金としてまとめて受け取ったときは、一時所得扱いになる。
一時所得は、「(受け取ったがん死亡保険金-払込保険料総額-特別控除50万円)÷2」で算出した金額となる。
贈与税が課せられるパターン
保険料払込者 | 被保険者 | 保険金の受取人 |
---|---|---|
A | B | C |
保険料払込者、被保険者、保険金の受取人が全員違う人物のときは、「保険料を支払う人の財産を受取人へ贈与する」という流れになるので、贈与税が発生する。
被保険者の配偶者が亡くなったときに、子どもが保険金を受け取るケースなどが挙げられる。
贈与時の所得は、原則としてがん死亡保険金の金額から基礎控除110万円を差し引いて算出する。
ただしがん死亡保険金以外にも贈与に該当する財産を受け取っているときは、がん死亡保険金+その他の財産の金額の合計値から110万円を控除しなければならない。
贈与税率は所得税率よりも高くなるので、受取人を選ぶときは贈与で問題がないかあらかじめ確認しておこう。
がん保険の死亡保険金が支払われないケース・注意点
がん保険の死亡保険金での死亡保障を考えるときは、がん保険の免責期間に注意しておこう。
がん保険の免責期間とは、がん保険の契約開始から一定の期間設けられた、がんと診断されても死亡保険金が支払われない期間のことである。
多くのがん保険は、90日または3か月の免責期間が設定されている。
例えば契約した日から2か月後にがん診断が確定しても、90日以内での診断なので死亡保険金を含めて給付金は出ない。
がん保険への加入は、自分が健康なうちに行うのがよいだろう。
また当然ながら、がん保険は原則としてがんに関する死亡・入院・治療でないと保障を受けられない。
がん以外の病気やケガに備えたいときは、医療特約を付けるか、がんを含めた総合的な保障を行う生命保険への加入を検討しよう。
さらにがん保険への加入を検討する際は、次の点も確認しておくことをおすすめする。
- 終身がん保険にするか、定期がん保険にするかを見る
- あなたの経済状況、家族構成、貯蓄状況などに合う保険料(がん死亡保険金の金額)にできるか
- がん保険以外で備える方法(資産運用や貯蓄など)は検討していないか
- がん保険の保障内容はどのようなものがあるか(一時金を受け取るのか、入院に備えるのか、治療ごとに保険給付を得られるのかなど)
- 特約はどれくらい付与するか
- がん以外の病気への備えはどうするのか(がん保険に特約を付けるのか、他の保険商品でカバーするのか)
がん保険のメリット・デメリットを事前に確認し、がん保険の種類やがん死亡保険金の金額を決めるようにしよう。
がん保険で受け取れる給付金の種類
がん保険で受け取れるのは、がん死亡保険金以外にもさまざまな保険金・給付金が存在する。
そこでここでは、がん保険で受け取れる保険金・給付金の種類や、がん保険の有効な活用方法について見ていこう。
がん保険の給付金の種類
がん保険の保険金・給付金の種類として、主に次のものが挙げられる。
がん保険における 一般的な給付金等 | 概要 |
---|---|
がん入院給付金 | ・がんの治療を目的とした入院をしたときに受け取れる給付金 ・医療保険の給付金とは異なり、支払限度日数が原則として無制限 |
がん診断給付金 | ・がんの診断が確定したときに受け取れる一時金 ・保険期間を通じて複数回受け取れる商品なら、治療の長期化や再発などが起こったときも受け取れる |
がん手術給付金 | ・がんの治療を目的に所定の手術を行ったときに受け取れる給付金 ・手術の種類に応じて、入院給付金日額の10倍や20倍などが設定されている |
がん放射線 治療保険金 | がんの治療を目的に所定の放射線治療を受けたときに受け取れる給付金 |
がん通院給付金 | がんで入院し退院した後、がんの治療を目的に通院したときに受け取れる給付金 |
がん先進医療 給付金 | がんの治療を目的に所定の先進医療による療養を受けたときに発生する、その技術料相当額の給付金 |
抗がん剤治療 給付金 | がんの治療を目的に所定の抗がん剤治療を受けたときに受け取れる給付金 |
上記の他にも、保険会社ごとに設けられたがん関係の保険金・給付金が存在する。
どのような保障が受けられるかは、保険会社の商品ページ、資料、担当者への質問などで確認しておこう。
近年では医療の発達によってがんによる入院日数が短期化している。
短期化の影響によってがん通院給付金やがん放射線治療保険金など、通院や治療の回数ごとに受け取れるタイプも注目されている。
とはいえ、がん治療の長期化や再発・転移などによって入退院が繰り返される可能性は低くない。
自分の健康状態や家系などを見た上で、がん入院給付金のほうが保障が手厚くなると思ったときはがん入院給付金を検討しよう。
なお、がん保険の保障内容についてはこちらでも説明している。さらに詳しく知りたいという方はチェックしてほしい。
がん保険の有効な活用方法
がん保険で受け取れる保険金・給付金の有効な活用方法の例として、次のものが挙げられる。
- 長期的ながん治療にかかる費用
- 配偶者や子どもへ残す相続財産や葬儀費用
- がん入院から退院後の生活費や交通費
- 貯蓄型のがん保険でがん保障を受けながら、満期保険金や解約返戻金などで老後資金・教育資金の積立
主な活用方法は、がん治療に関するものが主流になる。
がんでの入院は1回あたり数十万~数百万円、退院後の通院・治療1回ごとに数千~数万円がかかると言われている。
がん保障は他の病気・ケガよりも得られる給付金が多い傾向にあるので、がんに関する保障はがん保険が適していると言えるだろう。
がん保険を選ぶ際のポイント
あなたのニーズに合うものや、万全の保障となるがん保険を契約するには、がん保険を選ぶ際のポイントを押さえておこう。
がん保険の商品タイプを決める
がん保険の保障内容は、主に次の3タイプに分けられる。
- がんの診断を受けたときに給付金が出る診断給付金
- がん治療のための入院日数に応じて給付金が出る入院給付金
- 放射線治療や抗がん剤・ホルモン剤治療、手術など受けた治療に応じて給付金が出る治療給付金
がんの診断を受けてすぐに給付金を得たいなら、診断給付金が出る商品や特約をおすすめする。
入院前の準備にかかる生活費、セカンドオピニオン用の費用などを即座に準備が可能だ。
年齢が高い、健康状態に不安がある、がんの家系であるなどで長期的な入院・通院が見込まれる場合は、入院給付金や治療給付金が出るタイプもよいだろう。
とはいえ、多くのがん保険は主契約と特約を組み合わせればいずれの保障も受けられるケースが多い。
特約を付けた分だけ保険料は上がるので、あなたの貯蓄状況や収入などに見合うものを選ぼう。
長期治療を見越した計画を立てておく
医療の進歩で入院日数が減ってきたとはいえ、がん治療は退院後も長期に渡る可能性がある。
がん保険を選ぶときは、長期入院・再発・転移なども想定しつつ、10年レベルの保障を想定した計画を立てておくのがよいだろう。
健康状態に応じたがん死亡保険金や特約を設定する
がんの原因となるのは、喫煙、飲酒、食生活、運動不足、標準から外れた体型など、生活習慣の悪さも関係があるかもしれないと言われている。
健康づくりや定期的な検診を行っている人は、がんの早期発見などにつながりやすく、早めに対処しやすいだろう。
自身の健康状態によっては、保障を少なめにすることも考えられる。
一方で健康状態や生活習慣に自信がない人は、手厚い保障を付けることを検討するとよいだろう。
がん保険の保険期間や保険料払込期間などを決める
がん保険も他の保険商品と同じく、保険期間や保険料払込期間、設定した保険金・給付金の金額などによって、払込保険料の総額や1回の支払額(月払・年払など)が変わる。
がん保険を選ぶときは、「あなたが求めている保障内容」と「定期的に発生する保険料の支払い」のバランスを取ることが大切だ。
例えば保障を充実させる一方で月々の保険料が高くなりすぎると、毎日の生活に影響が出る可能性がある。
自分にとってどのがん保険が合っているのかわからないときは、あなたの経済状況やライフプランなどを洗い出した上で、保険会社の担当者や保険のプロへ相談してみるのがよい。
がん保険は死亡保険金より「生きるための保障」を重要視しよう
本記事では、がん保険の死亡保険金について、支払い条件と注意点を解説した。
がん保険の死亡保険金は、がんを直接的な死因とする場合に限り、受け取ることができる。
保険に加入する際には、1人ひとりのライフステージに合わせ、自分に必要な保障内容を備えた保険に入ることが求められる。
今回紹介した保険選びのポイントを参考に、あなたに合った保険を見つけるようにしてほしい。
何より重要なことは、各保険の特徴を理解し、また自分自身の生活環境や経済状況、健康状態を考慮して加入する保険を判断することだ。
どの保険に入るべきかの判断に少しでも疑問や不安があれば、保険のプロに相談することも積極的に検討してほしい。
1人ひとりに合うアドバイスをもらうことで、あなたのニーズに合致した保険を見つけられるだろう。
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