- 生命保険に複数加入できるのかわからない
- 生命保険に複数加入する際の注意点を知りたい
- 自分に必要な生命保険を選ぶポイントが知りたい
生命保険はいざという時に自分や家族の暮らしを保障してくれるもので、日本ではほとんどの人が生命保険へ加入している。
そんな生命保険に複数加入できるのか、気になるという人も多いのではないだろうか。
結論から言えば、複数の生命保険に加入することは可能である。
そこで本記事では、生命保険に複数加入するメリットとデメリット、さらに自分に合う保険を選ぶ際に重視すべき点について解説する。
生命保険に複数加入するか悩んでいる人には、ぜひ参考にしてほしい。
生命保険に複数加入するメリット
複数の生命保険に加入するメリットは、主に以下の3点だ。
- 給付金が増える
- 保障を手厚くできる
- 保険会社のリスクを抑えられる
順番に確認していこう。
給付金が増える
生命保険に複数加入していると、単純に受け取る給付金が増えるというメリットがある。
保険には、生命保険のほか医療保険や損害保険などの種類がある。
この中で、生命保険と医療保険は保障内容が重複していたとしても、複数の保険会社から保険金を受け取れる。
一方、損害保険の場合は、実際に発生した損害を補償する「実損補填」という考え方に基づいて保険金が支払われるため、複数の保険に加入していたとしても実際に受けた損失以上の保険金が受け取れない。
生命保険に複数加入していると、保障の対象となる事由が発生した場合に保険金を両方から受け取れるため、万が一の際の給付金が通常よりも増える。
死亡や高度障害状態、怪我や病気などの万が一のリスクにしっかりと備えたいという方にとっては、複数加入できるのは良い点だろう。
また、相続対策として複数の保険に加入するという方法も考えられる。
生命保険の死亡保険金は、500万円×法定相続人の人数までは非課税で相続できる。
そのため、相続人の人数分生命保険を契約して、それぞれ違う家族を受取人に設定しておくという方法も有効だ。
生命保険の形にして残すことで、預金よりもスムーズにお金を次の世代に受け渡せるというメリットもある。
保障を手厚くできる
複数の生命保険に加入すると、それぞれの保険で足りない部分を補いながら、保障の範囲を広げられる。
例えば、A社の生命保険がカバーしている疾病とB社の生命保険がカバーしている疾病が異なる場合、両方の保険に加入していればどちらの疾病にも対応できる。
複数の保険会社の商品の良いとこ取りをできるのは大きなメリットと言えるだろう。
さらに、すでに加入している保険の足りない部分を補完するのにも役立つ。
子供の頃から加入している保険や会社の福利厚生として加入している保険などがある場合、家族構成やライフスタイルの変化に応じて、もう少し保障を手厚くしたいなど保険に求めるニーズが変わってくることがある。
今ある保険に足りない部分を新しい保険でカバーするように設計すると、年齢やライフステージの変化にも対応しやすい。
保険会社のリスクを抑えられる
生命保険の契約は、一般的に10年〜30年などの長期にわたる場合が多い。
そのため、契約中に保険会社が破綻してしまう可能性がないとはいえない。
生命保険会社が破綻した場合、「生命保険契約者保護機構」によって一定の契約者保護が図られるため、契約がまったくなくなってしまうわけではない。
生命保険契約者保護機構には国内のすべての生命保険会社が加入しており、破綻した保険会社の契約を引き継ぐ救済保険会社や承継保険会社に対して、必要に応じて金銭的なサポートが行われる。
ただしその場合も、保険金が削減されたり、契約条件が変更されたりするリスクは存在する。
複数の保険会社の商品を契約していれば、保険会社の破綻リスクにも備えやすいだろう。
また、複数の保険会社と契約していると、それぞれに担当者がつく場合がある。
特定の担当者だけと付き合うと、得られる情報が偏ってしまう可能性があるが、複数の保険会社と契約することで、様々な立場・観点からのアドバイスや提案がもらえるという点もメリットだ。
生命保険の通算制限に注意
上記のように、複数の生命保険に加入するメリットはいくつかある。
ただし、生命保険には通算制限というルールが設けられている点に注意しよう。
生命保険には、犯罪防止や加入者間の公平性を守るという目的で限度額が設けられている。
多くの場合、年齢や年収、職業などに照らして、保険金額が大き過ぎないかをチェックする。
契約内容に問題があると判断された場合は、保険に加入できなかったり、希望の保険金額よりも少ない金額が設定されたりするケースもある。
保険会社は、他社間であっても独自のネットワークを通じてそれぞれの会社の契約内容などを紹介できるため、他社の契約状況とも照らしながら契約可否を判断するのだ。
そのため、複数の生命保険を契約できるからといって、無制限に大きな死亡保険金を設定できるわけではない。
また、被保険者が15歳未満の場合、保険に加入できる限度額を1,000万円までと定めているのが一般的だ。
これは、未成年者を犯罪などから守る目的で定められた規定となっており、複数社の契約がある場合は合計の金額となる。
生命保険に複数加入するデメリット
生命保険の複数加入にはさまざまなメリットがある一方、いくつかデメリットも存在する。
下記の3つのデメリットについて詳しく確認していこう。
- 内容の定期的な見直しが必要になる
- 保険料の負担が増える
- 保険の管理や保険金の請求に手間がかかる
内容の定期的な見直しが必要になる
複数の生命保険に加入していると、場合によっては保障内容が重複してしまうことがある。
保険会社の営業員は、自社で契約している保険の契約内容に基づいて他の保険を提案する。
そのため、新たに提案された保険商品が、すでに他社で契約している保険の保障内容と同様の内容となってしまう可能性もある点に注意しよう。
また、年齢や家族構成、収入、ライフステージの変化によっては、今ある保険を見直す必要が出てくる。
複数の保険を契約している場合は、その分見直しの頻度も多くなるだろう。
一つの保険の見直しを行った場合、他の保険も同時に見直す必要があり、その分手間や労力がかかる点に気をつけたい。
加えて、保険の見直しの際に複数の保険会社の営業員のアドバイスを受けられるのはメリットでもある一方、提案が食い違った場合に、どの提案を受け入れるべきか決断に迷ってしまいやすくなるというデメリットもある。
保険料の負担が増える
当然のことながら、複数の保険に加入するとその分毎月支払う保険料の負担は増加する。
あれもこれもと必要以上に保障を手厚くすると、保険料の支払いによって家計の支出が大きく圧迫される可能性もある。
自分や家族の生活を守るために保険に加入するはずなのに、保険料支払いのせいで生活が苦しくなってしまっては本末転倒だ。
複数の保険を契約する場合も、毎月の保険料支払いは余裕を持って行えるかや、必要以上に手厚い保険に加入していないかをしっかりとチェックしよう。
また、保険商品の中には早期に解約すると元本割れしてしまうものも多いため、気軽に契約・解約するのも避けたい。
保険の管理や保険金の請求に手間がかかる
いくつもの保険に加入していると、管理や請求の手間が発生しやすい点にも注意が必要だ。
住所変更や保険金請求手続きは保険会社ごとに行う必要があるため、一社のみと契約している場合に比べて手続きが煩雑になる。
例えば、死亡保険金を受け取るためには、以下の流れで手続きを行う必要がある。
- 保険金受け取り事由の発生
- 契約者または受け取り人が保険会社に連絡を入れる
- 請求に必要な書類を用意して請求手続きを行う
- 保険会社によって支払可否の判断がされる
複数の保険会社で契約している場合は、それぞれの会社で上記の手続きを行う必要がある。
なお、請求に必要な書類は、保険会社所定の請求書の他、被保険者の住民票や受取人の戸籍抄本、印鑑証明、医師の死亡診断書などとなる。
保険会社によって細かい手続きや必要書類が異なるため、それぞれチェックして手続きを進めるのには労力も必要だ。
いざというときに速やかに保険金を受け取れるように「どの保険会社で」「何の保険を」「いくら」契約しているかをまとめておくのをおすすめする。
生命保険は複数加入するべき?自分に合う保険を選ぶためのポイント
保険選びにおいては、自分にあった保険かどうかが重要だ。
特に、以下のポイントを押さえておこう。
- 必要な保障額を計算しておく
- 保障期間と保険料が適切か確認する
- ライフステージと保障内容を比較する
必要な保障額を計算しておく
万が一の際にいくらのお金が必要かを計算しておくことが重要だ。
生命保険の死亡保険金は、残された遺族が今後必要となると考えられるお金から、今後得られる収入を引いて算出する。
遺族の支出には、配偶者や子供の今後の生活費、家賃や住宅ローンなどの住居費、子供の教育費、葬儀代・お墓代などが挙げられる。
また、遺族の収入としては、遺族年金や配偶者の年金・収入、死亡退職金などがある。
仮に、今自分が死亡した場合、遺族の収入・支出はどのようになるかシミュレーションしてみると良いだろう。
もちろん、貯蓄が十分にあって使う予定がない場合は、その分は必要保障額から引いて構わない。
自分自身で計算が難しいという場合は、保険のプロに相談してみるのも良いだろう。
生命保険ナビでは、自分のニーズに合った保険のプロを簡単に検索できるため、ぜひ気軽に利用してみてほしい。
保障期間と保険料が適切か確認する
保険選びの際は、保障期間や保険料にも注目しよう。
死亡保険の場合、保障期間が決められた「定期保険」と保障が一生涯続く「終身保険」の2種類がある。
さらに、定期保険は、満期が来ると自動的に契約が更新される「更新型」と、満期が来ると契約が終了する「全期型」に分けられる。
死亡保険の保険料は、年齢が高くなるほど上がるのが一般的で、定期保険の更新型の場合は、更新のたびに保険料が高くなる。
「子供が大きくなるまで手厚い保障が欲しい」「60歳以降は葬式代を残せれば十分」といったように、必要な死亡保障の金額や保障期間は人によって異なるため、ニーズに合わせた保険を選ぶのが大事だ。
なお、生命保険文化センターによる2022(令和4)年度「生活保障に関する調査」によると、世帯年収別の年間払込保険料の分布および平均額は下記の通りだ。
12万円未満 | 12〜24万円未満 | 24〜36万円未満 | 36〜48万円未満 | 48〜60万円未満 | 60万円以上 | わからない | 平均(万円) | |
全体 | 39.5 | 30.2 | 13.3 | 4.4 | 1.9 | 3.3 | 7.5 | 17.9 |
300万円未満 | 52.0 | 28.5 | 9.1 | 2.5 | 0.9 | 1.5 | 5.5 | 13.4 |
300〜500万円未満 | 40.5 | 31.5 | 14.0 | 3.8 | 1.7 | 2.3 | 6.2 | 16.9 |
500〜700万円未満 | 37.2 | 29.9 | 16.8 | 4.2 | 1.7 | 2.7 | 7.5 | 18.2 |
700〜1,000万円未満 | 29.0 | 29.9 | 16.6 | 5.8 | 2.0 | 5.4 | 11.2 | 22.1 |
1,000万円以上 | 22.6 | 28.6 | 18.8 | 6.4 | 6.0 | 9.0 | 8.5 | 27.4 |
出典:生命保険文化センター 生活保障に関する調査
全体では、年間の払込保険料の額は「12万円未満」と答えた割合が最も多く、39.5%を占めている。
次いで、「12〜24万円未満」と答えた割合が30.2%となっている。
年間払込保険料の平均額は17.9万円となっており、世帯年収が高くなるほど保険料の平均額も上がっている。
世帯年収に対してどのくらいの保険料が適切かわからないという方は、上記の調査も参考にしてみると良いだろう。
ライフステージと保障内容を比較する
必要な保障は、年齢やライフステージの変化によって変わる。
例えば、結婚や出産など家族が増えるタイミングは、保険を見直すべきタイミングでもある。
結婚や出産をすると守るべき家族が増えるため、必要な死亡保障が大きくなりやすい。
特に、子供が生まれると、その後の生活費や教育費など、まとまったお金が必要となるため、万が一の際の保障が十分足りるかどうかチェックしよう。
逆に、住宅を購入したり、子供が独立したりといったタイミングでは、今後必要となる支出は小さくなりやすいため、保障額を少なく設定し直しても良いだろう。
同じ年齢であっても、ライフステージによって適切な保障内容は異なるため、自分の家庭に適した保障内容かどうかを定期的に見直すことが重要となる。
生命保険は複数加入で保障が手厚くなる!デメリットも踏まえて検討しよう
本記事では、生命保険に複数加入するメリットとデメリット、さらに自分に合う保険を選ぶ際に重視すべき点について解説した。
生命保険に複数加入することで、自分に合う保障内容の保険を組み合わせることが出来るが、保険料が増え管理が大変になることは理解しておこう。
また、自分に合った保険を選ぶためには、必要な保障額を計算したり、保障期間が適切かどうかを検討する必要がある。
そのため、本記事を理解しただけではどの生命保険に入るべきかわからないという人は、保険のプロに相談することも検討してほしい。
一人一人に合ったアドバイスをもらうことで、あなたに必要な生命保険を的確に選択することができるはずだ。
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