50代の生命保険見直しは必要?理由と判断軸を紹介

「今の保険、本当にこのままでいいのだろうか」

——50代になると、そんな漠然とした不安を抱える人が増える。子どもの独立、住宅ローンの終盤、退職の足音。生活の前提が変わりつつあるのに、保険だけが20年前のまま、ということは珍しくない。

2024年の調査によると、生命保険の世帯加入率は50〜54歳で93.4%、55〜59歳で94.0%にのぼる。

つまり、ほとんどの世帯が何らかの保険を持っている。問題は「持っているかどうか」ではなく、「今の自分に合っているかどうか」だ。

この記事で解決できるお悩み
  • 今の保険が自分に合っているか判断できない
  • 見直しで何をどう変えればいいかわからない
  • 解約や乗り換えで損をしたくない
  • 相談先の選び方がわからない
  • 公的保障でどこまでカバーされるか知りたい
目次

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「50代の生命保険の見直し」とは何を確認する?

見直しとは、保険を「解約する」ことではない。

今ある保障が目的に合っているかを確認し、必要なら調整する作業である。まずは「何を変えられるのか」を知ることから始めよう。

50代になると、世帯主の保険加入件数は平均2.0〜2.3件にのぼる。複数の保険を持っていると、どれが何の目的なのか曖昧になりがちだ。見直しの第一歩は、自分が「何を持っているか」を正確に把握することである。

見直しで動かせる4項目

生命保険の見直しで変更できるのは、大きく分けて4つ。保障額保障期間特約、そして払込(払込期間や払済への変更を含む)である。

保障額を減らせば保険料が下がる。保障期間を短くすれば、必要な時期だけに集中できる。特約は追加も削除もできるが、一度外すと再付加できないものもある。払済に変更すれば、以降の保険料負担をゼロにしつつ保障を残せる場合がある。

どれを動かすかは、「何のための保険か」という目的によって決まる。順番としては、まず目的を固定してから、それに合わせて4項目を調整するのが基本だ。

項目何を変えるメリット注意点
保障額死亡保険金や入院日額など過剰な保障を減らせば保険料が下がる不足すると万一のとき困る
保障期間いつまで保障が続くか必要な期間だけに絞れる短くしすぎると空白期間が生じる
特約主契約に付加するオプション不要な特約を外せば保険料が下がる一度外すと再付加できない場合あり
払込払込期間の変更、払済への移行払済なら以降の保険料がゼロ保障額が減る、特約が消える場合あり
生命保険の見直しで動かせる4項目

生命保険の種類を整理

生命保険は「目的」で分類すると整理しやすい。大きく分けると、死亡保障、医療保障、がん保障、介護保障、就業不能保障の5つになる。

死亡保障は、万一のときに遺族の生活費や教育費、葬儀費用をカバーするもの。医療保障は入院や手術の費用を補填する。がん保障はがんに特化し、診断一時金や通院給付が含まれることが多い。介護保障は要介護状態になったときの費用に備える。就業不能保障は、病気やケガで働けなくなったときの収入減をカバーする。

複数の保険を持っていると、同じ目的の保障が重複していることがある。逆に、必要な目的の保障が抜けている場合もある。まずは自分の保険がどの目的に当たるのかを整理してみよう。

50代で増える見直しタイミング

50代は、見直しを考えるきっかけが増える年代だ。具体的には、子どもの独立、住宅ローンの完済または終盤、役職定年や転職、退職準備、そして健康診断の結果が気になり始める時期である。

これらの出来事は、保険の「前提」を変える。たとえば、子どもが独立すれば教育費の心配は減る。住宅ローンを完済すれば、団信(団体信用生命保険)で賄っていた死亡保障の役割も終わる。

「何かあったら見直そう」ではなく、出来事をきっかけに点検する習慣をつけておくと、ムダな保険料を払い続けるリスクを減らせる。では、そもそも見直しが必要なのはどんな人なのか。

50代で生命保険を見直す必要性

50代の生命保険加入率は9割を超える。ほとんどの人が何らかの保険を持っている状態だ。しかし、加入しているからといって「安心」とは限らない。問題は、その保険が今の自分に合っているかどうかである。

自分がどこに当てはまるか、チェックしながら読み進めてほしい。

見直しが必要になりやすい人

以下のような条件に当てはまる人は、見直しの優先度が高い。

  • 扶養家族の人数が加入時と変わっている
  • 世帯の貯蓄額が大きく増減した
  • 保険の更新時期が近づいている
  • 毎月の保険料が家計を圧迫している
  • 保険証券を見ても内容が説明できない

特に「複数の保険に入っているが、それぞれの目的がわからない」という人は要注意だ。50代の世帯主は平均で2.0〜2.3件の保険に加入している。契約が複数あると、重複や抜け漏れが起きやすくなる。

「よくわからないまま入った」「勧められるがまま特約を付けた」という場合は、一度棚卸しをする価値がある。

見直しが急務なサイン

以下のサインがある場合は、早めに動いたほうがいい。

  • 保険会社から「更新のお知らせ」が届いた
  • 更新後の保険料が大幅に上がる見込み
  • 健康診断で指摘事項が増えてきた
  • 毎月の家計が赤字気味で保険料が重荷
  • 数年以内に退職を控えている

更新型の保険は、更新のたびに保険料が上がる仕組みになっていることが多い。更新通知が届いてから慌てて検討すると、十分な比較ができないまま決めてしまうことがある。届いたら「見直しのサイン」と捉えよう。

健康状態は保険の加入条件に影響する。健診で指摘事項が増えてきたら、新しい保険に入りにくくなる可能性がある。先延ばしにするほど選択肢が狭まる点は意識しておきたい。

見直しが不要なケース

一方で、以下の条件が揃っているなら、大幅な変更は必要ないかもしれない。

  • 保険の目的(誰を守るか、何に備えるか)が明確で、今も変わっていない
  • 保険料を無理なく払い続けられる
  • 保障期間が必要な時期をカバーしている

「見直し=必ず変えなければいけない」ではない。確認した結果、「今のままで問題ない」という結論になることもある。その場合は維持でよい。大事なのは、「なんとなく続けている」状態から「確認したうえで続けている」状態に変えることだ。

では、50代で何がどう変わるのか。具体的に見ていこう。

50代の生命保険見直しが必要な5つの理由

50代になると、生活の前提が大きく変わる。家族構成、支出構造、健康リスク、介護の現実味、そして保険料の負担感。これらが同時に動くからこそ、保険の見直しが意味を持つ。

どの変化が自分に当てはまるか、確認しながら読み進めてほしい。

家族構成が変わる

死亡保障の役割は、「誰を守るか」で決まる。50代になると、この前提が変わっていることが多い。

たとえば、子どもが独立すれば教育費の心配は減る。共働きで配偶者に十分な収入があれば、遺族の生活費も以前ほど大きな額は必要ないかもしれない。一方で、扶養家族がいる場合や、配偶者が専業主婦・主夫の場合は、依然として一定の死亡保障が必要になる。

2024年の調査では、世帯の普通死亡保険金額は50〜54歳で平均2,504万円、55〜59歳で平均2,103万円となっている。この金額が「多いか少ないか」は、家族構成や貯蓄状況によって異なる。平均値はあくまで参考にとどめ、自分の状況に合わせて考えることが重要だ。

正直、ここは一番迷うところかもしれない。「減らしすぎて困ったらどうしよう」という不安はもっともだ。だからこそ、「誰を、いくらで、いつまで守る必要があるか」を具体的に言語化しておくことが大切になる。

教育費・住宅費が一段落

50代は、大きな固定費が終盤に差しかかる時期でもある。子どもの教育費は高校・大学で山場を迎え、住宅ローンも完済が見えてくる人が多い。

これらの費用が減れば、「万一のときに残すべき金額」も変わる。教育費を保障する目的で加入した保険は、子どもの卒業後には役割を終えている可能性がある。住宅ローンに付帯している団信も、完済すればその分の保障は不要になる。

支出のピークが過ぎたら、死亡保障の必要額も再計算してみよう。過剰な保障を持ち続けると、保険料というコストを払い続けることになる。次の章で出てくる「判断フロー」を使えば、自分に必要な保障額の目安がつかみやすくなる。

病気・がんリスクが高まる

50代は、健康リスクを意識し始める年代でもある。「まだ大丈夫」と思っていても、統計を見ると身近さがわかる。

最新のがん統計によると、生涯でがんと診断される確率は男性63.3%、女性50.8%にのぼる。2021年には約98万9,000件の新規診断があった。がんは「特別な病気」ではなく、誰にでも起こりうるリスクだ。

がんの治療は入院から通院中心へと変わりつつある。古い保険では「入院日数に応じた給付」が中心で、通院治療に対応していない場合がある。診断一時金の有無、通院給付の条件など、今の保険が現在の治療スタイルに合っているかを確認しておきたい。

介護・老後資金が現実に

「介護はまだ先の話」——そう思っていても、数字を見ると現実味が増す。

2024年度の調査では、介護にかかる一時的な費用は平均47.2万円、月々の費用は平均9.0万円とされている。介護場所別に見ると、在宅で月額平均5.3万円、施設で月額平均13.8万円。そして介護期間は平均55.0カ月、およそ4年7カ月にわたる。

さらに、2022年時点で65歳以上の認知症者数は約443万人(有病率12.3%)、軽度認知障害(MCI)は約559万人(有病率15.5%)と推計されている。75歳を超えると要介護認定率は急上昇し、85歳以上では要介護認定者が44.9%にのぼる。

介護は本人だけでなく、家族の生活にも影響を与える。介護・看護を理由とした離職者は年間約10.6万人、そのうち女性が75.3%を占めるというデータもある。公的介護保険だけでは足りない部分が出てくる。50代のうちに、その穴をどう埋めるか考えておきたい。

保険料・更新が重くなる

50代になると、保険料の負担感が増してくる。2024年の調査では、年間払込保険料は50〜54歳で平均38.2万円、55〜59歳で平均40.7万円となっている。月額にすると3万円を超える水準だ。

特に更新型の保険は、更新のたびに保険料が上がる仕組みになっている。若いときに安く入れた保険も、50代の更新では保険料が跳ね上がることがある。「払い続けられるか」という観点で、一度確認しておきたい。

保険料が家計を圧迫しているなら、減額や払済への変更、特約の整理といった選択肢もある。では、退職前後に何から手をつければいいのか。

退職前後の生命保険見直しで最初に見る3点

見直しが必要だとわかっても、何から手をつければいいかわからない。そんな人は多い。退職前後のタイミングでは、以下の3つを順番に確認するとスムーズだ。

まず保険証券で「今どうなっているか」を把握する。次に公的保障と会社制度で「何がカバーされるか」を確認する。そして退職後の家計で「いくら払えるか」を決める。この順番で進めると、判断の土台ができる。

保険証券チェックリスト

保険証券は、契約内容を確認するための基本資料だ。以下の項目を一つずつ抜き出してみよう。

  • 主契約の保障額(死亡保険金、入院日額など)
  • 保障期間(いつまで有効か、更新があるか)
  • 特約の内容と保障額
  • 払込期間(いつまで保険料を払うか)
  • 解約返戻金の有無と金額の目安

50代の世帯主は平均2.0〜2.3件の保険に加入している。複数の契約がある場合は、すべての証券を並べて一覧にすると全体像がつかみやすい。どの保険が何の目的なのか、重複はないか、抜けはないかを確認しよう。

証券が見つからない場合は、保険会社に再発行を依頼できる。相談に行く前に、この一覧表を作っておくと話が早い。

公的保障・会社制度を確認

民間の保険で備える前に、公的保障でどこまでカバーされるかを知っておく必要がある。医療、介護、就業不能の3つについて確認しよう。

医療費の自己負担

高額療養費制度により、医療費の自己負担には月ごとの上限がある。70歳未満の一般的な所得区分では、「80,100円+(医療費-267,000円)×1%」が上限の目安となる。同一月に複数回該当すると、さらに上限が下がる仕組みもある。ただし、入院時の食費は別途かかり、一般区分で1食510円(2025年4月以降)の自己負担がある。差額ベッド代や先進医療費も制度の対象外だ。

働けなくなったとき

会社員が病気やケガで働けなくなった場合、傷病手当金が支給される。支給期間は通算1年6カ月、支給額は標準報酬日額の約2/3だ。つまり、1年半は収入の約2/3が保障される計算になる。ただし、自営業やフリーランスには原則として適用されない。また、会社によっては独自の休職制度や補償がある場合もあるので、勤務先の制度も確認しておこう。

介護の自己負担

公的介護保険を利用した場合の自己負担は原則1〜3割。65歳以上では、合計所得金額が160万円未満なら1割、160万円以上なら2割、220万円以上なら3割となる。40〜64歳や住民税非課税の場合は、所得にかかわらず1割負担だ。ただし、介護保険の対象外となるサービスや費用もあるため、すべてが1〜3割でまかなえるわけではない。

退職後の家計シミュレーション

退職後は収入が変わる。年金の受給開始まで期間がある場合、貯蓄を取り崩しながら生活することになる。この状況で「保険料にいくら払えるか」を決めておくと、迷いが減る。

まずは退職後の収入見込み(年金、退職金の運用、再就職の収入など)を書き出す。次に固定費(住居費、食費、光熱費、通信費など)を把握する。そして、収入から固定費を引いた残りが、保険料を含む「やりくりできる金額」だ。

2024年の調査では、50代後半の世帯で年間払込保険料が平均40.7万円、月額にして約3.4万円という水準だった。この金額が負担になるなら、保障の見直しで保険料を下げることも選択肢に入る。逆に、余裕があるなら今のまま続けてもよい。

大事なのは、「払えるから払う」ではなく、「目的に対して適正か」を確認することだ。では、具体的にどう判断すればいいのか。

50代の生命保険を減らす・足す判断基準

見直しの目的は「最適化」だ。不要なら減らす、不足なら足す、問題なければ維持する。この判断を下すために、以下の順序で考えていこう。

①目的を確認する(誰を、何から守るか)
②公的保障でどこまでカバーされるかを見る
③不足している部分を特定する
④保険料を継続できるかを確認する

この4ステップを、保障の種類ごとに当てはめていけばいい。

3分でわかる見直し判断フロー

以下のフローで、自分がどの方向に進むべきかを仮決めできる。あくまで「仮決め」なので、最終判断は詳細な確認や相談のうえで行ってほしい。

ステップ1:扶養家族はいるか?
いる → 死亡保障の継続を検討
いない → 死亡保障の減額を検討

ステップ2:貯蓄で当面の生活費をまかなえるか?
まかなえる → 保障の優先度は下がる
まかなえない → 保障の優先度は高い

ステップ3:更新や払込満了が近いか?
近い → 継続・変更・乗り換えの比較が必要
まだ先 → 急がなくてもよい

ステップ4:健康状態に不安があるか?
ある → 新規加入が難しくなる可能性あり、慎重に
ない → 選択肢は広い

ステップ5:退職が近いか?
近い → 収入減を見越した設計が必要
まだ先 → 現状維持でも対応可能な場合が多い

このフローで「相談したほうがよさそう」と感じたら、後半で解説する相談先の選び方を参考にしてほしい。ここからは、保障の種類ごとに判断のポイントを見ていこう。

死亡保障の必要額を考える

死亡保障は、「誰を守るか」と「何のために」で必要額が変わる。目的は大きく3つに分けられる。

  • 生活費目的:遺族の生活費をまかなう(扶養家族がいる場合)
  • 教育費目的:子どもの教育費を残す(子どもが学生の場合)
  • 整理資金目的:葬儀費用や相続関連費用を準備する

子どもが独立し、配偶者にも収入があるなら、生活費目的の保障は減らせる可能性がある。一方、整理資金目的の数百万円程度は、家族構成にかかわらず残しておくことが多い。

2024年の調査では、世帯の普通死亡保険金額は50〜54歳で平均2,504万円、55〜59歳で平均2,103万円だった。この金額が「適正か」は、扶養の有無、配偶者の収入、貯蓄額、住宅ローンの残りなどによって異なる。平均値を見て「自分も同じくらい必要」とは限らない点に注意しよう。

医療保障の不足を点検

医療費の自己負担は、高額療養費制度で一定の上限がある。70歳未満の一般的な所得区分であれば、月の自己負担は8〜9万円程度に抑えられることが多い。では、医療保険は不要なのか。そう単純ではない。

高額療養費制度の対象外となる費用がある。具体的には以下のようなものだ。

  • 入院中の食費(1食510円、月45,000円程度になることも)
  • 差額ベッド代(個室を希望した場合など)
  • 先進医療の技術料
  • 入院中の日用品、家族の交通費など

これらを貯蓄でまかなえるなら、医療保険の優先度は下がる。逆に、入院が長引いた場合に貯蓄を大きく減らしたくないなら、医療保険で備える意味がある。「制度でカバーされる部分」と「自己負担になる部分」を分けて整理しておこう。

がん保障は通院目線で考える

がんの治療は、入院中心から通院中心へと変わりつつある。抗がん剤治療や放射線治療は、通院で行われることが多くなった。

古いがん保険では、「入院1日あたり○円」という給付が中心で、通院治療には対応していない場合がある。今の保険が以下の点をカバーしているか、確認しておきたい。

  • 診断一時金の有無と金額
  • 一時金の支払条件(初回のみか、再発でも出るか)
  • 通院給付の有無と条件
  • 治療給付(抗がん剤、放射線など)の有無

がんと診断される確率は男性63.3%、女性50.8%と高い。「自分は大丈夫」と思わず、今の保険が現在の治療スタイルに合っているかを確認しておこう。

介護・認知症保障の考え方

介護は、費用と期間の両面で家計に影響を与える。公的介護保険でカバーされる部分と、自己負担になる部分を整理しておこう。

公的介護保険の自己負担は原則1〜3割だ。65歳以上で合計所得金額が160万円未満なら1割、160万円以上なら2割、220万円以上なら3割負担となる。ただし、介護保険の対象外となる費用(住宅改修の一部、日常生活費など)は全額自己負担になる。

介護費用の目安として、一時的な費用が平均47.2万円、月々の費用が平均9.0万円というデータがある。施設を利用する場合は月額平均13.8万円、介護期間は平均55.0カ月(約4年7カ月)にわたる。

認知症のリスクも無視できない。65歳以上で認知症者数は約443万人(有病率12.3%)、軽度認知障害(MCI)は約559万人(有病率15.5%)と推計されている。75歳を超えると要介護認定率が上がり、85歳以上では要介護者が44.9%に達する。

介護保障を民間保険で備えるかどうかは、貯蓄とのバランスで決まる。数百万円程度の貯蓄があり、公的介護保険の自己負担をまかなえるなら、必ずしも保険で備える必要はない。逆に、介護期間が長引いた場合に貯蓄が底をつく不安があるなら、介護保険や認知症保険を検討する価値がある。

就業不能・収入保障の考え方

病気やケガで働けなくなったとき、収入がどうなるか。この「穴」を特定してから、保険で埋めるかどうかを判断しよう。

会社員であれば、傷病手当金が支給される。支給期間は通算1年6カ月、支給額は標準報酬日額の約2/3だ。つまり、1年半は収入の約2/3が保障される計算になる。ただし、自営業やフリーランスには傷病手当金はない。

会社によっては、独自の休職制度や補償がある場合もある。まずは勤務先の制度を確認し、「制度で出る期間」と「それ以降の不足」を把握しよう。

また、介護を理由に離職するケースも増えている。介護・看護を理由とした離職者は年間約10.6万人、そのうち女性が75.3%を占める。自分が働けなくなるリスクだけでなく、家族の介護で仕事を減らさざるを得ないリスクも考慮しておきたい。

就業不能保険や収入保障保険は、これらの「穴」を埋める選択肢になる。ただし、すべてを保険で備える必要はない。貯蓄で対応できる範囲を見極めてから検討しよう。

ここまでで、減らす・足すの判断基準を見てきた。では、更新という具体的な場面ではどう動けばいいのか。

定期保険の更新と50代の生命保険見直し

定期保険や更新型の特約を持っている人は、50代で「更新」という分岐点を迎えることが多い。更新前に選択肢を整理しておくと、慌てずに判断できる。

2024年の調査では、50代後半の年間払込保険料は平均40.7万円。更新で保険料が上がると、この負担がさらに重くなる。更新通知が届いたら、以下の選択肢を比較検討しよう。

更新型で保険料が上がる仕組み

更新型の保険は、一定期間(たとえば10年)ごとに契約を更新する仕組みだ。更新時には、そのときの年齢で保険料が再計算される。50代の更新では、保険料が大幅に上がることが珍しくない。

更新の時期が近づくと、保険会社から「更新のご案内」が届く。この案内には、更新後の保険料や保障内容が記載されている。届いたら、以下の点を確認しよう。

  • 更新後の保険料はいくらか
  • 保障内容は変わるか(自動的に減額される場合もある)
  • 更新しない場合、保障はどうなるか

更新型が悪いわけではない。若いときに安い保険料で大きな保障を持てるメリットがある。ただし、50代以降も続けるなら、保険料負担を受け入れられるかを確認しておく必要がある。

終身型へ変更する前の確認

「更新で保険料が上がるなら、終身型に変えたほうがいいのでは」——そう考える人もいる。終身型は保険料が一定で、一生涯の保障が続く。ただし、以下の点を確認してから判断しよう。

  • 目的:その保障は一生涯必要か。整理資金目的なら終身が合う。生活費目的なら、子どもの独立後は不要になる可能性がある。
  • 保険料:終身型は更新型より保険料が高い。払い続けられるか。
  • 払込期間:60歳や65歳で払い終わるタイプと、一生涯払い続けるタイプがある。退職後の家計を考慮して選ぶ。

終身型に変更するには、新たに告知や診査が必要になる場合が多い。健康状態によっては加入できないこともある。「終身にすれば安心」と単純に考えず、目的と家計に合っているかを確認しよう。

減額・払済・特約整理の選択肢

更新や乗り換え以外にも、保険を続ける方法はある。

減額:保障額を下げることで保険料を抑える。必要な保障を残しつつ、負担を軽くできる。

払済:以降の保険料支払いをやめ、それまでの解約返戻金を原資に保障を継続する。保険料負担はゼロになるが、保障額は減り、特約は消滅することが多い。

特約整理:主契約は残し、不要な特約だけを解約する。特約を外せば保険料が下がるが、一度外すと再付加できないものもある。

これらの選択肢は、保険会社や商品によって条件が異なる。詳細は保険会社に確認しよう。大事なのは、「解約か継続か」の二択ではなく、中間の選択肢もあることを知っておくことだ。

乗り換え前に確認するお金

今の保険を解約して、新しい保険に乗り換える場合、順序が重要になる。基本は「新契約の成立を確認してから、旧契約を解約する」だ。

この順序を間違えると、新しい保険に入れなかった場合に「保障がない期間」が生じてしまう。以下の点を確認してから動こう。

  • 解約返戻金:今の保険を解約すると、いくら戻ってくるか。払込期間の途中で解約すると、払い込んだ保険料より少ない金額しか戻らないことが多い。
  • 保障の空白:新しい保険の保障が始まる日と、旧保険を解約する日を調整し、空白期間を作らない。
  • 告知・診査:新しい保険に加入するには、健康状態の告知や診査が必要。条件が付いたり、加入を断られたりする可能性もある。成立を確認してから解約する。

乗り換えは「得をする」とは限らない。解約返戻金の損失、新保険の保険料負担、告知の不確実性を総合的に見て判断しよう。

選択肢保険料の変化保障期間告知の要否注意点
そのまま更新上がる次の更新期間不要保険料負担が重くなる
減額下がる変わらない不要保障が減る
払済ゼロ変わる場合あり不要保障減・特約消滅
終身へ変更一定だが高め一生涯必要な場合あり加入できない可能性
他社へ乗り換え商品による商品による必要成立確認→解約の順序
更新前に比較する5つの選択肢

ここまで更新時の選択肢を見てきた。だが、見直しには落とし穴もある。

50代で生命保険を見直すときの落とし穴

見直しには前向きな面もあるが、落とし穴もある。よくある失敗パターンを先に知っておくと、後悔を防げる。

落とし穴は大きく分けて5つ。解約で損をするパターン、告知・健康の問題、保障を減らしすぎる問題、貯蓄型の出口、見積もり比較の盲点だ。順に見ていこう。

解約で損をするパターン

「保険料がもったいないから解約しよう」と安易に決めると、損をすることがある。

返戻金が少ない時期に解約する
貯蓄性のある保険では、払込期間の途中で解約すると、払い込んだ金額より少ない返戻金しか戻らないことが多い。特に契約から10年未満は返戻率が低い傾向がある。解約前に、証券や保険会社への問い合わせで返戻金の金額を確認しよう。

特約だけ解約して再付加できない
特約を外すと保険料は下がるが、同じ特約を後から付け直せない場合がある。「今は必要ない」と思っても、数年後に必要になる可能性を考えてから判断したい。

保障の空白期間ができる
新しい保険に乗り換える場合、旧保険を先に解約してしまうと、新保険の保障が始まるまで「無保険」になる。この期間に万一のことがあると、保障が受けられない。乗り換えは「新契約成立を確認→旧契約解約」の順序を守ろう。

告知・健康で入り直せない

50代になると、健康上の理由で新しい保険に入れないケースが出てくる。

新しい保険に加入するには、健康状態の告知が必要だ。持病や通院歴があると、条件付き(保険料の割増、特定部位の不担保など)での加入になったり、加入を断られたりすることがある。

今の保険を「保険料が高いから」と解約し、新しい保険に入ろうとしたら告知で断られた——こうなると、保障がゼロになってしまう。順序としては、必ず「新保険の成立を確認してから旧保険を解約する」ことを徹底しよう。

また、持病があっても入れる「引受基準緩和型」や「無選択型」の保険もあるが、保険料は高めで、保障内容も限定されることが多い。健康なうちに見直しを済ませておくことが、選択肢を広げるポイントだ。

保障を減らしすぎる落とし穴

「ムダをなくそう」と保障を削りすぎると、いざというときに困る可能性がある。

たとえば、「子どもが独立したから死亡保障は不要」と全額解約すると、葬儀費用や配偶者の当面の生活費すらカバーできなくなる。扶養家族がいなくても、整理資金目的の数百万円程度は残しておくことが多い。

保障の「下限」は、以下の観点で決めよう。

  • 配偶者の収入はあるか
  • 貯蓄でどこまでカバーできるか
  • 最低限必要な費用(葬儀代、当面の生活費)はいくらか

迷うのは自然なことだ。「減らしすぎかもしれない」と感じたら、専門家に相談するのも一つの手である。

貯蓄型は出口戦略が重要

貯蓄型の保険(終身保険、養老保険、個人年金保険など)は、「何のために入ったか」を思い出すことが大切だ。

老後資金目的で入ったなら、いつ解約して現金化するかを決めておく。保障目的で入ったなら、解約せずに続けるか、払済に変更するかを検討する。「なんとなく続けている」状態だと、最適なタイミングを逃すことがある。

また、解約返戻金を受け取る際には税金がかかる場合がある。一時所得として課税されるケースが多いが、契約内容や受取方法によって異なる。税金の扱いは複雑なので、不安な場合は税理士や保険会社に確認しよう。

見積もり比較で見るべき項目

複数の保険を比較するとき、「保険料の安さ」だけで決めると失敗することがある。以下の項目を同じ条件で比較しよう。

  • 保障範囲:同じ「医療保険」でも、入院日数の上限や対象となる手術の範囲が異なる
  • 免責事項:支払われない条件(免責期間、特定疾病の除外など)
  • 支払条件:給付金が出る条件(たとえば、がん保険の診断一時金は「上皮内新生物」も対象か)
  • 更新の有無:更新型か終身型か、更新時に保険料が上がるか
  • 払込期間:いつまで保険料を払い続けるか
  • 解約返戻金:途中で解約した場合、いくら戻ってくるか

見積書の「注意事項」や「ご契約のしおり」には、細かい条件が書かれている。面倒でも目を通しておこう。わからない点は、契約前に担当者に確認することが大切だ。

自分だけで判断が難しければ、専門家に相談するのも手だ。では、どこに相談すればいいのか。

生命保険を見直す50代の相談先と選び方

保険の見直しは、自分だけで完結させる必要はない。専門家に相談することで、見落としを防いだり、判断の時間を短縮したりできる。

ただし、相談先によって得意分野や中立性が異なる。「相談=判断を丸投げする」ではなく、「確認を効率化する手段」と捉えて活用しよう。

相談前に準備する書類

相談の質は、事前準備で決まるといっても過言ではない。以下の書類や情報を揃えておこう。

  • 保険証券:すべての契約分(複数ある場合は全部)
  • 更新案内:届いていれば持参
  • 家計の収支:月々の収入と支出の概算
  • 貯蓄額:概算でよい
  • 家族情報:扶養家族の人数、年齢、収入の有無
  • 会社の制度:福利厚生、退職金、休職制度などがわかる資料

50代の世帯主は平均2.0〜2.3件の保険に加入している。契約が複数あると把握が難しくなるため、事前に一覧表を作っておくと相談がスムーズに進む。

相談先の種類と特徴

主な相談先は4つある。それぞれの特徴を理解して選ぼう。

相談先取扱範囲報酬体系中立性向く人
保険会社窓口自社商品のみ保険料に含まれる自社寄り加入中の保険を継続・変更したい人
保険代理店複数社の商品保険料に含まれる(販売手数料)手数料の高い商品に偏る可能性複数社を比較したい人
独立系FP商品販売なし(助言のみ)または代理店兼業相談料(有料の場合あり)比較的高い(販売しない場合)中立的な意見がほしい人
勤務先の制度窓口団体保険、福利厚生無料会社提携先に限られる会社の制度を確認したい人
相談先別の特徴と注意点

「無料相談」は、保険の販売手数料で成り立っていることが多い。相談自体は無料でも、提案される商品が手数料の高いものに偏る可能性はある。無料だから悪いわけではないが、仕組みを理解したうえで利用しよう。

手数料・中立性の見分け方

相談先が中立かどうかは、質問で確認できる。以下のポイントを聞いてみよう。

  • 「どのような報酬体系ですか?」:販売手数料か、相談料か、両方か
  • 「提案しない選択肢(現状維持、解約など)のデメリットも教えてもらえますか?」
  • 「複数の商品を比較して提案してもらえますか?」

まともな相談先であれば、これらの質問に正面から答えてくれる。答えを濁したり、特定の商品だけを強く勧めたりする場合は注意が必要だ。

「デメリットの説明があるか」も重要な判断材料になる。どんな保険にもデメリットはある。メリットばかり強調してデメリットを説明しない相談先は、信頼性に疑問が残る。

相談で必ず聞く質問リスト

相談の場で、以下の質問をしておくと判断材料が揃う。

  • 「今の保険を変更しない場合、どんなデメリットがありますか?」
  • 「解約した場合、返戻金はいくらになりますか?」
  • 「新しい保険に入れなかった場合(告知で断られた場合)、どうなりますか?」
  • 「保障の空白期間は発生しませんか?」
  • 「提案いただいた保険の総支払額(保険料の総額)はいくらですか?」
  • 「この提案のデメリットは何ですか?」

これらの質問に明確に答えられる相談先なら、信頼して判断材料にできる。逆に、曖昧な回答しか返ってこない場合は、別の相談先も検討したほうがよい。

相談はあくまで「判断を助ける手段」だ。最終的に決めるのは自分自身である。情報を集め、納得したうえで判断しよう。

生命保険 見直し 50代のよくある質問

最後に、よくある疑問をまとめた。該当する質問があれば参考にしてほしい。

50代で生命保険を見直さないとどうなる?

過剰な保障に保険料を払い続けるか、逆に必要な保障が不足したまま放置するリスクがある。特に更新型の保険は、50代の更新で保険料が大幅に上がることが多い。更新通知が届いたタイミングで一度確認しておくとよい。ただし、目的に合っていて保険料も問題なければ、大きく変える必要はない。

子どもが独立したら死亡保障は不要?

生活費目的の保障は減らせる可能性がある。ただし、葬儀費用や配偶者の当面の生活費をカバーする整理資金目的の保障は残しておくことが多い。配偶者の収入や貯蓄状況によって必要額は異なるため、一律に「不要」とは言えない。

更新型と終身型、どちらがいい?

一概には言えない。更新型は若いときの保険料が安いが、更新のたびに上がる。終身型は保険料が一定だが、最初から高め。保障が必要な期間と、払い続けられる保険料のバランスで決めるのがよい。整理資金目的など一生涯必要な保障は終身型、一定期間だけ必要な保障は定期型が合いやすい。

持病があっても保険に入れる?

入れる場合もある。引受基準緩和型や無選択型の保険は、持病があっても加入しやすい。ただし、保険料は通常の保険より高く、保障内容も限定されることが多い。まずは通常の保険で告知し、条件を確認してから判断するのが基本的な流れだ。

解約返戻金はいつが一番多い?

商品や払込期間によって異なる。一般的に、払込期間が終わった後(払込満了後)に返戻率が高くなる傾向がある。途中解約だと払い込んだ金額より少なくなることが多い。具体的な金額は保険会社に問い合わせるか、証券に記載されている「解約返戻金例」を確認しよう。

医療保険とがん保険、両方必要?

目的が異なる。医療保険は入院・手術全般をカバーし、がん保険はがんに特化した保障(診断一時金、通院給付など)を提供する。両方入る人もいれば、どちらか一方で十分と判断する人もいる。貯蓄でまかなえる範囲と、保険で備えたいリスクを整理して決めるのがよい。

無料相談は信用できる?

信用できる相談先もあれば、そうでない相談先もある。無料相談の多くは、保険の販売手数料で成り立っている。提案される商品が手数料の高いものに偏る可能性はある。「報酬体系」「デメリットの説明」「複数案の提示」を確認し、信頼できるかどうかを見極めよう。

まとめ

50代の生命保険見直しは、「今の保険が自分に合っているか」を確認する作業だ。家族構成、支出、健康リスク、介護の現実、保険料負担——これらが同時に変わる50代だからこそ、見直しの意味がある。

まずは保険証券で「今どうなっているか」を把握し、公的保障で「何がカバーされるか」を確認する。そのうえで、減らす・足す・維持の判断を下せばよい。落とし穴を避けるために、「新契約成立を確認してから旧契約を解約する」という順序は守ろう。

自分だけで判断が難しい場合は、専門家に相談するのも一つの手だ。相談先を選ぶ際は、報酬体系やデメリットの説明があるかを確認し、最終判断は自分で下すことを忘れないでほしい。

判断材料がそろったら、まずは手元の保険証券を引っ張り出してみよう。それが見直しの第一歩だ。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の保険選択や金融判断を推奨するものではない。具体的な判断については、保険会社、ファイナンシャルプランナー、税理士等の専門家に相談することをおすすめする。

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生命保険ナビ編集部は、「保障を無駄なく、安心を最大化する保険選び」を目的として、保険相談のおすすめ先保険相談のキャンペーンを紹介。読者がライフステージに応じて最適な保険設計ができるよう、公平かつ分かりやすい情報発信を心がけている。運営元のアドバイザーナビ株式会社は、IFAや保険代理店のアドバイザーと生活者をつなぐマッチングサービス「生命保険ナビ」を展開中。