- 生命保険と県民共済の違いについて知りたい
- 生命保険と県民共済のどちらを選ぶべきかわからない
- 自分に合った保険の選び方がわからない
県民共済は都道府県民共済の一種で、非営利団体の全国生協連が利益を追求せず助け合いの精神で運営する保険事業である。
県民共済に興味はあるが、県民共済と生命保険の違いについて明確に理解できていないという人は多いのではないか。
そこで本記事では、県民共済と生命保険の概要や保障内容の比較、自分に合った保険の選び方までを解説する。
県民共済と生命保険のどちらに加入するべきか悩んでいる人は、参考にして欲しい。
生命保険と県民共済の違い
まずは、生命保険と県民共済の概要について確認していく。
両者を比較したときの違いや特徴についても理解しよう。
生命保険とは
生命保険は、保険会社が販売する商品の一つで、万が一の事態に備えられる生活保障の仕組みのことだ。
大勢の保険加入者が公平に保険料を負担し、病気やケガなどもしもの事態が起きた際に、出し合っていた保険料の中から保険金が支払われる。
保険にはさまざまな種類があり、加入する目的によってどんな保険に入るかを決めるのが一般的だ。
主な保険の種類と備えられるリスク、特徴についてまとめると以下の通りとなる。
保険の種類 | 備えられるリスク | 特徴 |
定期保険 | 死亡・高度障害 | 一定期間内に被保険者が死亡した場合、保険金を受け取れる |
収入保障保険 | 死亡・高度障害 | 一定期間内に被保険者が死亡した場合、満期まで年金形式または一括で保険金を受け取れる |
養老保険 | 死亡・高度障害および老後の生活・将来必要な資金 | 一定期間内に被保険者が死亡した場合は死亡保険金が支払われ、満期に到達すると満期保険金を受け取れる |
終身保険 | 死亡・高度障害 | 一生涯保証が続き、被保険者が死亡した時点で保険金が支払われる |
がん保険 | がんによる入院・手術・死亡 | がんで入院・手術・死亡となった場合に保険金を受け取れる |
医療保険 | 病気やケガによる入院・手術 | 病気やケガによって手術を受けたり入院したりした場合に保険金を受け取れる |
個人年金保険 | 老後の生活・将来必要な資金 | 一定の年齢に達すると年金を受け取れる |
上記の他、傷害保険や就業不能保険、特定疾病保険、女性向け保険等さまざまな商品が販売されている。
生命保険は、相互扶助の考え方が基本となるものの、保険会社は営利目的で事業を行っているため、商品開発にかかるコストや事業利益分も保険料の中に含まれる。
また、生命保険の保険料は、生命保険料控除の対象となる。
生命保険料控除は、所得控除の制度の一つで、払い込んだ保険料の金額に応じて、一定金額が所得から控除されるという制度だ。
課税所得の金額が小さくなることで、最終的に支払う税額負担が軽減されるという効果がある。
生命保険料控除には、「一般生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」の3種類があり、控除できる限度額は3種類合計で所得税12万円、住民税7万円となる。
さらに、満期保険金や解約返戻金を一時所得として受け取る場合は、受け取った保険金から支払った保険料を差し引いた金額が、最大50万円までなら非課税で受け取れる。
また、遺族が死亡保険金を受け取る際も、法定相続人×500万円までは非課税となるため、相続税対策にも活用しやすい。
県民共済とは
県民共済は、都道府県民共済グループ(全国生活協同組合連合会)が運営する制度のことだ。
生活を営む上で起きるさまざまなリスクによる損失を、組合員同士で補填し合うことが目的で、保険会社が販売する保険商品とは異なる。
そもそも「共済」という言葉は、「互いに助け合う」「相互にお金を出し合って何かをする」という意味を持つ言葉で、さまざまな共済制度は、組合員の共同救済=相互扶助という精神に基づいて成り立っている。
県民共済以外にも、下記のようにさまざまな共済制度が存在する。
共済の種類 | 運営組織 |
こくみん共済(全労済) | 全国労働者共済生活協同組合連合会 |
CO・OP共済(コープ共済) | 日本生活協同組合連合会 |
小規模企業共済 | 中小企業基盤整備機構 |
JA共済 | 全国共済農業協同組合連合会 |
県民共済に入る際は、各都道府県の県民共済を自由に選べるわけではなく、自分が居住もしくは勤務している都道府県以外の共済には加入できない。
また、共済は非営利事業となっているため、1年間に集めた掛金の金額よりも支払った共済金の金額が少なく余剰が出た場合は、割戻金として組合員に返還される。
なお、県民共済の掛金も、生命保険の保険料同様に要件を満たせば生命保険料控除の対象となり、保障のコースによって「一般生命保険料控除」または「介護医療保険料控除」が適用される。
生命保険と県民共済の違い
加入者や組合員からお金を集めて、万が一のことが起こった際に保障を提供するという点はどちらも同じだ。
ただし、実際には以下のような違いがあり、使われる用語も異なる。
生命保険 | 県民共済 | |
運営組織 | 保険会社などの営利団体 | 非営利団体 |
加入対象者 | 保険料を支払えば誰でも加入できる | その都道府県に居住または勤務している人およびその家族 |
根拠となる法令 | 保険業法 | 消費生活協同組合法(生協法) |
監督官庁 | 金融庁 | 厚生労働省 |
保険料・掛金 | 県民共済に比べると割高 | 生命保険に比べると割安 |
保障の種類 | 比較的多い | 比較的少ない |
保障の大きさ | 大きい | 小さい |
セーフティネット | 無し | 有り(生命保険契約者保護機構) |
生命保険料控除 | 対象 | 対象 |
生命保険での「保険料」「保険金」は、県民共済ではそれぞれ「掛金」「共済金」となる。
また、生命保険では保険商品によっては利益に基づいて「配当金」が分配される。
これに対して、共済では年間で余った共済金を「割戻金」として加入者に返還する。
意味はそれほど大きく変わらないが、使われる用語が異なる点に注意しよう。
生命保険は、保障が充実しており、保障金額や保証期間、特約などを柔軟に設定しやすい。
死亡保障の金額も比較的大きいため、万が一の事態に備えてしっかりとお金を遺したいというニーズに対応しやすい。
一方、生命保険の保険料は、割高になりやすいという特徴もある。
保障内容がシンプルで掛金を抑えやすい県民共済に対して、保障内容が充実している分、コストがかかりやすいといえるだろう。
なお、共済と保険の違いについては以下の記事でも解説しているので参考にしてほしい。
生命保険と県民共済のどちらを選ぶべきか
両者の違いについて理解したところで、さらに詳しく保障内容を比較していこう。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、自分に適した方を選ぶことが大事だ。
生命保険の保障内容とその特徴
生命保険は、保険会社によってさまざまな商品が開発されている。
保障内容は、商品によって死亡保障やがん保障、医療保障などカバーできる範囲が異なる。
特徴をまとめると、下記のとおりだ。
- 一生涯の保障を受けられる
- 万が一の際に高額な保険金を確保しやすい
- 保障の内容を柔軟に設計できる
生命保険は、自分の家族構成や貯蓄の状況、働き方に合わせて保険を選びやすく、自分の求める保障を確保しやすいというメリットがある。
県民共済の保険期間は0歳〜85歳までとなっていて、年齢とともに徐々に保障金額が少なくなる。
高齢になった際に備えて、一生涯保障を確保できる方が望ましいという方は、生命保険の方が向いているだろう。
加えて、県民共済では高額な死亡保障を設定しにくく、生命特約を付加した場合でも1,000万円〜1,500万円ほどが給付の上限となる。
生命保険では、被保険者の年齢や職業、商品によって上限は異なるものの、数千万円以上の死亡保障をつけることも可能だ。
万が一に備えて高額な保障を確保したいという方にも適している。
さらに、生命保険では豊富な商品やオプション、特約を組み合わせて、自分に合った商品へと調節しやすい。
今ある保険に足りない部分を補うために追加で加入したり、特に備えたいリスクに対して手厚く保障を設定したりすることもできる。
県民共済に比べて保険料は割高になりやすいものの、手厚く保障を受けたいと考える方に選ばれやすい。
県民共済の保障内容とその特徴
県民共済の具体的な商品性や保障内容は、都道府県によって異なるものの、大きな仕組みはほぼ変わらない。
主制度となるコースを選び、希望に応じて特約の有無を選べる。
主制度となるコースは、「こども型」「総合保障型」「熟年型」のように年齢に応じて保障内容が異なるように設定されている。
加入可能な年齢は0歳〜69歳までとなっており、70歳以降の方は新たに加入できない。
県民共済の特徴をまとめると、下記のとおりだ。
- 月々の掛金が割安
- 年齢が上がっても掛金が一定
- 加入の際の審査が比較的やさしい
県民共済は、非営利目的で運営されているため、掛金が割安だという特徴がある。
毎月1,000円〜4,000円程度で加入できるため、それほど負担なく加入できる人が多いだろう。
割戻金の制度もあるため、余剰分が返還されることによって実質負担はさらに軽減される。
また、民間の生命保険では、年齢が高くなるのに応じて保険料が高額になるのが一般的だ。
しかし、県民共済では、年齢や性別、健康状態などに関わらず、掛金が一律となっている。
なるべくコストを抑えつつ、万が一の事態に備えたいという方にはメリットとなるだろう。
加えて、県民共済は加入時の審査が比較的やさしい傾向がある。
基本的に医師の診断書などは不要となっているため、手軽に加入できる点も魅力の一つだ。
どちらを選ぶべきか
民間の生命保険と県民共済は、それぞれメリット・デメリットがある。
どちらが良い・悪いかで選ぶよりは、自分に必要な保障から選択するのが重要だ。
例えば、高齢になってからも一生涯の保障が欲しいという方は、民間の終身保険が適している。
自分に合った保障内容を細かく設計したいという方も、県民共済では対応しきれない場合が多い。
生命保険であれば、ピンポイントで必要な保障をつけたり、保障金額・保証期間を調節したりすることも容易だ。
充実した保障内容を求めるのであれば、生命保険の方が向いていると言えるだろう。
一方、とにかくコストを安く抑えたいという方は、県民共済の方が向いている場合がある。
県民共済は、性別や年齢にかかわらず掛金が一律となっており、高齢になってからの掛金も安く抑えやすい。
割戻金を加味すれば、実際の掛金負担はより小さくなりやすいだろう。
ただし、その分保障や特約はシンプルで、各々の状況に応じた設計はしにくい点に注意が必要だ。
生命保険と県民共済のどちらを選ぶ?自分に合った保険の選び方
充実した保障を求めるなら、県民共済よりも一般の生命保険の方が使いやすい場合が多い。
とはいえ、保険は会社や商品によって特徴が大きく異なるため、どんな保険を選ぶかが非常に重要だ。
以下では、自分に合った保険の選び方を紹介する。
保険に加入する目的を明確にする
まずは、なぜ保険に加入すべきなのか明らかにしよう。
ニーズや家族構成、貯蓄の状況などによって、必要な保障や特約は異なる。
単身者や子どもがすでに独立している場合は、手厚い死亡保障よりも医療保障が充実している方が適しているだろう。
逆に、子どもがまだ幼い場合や家族が多い場合などは、死亡保障が手厚く確保されている保険の方が安心だ。
自営業者などで老後の年金に不安がある方などは、年金保険や養老保険など貯蓄性のある保険が望ましい。
このように、自分の今の家族構成や働き方、将来不安なことから必要な保障内容を考えて見るのがおすすめだ。
保険会社の信頼性と商品の安定性を確認する
一見、良い条件に思える保険商品でも注意が必要だ。
経営状況の良くない保険会社の保険を契約してしまうと、いざという時に保険金が支払われなかったり、本来受けられるべきサービスを受けられなくなったりする可能性がある。
保険会社の支払い余力を測る指標の一つに「ソルベンシー・マージン比率」というものがある。
これは、保険会社が保険金支払いのために積み立てている責任準備金に対して、どれだけ支払い余力があるかを表す指標で、その比率が高いほど財務の安定性が高いと言える。
ソルベンシー・マージン比率が200%を下回ると、監査当局によって早期是正措置が取られるため、200%以上あることが一つの健全性の目安となる。
ただし、保険会社の信頼性を図るためには、ソルベンシー・マージン比率だけではなく、業績の推移や資産運用の状況、利用者からの評判などを総合的に判断することが望ましい。
保険料と保障内容のバランスを見極める
生命保険への加入を検討するにあたっては、保険金額や保障内容が手厚ければ手厚いほど良いというものではない。
一般的に、保障の内容が充実するほど保険料は高くなるため、家計にとっては負担となる。
また、自分に必要のない保障がいくら手厚くても、自分にとって十分な保険であるとは言えないだろう。
単純に「保険料が安いから良い」「保障内容が手厚いから良い」と判断するのではなく、保険料と保障内容とが適切なバランスになっているかを確認しよう。
保険料と保障内容とのバランスを見極めるためには、複数の保険会社の商品を見比べる必要があるが、1人で何種類もの保険商品のパンフレットを取り寄せて特徴を比較するのは手間がかかる。
自分自身で保険を比較・検討するのが難しいと感じる方は、「生命保険ナビ」を活用して、保険のプロに相談するのがおすすめだ。
自分のニーズや状況に応じた適切な保険商品や保障プランを紹介してくれるため、保険に初めて加入する人でも適切な保険を選びやすくなるだろう。
生命保険と県民共済の違いを理解して自分に合った保険を選ぼう
本記事では、生命保険と県民共済の概要や保障内容の比較、さらに自分に合った保険の選び方を解説した。
生命保険と県民共済はどちらも生活保障を目的としているが、加入対象者や取り扱い機関、保険料などに違いがある。
生命保険と県民共済の違いを理解し、自身に適した選択をしてほしい。
また、一般にはより手厚い保障を求める方には生命保険が適していると言える。
ただ、自分に合った保険を選ぶためには、加入する目的を明確にした上で各商品の保障内容や保険料を比較する必要があり、一人で進めるのは大変な作業であろう。
そのため、もし保険の比較や自身にとって適切な保険の選択にまよったら、保険のプロに相談することも検討してほしい。
一人一人に合ったアドバイスをもらうことで、自分に必要な保険を的確に判断することができるはずだ。
また、全国の保険のプロから自分に合った担当者を探す際には「生命保険ナビ」の活用をおすすめする。
「生命保険ナビ」は、自身の条件に合った保険のプロを簡単に見つけることができるマッチングサービスである。
気になった担当者とは無料相談もできるので、是非活用してほしい。