- 学資保険のデメリットが知りたい
- 学資保険を利用すべき人の特徴が知りたい
- 学資保険の代わりになる教育資金の貯蓄方法が知りたい
学資保険とは、保険料を一定期間で払い込み、時期が来た際に子どもの教育資金を満期保険金として受け取ることが出来る貯蓄型の保険のことである。
教育資金の貯蓄方法としてはおすすめできなくなっているという話を聞いたことがあるだろうか。
その理由は、学資保険の利率があまり高くないためである。
そこで本記事では、学資保険のデメリットや利用すべき人の特徴、学資保険の代わりになる教育資金の貯蓄方法について解説する。
学資保険を利用すべきか悩んでいる方は、自分が活用できるかどうかの判断材料としてもらいたい。
学資保険のデメリット
子どもの教育費に頭を悩ませている方も多いだろう。
中学校から大学にかけてどのくらいの費用がかかっているか公表されている。
国公立 | 私立 | |
中学校 | 53万8,799円 | 143万6,253円 |
高等学校 | 51万2,971円 | 105万4,444円 |
大学 | 約450万円 | 約800万円 |
子どもが生まれてすぐにこれから必要になる教育費を確保するために人気なのが学資保険である。
学資保険とは、子どもの教育資金の準備を目的とした貯蓄型の保険だ。
しかし、学資保険に対して悪い評判があるのも事実だ。学資保険のデメリットは以下のとおりである。
- 返戻率が悪い
- 原則満期まで引き出せない
- インフレのリスクに対応できない
それぞれについて詳しく解説しよう。
返戻率が低い
返戻率とは、払い込んだ保険料に対して受取可能な保険金の割合を指す。
返戻率は(受け取れる金額÷払い込んだ保険料)×100で計算できる。
返戻率が100%を超えている場合は、支払った金額よりも返ってきた金額が大きいことを意味する。
各保険会社が公表している学資保険の返戻率は以下のとおりだ。
受取総額 | |||
300万円 (基準保険金額75万円) | 200万円 (基準保険金額50万円) | ||
保険料払込期間 | 10歳まで | 受取率105.8% (月掛保険料23,623円) | 受取率104.8% (月掛保険料15,899円) |
15歳まで | 受取率104.3% (月掛保険料15,970円) | 受取率102.9% (月掛保険料10,797円) | |
ご加入時に一括払込 | 受取率109.0% (保険料2,749,776円) | 受取率108.0% (保険料1,851,139円) |
保険料払込期間 | |||||
5年 | 10年 | 18年 | |||
基準保険金額 | 70万円 | 月払 | 約107.8% 32,452円 | 約105.8% 16,534円 | 約101.7% 9,555円 |
年払 | 約108.2% 387,919円 | 約106.2% 197,638円 | 約102.1% 114,212円 | ||
100万円 | 月払 | 約108.5% 46,060円 | 約107.2% 23,320円 | 約104.0% 13,350円 | |
年払 | 約108.9% 550,570円 | 約107.6% 278,740円 | 約104.4% 159,560円 |
約20年運用して最大で受取率109%だ。
20年間も資金が拘束されるにもかかわらず、返戻率が110%程度となると満足できない方も多いだろう。
原則満期まで引き出せない
学資保険は満期まで保有するのが前提になっているため、満期を迎えるまで引き出せない。
しかし、加入した後に保険料の支払いが難しくなったり、ほかの資金に使用したくなったりすることもあるだろう。
学資保険は途中で解約すると元本割れする可能性が非常に高い。返戻率は100%を下回るケースが多いだろう。
学資保険に加入する際は、毎月の保険料が重くなり過ぎないか必ず確認してほしい。
インフレのリスクに対応できない
学資保険には物価が上昇するインフレに対応できないというデメリットもある。
固定金利と長期間という学資保険の性質によって、インフレに対して弱くなってしまっている。
というのも、固定金利では物価上昇による金利引き上げの恩恵を受けられないからだ。
物価が上昇すると基本的に金利が上昇するため、定期預金や債券の利率はアップする。
しかし、学資保険は固定金利であるため、契約時の金利が満期まで適用され続けてしまうのだ。
また、長期間にわたって資金が拘束されるため、20年後に200万円が同じ価値であるとは限らないのも難点だ。
物価が上昇していることはお金の価値が下がっていることを意味する。
100円で購入できていたハンバーガーが180円になっていることからもイメージできるだろう。
コツコツ払い込んだ200万円が、20年後に60%の価値になったり、半分まで下がったりする恐れがあるのだ。
学資保険の利率が悪くても大丈夫!学資保険を利用すべき人の特徴
学資保険のデメリットを紹介してきたが、悪い点ばかりではない。
使い方によっては資産形成に役立つ商品だ。ここでは学資保険を利用すべき人の特徴を紹介しよう。
学資保険が合っている人の特徴は以下のとおりだ。
- 確実に教育資金を貯蓄したい人
- 生命保険控除を利用したい人
- 保険金を進級のタイミング毎に受け取りたい人
一つずつ解説しよう。
確実に教育資金を貯蓄したい人
一つ目の特徴は確実に教育資金を貯蓄したい人だ。学資保険は途中で引き出せないからだ。
貯蓄が苦手な人でも教育資金を貯めやすい。
また、満期まで保有すると元本割れする可能性が非常に低いため、確実性を重視する人におすすめだ。
学費にお金のかかる高校進学や大学進学に合わせてコツコツ貯めたい人は、学資保険は資産形成手段の選択肢に入るだろう。
生命保険料控除を利用したい人
二つ目の特徴は生命保険料控除を利用したい人だ。学資保険は生命保険料控除の対象になり、所得税や住民税が軽減されるからだ。
生命保険料控除とは、1年間の保険料に応じて一定の金額がその年の所得から引かれる仕組みである。
所得が減るため、納めるべき所得税や住民税の額が減少する。
2012年以降に保険に加入した場合は、所得税40,000円・住民税28,000円が所得控除の対象となるのだ。控除を受ける条件は以下のとおりだ。
(イ) 生命保険会社または外国生命保険会社等と締結した生存または死亡に基因して一定額の保険金が支払われる保険契約
(ロ) 旧簡易生命保険契約のうち生存または死亡に基因して一定額の保険金等が支払われる保険契約
(ハ) 農業協同組合と締結した生命共済契約その他これに類する共済に係る契約のうち生存または死亡に基因して一定額の保険金等が支払われる保険契約
(ニ) 確定給付企業年金に係る規約または適格退職年金契約
生命保険料控除を活用したい場合も学資保険は加入対象になるだろう。
保険金を進級のタイミング毎に受け取りたい人
三つ目の特徴は保険金を進級のタイミング毎に受け取りたい人だ。
学資保険に加入していると、必要な教育費に備えて教育資金や満期保険金を受け取れる。
「18歳になった時点で100万円、以降は1年ごとに22歳まで50万円ずつ」「18歳から毎年30万円ずつ、満期を迎える21歳に100万円」など、受け取り方はさまざまだ。
商品ごとに異なっているため、ライフスタイルや加入目的と合った保障内容を選択しよう。
学資保険の利率で物足りないのなら!学資保険以外で教育資金を貯蓄する方法とは
ここまで学資保険のデメリットや向いている人の特徴を紹介してきたが、「自分には合っていない」と感じた方もいるだろう。
ここでは、学資保険以外で教育資金を貯蓄する方法を紹介する。
学資保険のほかに考えられる資産形成手段は以下のとおりだ。
- 積立NISA
- 低解約返戻金型終身保険
- 個人年金保険
それぞれ解説しよう。
NISA
NISAは少額投資非課税制度のことだ。投資で出た利益に対して本来かかるはずの約20%の税金を免除してもらえる。資産形成の一歩目として活用する人の多い制度だ。
また、2024年から内容が新しくなった。NISA制度の特徴は以下のとおりだ。
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
非課税保有期間 | 無期限化 | 無期限化 |
非課税保有限度額 | 1,800万円※簿価残高方式で管理(枠の再利用が可能) 成長投資枠は上記の内数として1,200万円が限度 | |
口座開設期間 | 恒久化 | |
投資対象商品 | 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託 (現行のつみたてNISA対象商品と同様) | 上場株式・投資信託等 (①整理・監理銘柄 ②信託期間20年未満、毎月分配型の投資信託及びデリバティブ取引を用いた一定の投資信託等を除外) |
対象年齢 | 18歳以上 | |
現行制度との関係 | 2023年末までに現行の一般NISA及びつみたてNISA制度において投資した商品は、新しい制度の外枠で、現行制度における非課税措置を適用 ※現行制度から新しい制度へのロールオーバーは不可 |
年間投資枠が拡大されたり、非課税保有期間が無期限化されたりと、さらに優良な制度となっている。
NISAでは株式や債券を購入するため、元本割れする可能性があるだろう。
一方で、学資保険の返戻率以上のリターンを狙える可能性も秘めている。
学資保険のように20年近く運用するのであれば、損をしない可能性が高いとも言われている。
低解約返戻金型終身保険
低解約返戻金型終身保険は、一般の終身保険よりも解約時の返戻率が低い保険だ。
死亡や高度障害に一生涯にわたって備えられる終身保険が基本ベースながら、途中で解約すると受け取れる解約返戻金は払込保険料の総額を下回る仕組みになっている。
保険料払込期間中の解約返戻金額が低い分、一般的な終身保険よりも保険料が安い。
低解約返戻金型終身保険は、保険料払込期間を満了すると解約返戻金が上昇する。
そのため、保険料払込期間と子どもが進学するタイミングを合わせることで教育資金を用意できる。
個人年金保険
個人年金保険は、契約時に定めた一定の年齢に達すると、年金を受け取ることができる保険だ。
終身年金・保証期間付終身年金・有期年金・保証期間付有期年金・確定年金・夫婦年金の6種類に分類されている。
それぞれの特徴は以下のとおりだ。
- 終身年金
- 一定の年齢に到達したら、生存している間は年金を受け取れる
- 保証期間付終身年金
- 保証期間中は生死に関係なく、保証期間後は生存している間、年金を受け取れる
- 有期年金
- 生存している間の一定期間、年金を受け取れる
- 保証期間付有期年金
- 保証期間中は生死に関係なく、保証期間後は生存している間の一定期間、年金を受け取れる
- 確定年金
- 生死に関係なく、一定期間、年金を受け取れる
- 夫婦年金
- 夫婦いずれかが生存している限り、年金を受け取れる
また、学資保険では被保険者が年金受取開始前に亡くなると、払い込んだ保険料に相当する金額が死亡給付金として遺族に支払われる。
契約者が亡くなった際に保険料の払い込みが不要になる学資保険と似た仕組みだ。
子どもの教育費が必要になる時期に年金受取を開始できるのであれば、個人年金保険も選択肢になり得るだろう。
学資保険の利率学資保険の利率は高くない!他の教育資金貯蓄法も検討してみよう
本記事では、学資保険のデメリットや利用すべき人の特徴、学資保険の代わりになる教育資金の貯蓄方法について解説した。
学資保険は返戻率が低く、インフレに対応できないなどのデメリットがある。
ただ、確実に資金を貯蓄したい人や生命保険料控除を利用したいという人にとっては、加入する価値があるだろう。
学資保険以外にも教育資金を準備する方法はいくつかあり、最終的にどの保険が最適なのかは人によって異なる。
そのため、本記事を理解しただけでは、どの保険を選ぶべきか決められないと考える人もいるかもしれない。
そんな時は保険のプロに相談することも検討しよう。
一人一人に合ったアドバイスをもらうことで、的確に必要な保険を判断し、老後の準備を進めることができるはずだ。
また、全国の保険のプロから自分に合った担当者を探す際には「生命保険ナビ」の活用をおすすめする。
「生命保険ナビ」は、自身の条件に合った保険のプロを簡単に見つけることができるマッチングサービスである。
気になった担当者とは無料相談もできるので、是非活用してほしい。