- 学資保険と変額保険のそれぞれの特徴が知りたい
- どちらの保険が自分に合っているのか選び方がわからない
- 学資保険が変額保険の代わりになるのか知りたい
子どもの将来のための保険として、学資保険がよく選ばれている。
しかし、最近では変額保険を学資保険の代わりに選択する人もいる。果たしてそれは良い判断なのか。
この記事では、その疑問に対して、各々の特徴を深堀りし、あなたやあなたの子供のライフプランに最適な保険選びの参考になる情報を提供する。
最善の選択をするためのポイントも解説しているため、ぜひ参考にして欲しい。
学資保険と変額保険について理解しよう
まずは、学資保険とはどのようなものか、学資保険にそもそも加入する必要があるのか、という点について確認しよう。
学資保険以外で資金を準備する方法についても紹介していく。
そもそも学資保険は必要なのか
そもそも、学資保険などを利用して教育資金を貯める必要はあるのだろうか。
まずは、学資保険の必要性について考えていきたい。
文部科学省が実施した「子供の学習費調査(令和3年度)」によると、幼稚園から高校卒業までの15年間について、学習費の総額は下記の通りだ。
幼稚園 | 小学校 | 中学校 | 高等学校 | |
公立 | 472,746円 | 2,112,022円 | 1,616,317円 | 1,543,116円 |
私立 | 924,636円 | 9,999,660円 | 4,303,805円 | 3,156,401円 |
幼稚園から高校まですべて公立に通った場合は、合計で約570万円の学習費が必要となる。
一方、すべて私立に通った場合の学習費は、合計で1,840万円となる。
特に、小学校は6年間通うということもあり、学習費の負担が大きくなりやすい。
また、日本政策金融公庫が実施した「令和3年度教育費負担の実態調査結果」における、大学別の入学費用と在学費用の平均を足した金額は下記の通りだ。
国公立大学 | 私立大学文系 | 私立大学理系 |
481.2万円 | 689.8万円 | 826.1万円 |
これらを踏まえると、幼稚園から大学まで全て国公立に通った場合、約1,050万円のお金が必要となる。
幼稚園から高校までは公立で、大学は私立文系に進んだ場合、学習費の合計は約1,260万円だ。
私立大学の理系学部に進んだ場合や、幼稚園から高校の間で私立学校に通った場合は、もっとお金が必要となる。
幼稚園から大学卒業まで1,000万円以上のお金が必要となるのは、大きな負担に感じる人も多いだろう。
また、実際にはこれに加えて部活などの費用や受験に関する費用、一人暮らしのための費用などもかかってくる。
特に負担が大きくなると考えられるのは、大学入学から卒業するまでだろう。
子供を大学に進学させたいと考えるならば、子供が小さいうちからコツコツと大学に向けてお金を貯める必要がある。
学資保険は、こうした将来の学費に備えるための保険だ。
すでに資産が十分ある人や、貯金の見通しがすでに立っている人などは、学資保険に加入する必要はないだろう。
しかし、貯金が苦手な人や、現時点で資産に不安があるという方は、学資保険を活用してコツコツと資金を準備するのをおすすめする。
学資保険の特徴
学資保険とは、子供の将来の教育資金を準備することを目的とした貯蓄型保険だ。
基本的に親が契約者となり、親に万が一のことがあった場合、その後の保険料支払いは免除される。
保険料支払いが免除された後も、満期保険金や学資金は予定通り受け取れるため、万一のことがあっても確実に教育資金を残してあげたいという親のニーズに応えられる保険だ。
子供の高校入学や大学入学といったタイミングに満期を設定しておけば、まとまった満期保険金や学資金が支払われるため、教育資金に充てることができる。
返戻率が100%を超える学資保険に加入すれば、払い込んだよりも多くの保険金を受け取れるため、預貯金においておくよりも効率よく教育資金を準備しやすくなる。
返戻率は保険会社や契約内容によって異なるため、事前にチェックしておこう。
毎月半ば強制的に保険料が積み立てられていくため、貯金が苦手だという人でも将来に向けてお金を貯めやすいという特徴がある。
また、学資保険は生命保険料控除の対象となるため、所得税および住民税の負担を軽減できる場合がある。
自分でお金を貯金・運用する自信がないという人や、親に万が一のことがあった際に子供に学費をしっかりと残してあげたいという人は、学資保険が適しているかもしれない。
変額保険の特徴
将来に向けた教育資金の準備を目的とするのであれば、学資保険だけでなく変額保険も選択肢に入るかもしれない。
変額保険は、保険料の一部を株式や債券等の金融商品で運用する保険で、運用成績に応じて保険金や解約返戻金の金額が増減する。
運用は保険会社が行うため、加入者が自分で運用する必要はない。
運用がうまくいけば、保険金や解約返戻金の金額は増えるが、運用がうまくいかなければ、手元に戻ってくる金額がマイナスになることもある。
なお、死亡保障には最低保障が設定されているため、運用がうまくいけば増加分を上乗せして受け取れるが、運用がうまくいかなかった場合も最低保障分は確保される。
変額保険の保険期間は、大きく分けると「終身タイプ」「有期タイプ」の2種類に分けられる。
終身タイプは一生涯保障が続くのに対して、有期タイプは契約時に決めた一定期間を保障する。
学資保険の代わりに変額保険に加入するのはあり?
学資保険の代わりに、変額保険を活用して教育資金を準備するのもありだ。
ただし、加入の際はメリット・デメリットや注意点をよく確認した上で、納得の上契約することが大事だ。
人によって適した保障内容や保険の種類は異なるため、どちらが良い・悪いというよりは、自分に向いているかどうかで判断するのが望ましい。
以下で、教育資金を準備するにあたっての、学資保険と変額保険のメリット・デメリットをそれぞれ確認していく。
教育資金を学資保険で準備するメリット・デメリット
教育資金を学資保険で準備するメリットおよびデメリットは下記の通りだ。
メリット | デメリット |
着実に教育資金を準備できる 払込保険料よりも高い金額を受け取れる可能性がある 契約者に万が一のことがあった際はその後の保険料支払いが免除される 生命保険料控除の対象となる | 途中解約すると元本を割り込む可能性がある 返戻率はそれほど高くない インフレに弱い |
学資保険のメリットとしては、将来の子供にかかる教育資金を確保しつつ、万が一の際の保障も準備できる点が挙げられる。
返戻率が100%以上の保険を選べば、トータルで払い込んだ保険料よりも、戻ってくる保険金の方が多くなるため、預金においておくよりも有利になる可能性がある。
仮に、返戻率105%の学資保険に加入して、保険料を総額で200万円支払った場合、満期を迎えた際に受け取れる金額は210万円となる。
ただし、保障内容や特約によっては、返戻率が100%を割り込むこともあるため、注意しよう。
また、学資保険のデメリットとしては、途中解約時に元本割れのリスクがあることや、他の運用商品などと比べて利回りがそれほど高くないことなどが挙げられる。
加えて、インフレに弱いのも学資保険の特徴だ。
当初の契約時に保険金や学資金の受け取り金額が確定するため、それ以降にその中の金利が上昇したとしても学資保険の返戻率は変わらない。
契約期間中にどんどんインフレが進んでモノの価格が上がった場合は、相対的に学資保険から受け取れる保険金や学資金の価値が目減りしてしまうケースがある。
教育資金を変額保険で準備するメリット・デメリット
子供の教育資金を学資保険ではなく変額保険で準備するメリット・デメリットについても確認していこう。
メリット | デメリット |
将来に向けてお金を増やせる インフレや好景気に強い 死亡保障には最低保障が設定されている 生命保険料控除の対象となる | 元本割れの可能性がある 手数料がやや高い |
変額保険のメリットとしては、将来に向けて積極的にお金を増やしていける点がある。
保険の特別勘定部分を株式や債券といった金融商品で運用するため、運用実績によっては解約返戻金や満期保険金が払込保険料から大きく増えることも考えられる。
なお、為替変動や株式・債券価格の下落によって、積立金額や解約返戻金が払込保険料の総額を下回る場合もある。
ただし、死亡保険金や高度障害保険金については、運用実績にかかわらず基本保険金額が最低保障されるため、保険の機能はしっかりと持っている。
株式や債券の運用成果に応じて受け取り金額が変動するため、学資保険に比べてインフレに強いのも特徴だ。
将来的にインフレが進むことが不安な方にとっては、変額保険が適しているかもしれない。
一方、変額保険のデメリットとしては、満期金や解約返戻金が元本割れしてしまう可能性があることや、運用手数料がやや高めとなってしまうことが挙げられる。
運用をプロである保険会社に任せられるのは魅力でもあるが、特別勘定ごとに所定の手数料が控除されることや、運用商品の切り替えの際にスイッチング手数料がかかってしまうことはデメリットとなるだろう。
保険という商品として運用する以上、投資信託や株式などで直接運用する場合に比べて運用コストがかかりやすい点に注意しよう。
教育資金を学資保険や変額保険で準備する際の注意点
教育資金を保険で準備する際は、特に途中解約に注意しよう。
預貯金であれば、まとまったお金が必要になったタイミングでいつでも引き出せるが、学資保険の場合は、途中解約に手間がかかる上に元本割れのリスクもある。
学資保険や変額保険は、一般的に長期にわたって加入を続ける保険なので、途中解約せずに済むように無理なく支払い続ける範囲に保険料を設定しておくことが重要だ。
また、資金を増やすことを目的として学資保険や変額保険に加入するのであれば、返戻率や運用実績もしっかりと確認しておこう。
返戻率が100%を下回る学資保険や、運用実績のよくない変額保険だと、将来に向けて思うように資産を増やせない可能性もあるため注意したい。
教育資金の準備として学資保険や変額保険を選ぶポイント
教育資金を準備するために保険を活用する際は、以下のポイントに従って保険を選ぼう。
「大手の保険会社だから」「人気のある保険だから」と選ぶのではなく、自分のニーズやライフスタイルに合っているかどうかが重要となる。
- いつ保険金が必要になるか
- 貯蓄性・リスクは適切か
- 保険料や払込方法は自分に合っているか
いつ保険金が必要になるか
教育資金の準備を目的として保険に加入する場合、まずはまとまったお金が必要となるタイミングやいくら必要となるかをシミュレーションしてみよう。
多くの人が大学進学に向けてお金を準備するケースが多いが、人によっては中学や高校入学の時期に保険金を受け取りたいという人もいるだろう。
また、先述の通り、進学先が国公立か私立かによっても学費は大きく異なる。
平均の学費を参考にしつつ、自分の家庭での学費に対するイメージをしっかりと持っておくことが大事だ。
「いつまでにいくら必要か」が明確になれば、毎月の保険料やどのくらいの利回りでお金を積み立てていけば良いのかもわかりやすくなるだろう。
しっかりと積み立てていくこと重視でそれほど大きくお金が増えなくても良いという場合は、学資保険でコツコツ積み立てていくのが良いだろう。
逆に、長期間かけてしっかりと資金を運用しながら増やしたいと考える人は、変額保険の方が適しているかもしれない。
貯蓄性・リスクは適切か
続いて、自分の性格やリスク許容度に、保険商品の内容が適しているかもチェックしよう。
例えば、変額保険は運用がうまくいくと高い利率での運用が期待できる一方、金融市場の相場状況によっては、満期保険金等が保険料払込総額を下回るリスクもある。
契約内容をよくわからないまま加入してしまうと、満期時に受け取れる保険金が少なくて困ってしまう可能性もあるだろう。
また、変額保険の中には外貨で運用する保険もあり、このようなタイプは為替リスクや為替手数料も発生するケースが多い。
為替のリスクについてきちんと理解できないまま契約すると、契約時から急激に円高に進んで為替差損を被るということにもなりかねない。
自分が許容できるリスクや、金融商品に対する理解度をしっかりと確認した上で、保険商品を選ぶのが重要だ。
保険料や払込方法は自分に合っているか
どんな保険商品が自分に合っているかや、将来確保したい金額が決まったら、毎月の保険料や払込方法が適切かも確認しよう。
教育資金を貯めることを目的として保険に加入する場合は、多くの場合10年以上の長期スパンで保険料を払い続けることとなる。
将来、年収が減少したり支出が増えたりすると、保険料の支払いが日々の生活を圧迫してしまうことにもなりかねない。
また、学資保険や変額保険は、契約してからすぐに解約してしまうと、多くの場合手元に戻ってくるお金が払い込んだ保険料総額を下回ってしまう。
突然の出費で保険を解約しなくても済むように、保険料は適切な範囲で設定しつつ、貯蓄もしっかりと蓄えておくように心がけよう。
学資保険と変額保険の違いを理解して、自分にあった教育資金調達法を選ぼう
子どもの将来のためにも、保険は欠かせない存在である。
学資保険は、特定のタイミングで保険金が支払われる一方で、変額保険は積立金の運用次第で保険金が増減する。
それぞれ特性が異なるため、商品性と自分や家族のライフプランやリスク許容度を照らし合わせ、適切な保険選びが求められる。
しかし、保険の世界は専門知識が必要となり、自身で判断するのは難しいものである。
そんな時は保険のプロに相談することをおすすめする。
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自分が相談したいと思える専門家に自身の予算やライフプランなどを説明し、一緒に保険選びを進めてみてはいかがだろうか。
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