- 医療保険に加入後、いつから保障が適用されるのか知りたい
- 医療保険における責任開始日の考え方がわからない
- 保障が受けられるよう、医療保険の加入時に注意するべきポイントを知りたい
少子高齢化が進む日本では、老後の生活に備え医療保険への加入を検討する人が増えてきている。
そんな医療保険に加入後、いつから保障が適用されるのか、皆さんは正確に理解できているだろうか。
結論から述べると、保障は責任開始日から適用になるため、申込直後から受けられるというわけではない。
そこで本記事では、保障開始の条件や医療保険に加入する際の注意点も含め、「医療保険の保障はいつから適用されるのか」を解説していく。
ぜひ本記事を参考にして、安心して医療保険に加入する準備を進めてほしい。
医療保険の保障はいつから受けられるのか
医療保険や生命保険は、契約した日からすぐに保障が開始されるわけではない。
保障が開始されるのは契約日ではなく「責任開始日」以降となる。
まずは、保険の契約日と責任開始日の違いや、保障が開始されるための条件などについて確認していこう。
責任開始日とは
責任開始日とは、医療保険や生命保険において保障が始まる日のことだ。
医療保険は、怪我や病気のリスクに備えるための保険だが、責任開始日前に怪我や病気による入院・手術を行ったとしても、保障の対象とはならない。
「契約書を書いたから保障が開始される」と勘違いする人もいるが、契約書の記入や送付時点では保障が開始されないケースも多いため注意しよう。
責任開始日は、以下の3つを全て完了した日となる。
- 保険契約の申込
- 告知または医師による審査
- 1回目の保険料の払込
一般的に、保険契約の申込が終わってから、告知・診査や保険料の払い込みを行い、すべての手続きが完了した段階で保障が開始される。
保険料の払い込みが遅れた場合や、告知・診査に時間がかかる場合は、その分だけ保障が始まる時期が遅れてしまうため注意しよう。
保険会社・商品・特約によって保障開始日は異なる
一般的に、医療保険の保障が開始されるのは、契約日より数日経ったあとになるケースが多い。
また、保険会社によっては申込日当日から保障が開始される商品も取り扱っている。
すぐに保障が開始される保険に加入したいという場合は、即日加入・即日保障が認められる保険を探してみよう。
ただし、そのような商品の場合、保険料の支払いをクレジットカードで行うことや、申し込み後すぐに保険料支払いを済ませることなどが条件となることもある。
こうしたケースでは、保険加入への申し込みを保険会社が承諾した時点で、申込時に遡って保障が始まるのが一般的だ。
保険会社や商品によって条件は異なるため、しっかりとチェックしておこう。
自分の健康状態や既往歴によっては、即日保障を受けるのが難しい場合もある。
保険の加入には、保険会社の審査に通ることが必要となるが、健康状態に問題のある方の場合は、リスクを見極めた上で加入の審査がされるためだ。
特に、持病がある人の場合は、「特定部位不担保」「割り増し保険料」といった条件付きでの加入であれば認められるといったように制限がつけられる可能性が高く、即日で保障が始まるのは難しいだろう。入院・手術・検査の予定がある場合も、すぐに保障が開始されにくい。
主な生命保険会社の責任開始日について、以下にまとめた。
保険会社 | 責任開始日(保障が始まるタイミング) |
---|---|
楽天生命 | 申込日(契約承諾後、申込日に遡って保障を開始する) |
SBI生命 | 毎月15日までに申し込んだ契約は翌月1日から保障開始 |
第一生命 | 契約の申込とともに告知が完了した時点(告知不要とする場合、契約承諾後申込完了時点に遡って保障) |
住友生命 | 住友生命が契約の引受を承諾した場合、第1回保険料の払込および告知(診査)が完了した時から保障開始 |
富国生命 | 保険の申し込み、告知、第1回保険料を払い込んだ日から保障開始 |
明治安田生命 | 申し込んだ契約を明治安田生命が承諾した場合は、申込と告知がともに完了した時から契約上の保障が開始 |
アフラック | 「責任開始期に関する特約」を付加した場合:申込および告知がいずれも完了した時 「責任開始期に関する特約」を付加しない場合:告知および指定のクレジットカードの有効性の確認がともに完了した時 |
アクサダイレクト生命 | アクサダイレクト生命が承諾をした場合、申込と告知をした時に遡って保障を開始 |
なお、これは一般的な保険が対象となっており、保障内容や特約によっては下記の責任開始日と異なる場合があるため、契約のしおりなどで確認するようにしよう。
免責期間がある保険には注意
保険を契約する際は「免責期間」にも注意しよう。免責期間とは、保障の対象外となる期間のことだ。
多くのがん保険には、契約後90日(3ヶ月)間の免責期間が設けられている。
例えば、9月1日に申込手続きを行い、告知を9月3日、第一回目の保険料の支払いを9月5日に行ったとする。
一般的な医療保険では9月5日が責任開始日となるが、がん保険の場合は9月5日から90日後の12月4日までの免責期間を経た上で、翌日の12月5日から保障が開始される。
契約後すぐの免責期間内にがんと診断されたり、がんの治療を受けたりしても、保険金や給付金の対象とはならない。
がん保険に免責期間が設けられているのは、加入者間の公平性を保つためだ。
がんは自覚症状がないまま病気が進行する場合も多く、申込者が自分のがんに気づかないままがん保険に申し込んでしまうことも考えられる。
その場合、契約後すぐにがんと診断される可能性もあるため、契約者間での公平性を担保するために免責期間が設定されている。
一方、体調不良などで自分の身体に異常を感じ、検査をする前にがん保険に加入しておこうと考える人もいる。
このような人ばかりががん保険に加入してしまうと、他の健康な加入者との公平性が保てなくなる。
明らかな異常を感じながらがん保険に加入されるリスクを防ぐために、がん保険には一定の免責期間が設けられているのだ。
加えて、がん保険以外にも、古いタイプの医療保険だと入院4日目までは入院給付金が支払われず、5日目以降に支払われるというものがある。この場合も、4日目までは免責期間が適用されると捉えられる。
【保障をスムーズに受けるために】医療保険加入時の注意点
怪我や病気による入院・手術に備えるために医療保険に加入したにもかかわらず保障が適用されなくて困る、というリスクは避けたい。
医療保険に加入する際に気を付けるべきポイントとしては、下記のような点が挙げられる。
- 告知義務違反は絶対にしない
- 保険料の支払い方法に注意する
- 保険の見直しの際はタイミングに気を付ける
順番に確認していこう。
告知義務違反は絶対にしない
保障を確実に受けるために、告知義務違反には注意しよう。
医療保険に加入する場合は、現在の健康状態や過去の既往歴に関する告知や医師の診査などが必要となる場合がある。
治療中の病気や服用中の薬、過去に入院や手術の経験がある場合は、漏れがないようにしっかりと伝えよう。
告知事項がある場合は、ない人に比べて審査結果が出るまでに時間がかかるが、正しく告知を行わないと「告知義務違反」となる。
告知義務違反が認められると、保険契約が無効になったり、それまでに払い込んだ保険料が無駄になってしまったりというリスクがある。
わざと虚偽の告知をした場合はもちろん、本来伝えるべきことを伝え忘れていた場合にも告知義務違反となる。
入院や手術の時期を曖昧にごまかした、服薬中の薬について記載しなかった、といった場合も告知義務違反として不利になる可能性があるため注意しよう。
告知を行う際は、健康診断の結果やお薬手帳などを確認しながら、自分の健康状態についてしっかりと回答するのが重要だ。
不明点があったり、告知すべきかわからないことがあったりする場合は、保険会社の担当者やコールセンターに必ず確認しよう。
保険料の支払い方法に注意する
スムーズに医療保険の保障を開始したい場合、保険料の支払い方法にも気をつけよう。
保険料の支払い方法を口座振替にしている場合は、手続きが終了してもすぐに引き落としが開始されない場合がある。
長いと1〜2ヶ月程度かかる場合もあり、その間は保障が始まらない。
なるべく早く保障を開始したい場合は、クレジットカード払いがおすすめだ。
保険の見直しの際はタイミングに気を付ける
すでに加入している保険を見直して新しい保険に加入する場合は、契約のタイミングに注意しよう。
新しく加入する保険の契約成立前にもともと加入していた保険を解約してしまうと、保障が受けられない空白期間が生じてしまう。
健康状態や既往歴などによっては、新しい保険に加入できない可能性もあり、空白期間中に怪我や病気によって入院・手術を受けた場合は医療保険の保障を受けられないというリスクがある。
そのため、保険の見直しを行う際は、必ず新しい保険の保障が開始されてから古い保険を解約するようにしよう。
あなたに合った医療保険を選ぶポイント
医療保険を安心して利用するためには、自分に合った医療保険を選ぶことも重要だ。
必要な保障内容を備えた保険に加入することで、万が一の怪我や病気のリスクにも適切に準備できる。
自分に適した医療保険を選ぶ際は、以下のポイントに注目しよう。
- 給付金の支払いタイプや金額で選ぶ
- 保険料・保険期間で選ぶ
- 特約の有無・コースで選ぶ
入院給付金の金額・支払い方法で選ぶ
まずは、給付金の支払いタイプや金額に注目する。
医療保険の給付金は、怪我での入院や手術をしたときに支払われる。
入院時の保障としては、入院1日あたりいくらというように契約時に設定した給付金額での受け取りが可能だ。
保険会社や保険商品によっては1回の入院あたりの支払い限度額が定められていて、60日を上限とするのが一般的だ。
入院給付金は、入院中に必要な費用を補う目的で支払われるため、最低限必要な金額をイメージしながら金額を設定しよう。
なお、生命保険文化センターの調査による、男女別の入院給付日額の分布表は下記の通りだ。
男性の入院給付日額の分布 | 女性の入院給付日額の分布 | |
3,000円未満 | 1.3% | 2.9% |
3,000~5,000円未満 | 4.0% | 7.6% |
5,000~7,000円未満 | 30.4% | 38.5% |
7,000~10,000円未満 | 6.2% | 6.3% |
10,000~15,000円未満 | 31.9% | 26.3% |
15,000円以上 | 16.6% | 10.6% |
不明 | 9.6% | 7.9% |
医療保険には、手術をした際の保障もある。手術を受けた時に支払われる給付金は、手術の種類ごとに決められた倍率をかけて金額が決まるタイプと、手術内容に関わらず決まった金額を受け取れる定額タイプの2種類だ。
手術ごとに倍率をかけて決まるタイプの給付金は、保険会社によって倍率の設定が異なるため注意しよう。
同じ手術を受けたとしても、加入している保険の種類によって受け取れる金額に差が出るケースもある。
さらに、医療保険の中には、入院日数や手術の内容に関係なく、定められた条件を満たすことで一時金を受け取れるタイプの保険も存在する。
近年は入院日数の短期化が進んでいるため、入院日数が短くてもまとまった金額を受け取れるタイプの保険は魅力的だといえる。
長期入院に備えたいのか、短期でも給付金を受け取りたいのか、など加入する人のニーズによって入るべき保険が変わってくる。
保険料・保険期間で選ぶ
保険料や保険期間も医療保険選びの大きなポイントだ。
医療保険の保険期間は、定期タイプと終身タイプの2種類がある。
定期タイプの医療保険は、10年や15年といったように保障期間が定められている保険だ。
一定期間が経過すると保障が終了するか、更新するかのどちらかを選べ、更新する場合は年齢に応じて保険料が上がる。
定期タイプの場合は一定期間ごとに保険の見直しをしやすいのが特徴で、ライフスタイルや家族構成の変化に合わせて柔軟に保障を調整しやすい。
一方、保障が一生涯続く終身タイプの医療保険は、一度加入すれば毎月の保険料は変わらない。
若いうちに加入しておけば、50代や60代以降の怪我や病気のリスクが上がる年齢になっても保険料負担を抑えやすいというメリットがある。
ただし、終身タイプの医療保険は定期タイプに比べて、保険の見直しがしにくい点には注意が必要だ。
特約の有無・コースで選ぶ
保険における保障は、主契約と特約で構成されている。
医療保険の場合は、怪我や病気による入院・手術をした際に、入院日数や手術内容に合わせて給付金が支払われるという保障が「主契約」となる。
さらに、ニーズに合わせて「特約」としてプラスの保障をつけることで、備えたいリスクに対して手厚く準備できる。
主な特約には、以下のような種類がある。
- 特定(三大)疾病保障特約
- がん診断特約
- 女性疾病特約
- 先進医療特約
- 通院特約
これらの特約をうまく組み合わせることで、自分の求める保障内容へとカスタマイズできる。
特約の内容によっては、追加加入ができず加入時にしか付帯できない特約もあるため注意しよう。
また、商品によってはいくつかの特約がセットになったコースを用意している場合もある。
女性向けの保障コースやがんのリスクに備えたい人向けのコースなど、ニーズに応じて様々なコースが用意されている場合もあるため、しっかりと比較して選ぼう。
特約も踏まえた上で医療保険を選ぼうと思うと、非常に膨大な数の中から自分に適した保険を探す必要がある。
仕事や家事などで忙しい方には、保険選びが手間に感じる人も多いのではないだろうか。
そのような方は、保険の専門家に相談して、自分に合った保険・保障内容を提案してもらうのをおすすめする。
客観的な立場で自分に適した保険を選んでもらえ、保険の専門家としてプロの目線でのアドバイスももらえるため、保険選びに役立つだろう。
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まとめ
本記事では、保障開始の条件や医療保険に加入する際の注意点も含め、「医療保険の保障はいつから適用されるのか」について解説を行った。
医療保険の保障が適用されるためには条件があり、多くの場合は責任開始日を起点に保障が適用される。
そのため、「保障が適用されない」という事態にならないよう、加入時の注意点を考慮して手続きを進めてほしい。
また、医療保険を安心して利用するためには、保険期間や保険料などを踏まえ、自分に合った医療保険を選ぶことも大切である。
もし、どの医療保険に入るべきか一人では判断できないという場合には、保険のプロに相談することも検討しよう。
一人一人に合ったアドバイスをもらうことで、あなたに必要な医療保険を的確に選択することができるはずだ。
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