- 控除の仕組みについて理解したい
- 控除の受け方が知りたい
- 医療保険控除の節税効果を理解したい
保険の話でよく聞く「控除」という制度。実際は、よくわからないという方も多いのではないだろうか。
納税者が生命保険料、介護医療保険料および個人年金保険料を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができる。
これを生命保険料控除という。
簡単に言うと対象の生命保険に加入して、支払った保険料は所得税や住民税を下げる効果があるということである。
本記事では、生命保険料控除の仕組みや、申請方法、自分に適した保険の選び方について解説していく。
医療保険への加入を検討している方や、既に加入している方で保険を見直したいと考えている方には、ぜひ参考にしてほしい。
医療保険の控除制度とは何か
まずは、この生命保険料控除の概要について説明する。
生命保険料控除対象となる保険
生命保険料において控除の対象となる保険は、下記に挙げられるものである。
これらの保険は、保険契約者が保険料を支払うことで、将来的なリスクに備えることができるだけでなく、税制上のメリットも受けられる。
生命保険料控除対象となるのは、生存・死亡によって特定の保険金が発生する保険商品である。
これには、終身保険や定期保険などが含まれる。
保険契約者が生存した場合は契約終了時に一時金(満期保険金)が支払われ、死亡した場合はその遺族に対して死亡保険金が発生する保険である。
生命保険料において控除の対象外となる保険
生命保険料以外にも、控除できる保険はある。
なお、医療保険の区分が2012年から切り替わっていることに注意していただきたい。
2012年以降に契約した保険に対しては「新制度」、それ以前に契約した保険に対しては「旧制度」が対象となる。
また、一般生命保険以外に、「介護医療保険」および「個人年金保険」も控除でき、それぞれに上限が設けられている。
さらに、控除できる保険料には「合計金額」に対しても上限が設けられているため注意が必要である。
いくら控除が適用されるか計算してみよう
生命保険料控除の概要については理解頂けたと思うが、具体的にどの程度の減税効果があるのだろうか?
ここからは、生命保険料控除の計算方法と具体的な数値を用いた減税効果について解説する。
所得税額の計算式
まずは所得税額を計算する方法について説明する。
所得税の税率は、給与所得または事業所得をもとにして計算される。
例えば、課税所得が700万円の場合は所得税率が23%となるため、控除できる保険料の23%が所得税の減税額である。
所得税の計算式は簡単でありながら重要だ。
個々の課税所得に対する税率と控除額を考慮することで、実際の課税額を正確に算出できる。
これにより、控除できる生命保険がどれだけ所得税の減税に寄与するかを理解し、適切な節税対策を講じることが可能である。
控除できる生命保険料の計算方法(新契約)
ここからは、新契約(2012年以降)に基づく計算方法と、具体的な計算方法について説明する。
新契約に基づく生命保険料ごとの控除額の計算方法は、以下の通りである。
①新契約での生命保険料に対する控除額【所得税】
年間保険料 | 控除額 |
---|---|
〜2万円 | 年間保険料(全額) |
2万円〜4万円 | 年間保険料 × 50% + 1万円 |
4万円〜8万円 | 年間保険料 × 25% + 2万円 |
8万円〜 | 一律4万円 |
①新契約での生命保険料に対する控除額【住民税】
年間保険料 | 控除額 |
---|---|
〜1.2万円 | 年間保険料(全額) |
1.2万円〜3.2万円 | 年間保険料 × 50% + 0.6万円 |
3.2万円〜5.6万円 | 年間保険料 × 25% + 1.4万円 |
5.6万円〜 | 一律2.8万円 |
ここで、所得税および住民税が具体的にいくら安くなるか把握するため、以下のケースにしたがって計算する。
<減税額を計算するケース>
- 年間保険料:5万円(新契約)
- 課税所得:700万円
<新契約に基づく減税額(所得税)>
- 控除額:5万円 × 25% + 20,000円 = 3.25万円
- 減税額:3.25万円 × 23%(所得税率) = 7,475円
<新契約に基づく減税額(住民税)>
- 控除額:5万円 × 25% + 14,000円 = 2.65万円
- 減税額:2.65万円 × 10%(住民税率) = 2,650円
この通り、年間で5万円の保険料に対して、所得税と住民税の減税額は合計10,125円となる。
控除できる生命保険料の計算方法(旧契約)
ここからは、旧契約(平成23年12月31日以降)に基づく計算方法と、具体的な計算方法について説明する。
旧契約に基づく生命保険料ごとの控除額の計算方法は、以下の通りである。
②旧契約での生命保険料に対する控除額【所得税】
年間保険料 | 控除額 |
---|---|
〜2.5万円 | 年間保険料の全額 |
2.5万円〜5万円 | 年間保険料 × 50% + 1.25万円 |
5万円〜10万円 | 年間保険料 × 25% + 2.5万円 |
10万円〜 | 一律5万円 |
②旧契約での生命保険料に対する控除額【住民税】
年間保険料 | 控除額 |
---|---|
〜1.5万円 | 年間保険料(全額) |
1.5万円〜4万円 | 年間保険料 × 50% + 0.75万円 |
4万円〜7万円 | 年間保険料 × 25% + 1.75万円 |
7万円〜 | 一律3.5万円 |
ここで、所得税および住民税が具体的にいくら安くなるか把握するため、以下のケースにしたがって計算する。
<減税額を計算するケース>
- 年間保険料:5万円(旧契約)
- 課税所得:700万円
<新契約に基づく減税額(所得税)>
- 控除額:5万円 × 50% + 1.25万円 = 3.75万円
- 減税額:3.75万円 × 23%(所得税率) = 8,625円
<新契約に基づく減税額(住民税)>
- 控除額:5万円 × 25% + 1.75円 = 3万円
- 減税額:3万円 × 10%(住民税率) = 3,000円
この通り、年間で5万円の保険料に対して、所得税と住民税の減税額は合計11,625円となる。
生命保険料控除を活用しよう
これまで説明にて、生命保険料を控除することで節税効果があることは理解いただけたかと思う。
ここからは、具体的に生命保険料を控除する方法について解説する。
生命保険料を控除する手続き方法
生命保険料を控除する具体的な手続き方法は、以下の通りである。
- 確定申告書の保険料控除の欄に記入する
- (会社員の場合)支払金額を証明する書類を「給与所得者の保険料控除等申告書」の提出の際に添付する
- 確定申告書を提出する際に提示する
会社員の場合は、年末調整の際に会社に必要な書類を提出することで、代理で申請してもらうことができる。
ただし、自営業や年収が極端に高い会社員の場合は必要書類を確定申告時にそろえる必要があるので注意が必要である。
控除を受ける際の注意点
生命保険料を控除する際には、下記のことに注意しなければならない。
- 離婚成立以降に支払う保険料は控除対象とならない
- 対象外となる保険(財形保険、保険期間が5年未満の保険、団体信用生命保険など)も存在する
- 会社員でも、年収が2千万円を超える場合は確定申告が必要になる
生命保険控除には「一般生命保険料控除」「介護医療保険料控除」「個人年金保険料控除」の3種類がある。
「保険」という名称がついていても、すべてが控除対象になるのでは無いことを理解しておこう。
また、注意点としては、会社員は会社での年末調整が可能だが、年収2,000万円を超えると、自身での確定申告が必要になる。
また、10月から11月頃に加入している生命保険会社などから郵送される「生命保険料控除証明書」を紛失しないように管理しておこう。
生命保険料を控除するためには正しい手続きを行う必要があり、申請方法などを間違えるとせっかくの制度を利用できないため、正しく理解して手続きを行う必要がある。
まとめ
本記事では生命保険料控除に関する仕組みや計算方法、手続き方法などについて解説した。
生命保険料は所得税や住民税から控除される。
つまり、年間に支払った保険料に応じて、所得税や住民税を軽減することが可能である。
医療保険や個人年金保険の保険料ももちろん対象である。
そのため、医療保険に加入する際はどのくらい税金が軽減できるのかを確かめて、有効的に活用してほしい。
しかし、制度内容は複雑であり、加入保険や保険料によって軽減される金額は変わってくる。
もし自分ひとりで考えるのが難しいと感じた場合は保険のプロに相談しよう。
そんなときには「生命保険ナビ」を活用することをおすすめする。
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