- 新NISAの口座を開設する具体的な手順が知りたい
- 新NISAで投資を始める際のポイントを理解したい
- 新NISA口座を利用する際の注意点を抑えておきたい
2024年1月にスタートした「新NISA」は、非課税投資枠は1,800万円に拡大され、投資期間に制限がなくなった。
資産を売却した場合は、翌年にその分の投資枠が復活するという柔軟性も備えている。
将来の資産形成を目指すなら、この制度を利用しない手はない。
とはいえ、投資を始めるのはハードルが高く、「何から始めたら良いかわからない」という方もいらっしゃるだろう。
この記事は、まずは口座を開設して将来の資産形成を目指そうとする方々へ向けたものである。
商品の選定や実践的な運用方法に至るまで、新NISAの始め方を幅広く解説した。
本記事が、みなさんの将来に向けた資産形成の第一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いである。
新NISAの口座開設プロセス
まずは、新NISAの口座の概要と口座開設の手続きから見ていこう。
そのうえで、金融機関の特徴と選定のポイントについて説明する。
新NISAの口座を開設する手順
NISAとは、非課税のメリットを受けながら、資産形成をサポートする制度である。
2024年から制度が刷新され、「新NISA」として新たなスタートを切った。
「新NISA」での投資は、まず金融機関で専用の口座を開設し、NISA対象商品を購入する形で行う。
新NISA口座を理解する
まずは、新NISA口座の概要を理解しよう。
知っておいていただきたいポイントは、以下の4つである。
- ひとり1口座の原則
口座は「ひとり1口座」しか開設できない。
新NISAの枠組みである「つみたて投資枠」と「成長投資枠」は、ひとつの「新NISA」口座で管理する。
NISA口座を使って投資すれば、本来であれば負担すべき投資から得た利益等に対する20.315%の税負担が免除される。
- 新NISA口座は通常の口座とは異なる
一方で、新NISAの口座は、他の口座(特定口座や一般口座)とは別に扱われる。新NISAの口座は非課税口座であるのに対し、特定口座などは「課税口座」と呼ばれる。
- 「旧NISA口座」があれば「新NISA口座」は自動開設される
2023年末の時点で、「旧NISA」の口座を持っていた場合は、2024年1月に新NISAの口座が自動で開設される。したがって、「旧NISA」の口座保有者は、とくに手続きは必要ない。
- 金融機関は1年単位で変更できる
「新NISA」の口座を開設する金融機関は、1年単位で変更できる。
口座変更の手続きは、変更したい年の前年10月〜9月末までの期間に限られているため、注意すること。
新NISAの口座を開設する手順
新NISA口座を新たに開設する場合の、一般的な手順は以下のとおりだ。
- 金融機関の取引口座を開設(証券会社なら総合口座、銀行なら投資信託口座)
- 同時にNISA口座開設を申し込む
- 申請書類、本人確認書類・マイナンバーカードなどが必要)
- 金融機関の口座が開設されたことを確認
- 開設完了の案内が届く
- (金融機関から税務署にNISA口座解説を申請。税務署の審査完了まで2〜3週間程度かかる)
- NISA口座の開設を確認する
必要書類等の詳細は、口座を開設する金融機関ごとに異なるため、詳細は金融機関に確認していただきたい。
新NISA口座を開設する金融機関の選定
新NISA口座を解説できる金融機関は、主にネット証券、総合証券(店舗型証券)、銀行の3種類がある。
ネット証券の特徴
取り扱い商品が多く、販売手数料が安い。SBI証券、楽天証券、マネックス証券、auカブコム証券、松井証券など。
特徴 | 詳細 |
---|---|
投資信託の品ぞろえが豊富 | 「つみたて投資枠」で投資できる投資信託の種類が多いSBI証券で209本、楽天証券204本、松井証券211本、auカブコム証券206本(2024年2月調査) |
成長投資枠の対象商品も多い | 外国株の取り扱いに力を入れている |
取引コストの低さ | マネックス証券ではほぼすべて取引手数料が無料となっている(参考: マネックス証券)他のネット証券も、一部を除いて無料設定が多い |
さまざまな特典がある | ポイントやマイルがたまる(楽天証券、SBI証券など)クレジットカードの還元率が高い(マネックス証券) |
対面サポートがない | ネットやコールセンターを通じたサポート頼みになるロボアドバイザーを活用できる金融機関もある(松井証券など) |
総合証券(店舗型証券)の特徴
対面サポートに強みがある。野村證券、SMBC日興證券、大和証券、みずほ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券など
特徴 | 詳細 |
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対面サポートの 充実 | 全国に支店を展開対面での相談やセミナーなど、投資情報サービスが充実 |
取り扱い投資信託の選択肢の限定 | 投信の取り扱い本数が比較的少なく20本程度厳選された商品から選べる(例: 野村證券が扱う「はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー) 」は、信託報酬が業界最低水準)。 |
手数料が高め | 店舗運営コストや人件費が反映されるため、売買手数料などが高め |
銀行の特徴
資産全般に対して幅広く助言できる。三井住友銀行、三菱UFJ銀行、みずほ銀行、りそな銀行、ゆうちょ銀行など
特徴 | 詳細 |
---|---|
資産全般への助言 | ローンや相続など、資産全般に関する幅広い相談が可能金融機関を分散させたくない場合にメリット |
つみたてNISAの対象商品が少ない | 三井住友銀行で4商品、三菱UFJ銀行で12種類 |
個別株やETFの取り扱いなし | 銀行では上場株式やETFの扱いがない |
振り込み手数料特典がある | コンビニATM無料特典、他行振込手数料無料特典 |
新NISAの口座を開設する金融機関を選ぶポイント
以下では、金融機関選びの際に注目すべきポイントを整理し、どのように選択すべきかを提案する。
注目すべきポイント | 選択 |
---|---|
つみたて投資枠の取り扱い銘柄数 ネット証券は200本程度であるが、店舗型証券では20本程度 | →多くの選択肢から選びたいならネット証券 →少ない選択肢をじっくり検討したいなら総合証券(店舗型証券)か銀行 |
上場株式やETFの取り扱い ネット証券や総合証券は扱うが、銀行では取り扱いが限られているか、まったくない | →上場株式やETFへの投資に興味があるならネット証券または総合証券 |
金融商品・サービスの取引手数料 ネット証券の方が安い | →手数料を安く抑えたいならネット証券 |
最低積立金額 ネット証券は100円〜、総合証券は100円〜1000円、銀行は1,000~10,000円 | →少額から投資を始めたいならネット証券 |
積立頻度 毎月積立が基本。金融機関によって「毎週」「毎日」積立も選択できる | →毎週積立(SBI証券、大和証券) →毎日積立(SBI証券、大和証券、松井証券、楽天証券、マネックス証券など) |
ポイントや特典プログラム 金融機関によってさまざま。銀行振り込み手数料の特典については銀行のみが提供 | →日常生活で利用するポイントサービスや特典プログラムと連携する金融機関を選ぶ |
オンラインプラットフォームの使いやすさ ネット証券の方が強い | →PCやモバイルで投資したいならネット証券 |
対面での相談 総合証券と銀行のみが対応 | →窓口で説明を受けたいなら総合証券か銀行 |
口座開設が完了したら!新NISAを始めるためのポイント
口座を開設したら、次は投資対象を選定し、商品を購入しよう。
ここでは、投資を始める際に注意すべきポイントを、3つに絞って整理していく。
新NISA口座で投資できる商品と選び方
新NISAでは、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」という2つの枠組みで投資ができる。
つみたて投資枠での商品選びのポイント
つみたて投資枠の対象銘柄は、長期積立・分散投資に適した銘柄としてインデックス投資信託が中心である。
つみたて投資枠では投資信託を長期にわたって保有することが前提だ。
商品を選択する際は、その投資信託がどんな投資対象で構成されているのかを確認すると良い。
- リスクとリターンのバランスを考える
リスク許容度が低いなら、債券や不動産(REIT)を組み合わせたバランスファンドは良い選択だ。リスクの分散とともに、潜在的なリターンの機会を追求できる
- コストの低い商品を選ぶ
つみたてNISAでは購入時手数料が無料(ノーロード)で、主な費用は運用管理費用と信託財産留保額。
運用管理費用は毎日資産から差し引かれるので、長期運用においてはわずかな料率の差でも影響は大きくなる。できるだけ安いものを選びたい。
- 投資対象が広く分散された投資信託を選ぶ
全世界株式インデックスファンドなど、投資対象が広く分散された商品を選ぶことで、世界経済の成長に合わせてリターンが期待できる。
- 純資産総額が大きいものを選ぶ
純資産総額が大きいほど、経費率が低く抑えられる傾向にあり、長期的にコストが下がる可能性もある。
成長投資枠での商品選びのポイント
以下は、成長投資枠を活用する場合の商品選びのポイントである。
- つみたて投資枠と同じ商品を買う
成長投資枠でも、つみたてNISAの対象商品と同様の商品を選ぶのは、簡単で賢い方法である。
- つみたて投資枠と別のアクティブファンドを選ぶ
つみたて投資枠で低リスクの商品を選んだ上で、成長投資枠ではより高いリターンを目指すアクティブファンドを購入する。
- つみたて投資枠では買えない株式を選ぶ
成長投資枠を利用して特定の個別株に投資する方法だ。個別株への投資は、投資判断が難しいが、適切に選定し管理することで、高いリターンを得るチャンスが得られる。
新NISA口座でするなら積立投資か、一括投資か
新NISAでは、「つみたて投資枠でコツコツ投資」もできるが、課税口座で取引をするように「一括投資」をすることも可能だ。
非課税投資枠1,800万円は一度に使い切れない
新NISA口座で非課税の恩恵を受けられるのは、生涯1,800万円までと決まっている(「総枠」という)。
ただし、この1,800万円の枠は、一度で使い切ることはできない。
年間で投資できる上限が360万円までと決まっているからだ。
- つみたて投資枠:120万円まで
- 成長投資枠:240万円まで
積立投資と一括投資の定義と基本概念
つみたて投資枠での買い付けは、積立方式に制限されている。
一方、成長投資枠は買い付け方式に制限がない。「積立投資」でも「一括投資」でも構わないのだ。
積立投資はその名のとおり、定期的に一定額を投資する方法だ。
一方の一括投資は、利用可能な資金を一度にすべて投資する方法である。
自ら決めたタイミングで、一度に投資可能額の全額を使って商品を買い付ける。
積立投資と一括投資のメリットとデメリット
それぞれのメリットとデメリットは以下のとおりである。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
積立投資 | 市場の変動によるリスクを時間分散できる 少額から始めるので、資金の流動性を保ちやすい 一度に大きな資金を投じる必要がない | 市場が急上昇した場合、利益が限定される 投資期間が長くなるため、長期的な成長の恩恵をフルに受けられない |
一括投資 | 市場の長期的な成長から最大限の利益を得るチャンスがある 一度に投資を行うため、追加の資金管理が不要 | 市場が下落した場合、大きな損失を被るリスクがある 一度に大量の資金を投資するため、その後の資金の流動性が低下する |
どちらが良いかを判断する基準
結論からいえば、どちらの方法も長期資産形成に有効だ。
どちらの方法が適しているかは、以下の基準をもって判断すると良い。
- リスク許容度
- リスク許容度が低いなら「積立投資」、リスクを取ってでも高いリターンを目指すなら「一括投資」
- 投資期間
- 長期間の投資期間を見越すのであれば、「一括投資」により市場の長期的な成長を利用でする
- 資金の可用性
- 手元に多くのの投資資金がある場合は「一括投資」、資金に余裕がないなら徐々に増やす「積立投資」
新NISA投資におけるリスクの適切な管理
ここからは、新NISA口座での投資リスク管理のポイントを、2つに絞って説明していく。
- 分散投資
分散投資は、投資におけるリスク管理の方法だ。新NISA口座を使用する際も、怠らず実践すべきである。
分散には、資産クラス(株式、債券、REITなど)分散、地理的分散、時間的分散がある。
- リスク許容度の把握、見直しおよび調整
投資を始める前にリスク許容度を把握することは重要だが、投資をスタートした後も自身のリスク許容度を定期的に評価し直すことは重要だ。
リスク許容度を見直したら、それに応じてポートフォリオを調整する「リバランシング」も大切である。
たとえば、株式の比率が目標よりも高くなった場合は、一部を売却して、債券などのリスクの低い資産に振り向ける方法が考えられる。
新NISA口座を運用する際の注意点
ここからは、資産運用で成功するための、重要な3つのポイントについて詳しく解説する。
新NISA口座を開設したら税金と非課税枠を理解しよう
新NISA制度は、非課税での資産形成が可能という点にその最大の魅力がある。
この制度を最大限に活用するためには、非課税枠の仕組みをしっかりと理解する必要がある。
以下に、ポイントを整理しておく。
- 生涯で利用できる非課税保有限度額は合計で1,800万円(うち成長投資枠は最大1,200万円)
- この非課税枠は投資の取得価額(買った金額)に基づいて管理される
- 保有資産を売却にした場合、空いた枠は、翌年以降に再利用ができる
- NISA口座の開設や非課税での保有期間には制限がない。よって、いつからでもNISAを利用できる
- 非課税保有限度額内であれば、何度でも新規投資を行える
新NISA口座の運用と管理のポイント
長期的な視点での資産運用においては、短期的な市場の変動に惑わされず、投資計画に基づく冷静な判断である。
投資計画の策定においては、以下のポイントに注意して欲しい。
- 投資目的の明確化
- 投資を通じて達成したい目的(退職後の生活資金の確保、子どもの教育資金の準備など)を明確にする
- リターン目標の設定
- 投資を通じて達成したいリターンの目標を設定する。たとえば、「年間5%のリターンを目指す」、「10年後に1,000万円の資産を形成する」など
- 損切りラインの設定
- 損失を最小限に抑えるために、損切りラインを設定する。たとえば、「投資資産が10%減少した時点で売却」「株価が2,000円より下がったら売却する」など
新NISA口座における長期投資戦略の重要性
新NISA制度は、長期的な資産形成を目的としている。
短期間での高リターンを追求するのではなく、長期にわたる市場の成長に賭ける姿勢が重要だ。
長期投資を成功させるためには、長期的な視点での投資戦略を立て、忠実に実行することが必須である。
このため、市場の変動に動じない強い心と忍耐力を持つことも、成功の鍵となる。
新NISAの口座開設をするなら誰に相談するべき?
新NISA口座を開設する手続き自体は、難しくはない。
しかし、実際に口座を開設し、投資を始めるのは、誰にとっても大変なことである。
投資は信頼できる相談先を持つことが重要
投資を行う際に信頼できる相談相手を持つことの重要性は計り知れない。
これは、投資初心者に限らず中上級者にとっても、成功への重要な要素だ。
新NISA口座での投資は、非課税枠内を最大限に活用して賢い投資判断を下すことが重要である。
市場の動向や投資に関する知識に加え、NISA制度の特徴を考慮して、意思決定を行うことが求められる。
こんなときに頼りになるのが。資産運用アドバイザーの存在である。
資産運用アドバイザーを選ぶポイント
資産運用アドバイザーは、市場動向、銘柄や税制など、幅広い知識を有していことが前提だ。
そのうえ、クライアントの目標やリスク許容度を理解し、ニーズに合った適切な投資アドバイスを提供できる能力が必要である。
提供されるアドバイスに、忖度や偏りがあるのは、まったくもって望ましくない。
だから、わたしたちは新NISA投資のアドバイザーとして、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)を「推す」のである。
IFAは、特定の機関に属さない独立した専門家だ。
よって金融商品販売のノルマなどに縛られず、顧客の利益を最優先に考えるアドバイスを提供できる。
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サイト上で経歴や資格、実績などが確認してから相談できる点も安心だ。
新NISAの口座開設は専門家と始めよう
この記事では、新NISAの口座開設から実際の投資に至るまでの、準備と実践に役立つ情報を整理した。
新NISAは、1,800万円までの投資が非課税になる、資産形成に最適な制度である。
資産を増やすには長期投資が効果的だから、まずは少額からでも始めてみてはいかがだろうか。
新NISAのような新しい制度での投資は、不安を伴うものかもしれない。
疑問があるときは、専門家に相談することを検討しよう。
検索サービス「わたしのIFA」を通じて、あなたに合ったアドバイザーを見つけ、目標に向けた第一歩を踏み出して欲しい。