- 新NISAのつみたて投資枠で発生する手数料を比較したい
- なるべく手数料を抑えた形で投資を実践したい
- 手数料を考慮した上で、最適な投資プランを選択したい
2024年から新たにスタートした新NISAを正しく理解し、積立投資を始めているだろうか。
長期に渡っての資産形成を目的とした新NISAだが、商品の選び方によっては、無駄にコストが発生してしまい、効率的な投資にならない可能性がある。
本記事では、新NISAのつみたて投資枠をより効率的に活用するため、手数料を掘り下げて比較、考察していきたい。
健全な投資を実現するためにも、この記事をぜひ活用してほしい。
比較する前に知っておきたい新NISAつみたて投資枠の手数料の基本
新NISAのつみたて投資枠は、年間120万円までの投資から出た利益が非課税になる制度である。
投資の利益だけでなく、手数料も格安な商品が多いため、効率的な資産形成に役立つ。
つみたて投資枠で資産形成を始めるメリット
つみたて投資枠で取引できる商品は、金融庁が定めた一定の基準を満たした投資信託であり、長期視点で毎月一定額を積み立てる投資法に向いている。
つみたて投資枠の対象商品は、2024年1月30日現在で281本ある。
- インデックス型投資信託
- 227本
- アクティブ型投資信託
- 46本
- 上場株式投資信託(ETF)
- 8本
- 出典:金融庁「つみたて投資枠対象商品」
これらの投資信託は、いずれも手数料の安さと長期運用の安定性が特徴だ。
初心者にとってリスクが高すぎたり、積立に向かないものは選ばれていないので、投資初心者でも扱いやすいといえるだろう。
新NISAのつみたて投資枠で資産形成を始めるメリットは、以下のとおりだ。
投資の利益が非課税になる
投資で得た利益が非課税になるため、約20%の税金負担を軽減することができる。
少額から始められる
証券会社によっては100円から投資できるところもあり、無理なく資産形成を始められる。
長期的な視点で投資できる
非課税期間が無期限のため、長期的な視点で投資できる。
手数料の種類と計算方法
通常、投資信託やETFでは、購入時、保有時、売却時に手数料がかかる。
投資信託 | ETF | |
---|---|---|
購入時の手数料 | 購入時手数料 | 売買委託手数料 |
保有時の手数料 | 信託報酬 | 信託報酬 |
売却時の手数料 | 信託財産留保額 | 売買手数料 |
購入時の手数料
投資信託の場合は、購入時に購入時手数料がかかる。
販売している証券会社等に支払う手数料のことで、同一の投資信託でも、証券会社によって手数料は異なる。
ETFでは、売買委託手数料(または取引手数料)と呼ぶ。
なお、新NISAのつみたて投資枠で取引できる投資信託については、購入時手数料はすべて無料(ノーロードという)である。
ETFの場合、売買委託手数料は株式の売買と同じに設定されていることが多く、証券会社によっては無料としているところもある。
保有時の手数料
投資信託やETFを保有し続ける限り差し引かれる手数料が、信託報酬である。
運用管理の業務に対して必ずかかる費用であり、どの投資信託やETFでも必ず発生する。
信託報酬は、純資産残高に対して年率で計算されたものが日々差し引かれている。
なお、つみたて投資枠の対象商品である、投資信託やETFでどれくらいの信託報酬となるのか、目安の年率が以下のとおりだ。
対象商品 | 信託報酬 |
---|---|
国内資産対象のインデックス型投資信託 | 0.1−0.5%程度 |
海外資産対象のインデックス型投資信託 | 0.1-0.7%程度 |
国内資産対象のアクティブ型投資信託 | 1.0−1.5%程度 |
海外資産対象のアクティブ型投資信託 | 1.0−2.0%程度 |
上場株式投資信託(ETF) | 0.1-0.7%程度 |
売却時の手数料
投資信託を売却するときに徴収されるものを信託財産留保額という。
今まで続けていた投資信託を換金するときに、解約代金から自動的に差し引かれるのが信託財産留保額で、その分は投資信託に組み込まれることになる。
ただ、最近は信託財産留保額が設定されていない投資信託も多い。
なお、ETFの場合は、購入時と同様、株式と同じ売買手数料が設定されている。
長期投資において手数料が投資成果に与える影響
上記の手数料のうちもっとも重視すべきなのは、保有しているあいだ継続的にかかる信託報酬である。
新NISAつみたて投資枠対象の投資信託であれば、購入時手数料は無料だし、信託財産留保額もかからないものが多い。
一方、信託報酬は、保有中はずっとかかるコストであり、わずかな差であっても投資期間が長くなるほど大きな差となってくる。
新NISAであれば、さらに長期になることも多いため、その影響はもっと大きくなるだろう。
同じような投資対象の商品であれば、手数料(信託報酬)が少しでも低いものを選ぶようにしよう。
新NISAつみたて投資枠の手数料比較による賢い投資計画
新NISAのつみたて投資枠を使って長期的な資産形成を目指す際に、投資信託やETFは有効な手段となるが、さまざまな種類があり、手数料設定も異なることがある。
長期投資において、手数料は資産形成の成果に大きな影響を与えるため、詳細を確認しておこう。
投資対象別の手数料比較
つみたて投資枠の対象商品は、インデックス型投資信託(インデックスファンド)、アクティブ型投資信託(アクティブファンド)、ETFの3種類に分かれる。
インデックスファンド
インデックスファンドは、目標指標(ベンチマーク)に連動することを目指す投資信託である。
たとえば、「eMAXISSlim 国内株式(日経平均)」という投資信託であれば、日経平均株価(日経225)と連動する投資成果を目指すもので、日経225銘柄全てに投資するのと同じ効果を得られることとなる。
インデックスファンドの信託報酬は、国内資産対象だと0.1−0.5%程度、海外資産対象だと0.1-0.7%程度となっている。
アクティブファンド
アクティブファンドは、目標の指標を上回ることを目指した投資信託である。
TOPIXをベンチマークとした場合、TOPIXの動きを上回る投資成果を上げることを目指すことになる。
たとえば、「明治安田DC外国株式リサーチオープン」という投資信託は、MSCIコクサイ指数(日本を除く先進国の株価指数)をベンチマークとし、これを上回る運用成果を目指している。
アクティブファンドの平均的な信託報酬は、国内資産対象だと1.0−1.5%程度、海外資産対象だと1.0−2.0%程度であり、インデックスファンドよりも高めに設定されていることが多い。
ETF
ETFとは、株式と同様に証券取引所に上場している投資信託のこと。
上場しているので、株式と同じように価格が変動し、自由に売買することができるというものだ。
中身は投資信託であり投資対象が分散されていることから、個別株よりリスクは低い。
ETFの基準価額は数千円から数万円で、少額からの投資が可能な点も魅力的だ。
ETFには、株価指数などの特定の指標に連動することを目指したインデックス連動型ETFと、連動対象がなく地域や投資対象セクターを絞り込んだアクティブ運用型ETFがある。
ただ、つみたて投資枠で売買できるのは、以下の8銘柄だけであり、すべてインデックス連動型である。
- iFreeETF TOPIX(年1回決算型)
- iFreeETF 日経225(年1回決算型)
- iFreeETF JPX日経400
- 上場インデックスファンド世界株式(MSCI ACWI)除く日本
- 上場インデックスファンド海外先進国株式(MSCI-KOKUSAI)
- 上場インデックスファンド米国株式(S&P500)
- iシェアーズ・コア S&P 500 ETF
- 上場インデックスファンド海外新興国株式(MSCIエマージング)
これらETFの信託報酬は、0.121-0.77825%であり、投資信託と同程度といえるだろう。
ファンド別の手数料比較
インデックスファンドとアクティブファンドの手数料(信託報酬)の違いについて、もう少し詳しく見ていこう。
先ほど、インデックスファンドの例であげた「eMAXISSlim 国内株式(日経平均)」の信託報酬は0.143%である。
一方、アクティブファンドの「明治安田DC外国株式リサーチオープン」の信託報酬はeMAXISSlim 国内株式(日経平均)の10倍以上だ。
インデックスファンドは指標に合わせて機械的に取引しているが、アクティブファンドは優秀なファンドマネージャーが綿密に分析し取引を行うため、コストがかかる。
それが信託報酬の差となって現れている。
コストは低く抑えるに越したことはないが、インデックスファンドより好成績を収めているアクティブファンドもあるので、コストと合わせて投資内容や実績も吟味すべきだろう。
手数料最小化に向けた戦略
手数料、とくに信託報酬は投資金額や投資期間に比例するため、少しでも安い投資信託を選ぶようにしたい。
手数料をできるだけ低く抑えるためにどんな方法があるだろうか。
複数のファンドを比較する
投資信託を選択する際には、必ず複数のファンドを比較検討しよう。
同じ投資対象のインデックスファンドでも、ファンドによって信託報酬が異なる場合がある。
たとえば、日本TOPIXをベンチマークするインデックスファンドだけでも15本以上あり、リターンに大きな差はないはずだが、信託報酬を比較してみると0.1%程度のファンドもあれば0.5%以上のものもある。
複数のファンドから、実績やリスクも含めて、詳細に比較することが大切だ。
信託報酬が低い投資信託を選ぶ
アクティブファンドよりインデックスファンドのほうが、相対的に信託報酬は低い。
つみたて投資枠で長期の資産形成を目指すのであれば、信託報酬が安く設定されているファンドを選ぶようにしよう。ただし、過去の運用成績自体も確認することを忘れずにしてほしい。
長期投資を前提とする
長期投資になるほど、信託報酬が安いことのメリットが出てくるのは前述のとおり。
投資期間が長くなるほど、少しの差が大きな金額になってくるため、最初から長期投資を見据えておきたい。
手数料の比較以外にもある?新NISAつみたて投資枠の投資対象の選び方
長期的な資産形成を目指すうえで、投資信託は有効な手段の一つだが、投資対象選びは非常に重要となる。
つみたて投資枠の運用における投資計画とポートフォリオの重要性
つみたて投資枠を使った投資で成功するには、投資計画とポートフォリオの構築は理解しておきたい。
- 投資計画
- 投資目的、リスク許容度、投資期間などを明確にする。
- ポートフォリオ
- 複数の投資商品を組み合わせることで、リスクを抑えながらリターンを目指す。
投資計画は、投資の道しるべとなるものだ。
投資目的を明確にすることで、どのような投資対象を選ぶべきか、どのくらいの期間投資するべきかなどが決まってくる。
また、ポートフォリオは、いくつかの資産に分散して保有することにより、リスクを抑えつつリターンを目指すものである。
たとえば、国内株式と外国債券を組み合わせることで、どちらかの市場が低迷しても、全体のリスクを抑えることができる。
つみたて投資枠の投資対象の選び方
投資商品を選ぶ際は、まず自身のリスク許容度を確認しよう。
リスク許容度とは、投資においてどこまでリスクを受け入れることが出来るかの尺度のこと。
損するリスクを受け入れる代わりに、大きなリターンを得られるかもしれない、ということだ。
リスクが高い投資は、高いリターンが期待できる反面、損失を被ったり元本を下回る可能性も高くなる。
一方で、リスクが低い投資は、リターンは低くなるが、元本を割ることも少ない。
資産分類ごとにリスクの低い順から並べると、以下のようになるだろう。
自身のリスク許容度がどの程度か、また性格や現在の資産状況なども含め総合的に考える必要がある。
そのうえで、何を目的に投資するのか(投資目的)、どの程度の期間の投資となるのか(投資期間)を明確にしたうえで、投資商品を選ぶことが重要となる。
実際には、インデックスファンドとアクティブファンドのなかから、積立投資の対象商品を選択することになるはずだ。
つみたて投資枠におけるポートフォリオの構築法と管理法
ポートフォリオとは保有資産の組み合わせのことだ。
リスクとリターンのバランスを考慮しつつ、ライフステージによっても資産の組み合わせは変わってくるだろう。
20代であればリスク許容度が高い年代でもあり、成長性の高いリスク資産の割合を多めにすることができる。
たとえば、資産構成を株式80%、債券20%などの割合とするとよいだろう。
40代になると、リスク資産の割合を徐々に下げ、株式60%程度にするのが一般的となる。
株式に加えて、不動産投資信託(REIT)などを組み込んでもいい。
さらに年齢が上がり60代になってくると、リスク管理が最も重要となる。
残された運用期間は短くなるため、株式などのリスクの高い資産は40%以下と少なくしていき、短期の値動きに左右されにくい債券などの安定資産を多めにしていくべきだ。
なお、このように構築したポートフォリオも、定期的な見直しとリバランスは必須となる。
年に一度程度のタイミングで定期的に、構成比率やパフォーマンスを確認しよう。
投資対象の比率が当初の目標と乖離した場合、リバランスを行うことで、目標とするリスクとリターンのバランスを維持することができる。
長期の資産管理において、このような見直しを適宜行い、ライフプランとリスク許容度に合わせて、柔軟に資産構成を変更していくことをおすすめする。
新NISAつみたて投資枠の商品の手数料を比較したいなら誰に相談するべき?
新NISAの活用において、長期の投資になるほど、手数料を抑えることが重要だということはご理解いただけたのではないだろうか。
ただ、つみたて投資枠で使える投資信託の詳細を調べたり、手数料を比較したりするのは、非常に手間と時間がかかるのも事実だ。
そこで、つみたて投資枠を活用した投資における専門家の重要性と、自分に合った専門家を見つける方法について解説しよう。
新NISAの活用における投資アドバイザーの重要性
新NISAのつみたて投資枠は、長期・分散・積立投資による資産形成を考えている方にとって、非常に有益な制度だが、投資対象の選定や手数料の理解には専門知識が必要となってくる。
そんなときは、投資の専門家に相談するのもいいだろう。
専門家は、以下の点について重要な役割を果たしてくれるはずだ。
手数料を意識した資産形成に関する知識と経験
専門家は、投資信託の手数料も理解したうえでの資産形成や投資に関する深い知識と経験を持っているため、最適な投資戦略をアドバイスすることができる。
リスク管理
専門家は、投資におけるリスクを正しく理解し、リスクを回避または軽減するための方法を助言してくれる。
時間と手間の削減
専門家は、常に投資のための情報収集や分析を行っており、必要に応じてあなたに提供してくれるはずだ。
なお、専門家とは、証券会社のコンサルタントや銀行員、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)などのことをいう。
証券会社では、株式、投資信託、債券などの金融商品を販売しているため、その商品に関する情報を得ることができる。
また、IFAは、金融商品以外に資産運用やポートフォリオ管理に関する全般的なアドバイスを受けることができるだろう。
IFAの役割とメリット
新NISAのつみたて投資枠の活用に関する相談や手数料を抑えた投資戦略は、IFAに任せることをおすすめしたい。
IFAは特定の金融機関に属していないため、顧客の立場に立った客観的なアドバイスを提供することができる。
IFAに相談する具体的なメリットは、以下の通りだ。
客観的なアドバイス
IFAは、金融機関の方針や利益に縛られることなく、顧客目線でかつ客観的なアドバイスを受けられる。
幅広い商品
IFAは、あなたの投資目的に合わせて、幅広い金融商品のなかから、あなたに合った商品を提案してくれるはずだ。
長期的な視点
IFAは、あなたの長期的な目標に沿った資産形成プランを提案してくれるだろう。
IFA検索サービス「資産運用ナビ」の利用方法とその利点
自分に最適なIFAを見つけるために、「資産運用ナビ」という資産運用相談サービスを利用することができる。
「資産運用ナビ」公式ウェブサイトから、希望条件を入力すると、全国のIFAの中から、あなたにぴったりな資産運用アドバイザーを見つけ出してくれる。
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上手に「資産運用ナビ」を活用して、自分に最適なIFAを見つけ出し、新NISAの活用を効果的に進めてほしい。
新NISAつみたて投資枠の商品は手数料を比較して選ぼう
本記事では、つみたて投資枠の手数料体系と手数料が投資に与える影響について、詳しく解説した。
また、投資対象、およびファンド別の手数料比較と賢い投資選択の方法についても説明した。
投資信託は有効な手段の一つであり、投資計画に基づいて長期的な資産形成を実現してほしい。
ただ、投資目的や資産状況、収入、支出など個人を取り巻く環境は千差万別であり、その最適解も人によって異なるだろう。
そこで、新NISAを活用した資産運用に関する疑問や不安があれば、専門家からアドバイスを受けることをおすすめしたい。
とくにIFAは、中立的な立場からあなたに最適なアドバイスを長期にわたって提供してくれるだろう。
IFA検索サービス「資産運用ナビ」を活用し、あなたに合ったIFAをみつけてほしい。