- 50代の退職金の相場や平均額について知りたい
- 50代の退職金の使い方や老後の生活に備える方法を知りたい
- 企業規模や勤続年数によって退職金がどのように異なるか知りたい
50代で転職や早期リタイアを見据え、このような悩みや不安を抱えていないだろうか?
退職金額は勤務先によりさまざまで、勤続年数、退職理由、企業規模などによって異なる。
そこで今回は「50代の退職金相場や平均額」、「退職金の使い道」について詳しく紹介していく。
退職金額の見当がつくと、老後の生活のために「どのような準備をしたらいいのか」把握しやすくなるため、ぜひご覧いただきたい。
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50代の退職金を増やす方法とは?
50代の退職金額は、次の要因で増加する傾向にある。
50代の退職金が増加する要因
- 勤続年数が長い
- 会社都合で退職する
次の項目では「50代の退職金平均額が増加する要因」について詳しく解説していく。
50代の退職金は「勤続年数が長い」ほど多い
以下のグラフは中央労働委員会の統計をもとに、退職一時金が定年前に固定される企業と、定年まで増加する企業の割合を示している。
統計によると「勤続年数が長いほど退職金が増加する」企業が多い傾向にあるため、「できるだけ多く退職金をもらいたい」という人は、少しでも長く勤めることをおすすめする。
ただし、定年まで退職金が増える企業の割合は78.8%、製造業においては78.6%となっている。
つまり、21.2%〜21.4%の企業は定年前に退職一時金が固定されるため、勤続年数が長くなったとしても退職金が増えない可能性があるのだ。
そのため、50代で退職するのか決めるときは、事前に自分が勤めている会社の退職金の規定を確認するようにしよう。
自己都合より「会社都合」の方が退職金が多い
自己都合よりも会社都合で退職したほうが、50代の退職金が多くなる傾向にある。
以下のグラフは、中央労働委員会による「令和3年賃金事情等総合調査」をもとに、大卒の50代退職者(総合職相当)の退職金平均額を「自己都合」と「会社都合」で比較したものだ。
上記グラフを見てわかるとおり、退職理由によって退職金に201万円〜209万円の差が生じている。
「勤続年数30年の52歳」の退職金の平均額は、自己都合の1,706万円に比べ、会社都合の1,915万円のほうが209万円も多い。
また、「勤続年数35年の57歳」のケースだと、自己都合は2,163万円だが、会社都合であれば2,364万円となっており退職金が201万円多くなっている。
50代の退職金は「企業規模」で異なる
50代でどれくらいの退職金がもらえるかは「企業規模」によって異なる。
日本の企業規模の割合は、大企業0.3%、中小企業99.7%だ。
自分が勤めている会社の企業規模を確認して、50代の退職金相場や平均額をチェックしよう。
企業規模の割合は大企業0.3%、中小企業99.7%
中小企業庁によると、日本の企業規模の割合は「大企業0.3%」「中小企業99.7%」となっている。
中小企業の定義は原則以下のとおりで、「資本金又は出資総額」「従業員数」のどちらかを満たせば中小企業ということになる。
中小企業の定義
業種 | 資本金 又は 出資総額 | 従業員数 |
---|---|---|
小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
製造業・その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
「従業員500人以上」の企業における50代の退職金相場と平均額
日本経済団体連合会と東京経営者協会による協同調査結果をもとに、50代の退職金相場と平均額を紹介する。
なお、この調査では従業員が500人以上の企業が72.5%を占めている。
また対象となるのは、学校を卒業後すぐに就職した後、標準的に昇進・昇給した人だ。
勤続年数 | 年齢 | 学歴 | 職種 | 退職金の平均額 |
---|---|---|---|---|
30年 | 52歳 | 大卒 | 管理・事務・技術労働者(総合職) | 1,649万1,000円 |
33年 | 55歳 | 大卒 | 管理・事務・技術労働者(総合職) | 1,931万8,000円 |
35年 | 53歳 | 大卒 | 管理・事務・技術労働者(総合職) | 2,085万8,000円 |
35年 | 53歳 | 高卒 | 生産・現業労働者 | 1,463万8,000円 |
35年 | 53歳 | 高卒 | 管理・事務・技術労働者(総合職) | 1,542万5,000円 |
37年 | 55歳 | 高卒 | 生産・現業労働者 | 1,553万6,000円 |
37年 | 55歳 | 高卒 | 管理・事務・技術労働者(総合職) | 1,707万8,000円 |
39年 | 57歳 | 高卒 | 生産・現業労働者 | 1,644万円 |
39年 | 57歳 | 高卒 | 管理・事務・技術労働者(総合職) | 1,836万7,000円 |
「従業員300人未満」の企業における50代の退職金相場と平均額
10人〜299人の従業員がいる東京都の中小企業を対象とした統計をもとに、50代退職金の相場と平均額を紹介する。
なお以下の表は、学校を卒業後すぐに入社し、普通の能力と成績で勤務した場合のモデル退職金だ。
従業員300人未満の企業は、先ほど紹介した従業員500人以上の企業と比べ退職金が少ない傾向にあることがわかる。
勤続年数 | 年齢 | 学歴 | 退職理由 | 退職金の平均額 |
---|---|---|---|---|
30年 | 52歳 | 大卒 | 自己都合 | 705万9,000円 |
30年 | 52歳 | 大卒 | 会社都合 | 785万6,000円 |
33年 | 55歳 | 大卒 | 自己都合 | 835万9,000円 |
33年 | 55歳 | 大卒 | 会社都合 | 915万3,000円 |
35年 | 53歳 | 高卒 | 自己都合 | 692万円 |
35年 | 53歳 | 高卒 | 会社都合 | 774万6,000円 |
37年 | 55歳 | 高卒 | 自己都合 | 744万3,000円 |
37年 | 57歳 | 高卒 | 会社都合 | 834万3,000円 |
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50代の退職金の使い道は?
今まで勤めてきた努力の結晶ともいえる退職金は、老後の備えとなる大切な資金だ。
しかし実際のところ、退職金や老後への意識は次のとおりとなっている。
【退職金や老後への意識】
- 30%の人は受給時まで退職金額を知らない
- 50代の76.2%は老後の生活設計を考えている
- 4人に1人は退職金の10%~30%を投資に回す
退職金は、退職時にある程度まとまった金額を受給できるケースが多いため、どのように使うのかよく考えておくことが大切だ。
次は、50代の退職金の使い道について解説していく。
50代の30%が受給時まで退職金額を把握していない
老後生活の糧となる退職金だが、自分がいくらもらえるのか知らない人が多い。
金融庁の調査によると「退職金を受け取るまで受給額を知らなかった」という人が、約30%もいるそうだ。
50代で退職金がいくらもらえるかは、老後の生活をどのように送るか考えるときにとても重要なものとなるので、事前に把握しておくようにしよう。
退職後にどれくらいの老後資金が必要なのか、こちらで詳しく解説している。
50代の76.2%は老後の生活設計を考えている
内閣府の世論調査によると、50代の76.2%は「老後の生活設計を考えたことがある」と回答している。
50代は定年や年金受給が近づいている年代でもあるため、将来の生活に必要とされるお金について向き合う人が多いようだ。
50代の4人に1人は退職金の10%~30%を投資に回す
2019年に実施された金融審議会の統計によると、4人に1人は退職金の約10%〜約30%を投資に回している。
メガバンクの「普通預金金利が0.001%」という超低金利時代が続いているため、預貯金よりもリターンが期待できる投資に関心を持つ人が増えているようだ。
また、相次ぐ物価高や、年金の支給開始年齢の引き上げ、老後2,000万円問題などの影響で資産運用に興味を持つ人が多い。
金融庁に登録している金融商品取引業者は1,968社あり、さまざまな投資対象があるため、投資先をよく吟味して選ぶようにしよう。
50代は退職金を賢く活用しよう
「勤続年数が長い人ほど退職金が増加する」企業の割合は78.8%だが、定年前に退職金が固定される企業は21.2%ある。
また、退職理由や企業規模により退職金の受給額が異なる傾向にあるため、50代で退職を検討するときは勤務先の規約を確認しよう。長らく続いている超低金利時代や物価高の影響により、将来を見据えて4人に1人が退職金の約10%〜約30%を投資に回している。
投資はリターンが期待できる分、それに見合うリスクが伴うので、投資先や投資額の配分などに悩んだときは、プロのアドバイスに耳を傾けてみるといいだろう。プロの視点から資産運用の疑問を解決し、納得した上で資産運用を行おう。
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