昨今、経済的自立と早期リタイヤを達成するFIREを希望する方は多い。達成方法についてFIREについて調べていると「FIREには貯蓄率が関係している」という文言を見かけた人もいらっしゃるのではないだろうか。
実はFIREにおいて貯金をいくら達成する、という項目よりも貯蓄率をどのくらいまで上げられるかの方がFIREするために重要な項目となる。
そこで本記事ではFIREと貯蓄率についての関係と、どれぐらい必要なのかについてわかりやすく紹介していく。貯蓄率を上げる方法なども記載している。今後早期退職をして運用益で生活費をカバーするような暮らしをしたい方は、ぜひ参考にしていただきたい。
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貯蓄率とは
そもそも貯蓄率とは「手取り収入に対してどのくらい貯金できたか」を表す数値だ。例えば年収500万円、手取り400万円の場合は貯蓄率10%で年40万円、貯蓄率20%で80万円、貯蓄率30%で120万円となる。
生活費が月22万円かかる世帯の場合、年間264万円は最低でも支出として出ていくので400万円 − 264万円 = 136万円が最大で貯金できる金額と計算できる。最大で貯金できれば、このケースの貯蓄率は34%だ。
このようにシミュレーションしていくと、貯蓄率20%から30%はかなり優秀な水準であることが想定できる。
日本人の平均の貯蓄率
日本人の平均の貯蓄率に関して内閣府は2021年の家計調査報告で、勤労者世帯は38.1%、勤労者世帯以外の無職世帯は-10.9%と発表している。また年代別にみた各貯蓄率は以下の通りだ。
各世代の貯蓄率
- 20代:48%
- 30代:42%
- 40代:40%
- 50代:37%
- 60代:24%
- 70代:27%
- 出典:内閣府「家計可処分所得・家計貯蓄率四半期別速報(参考系列)」
他のデータも確認していこう。内閣府「個人消費、貯蓄率の動向」によると、1980年では20%近くあった貯蓄率が2017年にかけて2.1%とかなり減少している。
さらに内閣府経済社会総合研究所の家計可処分所得、家計貯蓄率四半期別速報から、2019年の貯蓄率は3.7%、2020年は13.1%、2021年は9.6%と発表されている。2020年は新型コロナウィルスに関する給付金や補助金が受け取れたこともあり、貯蓄率が増えていたが、経済不安なども相まって2021年にかけても貯蓄を続ける世帯が多かったことがわかる。ただこの中には、年金を中心に貯蓄を切り崩して暮らす高齢者も含まれているので、実際に勤労者などをメインとすると10%〜20%程度が平均と考えられる。
- 出典:内閣府「第2節 家計の消費行動の変化 個人消費・貯蓄率の動向」
- 出典:内閣府「家計調査 家計収支編 総世帯 詳細結果表 年次 2020年」
なぜ貯金額よりも貯蓄率が必要なのか
なぜ貯金額よりも貯蓄率を上げる必要があるのか、という問いの答えは「再現性の高さ」である。
例えば年間100万円を貯金するという行動でも、年収800万円の人と年収300万円の人では貯めやすさに違いが生じる。この場合、年収800万円(手取り590万円)は貯蓄率16%、年収300万円(手取り240万円)なら41%だ。
貯金率を比較すると後者はかなり良いパフォーマンスであるのに対し、前者はいまいち出費を抑えきれていないことが推察できる。つまり貯金額は単に額面のみしか判断できないが、貯蓄率は適切な家計管理を行えているかどうかを判断する指標となるといえるのだ。
FIRE後は、資産運用や貯金を切り崩して日々を過ごすことになる。そこで生活費が予想以上にかかったり、家計管理が出来ていなかったりすると生活の見通しが立たず、FIREしても生活が破綻するリスクが高まるのだ。
貯蓄率は年収額に関係なく、自分の身の丈に合った適切な生活ができているかを判断できる。適切な貯蓄率をキープすることで、貯金額を増やせ、運用資金を早く用意してFIREしやすくなるというわけだ。
貯蓄率は30%以上になるとかなり優秀な数値といえる。一度ご自分の貯蓄率を計算してみてはいかがだろうか。
FIREするために必要な貯蓄率は?
FIREするために必要な貯蓄率は、運用成績と達成目標までの期間によって異なる。そもそもFIREは資産運用を行って得た運用益などの配当収入で暮らすことを指す。そのため資産運用で年間の利回りをいくらに設定するかによって、現在の自分に必要な貯蓄率は変動することに注意しておこう。
貯蓄率とFIREまでにかかる期間を利回り別に表したデータは以下の通りだ。
貯蓄率 | 100% | 80% | 50% | 30%〜 |
期間 | 0 | 5年 | 10年〜20年 | 利回りによる |
1年間の想定利回りが0%から10%の場合、どのぐらいの期間でFIREを達成できるかをシミュレーションしている。
貯蓄率が50%以上になると、運用益によらず大体10年〜20年程度でFIRE達成可能だ。さらに80%になれば5年、100%になれば当然その年からFIREができる。貯蓄率が20%程度であれば25年から40年、30%でなら利回り4%程度で運用すれば30年で達成できる。貯蓄率が下がると、利回りに応じて期間が上下するのだ。
スタンダードな利回り4%を出す運用を行った場合の貯蓄率と達成までの期間は以下の通りだ。
貯蓄率 | 10% | 20% | 30% | 40% | 50% | 60% |
期間 | 55年 | 40年 | 30年 | 22年 | 18年 | 15年 |
このように早期リタイアを実現したい場合、FIREの期間を後回しにする、もしくは貯蓄率を上げるしか方法がないのだ。そのため後述する方法を試しながら貯蓄率を上げられるよう心がけていただきたい。
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貯蓄率を上げる方法
貯蓄率は「(収入 − 支出)÷ 収入」で計算できるので、これらの数値を改善すれば必然的に貯蓄率は増加する。
収入を上げるか、支出を減らすかのどちらかを選べば良い。初心者は収入を上げるより、固定費などを節約し支出を減らす方が達成しやすい。
月に2万円、年間24万円減らした場合の貯蓄率は以下のように増加する。
手取り | 削減前 | 削減後 |
---|---|---|
300万円 | 33% | 41% |
400万円 | 25% | 31% |
500万円 | 20% | 24% |
600万円 | 20% | 20% |
毎年100万円貯蓄していたケースで年収別に算出した。
このように支出を減らすことで、手取りが少なければ大きく貯蓄率を上げることができる。収入を上げることを念頭に置きつつ、まずは支出を減らす方向で考えてみてはいかがだろうか。
まずは家計見直しから
今回紹介してきたように貯蓄率が高ければ高いほど、FIREまでの期間が短くなる。
特にすぐにFIREをしたい方は、貯蓄率が60%から80%以上を目指さなければならない。ただ年収の半分以上を貯蓄するというのは現実的ではない。さらに支出を大きく減らす、もしくは収入を倍増させない限り難しいだろう。
そのためまずは固定費を減らすなど少しずつ改善し、自分のできる範囲から始めてみてはいかがだろうか。また、それだけではなく、「退職金ナビ」を活用して、資産運用アドバイザーに相談をしてはいかがだろうか。プロの視点から資産運用の疑問を解決し、納得した上で資産運用を行おう。
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