- 50代でFIREになることは可能なのかどうか
- 50代でFIREになるためにはいくら必要なのかどうか
- 必要な資金をどのように増やしていけば良いのか
最近近年よく見かけるようになった言葉で「FIRE」という単語が存在する。FIREはFinancial Independence, Retire Earlyの頭文字を取ったもので、日本語に直せば「経済的自立と早期リタイア」となる。
つまり早期退職をした状態でも、貯金と資産運用などで得た運用益で生活資金がカバーできるような状態を指す言葉といえる。達成しやすさとして、50代は30代や40代よりもハードルが低くなる。
そこで今回は50代でFIREをするにはいくら必要なのか、どれぐらいの利回りを目指して資産運用すべきなのか、についてわかりやすく紹介していく。早期退職を検討しており、今後資産運用などで老後資金を確保していきたいと考えている方はぜひ最後までご覧いただきたい。
もっと早く40代でFIREを検討している方は、こちらの記事をご覧いただき、いくら必要なのか確認しておくことをおすすめする。
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50代でFIREはいくらあれば可能?
まずはFIREするために、いくら必要なのかについて確認していく。FIREを達成した状態で生活が破綻しないように暮らす場合、「1ヶ月の生活費 – 1ヶ月の収入」を90歳近くまで保つ必要がある。
月の生活費ごとに、55歳から90歳まで35年間暮らすのに必要な金額をまとめた表は以下の通りだ。
生活費 | 15万円 | 20万円 | 25万円 | 30万円 | 35万円 |
支出額 | 6,300万 | 8,400万円 | 1億500万円 | 1億2,600万円 | 1億4,700万円 |
独身の場合生活費を20万円、夫婦2人の場合は生活費を35万円として、年金額と貯蓄、退職金などを合わせると、大体独身であれば1,300万円、夫婦なら5,000万円程度保有していれば達成可能だ。
ちなみに生命保険文化センターの行った調査によると、夫婦2人の老後生活の最低日常生活費は約22万円、ゆとりある生活で約36万円とわかっている。
- 引用:生命保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査」
物価高や社会保障費、税金の増加により、必要な資金額を多めに見積もった。シミュレーションは後述するが、生活費によって増減するので支出をもう少し抑えられる場合はもっと必要資金を少なくできる。
FIREするためのシミュレーション
具体的なFIREをするためのシミュレーションを確認していこう。
まずFIREしたタイミングで運用して運用益を得た状態を想定するのではなく、どのぐらい貯蓄が必要なのかどれぐらい用意するべきなのかを数値で知っておこう。最初に年金や退職金など老後生活でもらえるであろう収入額を知り、その後生活費を引いて実際の必要金額を算出する。
もしギリギリでFIREしてしまうと運用益に頼る生活となるので、運用成績が悪ければ運用している元手を切り崩して生活することになる。元手を切り崩していると運用資金も当然減ってしまう。そして最終的には配当収入が減ってFIRE状態の生活を維持できなくなり、生活費を削るなどの取り返しのつかない失敗を引き起こしてしまうリスクもあるのだ。
そのためまずは運用成績を知る前に、収入が支出より上回るようになっているかを確認して資金ショートを防げるように備えておこう。
年金・退職金はいくら受け取れる?
まず年金から確認していこう。
20歳で就職して55歳で早期退職した場合、20歳から54歳まで厚生年金、55歳から60歳まで国民年金を支払うことになる。国民年金は厚生年金とセットになっているので、支払っている年数は厚生年金が35年、国民年金は厚生年金の分と国民年金単体の分で40年だ。
これらを以下の年金産出額の計算式に入れると、将来受け取る金額が大まかに算出できる。
計算式
- 厚生年金:平均収入 ÷ 1,000 × 5.5 × 加入年数
- 国民年金:78万円(該当年の満額支給額) × 加入年数 ÷ 40年
今回は簡略化するために78万円としたが、年ごとにこの数値は多少変動する。平均年収が500万円の方の場合は、96万2,500円 + 78万円 = 174万2,500円が1年間に受け取れる年金額となる。つまり、1ヶ月あたり14万5,000円が受け取れる計算だ。
さらに20歳の頃から夫婦で配偶者を扶養に入れていた場合は、国民年金40年分がプラスで受け取れるので夫婦で年間252万2,500円が受け取れる。1ヶ月あたり2人で約21万円の年金額が受け取れる計算だ。
次に退職金の平均値を確認していく。
退職金は中央労働委員会「令和3年賃金事情等総合調査」によると大企業の自己都合退職の場合、勤続30年で52歳の方は平均1,706万円、勤続35年で57歳の方は2,163万円となる。中小企業は東京都産業労働局の「中小企業の賃金・退職金事情(令和2年版)」によると、勤続30年で706万円だ。
退職金は1,000万円程度受け取れると仮定すれば、55歳から90歳まで暮らす時に貰える金額の合計額は独身と夫婦で以下の通りとなる。
単身 | 夫婦 | |
---|---|---|
年金 | 6,090万円 | 8,820万円 |
退職金 | 1,000万円 | 1,000万円 |
合計 | 7,090万円 | 9,820万円 |
必要金額は?
それぞれ独身と夫婦2人の生活費用を計算すると以下の通りとなる。
生活費
- 月20万円 × 12ヶ月 × 35年 = 8,400万円(独身)
- 月35万円 × 12ヶ月 × 35年 = 1億4,700万円(夫婦)
先ほど退職金と年金を合わせた額をそれぞれ引くと、それぞれの不足金額がわかる。
不足額
- 7,090万円 − 8,400万円 = 1,310万円の不足(独身)
- 9,820万円 – 1億4,700万円 = 4,880万円の不足(夫婦)
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資産運用の目安
先ほどシミュレーションした金額を資産運用で準備する場合の利回り目安を紹介していく。今回は利回りを4%程度として、独身と夫婦の場合に分けている。ぜひご自分の状況に当てはめて、イメージしながら確認してほしい。
独身の場合
独身の場合は1,310万円が必要となる。以下は元本と達成までの期間で分けた表だ。
元本(万円) | 2,000 | 3,000 | 4,000 | 5,000 | 7,000 |
達成期間(年後) | 13 | 10 | 8 | 6 | 5 |
独身であれば、早めにFIREができることがわかる。
夫婦の場合
夫婦の場合は必要金額は4,880万円である。元本と達成までにかかる期間は以下の通りだ。
元本(万円) | 7,000 | 8,000 | 9,000 | 10,000 |
達成期間(年後) | 14 | 12 | 11 | 10 |
独身と比べてかなり時間と元手が必要だ。そのため夫婦でFIREをする場合は、2人で元本を貯めて増やす協力が必要不可欠となる。
50代でのFIREはハードルが下がる
紹介してきたようにFIREするために必要な資金は1,000万円から多くても5,000万円程度であった。リタイア後にアルバイトなどを行えば、資金を捻出しやすくなるので決して無理な水準ではないといえる。
利回り4%だと投資信託や不動産投資信託(REIT)などを組み合わせて目指すのも手だ。年4%は大きくリスクを取り過ぎなポートフォリオではない。ミドルリスクミドルリターンの商品とローリスクローリターンの債券や貯金などを組み合わせることを意識しながら、ポートフォリオを組んでみてはいかがだろうか。
もし現時点で1,000万円以上の余剰資金があれば、下落相場でも利益を出すことを目標とするヘッジファンドなどで高利回りの運用先を利用してみるのも良いだろう。既にFIREができる水準まで資産があれば、不動産投資など初期費用のかかるものも視野に入れつつ、老後の不労所得を増やしていっていただきたい。
年金の受給開始年齢も徐々に伸ばされているので、国民年金や厚生年金だけに頼らず自己資金での準備が重要となる。FIRE後にもし再就職したいと思っても働き口を探すのは一苦労となる。そのため必ずFIRE前は本当に生活が破綻しないかどうかを慎重に計算してみることをおすすめする。計算時にはなるべくゆとりを持って多めに支出額を記載しておくようにしておくと安心だ。
しかし、具体的にどのようなシュミレーションや資産運用を行ったら良いか悩んでいる人も多いだろう。
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