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【7126】グローバルスタイル株式会社代表取締役 田城弘志氏「組織づくりとブランディングを強化し、ファンを増やす」

※本コラムは2023年1月16日に実施したIRインタビューをもとにしております。

経営コンサルタントとして参画後、オーダースーツショップ「Global Style」を新たに立ち上げ、主力事業にまで成長させてきたのがグローバルスタイル株式会社代表取締役の田城弘志氏です。

今回は、オーダースーツ市場における差別化ポイントや今後の成長戦略を教えていただきました。

目次

グローバルスタイル株式会社を一言で言うと

ファッション性とラグジュアリー感を兼ね備えた嗜好品としてのオーダースーツを得意とし、日々そのブランド力向上を目指す会社です。

代表就任の経緯

私が当社に参画することとなったのは約90年以上続く老舗企業、旧タンゴヤ株式会社の立て直しが始まった2008年のタイミングです。経歴としては、銀行から同業のスーツ専門店を運営する株式会社オンリーへ2000年に転職しており、当社以前にも紳士服専門店の経営に従事しておりました。

その後、2006年からは独立して経営コンサルタントをしておりましたので、入社当初は経営コンサルタントとして新規事業立ち上げを任されることとなりました。外国のジュエリーメーカーやレディースへの展開など多数の事業を企画する中で、株式会社デパーチュアで行なっていたグローバルスタイル事業が軌道に乗り、現在の主力事業へとつながっていきます。

当事業は2009年12月に開始しておりますが、約2年後の2011年の銀座外堀通り店への出店がまず一つ目のターニングポイントとなっています。当社は、これまで50代以上の経営者中心というイメージの強かったオーダースーツ市場において、「2着4万8千円」というラグジュアリー感がありつつもコストパフォーマンスの良い価格設定で特徴づけをしました。

当業界に幅広い顧客層に対応する専門店はありませんでしたし、出店によってさらに当社の認知度は高まっていきました。

また、上場前のタイミングではありましたが、2017年には私が旧タンゴヤ株式会社の代表取締役社長に就任し、事業としてもグローバルスタイル事業に特化する形に推進していきましたので、一つの転換点であったと思います。

上場については、それまでの同族経営会社からパブリック経営の会社へすることを目的に、2015年頃から時間をかけて準備を進めていきました。一昨年8月に上場を果たし、オーダースーツという事業体において重要な信頼度の向上や、採用面での効果を感じております。

タンゴヤ株式会社 2022年7月期 決算説明資料 より引用

事業内容について

オーダースーツショップ「Global Style」の運営を行なっています。価格帯としては1着2万円代から10万円クラスまで、ミドル・アッパーレンジを幅広く取り揃えています。ファッション性と高級感を残しつつも、値段設定としては大手セレクトショップ等と比較してもコスパ価格での提供が可能となっています。

また、自社アプリにはポイントシステムを導入するほか、仕上がり確認等の機能を持ち、現在約43万名の会員を抱えており、直近2年間ではLINEアカウントに特に注力し、登録数は13万名に到達しています。

毎月の売上に占める新規・リピーターのお客様の割合はおよそ半々で、受注を受けた商品を納品したタイミングで売上に計上されていきます。

コロナ禍においては商業施設の閉鎖や行動制限等の影響を受け売上を上げにくい経営環境となり、原価逓減策を実施してまいりました。例えば物流費の削減です。当社のスーツは色・柄・生地のバリュエーションの豊富さが売りなのですが、そのためにこれまではお客様からの注文の都度、中国の大連にあるメイン工場に材料を発送しており、その割合は8割にものぼっていました。

変更後は、あらかじめ工場に生地を用意しておく割合を8割に高め、物流や関税周りのコストを大きく整備いたしました。

また、急激な円安の影響を受け生産管理の見直しも行いました。オーダーデータの管理や物流に関しては専門商社に役割を分担していたのですが、当社が直接行う商流を増やしました。

このような施策の結果、2022年10月には過去最高の単月受注を達成することができました。また当社の下期にあたる年末年始の行動制限が、今期はこの3年間で初めて出されませんでしたので、昨対比でも上乗せが期待できると考えています。

顧客の年齢層としては、オーダースーツのメインターゲットとなる50代以上のお客様のみならず、20-30代の若年層が全体の55%をしめています。また、レディースを展開するほか、七五三や入学式むけのキッズ・ジュニア商品も拡充しており、属性や目的別でも分散されています。

タンゴヤ株式会社 2022年7月期 決算説明資料 より引用

一方、「2着4万8千円」という広告を出していることからも安くオーダースーツを売っていると思われることも多いのですが、実は低価格帯商品は数量ベースで全体の2割にとどまっています。大手セレクトショップやラグジュアリーブランド等で購入していた方々の需要も取り込む嗜好品が得意領域であり、結果として1店舗当たりの売上も大きいという特徴があります。

このようなリーズナブルな価格帯はオーダースーツ市場ではユニークであるため、若年層をターゲットとしたドアノックツールや顧客層の裾野を広げる機会となっており、今後も我々にとって大きな強みに一つであると考えています。

さらに、お客様一人ひとりのオーダーはデータで管理をしており、引越しや転勤等で近隣店舗が変更になってもこれまでの注文履歴をすぐに確認することができます。このデータ管理によって利便性が向上し、お客様からの継続的な受注も増えています。

中長期の成長イメージとそのための施策

まずは全国政令指定都市および大都市近郊を中心に、年間5件のペースで継続的に新規出店を進め、6年間で合計60店舗を目指します。

まだ未出店のエリアも多いですが、オーダースーツショップの運営にはプロのスタイリストとしてサイジングをしたり、TPOに合わせた色味や柄の提案をするといったスキルを持った人材の育成も必要になりますのでこのペースが妥当であると考えています。

来客に関してはウェブ広告の効果からスピード感のある集客が可能な状態が整えられており、昨年同様どのエリアにおいても問題なく集客が進むと考えています。また、さらに長期的な目線では、郊外での店舗展開など顧客層の幅広さを生かした差別化戦略も実行していきたいと思います。

タンゴヤ株式会社 2022年7月期 決算説明資料 より引用

来店型ビジネスにおいては、そのブランドから得られるイメージが何よりも重要であると認識しています。これを形にする店舗空間・オフィシャルサイトの演出・品揃えそして人材育成には私が直接関わり、今後も積極的に取り組んでまいります。

また、GSアプリ会員様限定で「GSクローゼット」という新サービスを2022年10月より開始しました。アフターサービス充実により当社のファンを増やすべく、シーズンオフにスーツを最長6ヶ月お預かりし、指定の日時・場所にクリーニングの上返却したり、サイズ調整やリメイクも承っています。

開始まもないですがすでに毎日ご注文をいただいており、需要の高さを実感しています。リアル店舗は半数が東京都内を中心とする関東圏にあり、特に都内は地代の高いタワーマンションであってもクローゼットに限りがあります。

そのようなお客様の地域性も鑑み、当社としては「保管」のみでもニーズがあると考え、このサービスの立ち上げにいたりました。月間150-200万PV数を誇る当社のオフィシャルサイト上へバナー広告を出し、マーケティングを通じて当サービスの拡大を図っていきます。

タンゴヤ株式会社 2022年7月期 決算説明資料 より引用

また、先ほどオーダーのデータ管理について触れましたが、特にネット通販の拡販にこのデータが活用できる可能性もあります。GoogleやLINE、Facebook等当社が広告を掲載していない媒体はなく、そのような媒体からデータ活用についての試験的なお話をいただくケースもあります。

特に輸入車などのインポート系商品に関心のある方が当社のサイトをご覧になっていることが多いとの分析データも拝見しており、まだ具体的な構想段階ではないものの多様な角度からのデータ活用の可能性はあり得るのではと考えています。

投資家の皆様へメッセージ

繰り返しになりますが、当社の強みはオーダースーツ市場には珍しい顧客層の幅広さにあります。これまでデパートや欧米のブランドショップで購入していた方、既成スーツ専門店で購入していた方、女性、キッズ、ジュニアなど様々な業態を利用されていた方々にとって魅力的な存在であるよう、今後も組織づくりとブランディングに注力してまいります。

また、この度株式分割を実施いたしましたが株主優待の内容は据え置きとしております。

我々としては、店舗も利用し、株主としても当社を応援していただけるような「ファン株主」に一人でも多くの方になっていただきたいと考えていますので、引き続き見守っていただけますと幸いです。

グローバルスタイル株式会社

本社所在地:大阪市中央区淡路町3-5-1

設立:1949年4月

資本金:8,000万円(2023年1月アクセス時)

上場市場:東証スタンダード(2021年8月24日上場)

証券コード:7126

※本コラムは情報提供を目的としたものであり、個別銘柄の推奨や、金融商品の紹介、周旋を行うものではございません。

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執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。投資家とIFA(資産アドバイザー)とのマッチングサイト「わたしのIFA」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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