カードローンを複数利用したり、クレジットカードのリボ払いをしたりすることで返済先が増えている人も多いのではないだろうか。
返済先が増えてくると、それぞれの返済日や支払い対応が面倒になってしまう。
もし、なにかの間違いで返済が一つでも遅れてしまうと信用情報に傷がついたり、損害遅延金が発生したりして日常生活を営む上で不都合が生じるだろう。
返済日や条件が異なる借入先が増えると、返済計画も立てづらくなってしまう。中には返済が難しくなり悩んでいる人もいるかもしれない。
そんな返済を整理する代表的な方法は以下の2つだ。
- おまとめローン
- 債務整理
この2つは返済を整理できる点では共通しているが、目的も仕組みも異なる全く違うやり方だ。
本記事では、この違いを解説する。カードローンを整理したいときの参考にしてほしい。
おまとめローンなら借入を一本化できる
借入を整理する方法の一つに「おまとめローン」がある。債務整理との違いを明確にするためにも、以下の3つを解説する。
- おまとめローンの概要と仕組み
- メリット
- デメリット
それぞれ確認してみよう。
おまとめローンの概要と仕組み
前提として「おまとめローン」は、消費者金融や銀行が提供しているローン商品の一種だ。
借り換えローンの一つで、複数のカードローンやクレジットカードの支払い(リボ払いなど)を一本にまとめられる。大手消費者金融や銀行などで「おまとめローン」で取り扱いがある。
- アイフル
- 「おまとめMAX」
- レイク
- 「レイクdeおまとめ」
- アコム
- 「借換え専用ローン」
このように各社で微妙に商品名が異なったり、単に「おまとめローン」という名称だったりするが基本的には同じ仕組みだ。
- 申し込み
- 審査
- おまとめローンの貸付から複数の借入先に一括返済
- 利用した金融機関に新たに返済(おまとめローンを利用したところに1本化)
分かりやすく説明すると、金融機関にお金を借りて一旦、複数の返済先にお金を返す。そして借換え先に返済を一本化するという流れだ。
メリット
おまとめローンは、返済先を一本にできることはもちろん、それ以外にも利用するメリットが多い。考えられる代表的なメリットは以下の通りだ。
- 支払い管理をしやすくなる
- 金利下がって返済負担が軽くなることがある
- 借入件数を減らすことによる信用情報の改善
借入先を一つにまとめることで、返済の煩雑な管理がすっきりするだけではなく返済負担が下がる可能性もあるのもメリットだ。
例えば以下のように複数社から合計100万円の借入をしているとしよう。
借入残高 | 毎月返済額 | 貸付利息 | 返済日 | |
---|---|---|---|---|
A社 | 30万円 | 11,000円 | 18.0% | 毎月10日 |
B社 | 50万円 | 13,000円 | 15.0% | 毎月25日 |
C社 | 20万円 | 8,000円 | 18.0% | 毎月27日 |
合計 | 100万円 | 32,000円 | ― | − |
返済日が複数ある上に、毎月の返済額も異なり利息もまちまちだ。しかし、おまとめローンを利用すると以下のように変えることも可能だ。
借入残高 | 毎月返済額 | 貸付利息 | 返済日 | |
---|---|---|---|---|
おまとめローン借入先D社 | 100万円 | 26,000円 | 15.0% | 毎月28日 |
おまとめローンの利用で貸付利息次第では、32,000円の毎月の返済額が32,000円から26,000円になり月々の
返済額が軽くなる。さらに返済日も1日にまとまり、とてもすっきりするのが分かるだろう。
デメリット
おまとめローンのデメリットについても解説する。考えられる代表的なデメリットは以下の通りだ。
- おまとめローンにも審査がある
- 毎月1回まとまった支払いが必要になる
- 手続きの手数料がかかりお得にならないこともある
- 返済期間の延長で支払い総額が増えることもある
おまとめローンは無条件で誰でも利用できるわけではない。普通のカードローンと同じく審査に通らなければいけない。
また、月々の支払い総額が減っても1日にまとまった額の支払いが必要になる。
月々の支払いを複数の日程に分けられることにメリットを感じていた場合はデメリットにもなり得るかもしれない。
また、手続きに手数料がかかることもある。手数料を加味した場合、お得にならないことも考えられるため、手数料の有無などは事前に確認しておくとよいだろう。
そして、契約の内容次第では返済期間が長引いてしまい結果、支払い総額が増えてしまうことも考えられる。そのため、シミュレーションをしておくことが大切だ。
おまとめローンのよくある失敗例
上手く利用すれば返済を整理し負担もおさえられるが、上手くいかないこともある。
よくある3つの失敗例を紹介する。
- 思ったより金利が下がらない
- 全ての借入をまとめられない
- 完済した後にまた同じ会社から借入してしまう
それぞれ確認してみよう。
思ったより金利が下がらない
シミュレーションをしてみると、思った以上に金利が下がらないこともある。
例えば、既に利用している借入先の金利が低かったり、審査で金利が高くなったりする場合だと、金利が下がらないどころか、かえって金利が高くなったりすることもある。
返済が一つにまとまっても月々の返済負担が重くなってしまうのは避けたいところだろう。金利や返済総額でかえって負担が重くならないかどうかは、契約前に確認しておきたい。
全ての借入をまとめられない
おまとめローンは、各金融機関が提供している借り換えローン商品の一種だ。そのため、取り扱うところによって規約にそれぞれ微妙な違いがある。
そのためクレジットカードのリボ払い、銀行のカードローンなど一部まとめられないことがある。
そのため、検討しているおまとめローンとまとめたい借入先次第では、上手く借入先が一つにまとめられないこともある。
完済した後にまた同じ会社から借入してしまう
おまとめローンを完済した後に余裕ができて、つい同じ会社から借入してしまい返済が終わらないという失敗もしないようにしたい。借入は必要ならば、利用すれば良い。
しかし、不必要な借入は避けるべきだ。特に個人向けのカードローンやフリーローンは、担保なしで使い道の制限もないため、利用しやすいが金利は決して低いとはいえない。
不要な借入が常態化してしまうと家計への負担が重くなってしまう。余裕ができても借入は計画的にしよう。
おまとめローンと債務整理はどちらが良いのか
複数の借入を整理する方法に「債務整理」もある。たしかに債務整理も、返済を整理する方法なのだが、先に紹介した「おまとめローン」とは根本的に目的も仕組みも異なる。
おまとめローンは金融機関のローン商品だが、債務整理は借金を減額したり免除したりする手段の総称だ。基本的に法的な手続きと話し合いが手段になる。
借入を整理する手段でおまとめローンと債務整理で迷っている人のために、債務整理の定義とメリット・デメリットを確認してみよう。
債務整理とは?
債務整理は文字通り、債務を整理するための手段全般を意味する。返済額の減額や免除などを目的に行う。
具体的に3つの裁判所を通した手続きと1つの通さない手続きの4つに分けられる。有体に言えば裁判所や弁護士のお世話になる方法と考えれば、わかりやすいかもしれない。
方法 | |
---|---|
裁判所を通す手続き | 特定調停 個人再生 自己破産 |
裁判所を通さない手続き | 任意整理 |
裁判所の公式サイトにある『債務整理の方法についてのQ&A』を参考に、それぞれの方法の概要をまとめたので参考にしてほしい。
特定調停は、裁判所に借入先との間に入ってもらい話しあいで解決する手段だ。
個人再生は、裁判所を通じて全ての借入先に対する返済額を減らし、その減らした額を分割して返済する再生計画を立てて、その通りに進めれば残った債務が免除されるという手続きだ。
ただし、継続的な収入がある人でなければ利用できない。
自己破産は、多重債務などに陥って返済ができなくなった場合に法的な手続きで、自分の財産を現金化して、全ての借入先に平等に分配して清算する制度だ。
任意整理は、裁判所を通さずに直接、借入先と相談の上、返済方法などで新たな取り決めをする手段だ。
しかし、裁判所は通さなくても一般的には、法律の専門家(弁護士など)を通じて行う。
紹介した4つの手続きは全て法律が絡んだ解決法だ。
債務整理をするということは、基本的に裁判所や弁護士のような法律のプロにお世話になって借入を整理すると考えると分かりやすいだろう。
債務整理をするメリット
債務整理をするメリットは以下の通りだ。
- 返済額の減額と免除
- 多重債務から生活を立て直せる
裁判所に間に入ってもらったり、弁護士などを通じて借入先と交渉したりすることで返済額の減額や免除につながり、借入先からの取立ても止まる。
また、債務整理によって法的に保護されることになるため、多重債務に陥っていた場合でも生活の立て直しもしやすくなる。
おまとめローンでは不可能な返済額の減額と免除ができる点はメリットだろう。
債務整理をするデメリット
債務整理はおまとめローンと同様、返済を整理できる手段ではあるがデメリットが大きい。そのため、よく考えてから行うべきだ。
- 信用情報に傷がつき新規借入が難しくなる
- 大切な資産を手放すことにつながる
- 職業選択に支障が出ることもある
- 社会的信用の低下
債務整理によって信用情報に傷がついてしまい、新規借入が難しくなる。特に返済不能になったり自己破産したりすれば新しい借入で審査に通らなくなる。
また、債務整理でも特に自己破産をすると家、自動車などの大切な資産を強制的に換金され返済にあてることになる。
そして、人によっては職業選択の観点からも支障が出ることもある。例えば、法律関係の国家資格で仕事をしている士業や銀行の監査役など職業によっては、仕事ができなくなる。
そして何より社会的信用が低下してしまう恐れもある。
おまとめローンなら、このように信用情報に傷がついたり、自動車や家を失ったり、職業選択に支障が出たりはしない。
本当に困ったときの最後の手段として考えた方が良いだろう。
債務整理よりもおまとめローンが有効なケース
債務整理は主に裁判所や弁護士にお世話になることで、返済額の減額や免除につなげられるがデメリットが大きい。
そのため、借入の整理や一本化を検討するなら、まずは、おまとめローンで対応できるかどうかから考えてほしい。
債務整理よりも、おまとめローンが有効な以下の3つのケースを紹介する。
- 返済する額が収入に対して余裕がある
- 信用情報に傷をつけたくない
- 債務整理の条件を受け入れられない
返済する額が収入に対して余裕がある
もし、返済できる余裕があれば、おまとめローンを選ぼう。おまとめローンの活用で、返済先を一本に絞れるだけでも返済の煩わしさや負担を軽くできる。
また、契約次第では金利も下げられる。特に返済額自体に問題がなく単に借入先を一本化して整理したいというだけなら、おまとめローンをおすすめする。
逆に債務整理を選ぶべきケースは、返済の見通しが立たないほどの大きな借入をしていて生活と家計を根本から立て直す手段が他にない場合だ。
まず、おまとめローンで借入先の整理を検討し、それでも根本的な解決に至らないというときに債務整理を検討してほしい。
信用情報に傷をつけたくない
信用情報に傷をつけたくない人も、おまとめローンが有効だ。債務整理によって返済額を減額、または免除できたとしても、信用情報に傷はついてしまう。
そのため、債務整理を安易に選ぶとクレジットカードが作れなくなったり、新たな借入ができなくなったり、ローンが組めなくなったりする恐れがある。
しかし、おまとめローンならローンを借り換えるだけなので、債務整理のように信用情報に大きく傷をつけることはない。
債務整理の条件を受け入れられない
債務整理には様々な方法がある。実際に債務整理を進めてみて、条件を受けいれられないということもあるだろう。
例えば自己破産しか選択肢がない場合は、一部の仕事、国家資格の専門職(弁護士や税理士、宅建士など)や役職では債務整理でも特に自己破産を選んでしまうと制限がかかってしまう。
仕事柄、到底、債務整理で導き出された条件を受け入れられないという場合は、おまとめローンで対応できないか改めて考え直してみるのも良いだろう。
自己破産でなくても、減額や免除の条件によっては、債務整理のデメリットを考えると受け入れられないということも考えられる。
その場合も、おまとめローンで返済の手間や負担を軽くできないか検討してみてほしい。
借入を一本化するなら、おまとめローンがおすすめ!債務整理は最後に考えよう
借入を整理する方法について、おまとめローンと債務整理の2つを解説した。
借入を整理できるという点では、おまとめローンと債務整理は共通しているところもある。しかし、両者は根本的に違うものだ。
債務整理は、基本的には裁判所や弁護士などの法律のプロのお世話になって返済額を減額したり免除したりする方法だ。
多重債務で返済の見通しが立たない場合、信用情報に傷がついたり、仕事に制限が出てきたり、場合によっては大切な財産を手放したりしても致し方ないというときに利用する手段だ。
返済の見通しはたつ、返済をシンプルにしたい、債務整理の条件を到底、受け入れられないという場合は、おまとめローンがおすすめだ。
契約内容次第では金利を抑えることもでき、返済計画が立てやすくなる等メリットが大きい。
もちろん審査があったり、契約内容次第では思った以上に返済の負担が軽くならなかったりすることもある。
悩んでいたらまずは、おまとめローンを検討してみてほしい。