- 医療保険に先進医療特約が必要か知りたい
- 先進医療特約がある医療保険のメリットやデメリットを知りたい
- 先進医療特約を付加する時の注意点が知りたい
医療保険への加入を検討している人の中で、「先進医療特約をつけるかべきか」で迷っているという方はいるだろうか。
先進医療特約とは、医療保険に付加できる特約の一種であり、高額な医療費をカバーする役割を果たすものとして重要視されている。
しかし一方では、保障範囲が狭いなど否定的な意見も多く見受けられる。
そこで本記事では、先進医療特約の概要やメリットとデメリット、さらに付加する際の注意点について解説する。
特約の必要性を判断するには、自身や家族のニーズに合わせた長期視点での検討が欠かせない。
先進医療特約をつけようか悩んでいるという方には、ぜひ参考にしてほしい。
先進医療特約とは
先進医療特約を正しく理解すると、将来の医療費増に対するリスクを下げることが可能となるはずだ。
この特約は、健康保険では適用外となる先進医療の保障をつけることができる。
ここではその基本的な概念と、重要性について詳しく説明する。
先進医療と先進医療特約の概要
先進医療とは、厚生労働省が定めた高い医療技術を使った治療のうち、健康保険の対象にならないものを指す。
日本では有効性や安全性が認められた治療に健康保険が適用される。一方先進医療とは、有効性と安全性の一定基準は満たしているが、まだ評価中とされた治療のことだ。
特に、大学病院や研究機関で行われる難病や特定の疾患への手術や治療は、実績を積み重ね評価された後に先進医療として厚労省に認定される。
その後、さらに評価・判断され、健康保険の適用となる。
2023年10月1日時点で81種類の先進医療が存在しており、重粒子線治療や陽子線治療が登録されている。
なお、先進医療に関連する費用は、健康保険適用外のため全額自己負担となる。
この自己負担分を医療保険で補填するために、先進医療特約が存在する。
通常の医療保険にこの特約を追加することで、先進医療にかかるコストの実費分を保障し、経済的な負担を大幅に軽減できるのだ。
特約の保険料は、保険会社によって異なるが、月額100円程度が一般的だろう。
カバーできる治療と料金体系
特約でカバーされる治療法と、年間の治療件数、そして治療1件あたりにかかった平均の医療費の例を下記で説明しよう。
- 陽子線治療 1,293件 約269万円
- 重粒子線治療 562件 約316万円
- ウイルスに起因する難治性の眼感染疾患に対する迅速診断(PCR法) 764件 約2.8万円
- タイムラプス撮像法による受精卵・胚培養 15,832件 約 3.3万円
- 細胞診検体を用いた遺伝子検査 493件 約 7.8万円
1件目の例でいうと、陽子線治療技術を使った治療が年間1,293件実施されており、そのうち1件あたり約269万円の先進医療費がかかった、ということだ。
がん治療のためのものもあれば、遺伝子検査や遺伝子療法、臓器移植、ロボット手術、専門的なリハビリテーションといった、新たな治療法もカバーされている。
患者の症状に合わせた、最新の医療技術や治療が日々研究され、治療実績も増えている。
特約の保険料は、保険会社や本人の年齢、保障の範囲、保険期間などによって異なることもあるが、月額100円程度と比較的安く、少額で大きな保障を得ることができる。
先進医療特約は、通算1,000~2,000万円が先進医療を使った際の保障の上限金額に設定されており、実際にかかった技術料を実費保障するタイプが一般的だ。
なお、かかった技術料は健康保険の適用外のため全額自己負担となるが、診察料、検査料、投薬料、入院料などは健康保険の適用となる。
先進医療特約の必要性
通常の医療保険だけではカバーできない疾患や治療が存在することを認識しておこう。
下記では、その必要性を具体的な事例とともに詳しく説明する。
- 難病の治療
- 通常は、難病や希少疾患の治療に必要な医療費を十分にカバーできないことがあるが、この特約があれば、これらの治療にかかる費用を軽減できる。たとえば、特定の難病に対する治療には多額の費用がかかることがあるため、特約が経済的な支えとなるだろう。
- 高度な手術
- 先進的な外科手術や臓器移植などが必要な場合、費用が高額となってしまう。緊急度を要する場合にも、特約は大きな助けとなる。難易度の高い手術は費用もかさむため、特約の存在は安心感をもたらすだろう。
- 未承認薬物や治療法
- まだ承認されていない薬物や治療法を使用する場合、通常ではカバーされないことがある。特約に加入しておくと、こうした治療費用を支える役割を果たす。
新たな治療を受ける際には、特約が財政面でのサポートとなる。
自身や家族のニーズに合わせ長期視点で検討し、必要に応じて特約を追加しておこう。
予期せず多額の医療費が発生するリスクを軽減するためにも、特約は重要な役割を果たすはずだ。
先進医療保険のメリットとデメリット
先進医療保険は、標準治療では難しいが、先進医療を受けることが効果的という場合にこそ、加入するメリットが出てくる。
先進医療は、まだ開発途上の技術も多く、有効性や安全性については十分に検証されていないものもある。
だからこそ、先進医療保険のメリット、デメリットを理解したうえで、加入すべきかを検討しよう。
高度な治療を少ない負担額で受けられる
特約を付ける最も魅力的な点の一つは、難易度の高い治療の場合でも、負担が少なくて済むことだ。
ここでは、そのメリットを詳しく説明しよう。
たとえば、がん治療は多額の治療費がかかる疾患の一つである。
抗がん剤療法、放射線治療、手術などさまざまな治療法があるが、その中でも特に重粒子線治療の場合、平均で約320万円の費用がかかるといわれている。
通常は、このような高額な治療を実費でカバーすることは難しい。しかし、特約があれば、給付金で補填することができ、経済的にも楽になるだろう。
特約に加入しておけば、月々100円程度で、保険外の高度な医療を受けることができる。
特約により、高額医療費に対するリスクを抑えることができるだろう。
治療費は高額になる
治療費が高くなってしまうことでのデメリットを確認しよう。
- 治療費の支払いと給付金の受け取り
- 特約を使用する際、まず患者や家族が治療費を支払う。その後、保険会社から給付金が支払われ、一部の治療費が補填されることになる。しかし、先進医療は一般に高額なため、自己負担分も大きくならざるを得ない。
- 経済的な負担
- 自己負担が高額になることで、経済的に苦しくなる場合があるだろう。一時的ながら、大きな金額を支払わなければならなくなり、これが家計に響くことがある。
- 預貯金の使用
- 治療費用を賄うために、預貯金を大幅に使わなければならないことがあるかもしれない。これは計画外の支出となり、生活費の削減や将来計画に影響を及ぼす可能性がある。
要するに、高度な治療が必要な場合、特約を活用できる一方で、それに伴う高額な自己負担や経済的な負担に対処する必要がでてくるということだ。
個々の健康状態や予算に合わせて、特約の選択と将来の医療費負担を適切に見極めることが肝要となる。
治療コストが高くなる可能性を理解し、慎重に検討しよう。
保障範囲が限られる
特約の魅力とは裏腹に、保障の範囲について制約や注意点が存在する。
これらを詳しく説明しよう。
- 保険料と保障内容のバランス
- 特約は一般に保険料が比較的安価であるため、手軽に利用されることが多い。一方で、保障内容には制約がある。特約の主な目的は、高額になりがちな治療コストを経済面でサポートすることであり、一般医療や予防医療には適用にならない。
- 先進医療の制約
- 特約は特定の治療法、薬物、診断に対する保障に限定される。つまり、希望する治療が先進医療外だと、特約は使えないのだ。このため、特定の治療法を必要とする場合、その治療が特約対象に含まれているかを確認することが重要だ。
- 特約対象の変更
- 先進医療の対象は厚労省によって随時見直され、以前は特約対象だった治療が、1年後には対象外となっていることもありうる。望む治療が、特約の対象に含まれているかを定期的に確認することが重要だろう。
- 自身の健康状態と将来の治療ニーズ
- 特約を選択する際には、自身の健康状態や将来の治療ニーズに注意しておくことが必要だ。将来、特定の治療法が必要となる可能性を考慮し、特約の保障がどのように適用されるかを理解しておかなければならない。
このように、制約があることを理解した上で、特約を選ぶ際には慎重に検討したい。
自身や家族の健康状態に合った特約を選択し、将来的な治療ニーズを考慮に入れたプランを選択しよう。
先進医療特約を医療保険につける際の注意点
先進医療特約の特徴をおさえたところで、続けて本特約を医療保険に追加する際の注意点を順に解説しよう。
上限金額と支払い方法を把握する
本特約を選ぶ際に、まず注目すべきポイントは上限金額である。
これは、特約に加入したことで保障される最大の金額のことを指す。
通常は、先進医療を使った際の保障の上限金額が1,000~2,000万円程度に設定されているものが多く、実費分を補填するタイプが一般的だ。
なお、この金額はかかった分を合算していき、上限に達すると特約はなくなるため、もし治療費がこれを超えた場合は、その分を自己負担する必要がある。
また、医療費の支払い方法についても確認しよう。
特約を利用する場合も、かかった費用はまず自己負担しなければならない。
その後、給付金を受け取ることになるが、このプロセスでは一時的に多額の費用を用意する必要があるのだ。
一方、かかった費用を保険会社が医療機関に直接支払う特約に加入していれば、自身が払う分の負担は少なくて済むだろう。
ただし、医療機関に直接支払う方式は、保険会社が指定した医療機関でのみ対応可能(病院が限定される)ということが多い。
どこの医療機関が直接支払いを受け付けているのか、そしてどの程度の医療費がカバーされるのかを確認しておくことが重要だ。
保障範囲を確認する
先進医療特約は、がん保険や医療保険に追加できるオプションである。
この特約は、主契約の保険内容を更に充実させるものであり、どの種類の先進医療がカバーされるかを把握しておくことは重要だ。
とくに、がん保険の場合、特約はがんにまつわる先進医療のみを対象とすることもある。
したがって、特約の内容は事前にパンフレットやウェブサイトなどで十分に確認しておくべきだ。
また、注意が必要なのは、先進医療の対象となる治療法が時間と共に変動する可能性がある点である。
医療のトレンドが変わったり、新しい技術が導入されたりすることで、前年には先進医療の対象だったものが、現在は対象から外れていることもありうる。
そのため、特約に加入した際だけでなく、定期的に主契約のがん保険や医療保険の保障内容も含めて、確認し続けることが重要だ。
これにより、常に最新の情報に基づいて、自身や家族に適した保障を確保できるだろう。
更新型・終身型のどちらが適切か見極める
主契約のがん保険や医療保険とは別に、特約を更新型にするか終身型にするかを決めることができる。
更新型は、一定の期間ごとに契約を更新するタイプであり、10年ごとが多い。
そして、更新時には保険料が上がることがほとんどだ。
たとえば、30歳で加入した場合、40歳、50歳、60歳、70歳と10歳ごとに更新タイミングが来るが、そのつど保険料は上がっていくだろう。
大抵は更新のタイミングで、特約も含めた他の保険への切り替えなどを検討することになる。
一方、終身型特約は、契約が終身有効で、保険料は一定となる。
若い頃の保険料は更新型に比べると高く見えるが、将来に渡って保険料は変わらないため、安定した支払いが可能となる。
保険料の支払額を変えないまま、終身の保障を必要とする人には向いているだろう。
保障内容やリスクに応じて、どちらが自身に適しているかを検討しよう。
以上の注意点を踏まえ、自身や家族のニーズに合わせた長期視点での検討が重要だ。とくに医療費の予算や将来のリスクを考慮し、最適な特約を選択するようにしよう。
将来の健康状態や経済的な状況を考慮して、最適な選択をすることが大切となる。
まとめ
本記事では、医療保険につける事ができる先進医療特約の概要とメリットデメリット、特約をつける際の注意点について解説した。
特約のカバー範囲は狭いが、高額な先進医療を受ける際に金銭の負担額をかなり減らすことができる。
ただ、給付金の受け取り方法や対象となる病気の範囲などを把握する必要があるため、一人で自分に最適な先進医療特約を見つけるのは難しいだろう。
そんな時は保険のプロに相談することも検討しよう。
一人一人に合ったアドバイスをもらうことで、短時間で的確に必要な保険と特約を選択することができる。
とはいえ、生命保険のプロは数多く存在し、自分にとって最適な担当なのかを見極めることもまた難しい。
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