MENU

生命保険の贈与にかかる税金とは?税率や贈与方法について徹底解説

この記事で解決できるお悩み
  • 生命保険を贈与したいが贈与税がいくらかかるのか把握したい
  • 贈与を行う際に気をつけるべきポイントや税金を抑える方法が知りたい
  • 生命保険の贈与に関する贈与税の計算式と税率に関する理解を深めたい

生命保険の贈与を考えている方も多いのではないだろうか。しかし、贈与を行う際には贈与税が発生する。

知らずに贈与を行うと、思わぬ高額な税負担が発生するかもしれない。

本記事では、贈与税率や贈与税を低減する方法、自分に適した贈与方法について解説していく。

これから生命保険の贈与を考えている方や贈与に関する税金について理解を深めたい方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてほしい。

目次

税率はどれくらい?生命保険と贈与税の関連性

生命保険と贈与税の関連性 生命保険ナビ

生命保険は、将来の不測の事態に備えて加入するものであり、被保険者に万が一のことがあった際に受取人に保険金が支払われるということはご存知だろう。

しかし、この生命保険金は贈与税の対象になるケースもあることは知っているだろうか。

ここでは、生命保険と贈与税の関連性について詳しく説明しよう。

生命保険の贈与とは

生命保険の贈与とは、保険料を負担していない人が、満期や被保険者の死亡により、保険金を受け取った場合に、保険料を負担した人からその保険金の贈与があったもの、とみなされるものである。

具体的には、以下のケースが該当する。

満期保険金

保険契約の満期に達したときに受け取る保険金のこと。

保険料を負担していない人が受け取ると、保険料を負担した人から贈与を受けたものとみなされる。

死亡保険金

被保険者が死亡したときに受け取る保険金のこと。

契約者と被保険者、受取人がすべて異なる場合に、保険料を負担した人から贈与を受けたものとみなされる。

なお、以下の場合には、生命保険の贈与は発生しない。

  • 保険料を負担した本人が受け取る場合
  • 傷害や疾患などが原因で保険金が支払われる場合(この場合は非課税となる)

生命保険が贈与税の対象となる場合

具体的に生命保険の贈与税の対象となるのは、以下のケースとなる。

  • 保険金が満期に達して満期金を受け取る場合
  • 被保険者が亡くなって死亡保険金を受け取る場合

順に確認していこう。

保険金が満期に達して満期金を受け取る場合

生命保険が満期を迎えると、満期保険金が支払われる。

この際、契約者(保険料を支払った人)と受取人が同一だと、所得税の課税対象となるが、契約者(保険料を支払う人)と受取人が別人だと、贈与税の対象となる。

保険料を支払って積み立てていたお金を別な人へ贈与した、とみなされるためだ。

満期保険金受け取り時の課税関係は以下の通りとなる。

契約者
(保険料負担者)
被保険者受取人税金の取り扱い
所得税
妻や子贈与税

①は、契約者(夫)が自分で満期金を受け取ったので、所得税の対象となる。

なお、満期金を一時金として一括で受け取る場合と年金形式で分割で受け取る場合で、所得の扱いが変わることには注意が必要だ。

契約者本人が一時金として一括で受け取るとき:一時所得の扱い

契約者本人が年金形式として分割で受け取るとき:雑所得の扱い

②は、契約者(夫)と満期受取人(妻や子)が異なる場合であり、贈与税の対象となる。

保険料を積み立てていた夫のお金を、受取人の妻や子に贈与したことになるからだ。

詳細な計算方法は後述する。

被保険者が亡くなって死亡保険金を受け取る場合

生命保険では、被保険者が亡くなった場合、死亡保険金が支払われる。

この場合、保険の契約形態により課税方法が変わってくる。贈与税は、契約者、被保険者、受取人がすべて異なる場合にのみ課税される。

夫が死亡した場合、死亡保険金受け取り時の課税関係は以下の通りとなる。

契約者
(保険料負担者)
被保険者受取人税金の取り扱い
妻や子相続税
所得税
贈与税

①は、契約者=被保険者である夫が死亡し、妻または子が受取人となるため、相続税の対象となる。

相続税は、死亡保険金の非課税の枠があるため、金額によっては課税されない可能性もある。

②は、被保険者の夫が死亡し、保険料を払っていた契約者の妻が、死亡保険金を受け取ることになるため、所得税の対象となる。

③は、被保険者の夫が死亡し、保険料を払っていたのは契約者の妻だが、死亡保険金を受け取るのは子である。

その場合、妻から子への保険金贈与という扱いとなるため、贈与税が発生することになる。

解約返戻金を受け取る場合

契約者が保険を解約すると、解約返戻金が支払われることがある。

この解約返戻金は、契約者が受け取るため所得税の対象となる。

なお、通常、契約者と保険料を支払う人は同一だが、別な人が支払っていた場合のみ、保険料を支払っていた人から契約者への贈与とみなされ、贈与税が発生することになる。

贈与税の計算方法

贈与税とは、個人が年間110万円を超える財産を受け取った場合、受領した側にかかる税金のことである。

通常、贈与税は贈与により取得した財産に対して課税されるが、保険受け取りの場合は保険料を払っていた人から保険金を贈与された、とみなして課税されることになる。

受け取る保険金が年間110万円までであれば、暦年課税制度が適用され非課税となる。

年間110万円を超える場合は、課税対象価格に税率(10-55%)を掛けて、贈与税を算出しなければならない。

満期保険金や死亡保険金を受け取る場合、誰から受け取ったかによって、贈与税の計算が変わってくる点は注意したい。

18歳以上の子や孫が父母や祖父母から贈与を受ける場合を特例贈与といい、税率が少し優遇されている。

それ以外を一般贈与と呼ぶ。

前述の例でいうと、親から子(贈与を受けた年の1月1日において18歳以上)への贈与は特例贈与の税率が使われ、夫婦間の贈与は一般贈与の税率となる。

それぞれの税率と控除額は、以下で算出できる。

スクロールできます
課税対象価格
(110万円を引いたあとの価格)
特例贈与の税率特例贈与の控除額一般贈与の税率一般贈与の控除額
200万円以下10%10%
300万円以下15%10万円15%10万円
400万円以下15%10万円20%25万円
600万円以下20%30万円30%65万円
1,000万円以下30%90万円40%125万円
1,500万円以下40%190万円45%175万円
3,000万円以下45%265万円50%250万円
4,500万円以下50%415万円55%400万円
4,500万円超55%640万円55%400万円
参考:国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」

契約者が夫で、成人した子どもを受取人としていた場合、特例贈与が適用される。

満期保険金700万円とすると、贈与税額は以下となる。

課税対象金額:700万円 ー 110万円 = 590万円

贈与税額:590万円 × 20% ー 30万円 = 88万円

税率がわかったら!生命保険を受け取る際の贈与税対策

生命保険を受け取る際の贈与税対策 生命保険ナビ

生命保険金を受け取る際にかかる贈与税について、負担を軽くすることも考えておきたい。

ここでは、生命保険の贈与税対策について説明しよう。

一括受取と分割受取の違い

生命保険金を受け取る方法には、一時金として一括で受け取る場合と、年金形式で分割で受け取る場合の2通りがある。

満期保険金を契約者と別の人が受け取る場合、一時金として一括で受け取るときは贈与税の扱いだが、年金形式で受け取るときは1年目のみ贈与税、2年目以降は所得税として課税されることになる。

これは、死亡保険金の場合も同じである。

分割で年金形式で受け取る場合は、受け取る権利を贈与されたとして、1年目は贈与税がかかり、2年目以降は、すでに贈与された権利を行使するだけなので、所得税がかかる、という考え方である。

一括受取と分割受取のどちらが有利となるかは、保険の内容や受取人の所得状況によっても変わってくる。

契約時だけでなく、保険金受取時にどちらかを選択できる保険もあるため、受け取る前にしっかりシミュレーションして決めるといいだろう。

税務上有効な対策の例

贈与税の非課税枠を使って、生命保険を贈与税の節税対策にあてることもできる。

たとえば、相続税には暦年贈与として年間110万円以下であれば課税されない、という制度がある。

この制度を活用し、1年間に110万円までの金額を毎年子どもに渡していくことで、数年かけて多くの金額を非課税のまま贈与することができる。

この制度を使うことで、保険契約の際、契約者と受取人を子どもにし、被保険者を親に設定したうえで、毎年110万円以内の贈与財産を保険料の支払いにあてる。

親の死後に、契約者である子どもが死亡保険金を受け取る際は、保険金は贈与税でも相続税でもなく、所得税となる。

子どもの所得税率も考慮したうえで、どの税金が一番節税効果が高くなるか、事前に調査・検証し、最適な対策をみつけよう。

贈与税対策のポイント

暦年贈与の非課税枠110万円を効果的に使って、保険料分を贈与する際は、以下のポイントを意識しておこう。

  • 贈与契約書を作成する
    • 暦年贈与の110万円以内であっても、明確に贈与契約書を作成しておき、後の相続や納税のときにトラブルが起きないようにすべきである。毎年の贈与の記録を残すためにも、贈与契約書を毎年作成して、送る側、受け取る側双方が署名捺印し合意することが必要だ。
  • 銀行口座経由で贈与を行う
    • 銀行の口座経由での振込を行い必ず記帳して保管しておく。そうすることで、通帳にすべてのお金の履歴が残り、明確な記録になる。手渡しなどではなく、必ず記録に残る方法でやり取りすることが大事だ。

贈与税対策には個別の要件に応じて柔軟なアプローチが必要となる。

自己判断で行うのではなく、専門家のアドバイスを受けつつ、計画的な贈与手続きを行うことで、節税につながるはずだ。

贈与を行う際に気をつけるべきポイント

贈与を行う際に気をつけるべきポイント 生命保険ナビ

生命保険での贈与を検討する際、以下の点に注意しよう。

正確な知識と情報を持ち、適切な対策を取ることが、無駄な贈与税を回避するために重要となる。

保険の契約内容や金額を把握する

保険内容や保険金額を正しく理解しておくことは、贈与税の計算において不可欠である。

たとえば、以下の点を意識しておくべきだろう。

保険の契約内容

生命保険には様々な要素が含まれている。

死亡保障や医療保障、利用できる特約など、どのような保障が含まれているかを把握しておこう。

ベースとなる保険金だけでなく、付加した特約がどのような内容で、どんな場合に増額分が支払われるかなど、正しく認識しておくべきだ。

将来の贈与税の計算に影響を与えるためだ。

具体的な注意点として、以下を確認してほしい。

  • 保険契約の種類や保障内容を把握する
  • 付加特約の種類や内容を把握する
  • 保険金の支払事由や金額を把握する
保険金の金額

保険契約において、保険金額がどれくらいかを正確に知ることも大切だ。

この金額は贈与税の計算において基本となる要素であり、正確に把握しておきたい。

以下の方法で確認するといいだろう。

  • 保険証券や契約内容の書類を確認する
  • 保険会社の窓口で確認する

贈与税の計算を行う

贈与税の計算は複雑で、間違った計算のまま、必要以上に多くの税金を支払ってしまわないようにしたい。

計算を正確に行うために、以下に気をつけよう。

  • 贈与税の基本
    • 贈与税は贈与額に応じて計算される。贈与額は、贈与の対象となる財産の価値を示す。保険金を正確に導き出すことが、贈与税の計算の基本となる。
  • 税率と非課税枠
    • 贈与税の税率や非課税枠を理解しておくことも重要だ。年間の贈与額が非課税枠内に収まる場合、贈与税は課税されないからだ。非課税枠を超える場合、贈与の金額や関係者の年齢、関係性に応じて税率が異なってくる。最終的に、税率に従って税金を支払う必要があるため、税率のテーブルはきちんと把握しておこう。

税金を抑える方法を理解する

贈与税を抑える方法を理解しておくことで、不必要な税金を節約できる。

以下は贈与税を軽減するための方法である。

  • 非課税枠を活用
    • 暦年贈与の110万円や相続時精算課税制度の非課税枠を活用して、年間の贈与額を調整しよう。これにより、贈与税の軽減が可能となる。
  • 贈与契約書の作成
    • 贈与契約書を作成し、保険料の負担者を明確に記載することで、贈与税の対象を正しく認識できる。
  • 保険契約者を子にする
    • 保険契約者と受取人を子にして、保険に加入することを考えておこう。合わせて非課税枠を活用して、保険料分を契約者に贈与する仕組みとしておく。将来、保険金を受け取る際の税負担を減らすことができ、効果的な対策となるだろう。

生命保険プランニングには、これらのポイントを押さえておき、専門家のアドバイスを受けながら慎重に進めることが大切だ。

生命保険を贈与するなら贈与税の税率や非課税枠を理解しておくことが重要

まとめ 生命保険ナビ

本記事では、生命保険の贈与を行う際に発生する贈与税について解説した。

贈与を行う際には、多額の税金が発生する可能性もあるため、事前に贈与に対する準備を行うことが大切だ。

また、受取人の設定や、贈与税額の計算など複雑な要素が多いため、専門的な知識が必要とされる。

さらに、保険は数多くの商品が存在するため、各商品の内容を理解することも困難である。

そこで、生命保険での贈与を検討した際には、専門家に相談することをおすすめする。

「生命保険ナビ」は、全国の保険のプロの中からあなたの条件や意向にあった担当者を選べるサービスだ。

自分に合った担当者に出会うことが、最適な生命保険を見つける第一歩となるだろう。

保険に関して少しでも疑問や不安がある方は、以下のボタンから申し込んでみてほしい。

  • URLをコピーしました!

執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。お客様と保険のプロを結ぶマッチングサイト「生命保険ナビ」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

目次