- 保険でどのようなリスクに備えるべきか分からない
- 親になってから入るべき保険の種類が知りたい
- 親になってから入るべき保険の選び方を知りたい
子どもが誕生し、自分が親になったタイミングで、保険を見直したり、新たに加入しようと検討する人は多い。
しかしながら、親として保険でどのようなリスクに備えるべきか分からない、家族にあった保険の選び方がわからない、という悩みを抱えている方もいるのではないだろうか。
親が働くことができなくなるリスクや子どもの養育にかかる費用が足りなくなるという不安は、保険を活用することで回避・軽減することが可能だ。
本記事では親になった時に入るべき保険の種類や保険を選ぶ時のポイントについて解説する。
子どもが生まれ、保険の見直しや加入を新たに検討しているという方は、参考にしてほしい。
親として保険の見直し・加入を検討する際のポイント
子育て世帯では、家族の生活費に加えて子どもの養育費や教育費、医療費などさまざまな支出が発生しやすい。
特に、教育費は子どもの成長とともに増加しやすいため、計画的に資金を準備するのが望ましい。
さらに、稼ぎ手である親に万が一のことがあった場合、残された家族はその後の生活を営むためのお金が不足するという事態に陥るかもしれない。
保険に加入しておけば、こうした事態に備えつつ、将来必要なお金の貯蓄がしやすくなる。
まずは、親になってからどのようなリスクに備えるべきか、子どもを育てるためにどのくらいお金がかかるのか、子どものために入っておくと良い保険にはどのようなものがあるかについて確認していこう。
親として保険で備えるべきリスクとは
生命保険文化センターの2022(令和4)年度生活保障に関する調査によると、性別やライフステージによって保険に加入する目的は異なる。
分類 | ケガや病気になった際の医療費のため | 万一死亡した時のため | 老後の生活資金のため | ケガや病気で収入が途絶えた時のため | 貯蓄のため | 要介護状態となった時のため | 教育・結婚資金のため | その他 | わからない |
男性/未婚 | 52.0% | 23.2% | 6.7% | 7.6% | 3.7% | 0.6% | 0.0% | 2.4% | 3.7% |
男性/既婚・子どもなし | 48.8% | 33.6% | 8.0% | 5.6% | 1.6% | 0.0% | 0.0% | 1.6% | 0.8% |
男性/既婚・末子未就学児 | 26.1% | 55.1% | 2.8% | 5.1% | 2.3% | 0.0% | 4.0% | 4.0% | 0.6% |
男性/既婚・末子小学生 | 34.4% | 51.9% | 4.5% | 3.9% | 1.3% | 0.6% | 0.6% | 1.3% | 1.3% |
男性/既婚・末子中学生、高校生 | 36.5% | 57.9% | 2.4% | 1.6% | 0.0% | 0.0% | 0.0% | 0.8% | 0.8% |
女性/未婚 | 61.7% | 14.9% | 6.9% | 5.4% | 2.3% | 2.7% | 0.8% | 2.7% | 2.7% |
女性/既婚・子どもなし | 72.0% | 14.0% | 7.7% | 1.4% | 2.8% | 0.0% | 0.0% | 2.1% | 0.0% |
女性/既婚・末子未就学児 | 60.9% | 24.7% | 4.3% | 3.4% | 3.0% | 0.4% | 0.9% | 1.3% | 1.3% |
女性/既婚・末子小学生 | 60.9% | 21.3% | 8.2% | 2.4% | 2.9% | 1.0% | 0.5% | 1.0% | 1.9% |
女性/既婚・末子中学生、高校生 | 62.0% | 19.4% | 5.4% | 2.9% | 2.5% | 1.7% | 1.2% | 2.5% | 2.5% |
独身または既婚で子どもがいない男性の場合、保険に加入する目的で最も多いのは「ケガや病気になった際の医療費のため」だ。
家族のためというよりは、自分が生きるための保障を重視していることがわかる。
子どもを持つ男性においては「万一死亡した時のため」保険に加入する人が最も多く、残された家族の生活費や教育費などのために保険に加入したい人が多いのだと推測できる。
一方、女性の場合は子どもの有無にかかわらず「ケガや病気になった際の医療費のため」という目的が最も多い。
家計の収入の大部分を担っているかどうかで、保険に加入する目的が変わるのだと考えられる。
子どもを育てるために必要な費用はどれくらいか
子どもを育てるためにはさまざまなお金が必要となる。主な例は次の通りだ。
- 食費
- 生活用品費
- 医療費
- 保育費
- 教育費
- 衣類・服飾雑貨費
- おこづかい
- 通信費
- レジャー・旅行費
この中でも、特に大きな割合を占めるのが教育費だ。
文部科学省が実施した令和3年度子供の学習費調査によると、幼稚園から高校までの年間学習費は下記の通りとなっている。
区分 | 区分 | 学習費総額 | うち学校教育費 | うち学校給食日 | うち学校外活動費 |
幼稚園 | 公立 | 165,126円 | 61,156円 | 13,415円 | 90,555円 |
私立 | 308,909円 | 134,835円 | 29,917円 | 144,157円 | |
小学校 | 公立 | 352,566円 | 65,974円 | 39,010円 | 247,582円 |
私立 | 1,666,949円 | 961,013円 | 45,139円 | 660,797円 | |
中学校 | 公立 | 538,799円 | 132,349円 | 37,670円 | 368,780円 |
私立 | 1,436,353円 | 1,061,350円 | 7,227円 | 367,776円 | |
高等学校 | 公立 | 512,971円 | 309,261円 | ― | 203,710円 |
私立 | 1,054,444円 | 750,362円 | ― | 304,082円 |
学習費については、公立に通うか私立に通うかで大きく異なる。
例えば、公立小学校に6年通った場合の学習費合計は約210万円だが、私立小学校に6年通った場合は約1,000万円の費用が必要となる。
さらに、大きなお金がかかるのが大学だ。
文部科学省の調査によると、令和3年度の国公私立大学の授業料および入学金は以下のとおりだ。
区分 | 入学金 | 授業料 |
国立大学 | 282,000円 | 535,800円 |
公立大学 | 391,305円 | 536,363円 |
私立大学 | 245,951円 | 930,943円 |
仮に、私立大学に4年間通った場合、入学金と授業料の総額は、単純計算で約400万円だ。
遠方の大学に通う場合などは、これに加えて一人暮らし用の家賃や生活費などが必要となるケースも多い。
このように、子どもがどんな人生を歩むかによってもかかる費用は大きく変わる。
経済的な理由で子どもが希望の進路を断念しないためには、早いうちから計画的にお金の準備をしておくことが必要となる。
また、親に万が一のことがあって収入が大幅に減少した際に備え、死亡保障や収入保障がついた保険に加入しておくことも重要だ。
子どものために必要な保険
子どものために、具体的にどのような保険が必要かや、どのくらいの保険料が妥当なのかを確認していこう。
子どものために準備しておくべき保険は、大きく分けると以下の2種類だ。
- 教育資金などの将来必要なお金を準備するための保険→学資保険や養老保険など
- 親に万が一のことがあった場合に子どもの生活を守る保険→終身保険や収入保障保険など
自分の家庭にはどんな保障が必要なのかを考え、上手に保険を組み合わせることで、万が一の事態に備えつつ、将来に向けてしっかりとお金を貯められるだろう。
また、保険料の目安についても確認しておこう。
生命保険文化センターの2022(令和4年)度生活保障に関する調査によると、ライフステージ別の年間払込保険料の分布・平均は下記の通りだ。
ライフステージ | 12万円未満 | 12〜24万円未満 | 24〜36万円未満 | 36〜48万円未満 | 48〜60万円未満 | 60万円以上 | わからない | 平均 |
未婚 | 44.3% | 26.4% | 12.0% | 3.2% | 2.1% | 3.8% | 8.2% | 16.5万円 |
既婚・子どもなし | 35.4% | 29.6% | 12.8% | 6.6% | 1.8% | 4.0% | 9.7% | 19.6万円 |
既婚・末子未就学児 | 34.4% | 33.1% | 13.5% | 4.8% | 2.1% | 4.5% | 7.7% | 19.4万円 |
既婚・末子小学生 | 33.6% | 34.9% | 15.0% | 3.4% | 2.8% | 2.5% | 7.8% | 18.6万円 |
既婚・末子中学生、高校生 | 33.5% | 31.3% | 17.3% | 6.1% | 1.9% | 2.6% | 7.3% | 19.0万円 |
既婚・末子短大・大学・大学院生 | 31.1% | 29.8% | 17.2% | 6.6% | 2.6% | 4.0% | 8.6% | 20.9万円 |
既婚・子どもすべて卒業(未婚) | 42.0% | 28.6% | 14.2% | 3.8% | 1.8% | 2.9% | 6.6% | 17.7万円 |
既婚・子どもすべて卒業(既婚) | 45.1% | 30.7% | 9.8% | 4.0% | 1.0% | 2.9% | 6.6% | 16.3万円 |
未婚者よりも既婚者世帯の方が年間の支払い保険料の平均金額は大きい。
特に、子どもが在学中の間の保険料は、すでに卒業した子を持つ世帯の保険料よりも大きい傾向がある。
子どもが小さく、今後かかるお金が想定しにくいほど、保険でしっかりと備えておく必要があるだろう。
親になってから入るべき保険の詳細
続いて、親になってから子どものために入るべき保険の詳細について確認していく。
ここでは、主に以下の保険について紹介する。
- 収入保障保険
- 学資保険
- 医療保険と終身保険
収入保障保険
収入保障保険とは、被保険者が死亡または高度障害状態と認められた場合に、毎月一定額の死亡保険金を保険期間中ずっと受け取れる保険だ。
保険金は月額○円、のように決まっていて、死亡時から保険期間の満了まで受け取り続けられるため、早く死亡すると受取保険金の総額が大きくなり、保険期間の満了付近で死亡した場合は保険金の総額が小さくなる。
保険金は、年金形式での受け取りが一般的だが、一括で受け取ることも可能だ。
ただし、一括での受け取りの場合は年金での受け取りと比べて受け取り総額が小さくなる点に留意しよう。
小さな子どもを持つ家庭では、共働きか片働きかにかかわらず親に万一のことがあった場合に、収入が減少したり育児に関する支出が増加したりしやすい。
子どもの成長とともに死亡保障が減っていく収入保障保険は、子育て中の世帯に適しているだろう。
学資保険
学資保険は、子どもの教育資金を準備するための貯蓄型の保険だ。
毎月一定の保険料を支払い、満期になると進学学資金や満期学資金を受け取れる。
子どもが高校や大学に進学するタイミングに満期を設定しておけば、家庭の状況に合わせてお金を積み立てやすいというメリットがある。
銀行預金にしておくと、つい引き出して使ってしまうという方にもぴったりだ。
万が一、親が亡くなった場合はそれ以降の保険料の払い込みが免除されるが、保障はそのまま継続となる。
ただお金を積み立てていくだけではなく、万が一の事態にも備えられる保険だ。
学資保険の注意点は、一度契約すると基本的に満期まで解約しないことが前提となる点だ。
学資保険のほとんどは、途中で解約すると解約返戻金がそれまでに支払った保険料の総額を下回ってしまう。
保険料支払いが家計を圧迫しないよう、無理なく支払える範囲で設定するのが重要だ。
また、被保険者が死亡した場合も、保険金が支払われるのは原則としてあらかじめ定めた満期のタイミングとなる。
満期までの生活費や教育費などは別で準備する必要がある点に注意しよう。
医療保険と終身保険
万が一のケガや病気、死亡に備えるなら医療保険や終身保険も検討したい。
医療保険は、病気やケガで通院したり入院したりするときに、給付金を受け取れる保険だ。
公的医療保険でカバーしきれない入院中の食事代や差額ベッド代、働けない期間の収入を賄うために有効だ。
医療保険の保障内容や給付金額は、保険会社によって異なるため、比較・検討するのが重要だ。
終身保険とは、加入してから一生涯にわたって、死亡保障や高度障害保障が続く保険のことだ。
被保険者が亡くなった際にまとまったお金を受け取れるため、葬儀費用や遺族の生活費、相続対策などに活用されるケースが多い。
終身保険を途中で解約した場合は、加入期間に応じて解約返戻金を受け取れる。
保険料の払い込みが終わった後は、解約返戻金の金額が払い込み保険料を上回ることもあり、老後の生活費やまとまった支出にも備えやすいという特徴がある。
ただし、早期で解約すると、解約返戻金が払い込み保険料の金額を下回る可能性が高いため注意しよう。
親になってから加入する保険の選び方
親になってから加入する保険はどのように選ぶべきだろうか。
押さえておきたいポイントを3つ紹介する。
子どもにかかる費用とのバランスを取る
まずは、子どもにかかる費用と毎月支払う保険料とのバランスを取ることが大事だ。
子どもの将来のために貯蓄型の保険に加入する場合は、あらかじめ将来かかる費用を大まかにでも想定しておいて、それを賄えるだけの保険に加入しよう。
手厚い保障内容の保険を選んだとしても、生活費や教育費に加えて保険料支出が大きくなると、家計を圧迫してしまうこととなる。
一般的に、保険は早いタイミングで解約すると元本割れの可能性が高まる。
契約途中に思わぬ出費などで解約を余儀なくされることがないよう、無理なく支払える範囲で保険料を設定するように気をつけよう。
保険の内容を比較して重複がないようにする
複数の保険に加入する場合、保障内容が重複していないかも注意しよう。
保険はいざというとき困らないようにするためのものであって、保険金額が多ければ多いほど良いというものでもない。
必要以上の保険金額を設定してしまうと、支払う保険料も高くなり、無駄な支出になりやすくなる。
また、複数の保険会社で同じような保障内容の保険に加入している場合、給付を受ける際はそれぞれの保険会社に請求手続きを行う必要がある。
余分な手間をかけないためにも、保障内容はなるべく重複しないように気をつけよう。
特に多いのが、医療保険とがん保険の重複だ。医療保険はがんを含む病気やケガを保障する保険なので、がんになった場合は保障が重複する。
両方の保険から給付が受けられるのはメリットでもあるが、その分保険料負担が重くなるため、家計とのバランスを見ながら決定しよう。
子どもの成長に合わせて見直しやすい保険を選ぶ
子どもが小さい頃とある程度成長した後とでは、必要な保障が変わってきやすい。
また、勤務場所や勤務形態、家族の介護など、家庭の状況も時間が経つと大きく変わる可能性もある。
例えば、30代で子どもが産まれた場合、生命保険の加入の必要性が高くなる。
万が一の際に残された家族が困らないように、しっかりと準備しておきたい。
40代になると、住宅ローンの支払いや子どもの進学など、まとまった支出も増えてくる。働けなくなる状態に備えて就業不能保険や収入保障保険も有効だ。
50代になると、子どもの独立も見据えて死亡保険の金額は小さく見直しても良いだろう。
また、個人年金保険で老後の生活費を準備したり、介護状態に介護保険で備えたりするのも大事だ。
このように、年齢の変化や子どもの成長に合わせて見直しやすい保険を選ぶことで、ライフスタイルの変化にも柔軟に対応できるだろう。
親になったら「子どものために必要な保険」に入ることが大切
本記事では親として加入するべき保険に焦点をあて、どのようなリスクに備えるべきか、実際に入るべき保険の種類、そして保険の選び方について解説した。
割安な保険料で死亡保障をしてもらえる収入保障保険や子どもの学費を貯めるのに最適な学資保険は、親になった時に入るべき保険の代表格である。
ただ、自分の生活状況に合わせて加入するべき保険の適性は異なるので、判断に迷うこともあるだろう。
そんな時は保険のプロに相談することも検討してほしい。
家族に合ったアドバイスをもらうことで、的確に必要な保険がどれか判断をすることができるはずだ。
ただ、保険のプロは数多く存在し、自分や家族にとって最適な担当なのかを見極めることは難しい。
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