- 中小企業の社長が生命保険に入る時の注意点が知りたい
- 中小企業の社長が加入すべき生命保険の特徴が知りたい
- 中小企業の社長が抱えるリスクについて知りたい
もし、あなたが中小企業の社長で、家族や従業員、そして会社の未来を守るための生命保険選びに悩んでいるなら、本記事はきっと役に立つことだろう。
社長が加入する生命保険は、人生とビジネスに影響を与えかねない重要なものだ。
しかし、どの生命保険に加入するべきか、具体的な選び方のポイントがわからないという人も多いだろう。
そこで、この記事では中小企業の社長が抱えるリスクや生命保険に加入する時の注意点、加入すべき生命保険の特徴について解説する。
保険加入を検討している中小企業の社長は、是非参考にしてほしい。
生命保険は必要なのか?中小企業の社長が抱えるリスク
経営者には日々様々な課題が降りかかる。中小企業の社長だけでなく、個人事業主もそれは変わらないだろう。
経営を続けていく上でのリスクを改めて見つめ、そのリスクへの対策としての生命保険について考えるきっかけにしてほしい。
突然事業の引き継ぎ(継承)が必要になる場合がある
最近、「会社は売買することができる」という事が少しずつ認知され始めてきた。
実際に、インターネット上には、事業承継先を求めて多くの会社が売りに出されている。M&A専門のウェブサイトも種類が増えてきた。
こういったことが何を意味しているかというと、それだけ会社を手放す理由が世の中には多くあるという事だ。
理由は様々であろう。黒字化が難しいので経営から手を引きたい。他の事業に集中するため手放したい。
新規事業を起こすためにキャッシュが必要になった。代表が健康上の理由などにより経営から退かざるを得ない、等など、原因は様々だ。
もちろん、心身ともに健康で経営者として指揮を取り続けられることが理想だ。
しかし、いつ自分が病気や事故で入院したり、最悪の場合死亡したりするかは、誰にも分からない。
そういった瞬間が突然訪れることは、生身の人間が社長を続ける上で避けようのないリスクである。
その時に、どのように事業を引き継ぐのか?従業員や家族はどうなってしまうのか?経営者ならば誰しも疑問と不安を持つであろう。
このように突然訪れる事業の継承というリスクに可能な限りスムーズに対応できるよう備えておきたいものである。
運用資金が不足する
事業を進めていると、何かしらの外的要因で、有無を言わさずに経営状況が悪化する場合もある。
近年でいえば、新型コロナウイルスによるパンデミックが強烈に我々の印象に残っている。
たとえ順調に経営を続けていても、そのような天災はこちらの意思とは関係なく起こる。
また、事業内容を拡大する事で、当初よりも資金が必要となり、経営が悪化してしまうなどもあり得るだろう。
このように、会社経営をしていると運用資金の不足に繋がる様々なリスクがあり、運転資金が不足するということは誰にでも起こり得る事である。
しかし、経営者である以上経営状態に関係なく従業員に給料を支払わなければならない。
一体そのような局面でどのように立ち回れば良いのだろうか。
保証債務を後継者に引き継がなくてはならない
会社の経営者が金融機関などから資金を借り入れている場合、経営者個人が保証人となっているケースが殆どである。
つまり、社長が会社の連帯保証人になっているのだ。
そのような中で、もし事業を引き継ぐ場合、後継者は前経営者の保証債務も連帯保証人となって引き継ぐというのが一般的な考え方だ。
会社の財産というメリット面を引き継ぐ以上に、保証債務の内容が大きいと、後継者になった途端に多額の借金を負うことになりかねない。
仮に社長が死亡し、遺族などが引き継ぐ場合、そのような苦労は掛けたくないだろう。
また、生前に事業を承継しようとした場合も、このような問題からなかなか後継者が見つからずに、事業承継が行えないというケースも存在する。
事業が承継できないということは、いつまでも経営から手を引くことができないなど、経営者にとって悩みの種となることだろう。
順風満帆で利益も出ており、保証債務を承継してもメリットの方が大きい会社ならば苦労しないだろうが、現実はなかなかそのようなケースばかりではない。
このように、会社経営のエグジットに際してもリスクは潜んでいる。
中小企業の社長が加入すべき生命保険とは
会社経営でのリスクに備えるためにも、中小企業の社長が加入するべき生命保険とはどのような保険だろうか。
ここからはその疑問を解消できるように解説をしていく。
退職金の貯蓄が可能な保険を選ぶ
会社の従業員と違い、経営者というのは労災などの保障が薄い。
また、それだけではなく、退職時の慰労金についても、従業員のように雇用契約で定められている場合には労働基準法で守られているなどの法的保護がない。
そのため、社長は自らの引退時のことに関して、個人的にも備えておく事が懸命である。
その意味でも、自らの退任時の退職金の財源となるような生命保険を選ぶようにしたい。
会社の経営状況などとは切り離して、保険の保障によって退職金を確保する事で、余計な心配をせずに会社の経営判断を行えるなど、メリットは多岐に及ぶであろう。
加入の際は、退職金の内容によっては保険料が高くなり、経営を圧迫する可能性もある。
自らの退職金を用意するために、会社の経営が傾くなどは本末転倒なので、経営状況を考慮した上で適切な保険加入を行う必要がある。
保険料を損金化できる割合が高い保険を選ぶ
経営者ならばご存知のように、同じ支出でも会計上と税務上で扱われ方が異なる事柄は多い。
収益から費用を差し引いたものが会計上の利益である。一方、益金から損金を差し引いたものが税務上の法人所得である。
課税は法人所得に対して行われるので、経営者に対する生命保険料が損金として認められるかどうかは、法人税の計算において非常に大きな違いとなるのだ。
基本的に経営者に対する生命保険料は損金として認められる事が多いが、それでも内容によって扱われ方が異なる。
また、全額が損金として計上できるものと、2分の1が損金として認められるものなど、保険の内容により損金算入可能な割合も異なるので、一概に言うことはできない。
だからこそ、保障内容含め、損金化できるかは保険を選ぶ上での判断材料にしたい。
同じような保障内容の保険で悩んでいる場合、当然損金化できる割合が多い方の保険に加入するべきだろう。
もちろん、損金化についてのみ気にして、肝心の保障内容や保険料が想定と違うものになるなどは避けなければならない。トータルのバランスで判断してほしい。
相続対策ができる保険を選ぶ
会社経営者にとって、最後に悩みとなるのが事業の承継や相続についてであろう。
だからこそ、経営者が保険に加入するならば、その問題も解消できるような保険契約を結ぶようにしたい。
社長が死亡しても、死亡保険金を受け取ることができれば、そこから遺族に死亡退職金を支払い、遺族は相続税に充てる事ができるだろう。
しかも、会社から遺族への弔慰金には相応の非課税枠があるので、相続税を抑える事ができる。
社長が生前に退任した場合も、賢い運用が可能だ。法人契約の生命保険を、退任する社長個人の契約へと切り替える。
契約を法人から個人へ変更するだけで良い。
こうして生命保険自体を退職金代わりに渡すことにより、会社はかなりの負担軽減となる。
退任後、保険契約を引き継いだ元社長は、解約して解約返戻金を受け取っても良いし、契約内容次第では満期で給付金を受け取ることもできるだろう。
中小企業の社長が生命保険に入る際の注意点
良いことずくめに見える中小企業の社長向けの生命保険であるが、加入の際の注意点もある。
最後に、ここでは気をつけるポイントを説明するので、実際の契約に役立てて頂きたい。
節税対策のためだけに入らない
経営者の生命保険加入は、税務上で損金として扱われ節税対策にもなる、という趣旨のことを述べたが、その際も言及したように、損金として認められるかはケースバイケースであり、全額が認められるとは限らない。
特に、過去に経営者保険による節税効果が大きく問題視されたため、2019年に経営者保険の税務上の見直しが行われた。
これを機に、以前のように大々的な節税効果が期待できなくなり、専門家によってはもはや節税効果はない、とまで言う人も多い。
その為、税金対策として闇雲に保険加入をすることはお勧めしない。あくまで保障を第一に考え、節税面については、本当に損金として認められるのかをしっかりと事前に調べてほしい。
生命保険の本来の目的は、経営者の死亡や職務遂行が困難になった場合などに備えるものだ。
保険料が安く解約返戻金がない保険ならば、保険料全額が損金として認められる。
そのように、保険加入の目的をはっきりとさせてから検討するようにしたい。
個人と法人の生命保険を分けて考える
経営者が法人として契約し加入する保険が経営者保険である。会社経営の事業面において、あらゆる万一の時に備える意味合いが強い。
対して、個人としての経営者自身やその家族の生活のために加入するのが通常の個人生命保険だ。
この2つを混同してしまって、保障されていると勘違いがないようにしたい。
いざという時になって、支払われると思い込んでいた保険金や給付金が支払われずに絶望しても手遅れだ。
また、社長業を勇退し後進に譲る場合は、経営者としての保険をそのまま個人としての契約へ変更し引き続き加入することができる。
これは、会社の負担軽減ともなるし、社長も自分のタイミングで現金化するなり保障を受け続けるなりを選ぶことができる。
こういった将来も見据えて、個人及び法人としての保険契約を適切に組み合わせたい。
親族の保障が出来ているか見極める
親族、特に家族へ向けて保険によりどの程度保障できるか。これは気になる点であろう。
保険によっては、死亡退職金や弔慰金として支給されるものを家族の生活費の保障に充てる、あるいは、経営者が残した負債に充てて保証債務を回避するなど、親族や家族にとっても保険が十分に効果的に働くケースは多い。
経営者が死亡したあとにその処理を引き継ぐのは遺された家族などだ。
適切な経営者保険に加入することで、少しでも家族の負担を軽減できるように配慮したい。
前述のように、相続税の負担軽減にも、経営者保険は効果を発揮する。
中小企業の社長が生命保険を契約する理由は、一様に経営状況などの側面からではない。
そのため、最適な保障内容など契約形態もそれぞれだろう。
本来の目的に過不足ない保険を適切に選択し加入するのが、一番の理想なのは言うまでもない。
しかし、生命保険というのは商品の性質上どうしても複雑なものであり、まして会社経営に関わる判断を加味した上での保険選択となると、さらに専門性は増す。
社長一人で考えるのは勿論、社内の協議などでもなかなか最適な保険が何なのかを探すのは困難である。
そのような時は保険の専門家に相談し、プロの知見からアドバイスを受けた方が間違いがない。
経営者個人の状況、会社の状況、そういったことを踏まえた上で、目的に合った保険を探す最良のパートナーとなるだろう。
なお、今回解説した経営者保険を含む法人保険の特徴については以下の記事で解説している。改めておさらいしておきたいという方はぜひ参考にしてほしい。
中小企業の社長にとって生命保険は会社を守るための重要なツール!
本記事では、中小企業の社長が抱えるリスクと、それらリスクを考慮して選ぶべき生命保険、加入の際の注意点などについて解説した。
生命保険は中小企業の社長にとって、会社を守り、ビジネスを成長させるための重要なツールだ。
しかし、その商品の仕組みは非常に複雑であり、専門的な知見がないとなかなか理解が難しい。
自身のリスク管理と経営の安定化、そして将来への備え。
そういったことを目的としつつ、費用対効果のバランスがとれた最適な選択をすることは、素人には困難である。
だからこそ、多少でも不安があるのなら保険のプロに相談したほうが、適切な保険選びにつながるだろう。
会社の状況や保険加入の目的を考慮しつつ、経営者本人に合ったアドバイスをもらうことで、必要な保険を的確に選択することができる。
ただ、生命保険のプロは全国に数多く存在し、自分のケースにおいて最適な専門家が誰なのかを見極めることもまた難しい。
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