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医療保険の入院給付金は日額3,000円で足りる?適切な保障額の設定方法を解説

この記事で解決できるお悩み
  • 入院給付金の日額をどれくらいにすべきかわからない 
  • 入院時にかかる費用の平均額が知りたい
  • 医療保険の給付金を自分にとって適切な額に設定したい

万が一の入院に備え、医療保険へ加入している、または加入を検討している方は多いだろう。

また、そのような方の中には、入院時に受け取る給付金をはたしていくらにするべきか、悩みを持つ方もいるだろう。

日本には高額療養費制度が存在し、自己負担額を超えた医療費については公的医療保険から支給を受けることができる。

収入に応じて負担額は変動するが、例えば年収330万円〜600万円の場合は月額負担額が約9万円となり、日額およそ3,000円で足りる計算となる。

では、医療保険の日額は3,000円で設定すれば良い、ということになるだろうか。

本記事では「医療保険の入院給付金の日額は3,000円で十分か」という問いに対して、解説を行う。

医療保険の給付金額の設定を悩んでいる人は、参考にしてほしい。

目次

入院時にかかる費用の平均額はどれくらいか

入院時にかかる費用の平均額はどれくらいか 生命保険ナビ

入院した時にどれくらいの費用が必要なのか、正確に把握している方は少ないだろう。

入院といっても、肺炎などによる長期入院から、内視鏡検査など日数がかからないものまで種類は様々だ。必要な費用もそれぞれ異なってくる。

そこでこの段落では、入院時に必要となる費用の平均額を解説する。

医療保険で備えておくべき費用の目安としてもらいたい。


傷病ごとの入院費用平均額

実際に治療する病気の種類によって、入院費用は大きく異なる。

下の表は、厚生労働省の2つの資料をもとに傷病ごとの入院費用の平均値を示したものだ。

患者ごとの入院日数を算出した「患者調査」、および1日にかかった医療行為の費用を算出した「社会医療診療行為別統計の概況」を参照している。

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傷病名平均入院日数1日あたりの費用入院費自己負担額(3割)
新生物<腫瘍>(がん)18.2日7万8,119円142万1,765円42万6,529円
糖尿病30.6日3万6,836円112万7,181円33万8,154円
循環器系の疾患41.5日7万675円293万3,012円87万9,903円
精神及び行動の障害294.2日1万5,375円452万3,325円135万6,997円
呼吸器系の疾患34.5日4万7,521円163万9,474円49万1,842円
腎尿路生殖器系の疾患24.5日4万9,953円122万3,848円36万7,154円
骨折38.5日5万147円193万659円57万9,197円
出典:厚生労働省「令和2年(2020)患者調査の概況」厚生労働省「令和4年社会医療診療行為別統計の概況」2023年10月確認

なお、資料内で1日あたりの費用は点数として表記されている。

点数とは医療行為の価格を決める単位であり、1点=10円として計算する。表に記載されている数字と資料内のものが異なっていることを認識しておいてほしい。

入院費はこの1日あたりの費用と平均日数と掛け合わせることで算出している。また、自己負担額は全て3割負担とし、小数点は第一位以下を切り捨てとした。

上記表から、がんや脳梗塞などを含む循環器系疾患は、1日あたりの費用が高額であることが分かる。

また、がんは他の病気と比べて短い入院日数にも関わらず、自己負担金額が同じくらい必要になることが読み取れる。

さらに、循環器系の疾患は、入院の平均日数が他の疾患と比べて長くなっており、長期入院につながりやすいことも分かる。

これらの事実を元にすると、がん保険を利用するほか、医療保険で循環器系の疾患に対応する必要があると言える。がんや脳梗塞を三大疾病として取り扱い、手厚い保障が用意されている保険も多い。

医療保険を選ぶ際に、三大疾病が対象になっているかは、確認すべき事項と言えるだろう。

入院時の平均自己負担額

入院時の費用は、公的医療保険があるため、全額を自己負担で支払う必要はない。

では、保険対象外になる費用はどんなものがあるのだろうか。また、実際に自己負担となる費用はどれくらいかかってくるのだろうか。

まず、入院時にかかる費用としては、以下が挙げられる。

入院時にかかる費用
  • 治療費
  • 入院時の基本料金
  • 食事代
  • 差額ベッド代・・・大部屋から個室へ移動した際の追加料金
  • 先進医療費・・・放射線治療など厚生労働省が定める高度な技術が必要な手術の代金
  • お見舞い時の家族の交通費
  • 日用品費

この内、治療費や入院時の基本料金には公的医療保険が適用され、負担は3割で済む。

しかし、それ以外の費用は基本的に全額自己負担となってしまうので、民間の医療保険で補う必要が出てくる。

それでは、実際に入院時の自己負担費用がどれくらい必要か確認しよう。

公益財団法人生命保険文化センターが毎年発行している「生活保障に関する調査」によれば、2022年の入院時自己負担費用の平均額は、1回の入院で19万8,000円であり、1日あたりの平均額は2万7,000円となっている。

前述の傷病ごとの平均額とだいぶ差があることに、驚いている人もいるかもしれない。

なぜここまで差があるのかというと、月毎の医療費上限額を設定する高額療養費制度があるからだ。

高額療養費制度とは、年収に応じて1ヶ月に支払う医療費の金額上限が決められ、超えた場合に補助金が支給される制度だ。70歳未満の方に適用される年収と自己負担限度額は以下の通りになっている。

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適用区分1ヶ月の自己負担限度額
年収約1,160万円以上252,600円+(1ヶ月の保険医療費総額-842,000円)×1%
年収約770万円~約1,160万円167,400円+(1ヶ月の保険医療費総額-558,000円)×1%
年収約370万円~約770万円80,100円+(1ヶ月の保険医療費総額-267,000円)×1%
年収370万円以下57,600円
出典:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆様へ」2023年10月確認

高額療養費制度があるため、1ヶ月に数百万円の医療費がかかるということにはならない。

制度適用後の自己負担額を元に、民間の医療保険の給付金額をどうするか考えると良いだろう。

入院による逸失収入の平均額

怪我や病気で入院してしまうと、当然ながらその間に働くことはできない。

それに伴い、本来得られるはずだった収入がなくなり、負担する費用は実質的に増える。

これを入院時の逸失収入と呼ぶ。

医療保険に加入する際は、自己負担費用だけではなく、入院時の逸失収入も賄う必要がある。特に、公的保険による費用負担の軽減を受けることが難しい自営業の方は注意する必要がある。

では、入院時の逸失収入の平均額はどれくらいなのだろうか。

「令和4年度生活保障による調査」によれば、過去5年間に入院した人の逸失収入の平均額は、30万2,000円であり、1日平均にすると2万1,000円となっている。

また、逸失収入があると回答した人の割合は、入院患者全体の17.4%である。

回答した人の割合を見ると、40代が26.3%と最も多くなっていることも特徴的だ。

上記結果から、働き盛りである40代になるより前に入院へ備えておく必要があることが分かる。さらに医療保険へ加入する際、年齢が若いと条件が良くなりやすい。

このことからも早い段階から準備を始めておくべきだと言える。

医療保険の入院給付金はいくらに設定すべきなのか

医療保険の入院給付金はいくらに設定すべきなのか 生命保険ナビ

ここまで入院時の費用や逸失収入について解説してきた。

では、医療保険の入院給付金はいくらに設定すべきなのだろうか。

結論から書くと、自分の収入から医療費上限を確認し、そこから金額を決めていくべきだと言える。

この段落では、入院給付金の日額の決め方や入院費用の抑え方について解説する。

医療保険の入院給付金とは何か

そもそも医療保険における入院給付金とは、どんなものなのだろうか。

実は、医療保険で支給される給付金は複数存在する。

代表的なものは以下の通りだ。

  • 入院給付金・・・入院している間毎日支払われる給付金
  • 手術給付金・・・手術を受けた際に支払われる給付金
  • 通院給付金・・・対象となる疾病の治療で通院した際に支払われる給付金
  • がん診断給付金・・・がんと診断された場合に支払われる給付金
  • 先進医療給付金・・・厚生労働省が指定する先進医療を受けた際に支払われる給付金

上記で挙げた以外にも様々な種類の給付金があるが、受け取るためには医療機関に診断書を発行してもらい、保険会社に提出する必要がある。

なお、必要な手続きは保険会社によって異なるため、事前に確認しておこう。医療保険は入院することに備えて加入することが一般的である。

そのため、入院時に支払われる入院給付金は医療保険の中でも基本的な保障であり、最も重要なものと言えるだろう。

入院給付金はいくらにするべきか

先ほどの段落で、自己負担費用の平均額は2万1,000円であると述べた。

ただ、医療保険の入院給付金で全額を賄う必要はない。となると、給付金の金額はどう決めるべきなのだろうか。

結論から書くと、自分の年収に合わせた金額に設定することで決めやすくなる。

例えば、自分の年収が400万程度の状態で入院することになったとしよう。

前述した高額療養費制度により、医療費の上限額は月額80,100円+(1ヶ月の保険医療費総額-267,000円)×1%で、月9万円程度になると予測される。

これを日額に直すと約3,000円となる。加えて、食事代や家族の交通費の支出が2,000円程度必要と考えると、5,000円を日額給付金として用意すれば足りる計算となる。

このように、自分の収入から1日どれくらいの費用を用意すべきか計算後に入院給付金を設定すべきだ。

ただ、入院することになった場合、不測の事態が起こって必要な費用が増える可能性も十分考えられる。

そのため、入院費用を抑える方法についても知っておく必要があるだろう。

入院費用を少しでも抑えるには

入院にかかる費用は傷病によって異なることを前段落で解説した。

がんなどの大病では、どうしても医療費が嵩みがちとなる。少しでも入院費用を抑えられるよう、対策法について知っておくべきだろう。

主な対策法としては、傷病手当金の利用、および医療費控除の活用の2つがあげられる。

傷病手当金は、病気や怪我で働けなくなった場合に、生活を保障する所得保障制度である。適用される条件が細かいため、利用する際は注意が必要である。

支給開始日から最長18ヶ月まで欠勤期間の収入が保障される。

1日あたりの支給金額は、支給開始日前の継続した12ヶ月間の月額平均給与額÷30日×2/3となる。

また、医療費控除とは、1年間で払った医療費の合計が10万円を超えた場合に、超えた費用の一部を差し引いてもらえる制度だ。

控除の限度額は200万円となる。利用するには確定申告が必要なため、忘れずに行うようにしよう。なお、医療費控除の対象となる金額からは、入院給付金や高額療養費が差し引かれることは覚えておこう。

このように入院給付金以外の制度も活用することで、医療費を抑えることが可能になる。

どちらも併用すべき制度と言えるだろう。

医療保険の入院給付金を決めるポイントを解説

医療保険の入院給付金を決めるポイントを解説 生命保険ナビ

ここまでの説明で、入院給付金の日額は年収による月の医療費上限額を考慮して設定するべきだとお分かりいただけただろう。

しかし、その他にも金額を設定する上で大事なポイントがある。

抑えるべき事項としては、以下のようなものがある。

  • 家計と保険料のバランスを取る
  • 支払限度日数を適切に設定する
  • 複数の医療保険に加入する

各ポイントを抑え、入院に備え十分な金額を得られるようにしてほしい。

家計と保険料のバランスを取る

まずは、医療保険に支払う保険料を決める必要がある。

入院に備えるためとはいえ、保険料が高すぎて家計が圧迫されては意味がない。問題なく支払いが続けられる金額を設定しよう。

オリックス生命の死亡保障付医療保険「リリーフ・ダブル」を例に解説する。

40歳男性で、入院給付金を1万円に設定した場合、月々の保険料は11,320円となる。

給付金の額を5,000円にすると、保険料は5,925円となる。給付金の額と共に保険料もほぼ半分になるというわけだ。つまり、給付金の額は保険料の額と密接に結びついた関係にある。

必要な給付金の額と自分が現在払える保険料の額を、必ず比較・検討する必要がある。

支払限度日数を適切に設定する

保険料を決めたら、次に支払限度日数を設定する必要がある。

これは、入院給付金が最大何日間支払われるかを決めるものだ。医療保険の支払限度日数は保険会社によって異なるが、30日〜180日の間で設定している会社が多い。

つまり、入院給付金が支払われるのは最大でも6ヶ月となる。また、この6ヶ月という期間についても注意が必要になる。というのも、1回の入院が6ヶ月以下でも、入院給付金が支給されない場合があるからだ。

退院日の翌日から180日以内に同じ病気や怪我で入院した場合、医療保険では1回の入院として計算される。

例えば、病気で2ヶ月入院し、退院して1ヶ月後に同じ病気で3ヶ月入院すると、合計6ヶ月入院していたことになる。この6ヶ月のうち、支払限度日数を超えた分については入院給付金が支給されない。

もし、支払限度日数を60日に設定していた場合、180日-60日=120日、4ヶ月分の入院給付金は受け取ることができないのだ。

上記のように、入院給付金は支払限度日数分までしか支給されない。つまり、日額給付金と支払限度日数を掛け合わせたものが、受け取れる給付金の総額となるのだ。

自分が必要な費用に足りているか、必ず計算して確認するようにしよう。

足りない場合は、給付金もしくは支払限度日数を増やす必要がある。

複数の医療保険に加入する

実際の入院時には、日用品を大量に買うなど、想定よりも多くの費用がかかってしまう場合がある。

そのため、入院給付金の額を途中で増やしたい、と考える人も出てくるだろう。ただ、残念ながら途中で給付金を増額することはできない。

そのため、給付金額を増やしたければ新たに医療保険へ加入する必要が出てくる。

ただ、複数の医療保険に加入すると当然支払う保険料も増える。保険料が支払えなくなり、解約せざるを得なくなるということは避けなければならない。

また、入院給付金が適用される条件が同じでないと実質的な金額が増えないため、事前に確認する必要がある。

このように、複数加入時には注意すべき点が多い。加入する際は、慎重に検討をするようにしよう。

なお、医療保険の保障範囲やそれをどのように選ぶのかについて、こちらの記事でも解説したので合わせて参考にしてほしい。

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まとめ

まとめ 生命保険ナビ

本記事では、「医療保険で支払われる入院給付金の日額は3,000円で十分なのか」という問いに対して解説を行った。

入院時にかかる費用と逸失収入の合計平均額は、1日で約4万円だ。

ただ、高額療養費制度で収入に応じて医療費上限額が定められており、こちらをもとに計算すると日額3,000円程の入院給付金があれば足りる計算だ。

これに加えて、家族がお見舞いに来た時の交通費など、全額自己負担となる費用も考慮すると、概ね5,000円で設定すれば足りるだろう。

保険料とのバランスを見極めながら、無理のない範囲で設定するようにしてほしい。

保険料や入院給付金をどれくらいにすべきか、相談しながら決めたいという人は、保険のプロに話を聞いてみることも検討しよう。

一人一人に合ったアドバイスをもらうことで、適切な保険料で安心して医療保険を利用することができるはずだ。

また、保険のプロは数多く存在し、その中から自分にとって最適な担当を見つけるのは難しいだろう。

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執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。お客様と保険のプロを結ぶマッチングサイト「生命保険ナビ」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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