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一時払の生命保険料は生命保険料控除の対象になるのか?

この記事で解決できるお悩み
  • 生命保険の一時払とは何かを理解したい
  • 生命保険を一時払した場合の所得控除について知りたい
  • 生命保険の一時払の手続き・必要な書類についてよくわからない

生命保険には、定期的に保険料を支払う「月払、半年払、年払」などと、保険料を一括で支払う「一時払」の2つの種類がある。

近年、管理がラクであったり、割引による料金の安さという理由から、一時払を選択する方が増えてる。

しかし、その一時払は税制上の所得控除の対象となるのだろうか。

あるいはその控除はどのような形で受けることができるのだろうか。本記事では、生命保険の一時払と控除の関係について詳しく解説している。

さらに、生命保険の一時払に関わる確定申告の手続きや必要な書類についても分かりやすく説明している。

この記事を参考にして、生命保険の一時払を検討してみてはいかがだろうか。

また、専門家に相談することで得られるメリットについても解説しているため、上手く活用してほしい。

目次

生命保険の一時払とは

生命保険の一時払とは 生命保険ナビ

生命保険の払込方法のひとつに、「一時払」がある。生命保険の商品性の理解だけでも時間がかかるため、一時払について知らない方はいるだろう。

払込方法の種類や違いを理解すれば、商品選びの幅は広がる。

よく利用される定期払いと比較しながら、一時払の解説をする。

定期払いと一時払の違い

払込方法には、大きく分けて定期払いと一時払がある。

定期払いには、「月払、半年払、年払」があり、一定期間ごとに決められた保険料を支払う方法である。

一方、一時払は、保険料を一括して支払う。

一般的に、一時払を任意で選べるのではなく、「一時払終身保険」のような保険商品となっている。

定期払いの終身保険と一時払の終身保険のように、払込方法の違いによるメリットやデメリットを理解しておきたい。

一時払のメリットとデメリット

一時払のメリットは、保険料の割引を受けられる点にある。

一時払の保険料額は、定期払いの保険料総額より少なくなる。

一時払は貯蓄性のある終身保険や個人年金保険で利用され、保険料の割引を受け、返戻率を高めることができる。

定期払いではあまり期待できない貯蓄タイプの保険でも、一時払にすることで高い返戻率を実現できる。

一方、一時払のデメリットは、保険料をまとめて支払わなければならない点だけではない。

一般的に終身保険を解約した場合、解約返戻金を受け取れ、以降の保険料は支払わなくて済む。

一時払終身保険では、解約返戻金は受け取れるが、すでに支払った保険料は戻ってこない。

また生命保険料控除は保険料を支払った年度しか受けられない。

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一時払を選ぶ際のポイント

一時払は、高い返戻率を目的に加入するが、相続対策でも使われる。

一時払終身保険の保険金受取人を子などの相続人とし、納税資金に充てる。

一時払であることから健康に不安があっても加入できたり、継続して保険料を支払わなくて済んだりと、一時払の特徴を相続対策に活かすことができる。

このように、一時払の商品は、加入目的によって選ぶポイントは異なる。

単なる貯蓄目的であれば返戻率の高い商品を選ぶ。

相続対策などであれば、返戻率の高さは重要だが、保険金が支払われるスピード、相続対策としての実績、相続に詳しい相談相手なども選ぶポイントとなるだろう。

一時払の所得控除の仕組み

一時払の所得控除の仕組み 生命保険ナビ

一時払の生命保険でも生命保険料控除を適用できるのだろうか。

ほかの保険契約がある場合、控除額に影響するだろうか。生命保険料控除について、具体的な計算方法とともに解説する。

所得控除の対象となる保険

生命保険料控除には、新制度で一般生命保険料控除、介護医療保険料控除、個人年金保険料控除があり、旧制度で一般生命保険料控除、個人年金保険料控除がある。

前述のとおり、一時払保険の保険料は、支払った年のみしか控除できない。

また一時払個人年金保険の場合は、個人年金保険料控除を適用できる条件を満たしていない。

条件には次の4つがある。

  • 年金受取人が契約者かその配偶者であること
  • 年金受取人が被保険者と同一人であること
  • 保険料の払込期間が10年以上で、定期的に支払う契約であること
  • 年金受取開始が満60歳以降で、受取期間が10年以上であること

条件には「払込期間10年以上」「定期的に支払う契約」とあり、定期払いを想定していることがわかる。

そのため、一時払個人年金保険は個人年金保険料控除を適用できず、一般生命保険料控除の適用を受ける。

所得控除が対象となる期間

一時払保険の控除期間は、保険料を支払った年のみである。

しかも、個人年金保険料控除を適用できないため、すでに一般生命保険料控除の上限に到達している場合は、控除による税負担軽減は期待できない。

単に高い返戻率を期待して一時払保険への加入を希望している場合、控除による節税効果を含めて検討する。

あまりメリットを期待できない場合は、定期払いの保険に切り替えればよい。

また一時払ではなく、「全期前納払」という方法もある、全期前納払は、契約時に保険料を一括して支払う点は一時払と同じだが、保険料を保険会社に預けて、定期的に保険料を支払う形式をとる。

全期前納払いであれば、保険料控除を毎年受けられ、解約した場合には、未経過分の保険料は返ってくる。

控除の具体的な計算方法

生命保険料控除には新制度と旧制度があり、それぞれ控除額や計算式は異なる。

契約日が「平成24年1月1日以降」か「平成23年12月31日以前」で新旧を分類する。

新契約

 一般生命保険料控除・介護医療保険料控除・個人年金保険料控除

旧契約

 一般生命保険料控除・個人年金保険料控除

新契約(平成24年1月1日以降)

スクロールできます
所得税住民税
1年間に支払った
保険料の額
控除額・控除額の
計算式
1年間に支払った
保険料の額
控除額・控除額の
計算式
~20,000円1年間に支払った保険料の全額~12,000円1年間に支払った保険料の全額
20,001円~40,000円(保険料の額×1/2)+10,000円12,001円~32,000円(保険料の額×1/2)+6,000円
40,001円~80,000円(保険料の額×1/4)+20,000円32,001円~56,000円(保険料の額×1/4)+14,000円
80,001円~40,000円56,001円~28,000円
出典:生命保険文化センター「生命保険と税金」

旧契約(平成23年12月31日以前)

スクロールできます
所得税住民税
1年間に支払った
保険料の額
控除額・控除額の
計算式
1年間に支払った
保険料の額
控除額・控除額の
計算式
~25,000円1年間に支払った保険料の全額~15,000円1年間に支払った保険料の全額
25001円~50,000円(保険料の額×1/2)+12,500円15,001円~40,000円(保険料の額×1/2)+7,500円
50,001円~100,000円(保険料の額×1/4)+25,000円40,001円~70,000円(保険料の額×1/4)+17,500円
100,001円~50,000円70,001円~35,000円
出典:生命保険文化センター「生命保険と税金」
控除の具体的な計算(所得税)
  • 終身保険(平成30年2月5日契約):一時払保険料1,000万円
  • 医療保険(平成22年7月8日契約):年間保険料6万円
  • 個人年金保険(平成18年10月1日契約):年間保険料12万円

上記の契約では、終身保険のみ新契約で、ほかは旧契約である。

また旧契約の医療保険は一般の生命保険料控除に該当する。

それぞれの控除額は、次のとおりである。

控除額
  • 終身保険(平成30年2月5日契約):4万円
  • 医療保険(平成22年7月8日契約):6万円 × 1/4 + 25,000円 = 4万円
  • 個人年金保険(平成18年10月1日契約):5万円

個人年金保険は、個人年金保険料控除として、5万円の控除額となる。

また終身保険は新制度の一般生命保険料控除、医療保険は旧制度の一般生命保険料控除で、次のように取り扱う。

  • 新制度のみ(上限4万円)
  • 旧制度のみ(上限5万円)
  • 新旧両方(上限4万円)

新旧合算すると8万円だが、上限は4万円であるため、新旧両方でも4万円となる。

上記のうち、有利な控除額を選べるが、今回はすべて同じとなり、一般生命保険料控除は4万円となる。

なお、一時払終身保険の保険料は当年度だけの適用となる。旧制度の医療保険は来年度以降も控除できる。

確定申告・年末調整での一時払の取り扱い

確定申告・年末調整での一時払の取り扱い 生命保険ナビ

一時払保険は、一般の生命保険料控除に該当する。控除を適用させるためには、必要書類を提出しなければならない。

ここでは、控除の申請方法や必要書類などについて解説する。

確定申告と年末調整での一時払の控除の申請方法

生命保険料控除を適用するためには、会社員であれば年末調整、個人事業主であれば確定申告によって申請する必要がある。

毎年10月以降に、保険会社から生命保険料控除証明書が送付され、その証明書に従って申請する。

保険料控除が新制度のみ・旧制度のみであれば単純だが、新旧の一般生命保険料控除や個人年金保険料控除に加入している場合は、前述の計算方法のように、最も控除額の高いものを選べる。

書き方の見本なども参考にすれば、初めての方でも申請できるようになっている。

必要な書類とその手続き

申請する際には、生命保険料控除証明書を添付する。

会社員の場合、勤務先から「給与所得者の保険料控除申告書」が配布されるため、必要事項を記入し、控除証明書とともに勤務先に提出する。

個人事業主の場合は、保険料控除額を計算のうえ、確定申告書の提出時に、生命保険料控除証明書を添付する。

またe-Taxの普及により、控除証明書を電子発行してもらい、添付書類とすることも可能だ。

会社員は原則、確定申告は不要だが、電子データを利用して年末調整に活用できる。

専門家に相談することで、手続きのスムーズ化へ

一時払い終身保険を希望する方で、相続対策のように保険と税制を活用する場合は、知識や経験が豊富な専門家に相談したほうがよい。

相続対策の一環で保険を利用するなら相続に強い税理士などが適任だろう。

税理士への依頼を検討していない場合は、相続に詳しい保険募集人に相談すれば、必要な情報を入手できる。

手続きをスムーズに進めるためにも、専門家に相談したほうがよい。

まとめ

まとめ 生命保険ナビ

生命保険の一時払は、支払い管理の必要がないという点と割引があるという点から選ぶ人が増えている。

しかし、確定申告や年末調整における所得控除の適用方法や注意点について正確に理解している人は少ないのではないだろうか。

本記事では、生命保険の一時払の仕組みや所得控除の詳細などを詳しく説明した。

しかし、それぞれの制度やルールには細かな違いや条件がある。さらに、保険を選ぶ際にも保障内容や保険期間、保険料など考慮すべき点がたくさん存在する。

そのため、膨大な数の保険からどの保険が自身に適しているのかを判断するには専門の知識が必要となるだろう。

そこで、「生命保険ナビ」を活用してほしい。

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執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。お客様と保険のプロを結ぶマッチングサイト「生命保険ナビ」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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