- 学資保険の保険金額が元本割れする原因が知りたい
- 元本割れを防ぐ方法を知りたい
- 損せず教育資金を貯蓄する方法が知りたい
学資保険とは、一定期間にわたり保険料を払い込み、時期が来た際に子どもの教育資金を保険金や祝い金として受け取ることが出来る、貯蓄型の保険のことである。
教育資金の確保ができる有効な手段であることに間違いはないが、「学資保険で損することはない」「元本が保障されている」などと勘違いしている人はいないだろうか。
学資保険には、受け取る保険金が支払った保険料総額を下回る、「元本割れ」の状態になってしまうリスクがある。
そこで本記事では、学資保険に元本割れが発生する原因を解明し、これを防ぐ方法について説明する。
また、損せず教育資金を貯蓄する方法についても解説を行う。
ぜひ参考にして、学資保険を有効活用してほしい。
学資保険の元本割れが起きる原因とは
そもそも学資保険における元本割れとは、払い込んだ保険料の総額と受け取れる保険金を比べたとき、払込保険料の総額のほうが多い状態を指す言葉だ。
要するに、教育資金を用意するために保険をかけたにも関わらず、増えることなく、むしろマイナスな状態で返戻される結果を意味する。
一口に学資保険と言っても、その詳細は商品によってさまざまだ。
- 貯蓄を重視しているもの
- 医療保障や万が一の事態に備えたもの
- 祝金がもらえるもの
一見すると「あったほうが助かるかも?」と考えがちだが、学資保険の本来の目的に沿って商品を選ばないと、予定していた満期保険金を受け取れないこともあるのだ。
以下では、学資保険の元本割れが起きる原因を6つ解説する。
学資保険を検討する際の判断材料として自身の状況と照らし合わせてみてほしい。
なお、学資保険のデメリットについてまとめた記事もあるので、気になった方はあわせてチェックしていただくと、より理解が深まるはずだ。
返戻率の低い学資保険を選んでいる
そもそも、学資保険を選んだ時点で損をしている可能性があることには注意が必要だ。
特に、保障重視型の学資保険に加入した場合、保険料が医療保障や育英年金に充当されるため、肝心の教育費用に充てられる額が減少してしまう。
さらに、保障重視型の場合は貯蓄重視型の学資保険に比べて保険料が割高になっていることが多い。その割に満期保険金は元本を下回る可能性があるため、注意が必要だ。
満期保険金の返戻率は、それぞれの商品詳細に必ず記載されている。
自分が選んだ学資保険が返戻率の低い商品の場合は、元本割れを起こす可能性が相対的に高まるだろう。
学資保険を中途解約する
学資保険の中途解約は、かなりの確率で元本割れを起こすため注意が必要だ。
学資保険に限らずあらゆる保険において、払い込んだ保険料は保険会社が運用しており、運用益が満期保険金に上乗せされて返戻される仕組みになっている。
「契約の途中=運用の途中」であり、中途解約をされると保険会社の利益は払込保険料から徴収するしかないだろう。
そのため、学資保険が満期を迎える前に解約すると、元本に満たない額しか返戻されず、損をしてしまうのだ。
保険の仕組みを理解しておくと、損してしまうリスクを下げられるだろう。
学資保険に加入した時期が遅い
学資保険に加入した時期が遅れれば遅れるほど、元本割れする可能性が高まる。
学資保険の場合、子どもが18歳を迎えるタイミングで満期保険金が支払われるケースが大半だ。
言い換えると、学資保険に加入できる期間は最長で18年程度である。
そのうえで、先ほど解説したように、保険会社は契約者から払い込まれた保険料を運用し、運用益を上乗せして満期保険金として返戻している。
つまり、学資保険の加入が遅れるほど、保険会社からすると運用できる期間が短くなるのだ。
運用期間が短くなるほど運用益は出にくく、契約者に還元しづらいことは想像がつくだろう。
そして、運用益が出なければ、払込保険料の一部が保険会社の利益になるのだ。
学資保険に加入した時期の遅れは、運用期間の短縮に直結する。
そのため、学資保険に加入しても元本割れする結果になってしまうのだ。
学資保険の契約者の年齢が高い
契約者の年齢が高いことも、学資保険が元本割れする原因になり得る。
学資保険の保険料は、契約者と子どもの年齢、満期保険金の額、その他の保障内容などから決められる。
そのなかで、学資保険には契約者に万が一の事態が起きた場合の「払込保険料免除」が用意されており、契約者の年齢が上がるほど払込免除に該当する確率は高まる。
保険の基本原則は「公平性の担保」であるため、払込免除の確率が相対的に高い人ほど保険料は上がるのだ。
その結果、契約者の年齢が高いほど保険料は割高になり、返戻率にマイナスな影響を与えるのである。
学資保険を契約する年齢が影響する点も覚えておこう。
学資保険の保険料の払込期間が長い
学資保険の保険料払込期間が長いほど、返戻率は下がる傾向にある。
この点も、保険会社が払込保険料を運用している背景が理解できるとイメージしやすいだろう。
子どもが0歳のときに学資保険に加入し、保険料の払込期間が10年と15年の場合を比べると、前者の場合は払込元本の総額を8年運用できるが、後者の場合は3年しか運用できない(18歳で満期保険金を受け取る前提)。
保険料を毎月払い込むと期間終盤の保険料を運用に回せる期間が短くなり、運用益を出しづらくなるのだ。
学資保険には、払込期間を選べる商品も複数用意されており、期間によって返戻率は異なっている。
保険料の払込期間が長い場合、払込期間が短い場合に比べて元本割れする可能性が高まる点にも注意が必要だ。
学資保険の祝金制度で満期保険金を減らしている
学資保険には、進学したタイミングで祝金がもらえる商品もある。
祝金の支払いは満期保険金の一部から支払われているため、投資元本を減らしていることと同じなのだ。
祝金の受け取りは、本来であれば満期になるまで運用に回す予定の払込保険料について、一部を途中で払い出す行為に等しい。
そのため、祝金の額が多いほど満期保険金が減ってしまうため、運用益を期待しづらくなるのだ。
祝金の受け取りは確かにありがたいかもしれないが、保険金総額として受け取る額で換算すると、元本割れする可能性もある。
祝金の有無も返戻率に影響を及ぼすため、商品選びには注意が必要だ。
学資保険の元本割れを防ぐには
学資保険で元本割れする原因を6つ紹介したが、ここでは、それぞれの対策を解説しよう。
以下で紹介する5つの方法を実践すれば必ず元本割れを防げるわけではないが、現状を改善させる結果につながる可能性は高い。
それぞれの内容を踏まえて、現在加入している学資保険で実践できないか検討してみよう。
特約を解約して学資保険を貯蓄に特化させる
現在加入している学資保険に貯蓄以外の特約がついている場合は、必要性を検討したうえで解約するのがおすすめだ。
学資保険のなかでも保障重視型の場合は検討の余地があるだろう。
特に、医療保険に関しては不要なことが多い。
実際、各自治体では小中学生までの医療費を負担する制度が整備されているケースがほとんどで、医療保険を使わないといけない事態はごくわずかだ。
学資保険は「子どもの教育資金を貯めるため」に行うものである。
本来の目的に沿わない特約は、保険料の値上がりや、返戻率の低下に直結する。
現在加入している学資保険に必要性の乏しい特約が備えられている場合は、解約したほうがよいだろう。
学資保険の保険料をまとめて払い込んで払込期間を短くする
学資保険の払込期間に関する選択肢について、まとめて払い込んで払込期間を短くできないか検討するのもおすすめだ。
学資保険の保険料支払いは、おもに以下の4つから選べるはずだ。
- 毎月払い
- 半年払い
- 一年払い
- 一括払い
上記に限らず、保険料の払込期間を10年・15年などから選べる場合もあるだろう。
先ほど解説したように、払い込んだ保険料は保険会社が運用しているため、早期に払込みを終えられるほど運用益を得やすくなる。
毎月払いのほうが無理なくコツコツと教育資金を貯められる一方、投資・運用効率の観点ではイマイチなのだ。
家計の状況を踏まえて、まとめて払い込めないか検討するとよいだろう。
学資保険の祝金を受け取らない
進学のタイミングでもらえる祝金を受け取らないのも、元本割れを防ぐ観点ではプラスにはたらく。
祝金を運用に回すことにつながるため、払込保険料全額を運用できれば投資効率は改善されるだろう。
ただし、祝金を受け取らず据え置きできるかどうかは商品によって異なる。
学資保険の詳細を確認したうえで、祝金を受け取らずに満期保険金に回せる場合は検討の余地があるだろう。
学資保険に加入するなら今すぐ検討する
学資保険に加入しておらず、自身の年齢及び子どもの年齢がともに若い場合は、今すぐ加入を検討することも大切だ。
契約者の年齢が若ければ、保険料を割安にできる可能性が高く、返戻率にプラスにはたらく。
子どもの年齢が若ければ、満期までの期間が長くなるため運用期間を確保できる。運用成績の改善を期待できる分、運用益が分配される確率も高まるだろう。
ただし、子どもの年齢が6歳を超えるような場合はむしろ注意が必要だ。
先ほど解説したように、運用期間が短くなると元本割れの原因になるため、あらゆるケースにおいて「今すぐ加入すべき」とは言えない。
これから学資保険を検討する場合、契約者自身と子どもの年齢によっては、今すぐ加入したほうが元本割れを防ぎやすいだろう。
転換制度を利用してほかの保険に乗り換える
学資保険の返戻率が低い場合は、転換制度でほかの保険に乗り換える方法も検討できる。
保険の転換制度は同じ保険会社でしか使えないものだが、以下の保険を検討することで現在の学資保険よりも返戻率を高められる可能性がある。
- 10年満期の個人年金保険
- 一時払い(一括払い)や短期払いの終身保険に加入して必要なときに解約
ただし、保険料は転換するタイミングの年齢などから計算されるため、保険料は割高になる場合もあるだろう。
乗り換え前後でシミュレーションして慎重な判断が求められるため、上記のすべてを検討した際の最終手段として考えておくのがおすすめだ。
学資保険の元本割れが心配な方へ!損せずに教育資金を貯蓄する方法とは
学資保険が元本割れする原因と対策は解説したとおりだが、ここではより広い視野で、損せずに教育資金を貯めるにはどうすればよいか解説しよう。
ただし、絶対に損しない貯蓄方法はなく、たとえ現金で貯金をしても損することはある。
現金で貯金をしても、インフレした際には実質的な価値が目減りするため、絶対に元本を毀損しないお金の貯め方は存在しないのが実情だ。
この前提を踏まえたうえで、以下で解説する4つのポイントを踏まえて、無駄なく教育資金を貯める方法を押さえよう。
学資保険を選ぶ際に返戻率を重視する
学資保険に加入する際は、必ず返戻率を確認してほしい。
同じ保険会社の学資保険でも、支払い期間や特約の有無によって返戻率は異なる。
冒頭でも解説したように、保障充実型の学資保険は総じて返戻率が低い傾向なので、商品詳細をチェックしてみてほしい。
逆に、返戻率が高いからと言って、その学資保険が絶対的な正解とも限らない。
高い返戻率を出せる条件が極めて限定的な場合もあり、自身の加入条件が当てはまらないこともあるだろう。
いずれにせよ、学資保険を選ぶ際は必ず返戻率を重視しよう。
そのうえで、返戻率の再現可能性の高さにも着目すれば、損する可能性を下げられるだろう。
低解約返戻金型終身保険など別の保険を利用する
教育資金を用意する方法は学資保険だけではない。
各種保険商品を活用・併用すれば、損せずに教育資金を用意しやすくなるはずだ。
- 低解約返戻金型終身保険:一般的な終身保険よりもやや低い割合の解約返戻金にはなるが、保険料を抑えながら教育資金が必要なタイミングに備えられる
- 個人年金保険:「毎月同じ額を積み立てる」という実態は学資保険と同じで、10年満期の保険に加入すれば、満期の保険金を受け取って教育資金に充てられる
- 外貨建て保険:日本円ではなく外貨(主に米ドル)で払込保険料を運用することで高いリターンを期待できるが、為替リスクもある
学資保険は加入時期が遅れた場合はむしろ入らないほうが良いため、代わりに上記の保険を検討してもよいだろう。
今から教育資金を貯める行動を実践する
どの方法で教育資金を貯めるにしても、貯めるまでの期間は長いに越したことはない。
- 元本を貯める期間が伸びる
- 運用期間も伸ばせる
- リスクリターンを平準化できる
現金で毎月コツコツ貯めるにしても、10年または15年かける場合では、最終的な金額が異なるのは当然だ。
学資保険は加入から満期までの期間が長いほど返戻率を高められる傾向にある。
「教育資金を用意しよう」と考えたなら、思い立ったその日から行動することが大切である。
お金のプロから客観的なアドバイスを受ける
学資保険の元本割れを防ぐ方法や教育資金を貯める方法を解説したものの、結局自分たちにはどれが適切か分からない人も多いだろう。
そのような場合は、お金のプロであるファイナンシャルプランナーに相談するのがおすすめだ。
学資保険に限らず、あらゆる保険はライフステージ・ライフプランによって必要な保障額が異なる。
保険に充てられる費用も時期によって左右されるだろう。
ファイナンシャルプランナーとともにライフプランを立てれば、いつまでに、どれくらいのお金を貯める必要があるか明確になる。
そのうえで、必要な保険の提案やお金の貯め方に関するアドバイスももらえるのだ。
学資保険の比較検討も簡単ではなく、迷った結果行動できないのは本末転倒なので、客観的なアドバイスをもとに最適な保険を選べば、損する可能性を抑えられるだろう。
学資保険の元本割れは原因を理解して対策しよう
本記事では、学資保険に元本割れが発生する原因や元本割れを防ぐ方法を解説した。
また、損せずに教育資金を貯蓄する方法についても説明を行った。学資保険は元本が保障されている保険ではない。
返戻率が低かったり途中解約した場合は、支払う額より受け取る額が少なくなる元本割れを引き起こす可能性がある。
元本割れを防ぐには、保障内容をシンプルにする、保険料の払込方法を変更するなどの手段が挙げられる。
それでも損をするか心配な場合は、低解約返戻金型終身保険など別の教育資金貯蓄方法の利用を検討しよう。
また、どの保険を利用すべきか、本記事を理解しただけでは選べないという人は、保険のプロに相談することも選択肢に入れておこう。
一人一人に合ったアドバイスをもらうことで、自分に適した保険を短時間で選ぶことができる。
ただ、保険のプロは数多く存在し、自分にとって最適な担当なのかをすぐに見定めることもまた難しい。
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