- 学資保険の役割や加入するメリットが知りたい
- 学資保険の満期保険金の金額はどの程度にするべきか知りたい
- 学資保険の満期保険金を高額にした際の注意点が知りたい
子供の教育資金を準備するために、学資保険に加入したいと思っている人は多いだろう。
そんな学資保険を利用する上で一番気になるのが、満期保険金の金額をどれくらいにすればいいのか、という点だ。
例えば、幼稚園から高校まで全て公立の場合でも500万円以上の学費がかかる。
また、大学の学費にはさらに費用がかかってくる。
本記事では、学資保険の役割やメリットをふまえ、満期保険金の適正額や満期保険金を高額にした場合の注意点について解説する。
学資保険への加入を悩んでいる方は、ぜひ参考にして学資保険の適切な利用法を考えていこう。
500万円で十分?学資保険の役割とは
子どもの教育資金は、住居の購入や老後の生活資金などと同様に早めの準備が必要な資金である。
さまざまな準備の方法があり、学資保険もそのうちのひとつだ。
ここでは学資保険の概要やメリット・デメリット、学資保険を利用すべき家庭の特徴などを解説していく。
まずは学資保険の基本的な知識を押さえていこう。
学資保険とは
学資保険とは、子どもの将来の教育費を準備するために加入する保険商品だ。
親や保護者が一定期間保険料を払い込み、教育費が必要となる進学などのタイミングで祝金・保険金を受け取れる仕組みとなっている。
「月々の残ったお金を教育資金として貯めよう」と考えていても、お金を使い切ってしまってなかなか貯められないというパターンは多い。
特に子どもが幼いうちは教育費の実感が湧きづらく、貯蓄ができない方も多いだろう。
学資保険に加入していれば、保険料が自動で引かれて資金が積み立てられていくため放置していても問題ない。
貯蓄が苦手な方でも教育資金を準備できる点が大きな特徴だ。
また、契約者である親や保護者が万が一死亡した場合、以後の保険料は払込免除となる。
保険契約自体は継続されているため、祝金・保険金は残された子どもにしっかりと支給される。
「親・保護者に万が一のことが起きても、子どものために確実に教育資金を確保する」というのが学資保険の大きな役割だ。
学資保険を利用するメリット・デメリット
学資保険を利用するメリットとして主に以下の3点が挙げられる。
- 貯蓄と保障を兼ね備えている
- 受け取るタイミングを自由に設定できる
- 所得控除の対象となる
学資保険は、保険料の積立により資金を準備できる「貯蓄」としての側面と、万が一契約者が死亡した際に以後の保険料が払込免除される「保障」としての側面を持っている。
貯蓄と保障を両立し、子どもの教育資金をしっかりと確保できる点が大きな魅力だ。
また、祝金・保険金を受け取るタイミングを家庭の状況に合わせて自由に設定できる点もメリットである。
「大学入学時にまとめて受け取る」「中学・高校・大学の入学で少しずつ受け取る」など、自由なタイミングで受け取り可能だ。
そして、学資保険で支払った保険料は「一般生命保険料控除」として所得控除の対象となる。
所得税・住民税の負担を軽減させながら教育資金の準備ができる。
一方、学資保険を利用する際は以下のデメリットに注意が必要だ。
- 中途解約で損をするリスクがある
- 物価上昇で価値が目減りする可能性がある
学資保険を途中で解約する場合、解約返戻金を受け取れる。
しかし払い込んだ保険料を下回るケースが多く、損をしてしまうリスクがあるため注意が必要だ。
また、祝金・保険金を受け取るタイミングまでに社会情勢が変化し、物価が上昇する恐れがある。
契約当初よりも必要な教育資金が増え、学資保険で準備した祝金・保険金では足りなくなる可能性があることも頭に入れておこう。
学資保険を利用すべき家庭とは
以下のいずれかに当てはまる場合、学資保険を利用すべきと言える。
- 現時点で貯蓄ができていない
- 貯金が得意ではない
- 夫婦のどちらかだけが働いている
出産を機に子どもの教育費について考え始めたものの、まだ貯蓄ができていないという方も多いだろう。
これから教育資金の準備を始めようという家庭には学資保険がおすすめだ。
子どもが幼いうちに加入しておけば、進学費用が必要になるタイミングまでに計画的に資金を準備できる。
現時点での貯蓄がなくても問題ないので、早めに学資保険で準備を始めておこう。
また前述の通り、貯金があまり得意ではないという方にも学資保険は向いている。
保険料を自動で積み立ててくれるため、意識的に貯金をしなくても教育資金の準備ができるためだ。
そして夫婦のどちらか一方が働き、もう一方が家事・育児を担うという役割分担をしている家庭も学資保険の必要性が高い。
働いている方に万が一のことがあった場合、教育資金を準備できない可能性があるためだ。
働いている方を契約者として学資保険に加入しておけば、万が一のことがあっても以降の保険料払込は免除される。
もしもの時の保障も備えておくと良いだろう。
500万円で足りるのか?学資保険の適切な満期保険金額の見極め方
学資保険の基本的な特徴を把握したところで、次は実際にどの程度の保険金を備えておくべきかという点を考える必要がある。
せっかく保険に加入して教育資金を準備したのに「お金が足りなかった」となってしまうリスクがあるためだ。
ここでは、学資保険の満期保険金の適正額を見極めるためのポイントをご紹介する。
子どもにかかる学費の平均
文部科学省が発表した「令和3年度子供の学習費調査」によると、幼稚園から高等学校までの学習費総額は以下の結果となった。
- 公立幼稚園:47万2,746円
- 私立幼稚園:92万4,636円
- 公立小学校:211万2,022円
- 私立小学校:999万9,660円
- 公立中学校:161万6,317円
- 私立中学校:430万3,805円
- 公立高等学校(全日制):154万3,116円
- 私立高等学校(全日制):315万6,401円
すべて公立の場合はおよそ570万円、すべて私立に通うとおよそ1,800万円となる。
また、日本政策金融公庫の「令和3年度『教育費負担の実態調査結果』」では、大学の入学費用や在学費用の平均値が発表されている。
国公立・私立別にみた大学の入学費用と1年間の在学費用は以下の表の通りだ。
国公立大学 | 私立大学文系 | 私立大学理系 | |
入学費用 | 67.2万円 | 81.8万円 | 88.8万円 |
1年間の在学費用 | 103.5万円 | 152.0万円 | 183.2万円 |
入学してから4年間在学する場合、国公立大学は約500万円、私立大学文系は約700万円、私立大学理系は約800万円となる。
トータルで考えると、幼稚園から大学まで国公立の場合は約1,000万円、すべて私立の場合は約2,500万円の教育費が必要になるということだ。
学資保険の満期保険金は500万円で十分なのか
学資保険で準備する満期保険金は500万円ほどあれば十分なのだろうか。
先ほどご紹介した子どもにかかる学費の平均をもとに考えていこう。
前述した通り、幼稚園から大学まで国公立の場合は約1,000万円、私立の場合は2,500万円以上の学費がかかる可能性がある。
こうして考えると500万円の満期保険金では足りないと感じる方も多いだろう。
しかし、幼稚園から高校までの学費は長期間にわたって支払っていくものであるため、まとまった負担が来ることは少ない。15年間に分けて支払うことを考えると、すべて公立(トータル500万円)なら月平均27,000円程度だ。
もちろん月々の支出として大きいものではあるが、学資保険で準備する必要があるような金額とは言えないだろう。
一方、大学進学にかかる費用は4年間という短い期間で支払わなければならない。
特に入学費用は初年度にまとめてかかるため、1年間で100万円以上の出費がかかってしまう。
入学から4年間在学する場合、国公立で約500万円、私立大学なら700万円〜800万円ほどが必要となる。
学資保険の満期保険金500万円というのはひとつの目安として適正額と言えるだろう。
学資保険の満期保険金の適切な設定方法
学資保険の満期保険金500万円がひとつの目安と紹介したが、家庭の経済状況や子どもの希望する進学先によっても適正額は異なる。
自分の家庭に合った満期保険金の設定をするためには「学資保険以外でどの程度教育資金を準備できるか」が重要なポイントだ。
例えば、現在は中学校卒業までの児童を養育している方を対象に「児童手当」が支給される。
児童手当をすべて貯めておくと、第1子・第2子の場合は198万円、第3子以降は252万円となる。
また、昇給・昇格によって給料が増えたり、育児が落ち着いて仕事を始めたりすることによって家計の収入が増えている場合もあるだろう。
収入に余裕が出て、学資保険以外でも貯蓄を始めるというパターンだ。
児童手当や貯蓄によってある程度資金を準備できる場合、学資保険の満期保険金を多く用意する必要はない。
貯蓄等による資金だけでは不足する分をカバーできる満期保険金の額を設定しよう。
学資保険の満期保険金を500万円に設定した場合の注意点
「学資保険の満期保険金500万円がひとつの目安になる」と解説したが、500万円の満期保険金を設定する際には以下の4点に注意が必要だ。
- 保険料負担が重くなる
- 途中解約すると元本割れの可能性が高い
- 途中で保険金を引き下ろすことができない
- 必要以上に教育資金を貯蓄する可能性がある
加入後のトラブルを避けるためにも、事前に注意点をよく確認しておこう。
学資保険の保険料負担が重くなる
満期保険金500万円は金額として比較的大きいため、その分保険料の負担が重くなる可能性がある。
保険料を支払えなくなって途中で解約することがないように、保険料の負担について慎重に検討しておこう。
例えばソニー生命の学資保険シミュレーションを活用し、以下の条件で保険料を試算した。
- 子どもの加入年齢:0歳(男性)
- 契約者の加入年齢:30歳(男性)
- 満期保険金:500万円
- 保険料払込方法:月払い
- 保険期間:18歳満期
- 保険料払込期間:18歳
上記のパターンでシミュレーション(計算基準日2023年11月1日)を行うと、月払保険料は22,450円という結果になった。
毎月2万円以上の保険料を18年間支払う必要があるため、人によっては支払いが厳しいと感じるケースもあるだろう。
事前に保険料をシミュレーションし、無理なく支払っていけるかどうかをチェックした上で500万円に設定すべきか考えよう。
学資保険を途中解約すると元本割れの可能性が高い
学資保険を途中で解約する場合、解約返戻金を受け取ることができる。
しかし、受け取れる解約返戻金はこれまで支払った保険料を下回る可能性が高いため注意が必要だ。
学資保険で支払った保険料はすべてが積み立てられているわけではなく、万が一の保障部分や人件費などの経費にも充当されている。
積み立てられている部分は解約返戻金として戻ってくるものの、保障や人件費に充てられた分は戻ってこないため、元本割れを起こす可能性が高くなっているのだ。
先ほどもご紹介した通り、500万円の満期保険金を設定すると保険料が高額になり、支払いを継続することが難しくなるケースも多い。
しかし途中解約してしまうと、せっかく支払った保険料が無駄になってしまう恐れがある。
途中解約をしなくても済むように、無理なく保険料を支払っていけるかどうかを確かめておくことが大切だ。
学資保険は途中で保険金を引き下ろすことができない
学資保険は、銀行預金のように途中でお金を引き出すことはできない。
「子どもが18歳になるタイミング」など、あらかじめ設定した満期を迎えるまでは基本的に引き出せないため注意が必要だ。
例えば、急な出費でお金が必要となったときに手元の貯蓄で足りず、学資保険で貯めているお金を使いたいと考えるケースもあるだろう。
保険金は途中で引き出せないため途中解約をするしかないが、前述の通り解約返戻金をほとんどの場合で損をしてしまう。
「いつでも自由に出し入れできる」というような銀行預金と同じ感覚で学資保険を利用していると危険だ。
学資保険とは別に、自由に引き出せる貯蓄もしっかりと用意しておくことをおすすめする。
学資保険は必要以上に教育資金を貯蓄する可能性がある
「学資保険で500万円の満期保険金を設定したが必要以上に準備してしまった」というリスクもあるため注意が必要だ。
せっかく高い保険料を支払って準備したのに、保険金が余ってしまう可能性がある。
例えば子どもが大学に進学せず、思ったよりも学費がかからないケースが考えられる。
また、児童手当や貯蓄などで教育資金を準備できたため「満期保険金は500万円も必要なかった」というパターンもあるだろう。
「本当に500万円も必要なのか」をしっかりと検討した上で、満期保険金額を設定することが大切だ。
しかし、学資保険で準備した500万円が無駄になるわけではない。
余った分を子どもの結婚資金の援助に使ったり、就職してから当面の間の仕送りとして使ったりなど、さまざまな使い道が考えられる。
契約時に「500万円も必要ではなかった」というパターンも想定しておき、別の使い道をあらかじめ考えておくと良いだろう。
学資保険が500万円で足りるのか、自分にあった適正額を見極めよう
本記事では、学資保険の役割やメリットをふまえ、満期保険金の適正額や満期保険金を高額にした場合の注意点について解説した。
学資保険は保険料控除を受けながら教育資金の貯蓄ができるため、貯金を確実にしていきたい人には向いている。
ただ、途中解約をすると元本割れするなどのデメリットもあるため、家庭の状況に応じて適切な活用法を考える必要がある。
また、満期保険金の額を高額にしすぎると、保険料が高額になり家計に大きな負担がかかる可能性もある。
そのため、もし学資保険の必要性や他の保険商品との比較にまよったら、保険のプロに相談することも検討してほしい。
それぞれの家庭の事情に合ったアドバイスをもらうことで、必要な保険を的確に判断することができるはずだ。
また、全国の保険のプロから自分に合った担当者を探す際には「生命保険ナビ」の活用をおすすめする。
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気になった担当者とは無料相談もできるので、ぜひ活用してほしい。