- 医療保険の解約返戻金について詳しく知りたい
- 解約返戻金がある医療保険のメリットとデメリットが知りたい
- 解約返戻金のある医療保険を最大限活用したい
医療保険は満期になっても支払った保険料が戻ってこない、いわゆる掛け捨て型が主流になる。
ただ、保険料を積み立てておき、保険を解約する際に解約返戻金として受け取る貯蓄型のものも一部存在する。
果たしてどのようなメリットがあるのだろうか。また、どのような人におすすめな保険なのだろうか。
そこで、本記事では、「解約返戻金がある医療保険」について詳しく解説する。
解約返戻金の基礎知識からおすすめの医療保険まで、必要な情報を一通り理解することができるだろう。
解約返戻金がある医療保険への加入を検討している、または新しい医療保険への乗り替えを考えているという方は、ぜひ参考にしてほしい。
医療保険の解約返戻金とは何か
一部の医療保険には、契約を解除した際に支払われる解約返戻金という制度が備えられている。
返戻金の費用はどのように決められ、どのタイミングで支払われるものなのだろうか。
そこで本章では、「医療保険の解約返戻金に関する基礎知識」について解説を行う。
解約返戻金について理解しよう
まずは、解約返戻金とは何かを理解しよう。
解約返戻金は大きく分けて3種類存在する。それぞれの特徴を以下の表でまとめた。
①従来型 | 解約返戻率に基づき、支払われる金額が計算される。返戻率とは、支払った保険料に対して解約返戻金がどれくらい受け取れるかを表す数字であり、保険会社毎に数字が異なる。 |
②低解約返戻金型 | 通常の解約返戻金に比べて、7割程度に金額が抑えられている。保険料の払込期間が終わると、返戻率が高まる傾向にあり、低解約返戻金型終身保険などが該当する。 |
③無解約返戻金型 | 解約返戻金がない、いわゆる掛け捨て型保険のことを指す。医療保険の主流はこの型。 |
解約返戻金は貯蓄した保険料を払い戻すものとなるため、通常は学資保険などの積み立て型保険に備わっていることが多い。
対して、医療保険には解約返戻金のない③の商品が多いが、一部貯蓄性のある医療保険も存在する。
例えば、ライフネット生命の終身医療保険「じぶんへの保険3」では、解約返戻金が発生する場合がある。
条件は
- 保険料払込期間を〜60歳もしくは〜65歳にして
- 支払を完了させることで入院給付金日額の10倍の解約返戻金が支払われる。
なお、支払いには本人からの請求が必要だ。
上記のように、決められた条件で解約返戻金が支払われる医療保険もある。
解約返戻金が支給されるタイミング
では、医療保険の解約返戻金はどのタイミングで受け取ることができるのだろうか。
保険会社の公式サイトを元に、解約返戻金を受け取るまでの流れを確認してみよう。
メットライフ生命の「リターンボーナスつき終身医療保険」を例に挙げる。
Webもしくは電話による手続きが可能だが、電話がつながりにくいという理由から、Web手続きが推奨されている。
それぞれの流れは以下の通りだ。
Web(24時間対応)
1週間程度で解約返戻金が振り込まれる
電話(基本的に平日の9:00〜18:00、保険の加入タイプによって担当のコールセンターが異なる)
営業時間内に連絡、必要事項の聞き取り後に書類発送(翌営業日以降)
1週間程度で解約返戻金が振り込まれる
必要な手続きは保険会社によっても異なるが、基本的には上記の流れで解約手続きが進む。
解約書類に不備がなければ、1週間以内に解約返戻金が入金される。
もし1週間を過ぎても入金がない場合には、会社に確認を取ると良いだろう。
解約返戻金でもらえる目安の金額とは
医療保険の解約返戻金はどのくらいもらえるのだろうか。
東京海上日動あんしん生命の医療総合保険「メディカルKitR」を参考に考えてみよう。
「メディカルKitR」では、支払った保険料が「健康還付給付金」として積み立てられ、所定の年齢に達すると返還される仕組みとなっている。
解約返戻金は「健康還付給付金」と同額になっており、既に返還されている場合は支給されない。
上記のように医療保険の解約返戻金でもらえる金額は、支払った保険料の合計額もしくは合計よりも少額になることが基本だ。
また、場合によっては全く支給されないこともある。
医療保険を解約した際、支払った保険料を上回る額の返戻金が返ってくる可能性は低いと認識しておこう。
解約返戻金がある医療保険のメリット・デメリット
前章までの説明で、医療保険の解約返戻金の概要について理解できたと思う。
さまざまな保障を備える医療保険のうち、解約返戻金のあるプランを利用するメリットとデメリットは、具体的にどういった点にあるのだろうか。
そこで本章では、解約返戻金がある医療保険のメリットとデメリットを解説する。
その後、おすすめの商品についても紹介するので、利用するべきか決める参考としてほしい。
解約返戻金がある医療保険のメリット
解約返戻金がある医療保険を利用するメリットとしては、「保険料の一部が返還されるため無駄になりにくい」「死亡保険の性質を兼ねているものが多い」という2点が挙げられる。
医療保険は、基本的に傷病による通院や入院時の費用を賄うため加入するものだ。
そのため、多くの医療保険には解約返戻金が存在せず、病院へ行くことがない場合は保険料が無駄になってしまう。
ただ、解約返戻金がある医療保険であれば、支払った保険料を元に費用が戻ってくる。
保険料を無駄にしたくない、と考える人にとってはおすすめの保険になるだろう。
また、解約返戻金がある医療保険には、入院や通院だけでなく、死亡時に保険金が受け取れるものが多い。
死亡保険と医療保険の2種類を兼ねて利用できるのは大きなメリットと言えるだろう。
解約返戻金がある医療保険のデメリット
一方、解約返戻金がある医療保険のデメリットとしては、「保険料が割高になりやすい」「解約時期によっては、元本割れする可能性もある」という2点が挙げられる。
解約返戻金は、保険料を元手として積み立てられるものになる。
そのため、解約返戻金がない保険と比べると、保険料はどうしても高額になりがちだ。
保険料が無理ない範囲で設定されているかどうか、契約前に確認しておくと良いだろう。
もう一つのデメリットは、返戻率が低く元本割れのリスクがあることだ。
返戻率とは、支払った保険料に対して解約返戻金がどれくらいもらえるか表した比率であり、会社ごとに数値が異なる。
また、元本割れとは、解約返戻金の額が支払った保険料の総額を下回ることを指す。
解約返戻金の金額は返戻率によって変化するが、医療保険の解約返戻金は返戻率が低いものが多く、元本割れしやすい。
損をする可能性がある点には十分注意してほしい。
解約返戻金があるおすすめの医療保険を紹介
ここで、解約返戻金があるおすすめの医療保険を紹介しよう。
メディケア生命の終身医療保険「新メディフィットリターン」だ。
なお、保険のパンフレットには無解約返戻金型と表記されているが、実際には解約返戻金が受け取れる。
所定の年齢まで加入していれば、支払った保険料が全額戻ってくる特徴があり、保険料を無駄にしたくないと考えている人向きの保険と言えるだろう。
30歳男性が加入した場合の月額保険料や戻ってくる金額について以下の表でまとめた。
月額保険料 | 3,430円 |
入院給付金 | 1日につき、5,000円 |
支払限度日数 | 60日(1回の入院で給付金が支給される限度となる日数) |
手術給付金 | 治療を受けるたびに、給付金額×5〜50倍の費用が支給される 倍率は手術内容によって変化する |
健康還付給付金 支払年齢 | 65歳 健康還付給付金・・・「(支払った保険料-それまでに給付された入院給付金)×健康還付給付割合」の額が、既定の年齢になると支給される制度。特約に支払った保険料は対象外となる。 |
健康還付給付割合 | 105% 加入年齢によって100%と105%から選ぶことが可能 |
健康還付給付金がもらえる額 | 65歳まで入院給付金がなかった場合→3,430円×12ヶ月×35年×1.05=151万2,630円 入院給付金が給付された場合は、その額を差し引いた額がもらえる。 |
付加できる特約 | 先進医療・薬剤治療・女性医療・収入サポートなど。 |
解約返戻金 | 40歳までに解約した場合→支払った保険料<解約返戻金 40〜65歳までに解約した場合→支払った保険料=解約返戻金 65歳以降に解約した場合→解約返戻金の支払いはなし |
ある程度の年数加入しておくことで、支払った保険料がそのまま返ってくることが分かる。
また、保障範囲も十分であり、保険料も3,000円台と支払うことが困難な金額ではない。
長期間医療保険を利用する予定があり、経済的に余裕があればおすすめの保険と言える。
解約返戻金がある医療保険を最大限活用するには
ここまでの説明で、解約返戻金がある医療保険についての一通りの知識がついたと思う。
では、解約返戻金がある医療保険を効果的に活用するには、どんなことに気をつけるべきなのだろうか。
最後の章では、解約返戻金を受け取る際にかかる税金や、解約返戻金のある医療保険への加入がおすすめな人の特徴を解説する。
医療保険を賢く利用したい人にとっては必見の内容となるだろう。
解約返戻金の受け取りに発生する税金の種類
医療保険の解約返戻金を受け取る際には、税金がかかる。
返戻金にかかる税金の種類は、保険料を支払う契約者(保険者)と返戻金を受け取る受取人の関係によって変化する。
以下の表で簡単にまとめたので参考にしてほしい。
契約者 | 受取人 | 税金の種類 |
A | A | 所得税・住民税 |
A | B | 贈与税 |
このように、「誰が解約返戻金を受け取るか」によって課税される税金の種類が変化する。
契約者と受取人が違うケースとして、妻と夫もしくは父と子のような家族で保険を契約している場合が考えられる。
では、実際の税額はどのように計算されるのだろうか。次段落にて解説する。
解約返戻金にかかる税金の計算式
医療保険の解約返戻金にかかる税金は、以下の計算式で求めることができる。
なお、住民税も所得税の計算式の中で計算されるため、記載を省略する。
所得税の計算式は、解約返戻金を一時所得として取り扱い、計算している。
所得税は50万円+支払った保険料、贈与税は110万円をそれぞれ超えた分が課税対象となる。
医療保険の解約返戻金は高額になりにくいため、税金を考慮する必要がない場合もある。
ただ、自分で計算できるようにしておくと家計管理にも役立つだろう。
解約返戻金のある医療保険がおすすめな人とは
解約返戻金のある医療保険は、「終身の医療保障が必要で、貯金をするのが苦手な人」におすすめの保険と言えるだろう。
解約返戻金がある医療保険は、医療保障の期間が終身タイプのものが多い。
そのため、一生涯の医療保障を備えたいと考える方には適した保険だと言える。
また、契約時に決められた年齢までは保険料を貯蓄していくことになるため、半強制的に貯金をすることができる。
このように、保障と貯蓄を両立できる点は魅力となるだろう。
ただ、保険料が高額になりやすい点には注意が必要だ。
加入する際には、複数の保険会社を比較してより条件が良いものを選ぶようにしよう。
解約返戻金のある医療保険はあまり多く販売されていないが、利用するメリットはある。
本記事が、あなたが加入するべきかを判断するための材料となれば幸いだ。
まとめ
本記事では、医療保険の解約返戻金について詳細に解説した。
解約返戻金は、保険の解約時に保険会社から支払われるものである。
保険としての性質上、医療保険の解約返戻金は元本割れを起こして損してしまう可能性が高い。
ただ、一部の医療保険では保障と貯蓄を両立できる商品が存在する。
利用すべきかどうかは、自分に必要な保障内容なのか確認して判断する必要がある。
もし加入の判断に迷った時は、生命保険のプロへ相談することをおすすめする。
一人一人に合ったアドバイスをもらうことで、必要性やあなたに最適な医療保険を的確に判断できるはずだ。
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