- 生命保険の掛け捨て型の詳細を知りたい
- 掛け捨て型生命保険の相場やコストについて知りたい
- 生命保険を選ぶ際のポイントを理解したい
生命保険には様々な種類があるため、保険選びに悩まれる方も多いだろう。
生命保険は、「貯蓄型保険」と「掛け捨て型保険」とに大別されるが、掛け捨て型保険をおすすめする。
掛け捨て型保険は、保険料が割安で、保障内容の見直しもしやすいため、加入者も多い。
本記事では、掛け捨て型保険の特徴・種類・相場、メリットやデメリットを解説していく。
保険料を考えるうえでのポイントについても説明するため、生命保険の加入や見直しを検討している方は、ぜひ参考にしてほしい。
相場を知る前に!掛け捨て型生命保険の種類と加入のメリット・デメリット
掛け捨て型保険は、保険期間を契約時に定めるため、満期を迎えるタイミングで保障内容を見直すこともできる。
ただしこの保険では、契約が満期を迎える際に受け取れる満期保険金もなく、解約返戻金もない(あってもごくわずか)。
その代わりに掛け捨て型保険は、保障内容が同じ貯蓄型保険と比べて、保険料が割安であるため多くの人がこの保険に加入している。
掛け捨て型保険には、定期保険(定期死亡保険)、医療保険(定期医療保険)などがある。
ここでは、定期保険と医療保険の概要、および各メリットとデメリットを解説する。
定期保険の概要
定期保険とは、被保険者(保険の対象者)が亡くなったときに、残された遺族へ死亡保険金が給付される死亡保険だ。
死亡保険には、定期保険以外に「終身保険」がある。
下記の比較表を用いて、定期保険の特徴を、終身保険と対比して説明する。
対比ポイント | 定期保険 | 終身保険 |
概要 | 保障は契約時に定めた一定期間まで。保険が満期を迎えた後には、契約更新、もしくは新しい保険契約を行う必要がある。 | 被保険者が亡くなるまで保障は継続され、保障内容や保険料は変わらない。 |
貯蓄性 | ない | ある 保険会社が保険料の一部を、満期保険金や解約返戻金のために貯蓄する。 |
保険料※ | 割安 | 割高 |
保険の見直し時期 | 保険が満期を迎えるタイミングで、保険を見直すことが多い。 | 保険の見直しには解約が必要なため、終身保障が途絶えることで、見直す判断が難しい。また「満期」という概念がないので、保険の見直し時期は、自分で判断しなければならない。 |
その他 | 契約更新ごとに保険料は高くなり、高齢になると保険料も高額になる。また85歳以上になると加入できなくなる場合もある。 | 解約返戻金を担保にして保険会社から借り入れできる「契約者貸付制度」が利用できる。 |
上記の比較表から、収入が少ない若い頃や、ライフステージに変化が多い時期までは定期保険が有効といえる。
一方で子どもが巣立ち、生活の変化が少なくなる定年以降になると、終身保険の方が向いている場合も多くなる。
医療保険の概要
医療保険は、被保険者が生きている間、ケガ・病気になったときに支払う医療費を補う保険だ。
日本は国民皆保険制度のもと、公的医療保険(健康保険)が医療費の負担を軽減してくれる。
しかし手術や入院で自己負担が大きくなる場合や、健康保険の保障対象外となる先進医療の費用などには、医療保険が助けてくれる。
この医療保険のメリットとデメリットを以下の表で説明する。
メリット | デメリット |
健康保険の保障対象外となる医療費用にも備えられる。また医療費だけではなく、差額ベッド代、入院中の食費など関連費用の支払いにも充てることができる。 「介護医療保険料控除」が利用できる。これは1年間に支払った保険料に応じて、一定金額が保険契約者の所得から差し引かれ課税される制度だ。 | 病歴があると、特定の病気や、特定の部位が保障対象外になる場合もある。 治療中の場合は、保険料が高額になることや、保険に加入できないこともある。 |
なお医療保険の中には、女性特有の疾病にも対応した保険商品や、「がん保険」のように特定疾病のみを保障する保険商品もある。
定期保険と医療保険の違いとは
定期保険と医療保険は、ともに掛け捨て型保険ではあるが、それぞれの保障目的が異なる。
定期保険では、自分が亡くなったときに、保険金で残された遺族を経済的に支えることを目的としている。
定期保険に類似する保険として、保険金を年金形式で一定期間受け取れる、収入保障保険というものもある。
一方で医療保険の保障目的は、自分が病気やケガになったときに、自身や家族が負う経済的負担を軽減させることだ。
保険に加入しようとする際には、その保険がもつ保障目的が、自分が保険に加入する目的に沿っているかを必ず確認しておこう。
掛け捨て型生命保険の相場
保険に加入する際には、保険料をどのくらいに設定すればよいか悩んでしまうことはないだろうか。
保険期間中は保険料の払い込みが続くため、保険料が少なければ家計に及ぼす影響は小さくなるが、保障も限定的になる。
一方で保険料を高くすればするほど、保障も手厚くなり安心感も増すが、保険料が常に家計を圧迫し続ける。
このため、どのくらいの保険料を周囲の人間が払っているのか気になってしまうこともあるだろう。
ここでは生命保険の相場を紹介するとともに、保険加入の際には、そのデータをどこまで考慮すべきかを解説する。
保険料の相場
生命保険に対して払い込んでいる保険料を、世代別にまとめたデータを紹介する(なお、このデータには貯蓄型保険も含まれる)。
世帯主の年齢層 | 年間払込保険料の平均額 |
全体平均 | 37.1万円 |
29歳以下 | 21.5万円 |
30~34歳 | 26.2万円 |
35~39歳 | 38.2万円 |
40~44歳 | 34.8万円 |
45~49歳 | 37.5万円 |
50~54歳 | 43.2万円 |
55~59歳 | 43.6万円 |
60~64歳 | 38.4万円 |
65~69歳 | 43.6万円 |
70~74歳 | 33.7万円 |
75~79歳 | 31.4万円 |
80~84歳 | 28.6万円 |
85~89歳 | 35.8万円 |
90歳以上 | 25.6万円 |
P38「〈図表Ⅰ-52〉世帯年間払込保険料(全生保)(世帯主年齢別)」
2021(令和3)年のデータより引用
みなさんが現在払い込んでいる保険料や、新規加入に備えて想定している保険料と比べて、どうだろうか?
自分が思っている以上に、高額な保険料を払い込んでいると感じた方もいるのではないだろうか。
逆に、意外と保険料をかけていないと驚く人もいるかもしれない。
しかし、保険の加入を検討するうえで、この「保険の相場」はあまり重視する必要はない。
生命保険の加入に際して「保険料の相場」は重要な要素か?
保険料は保障内容によって変わり、保障内容は被保険者がもつ資産や経済的責任によっても変わってくる。
多額の資産があれば保険を利用する必要はなく、医療費も家族への遺産もすべて資産でまかなえる。
また経済的責任は、被保険者の家族構成・立場・ライフステージによっても変わり、それにともない必要となる保障内容も変わる。
家族世帯では、共働きか・片働きか・自分が専業主婦(夫)かどうか、子どもの人数や教育費などにより保障内容も変わってくる。
このため保険料の相場は参考程度にとどめ、必要な保障が備わる保険商品を選び、その保険料を安くすることを考えたい。
生命保険料を安くする方法
すでに加入している保険が適正な保障内容か、保障の重複などがないかを確認し、もしあれば見直すことで保険料は安くなる。
もし共働きであれば、配偶者にも経済力があるため、自分の死亡保険金を高く設定する必要はない場合もある。
多くの住宅ローンでは団体信用生命保険への加入が前提となっており、死亡時の住宅ローン残額は、この保険が返済する。
さらに医療保険と生命保険の医療特約など保険と特約とが重複している場合も、保障が手厚いものだけ残し、残りは解約する。
これ以外に、以下の方法で保険料を安くできる可能性があるので、確認してほしい。
- 払込方法の見直し
- 払込回数の変更
月払いを、半年払いや年払いにすることで、保険料に割引が適用される。これまで毎月の給与で保険料を支払っていた場合、ボーナスでまとめて払い込む運用に変えることを検討する。 - 団体扱い
勤務先と保険会社が団体扱いの契約をしていたら、団体扱いに切り替えることで、割引が適用される。団体扱いにすることで保険料は給与から天引きされる。 - クレジットカード払い
保険料自体は安くならないが、カードのポイントが得られる。
- 払込回数の変更
- 健康優良体割引がある保険商品への切り替え
- 健康診断の結果が保険会社の定める基準以下の場合や、過去1年以上喫煙歴がない場合に適用される割引がある保険商品を検討する。
- ネット保険会社の保険商品
- 実店舗がないネット保険会社は、店舗費用やそれにともなう人件費などの固定費がかからない。このためネット保険会社では、この固定費がかからない分、保険料の割安な保険商品が多い。ただしコールセンターの対応など、サービスレベルの確認が必要だ。
相場がわかったら!掛け捨て保険料の考え方のポイント
保険料を考えるうえで、保障つまり受け取れる保険金額についても考えなければならない。
先述したように保障と保険料は連動する関係にあるため、保険金額を高額に設定すれば、保険料も高額になる。
このため自分にとって最適な保険料を考えることは、自分にとって最適な保障内容を考えることにつながる。
ここでは必要となる保障額から、最適な保険料を解説する。
また必要な保障額を考えるうえで、保険の目的や、保険の目的が変わるライフステージの変化について説明する。
必要とする保障額を考える
死亡保険金の平均金額を、世帯年収別にまとめたデータを紹介する(なお、このデータには貯蓄型保険も含まれる)。
世帯年収 | 死亡保険金額の平均額 |
全体平均 | 2,027万円 |
200万円未満 | 952万円 |
200~300万円未満 | 990万円 |
300~400万円未満 | 1,280万円 |
400~500万円未満 | 1,575万円 |
500~600万円未満 | 1,977万円 |
600~700万円未満 | 2,253万円 |
700~1,000万円未満 | 2,493万円 |
1,000万円以上 | 3,731万円 |
P28「〈図表Ⅰ−33〉 世帯の普通死亡保険金額(世帯年収別)」
全生保のデータより引用
また医療保険の保障を考えるうえでは、費用の負担が大きくなる入院費用を前提に検討する。
以下では、1日あたりの入院費用と入院日数の平均値を紹介する。
入院費用(自己負担額)※1 | 平均入院日数※2 |
20,700円/日 | 32.3日 |
上記入院費用には、治療費・食事代・差額ベッド代・交通費(見舞いに来る家族の交通費も含む)・衣類・日用品費などを含む。
※2:出典 公益財団法人生命保険文化センター「入院した場合、入院日数は何日くらい?」
疾病別で整理すると、最も入院日数が長期になるものは統合失調症の570. 6日となる。一方で最も短いものは、ウイルス性肝炎の13. 8日だ。
これらのデータは、保障内容を考えていくうえでの参考になるだろう。
ライフステージの変化に応じて保障内容を見直す
保障内容を考えるうえで、もう一つ重要なことは、被保険者がもつ家族への経済的責任だ。
この経済的責任は、ライフステージの変化によって変わるため、その変化に合わせて保障内容も見直さなければならない。
結婚や出産で経済的責任は段階的に大きくなるが、子どもが巣立てば経済的責任は大幅に減る。
ライフステージの変化、つまり経済的責任が変化するタイミングで保険の見直しを行うべきだ。それにより保険料も変わることを認識しておこう。
掛け捨て型生命保険の保険料の相場は参考程度に!自分に合った保険選びを
本記事では生命保険の相場、掛け捨て型保険のメリットやデメリット、そして自分に最適な保険の選び方を解説した。
保険を選ぶ際には、保障目的と保障内容・保険料・保険期間など、さまざまなことを考慮して検討する必要がある。
しかし膨大な保険商品から、自分に最適な保険を選び出すことは難しいため、保険のプロに相談することをおすすめする。
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