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医療保険と社会保険の違いとは?利用法や注意点について解説

この記事で解決できるお悩み
  • 公的医療保険制度の概要や給付制度について知りたい
  • 公的医療保険と民間医療保険の違いを知りたい
  • 民間医療保険を利用する上でのポイントを知りたい

医療保険と社会保険、この言葉を聞いてその違いについて考えたことはあるだろうか。

結論から言うと、公的医療保険は社会保険の一種であり、民間の医療保険は社会保険に含まれない。

本記事では、公的医療保険制度について説明した後に、民間医療保険と公的医療保険の違いについて解説する。

さらに、公的医療保険制度をカバーする民間医療保険を利用する際のポイントについても解説する。

医療保険について詳しく知りたいと考えている方は、ぜひ参考にしてほしい。

目次

公的医療保険とは

公的医療保険とは 生命保険ナビ

公的医療保険とは、日本国民すべてが加入している医療保険制度のことだ。

ケガや病気で治療を受ける際に少ない自己負担で済むのは、この公的医療保険のおかげである。

国民にとってなくてはならない制度だが、どのような種類や制度があるのか、よく理解できていない方も多いのではないだろうか。

公的医療保険制度の種類・自分はどれに当てはまるのか・公的医療保険の給付制度と特徴を下記で解説していく。


公的医療保険制度の種類

公的医療保険制度の種類は、国民健康保険・健康保険・後期高齢者医療制度の3つである。

受診した際の自己負担は国民健康保険・健康保険問わず、0〜6歳に達する日以降の最初の3月31日までは2割、6〜69歳は3割。

70〜74歳は所得によって負担額が異なる。現役並み所得者は3割負担、一般・低所得者は2割負担となる。

75歳以上の方は後期高齢者医療制度に該当し、現役並み所得者は3割負担、一般・低所得者は所得により2割負担または1割負担となっている。

自分はどれに当てはまるのか

公的医療保険制度には3つの種類がある。自分はどれに当てはまるのか見ていこう。

国民健康保険

国民健康保険の加入者は自営業者やフリーランス、農業・漁業などに携わっている人、年金生活者などだ。

加入者に扶養している家族がいる場合は、家族も国民健康保険に加入することになる。国民保険には扶養という概念がないため、家族全員分の保険料を納める必要がある。

健康保険(社会保険)

企業に勤める会社員や役員、公務員等は健康保険の加入対象者だ。

加入者に扶養している家族がいる場合は、加入条件を満たせば健康保険に家族も加入することができる。

保険料を計算する際に、扶養家族の人数は関与しない。

そのため、健康保険に加入していて扶養家族がいる場合は、家族も健康保険に加入した方が保険料を抑えることができる。

また、正社員だけでなく、労働時間等によってはパートやアルバイトも社会保険への加入が可能である。

後期高齢者医療制度

75歳以上(65歳以上の障害をもつ方)はすべての方が後期高齢者医療制度の対象となる。

高齢者の医療費を軽減するための医療制度だ。75歳になると自動的に移行することになるので、手続きは不要である。

後期高齢者医療制度の負担額は所得により下記のとおり異なる。

3割負担年間所得税145万円以上
年収383万円以上
2割負担課税所得28万以上かつ年金収入と他の合計所得金額が200万円以上の単身世帯の方
320万円以上の複数世帯の方
1割負担上記に該当しない方
参考:厚生労働省「後期高齢者の窓口負担割合の変更等(令和3年法律改正について)令和4年1月

公的医療保険の給付制度と特徴

公的医療保険にはどのような給付制度や特徴があるのか説明していく。

医療費の自己負担額の軽減

公的医療保険の給付制度でもっとも国民の生活に浸透しているのが、医療機関を受診した際に窓口負担を軽減する制度だ。

年齢や所得により保険料・自己負担額は異なるが日本人全員が1〜3割で治療を受けられる。

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0〜6歳
(6歳に達する日以降の3月31日まで)
2割負担
6〜69歳3割負担
70〜74歳一般・低所得者2割

現役並み所得者3割
75歳以上一定の所得がある方2割

現役並み所得者3割

上記に該当しない方1割

高額療養費制度

高額療養制度とは、医療機関を受診した際にひと月の上限を超えた額が払い戻される給付制度だ。

例えば、年収約370〜770万円の方が医療費に月100万円かかった場合は、高額療養費制度が適用され8万7,430円の窓口負担となり、年収1,000万円の方の場合は25万4,180 円の窓口負担となる。

医療費が1〜3割で済むとはいえ、手術内容や治療法により自己負担が高額になる場合もある。

そのような場合に限度額を超えた額を国が負担してくれるのだ。上限額は年齢や所得により異なる。

出産一時金

国民保険・健康保険の被保険者または被扶養者が出産した場合は出産一時金を受け取ることができる。

出産は病気ではないため保険が適用されない。

入院費や分娩費の負担を軽減するため、一児につき50万円支給されるのが出産一時金の制度だ。

なお、妊娠22週未満で出産した場合は48万8,000円となる。

出産手当金

出産手当金とは被保険者本人が出産のために会社を休み、報酬が発生しないとき標準報酬額の6割が受け取れる制度だ。

期間は産前42日(多胎分娩は98日)から産後56日までが対象である。

出産手当を受け取れる対象者は健康保険の被保険者のみだ。

つまり、会社員の扶養になっている妻や、自営業やフリーランスなどの国民健康保険加入者には出産手当金は支給されない。

介護保険制度

公的介護保険は40歳以上のすべての方が対象となり、保険料を納める義務がある。

65歳以上が「第1号被保険者」と呼ばれ40〜65歳未満を「第2号被保険者」と呼ぶ。

要介護、要支援の認定を受けたときに物品や介護サービスの利用ができる制度だ。

疾病手当金

疾病手当金は、被保険者がケガや病気で働けなくなり報酬が受けられない場合に支給される給付金だ。

被保険者とその家族の生活を守るための制度である。ケガや病気で3日以上連続で仕事を休んだときに適用され、4日目から最長1年6ヶ月まで給付金が受け取れる。

疾病手当金の制度があるのは健康保険のみなので、自営業や農業従事者などの国民健康保険に加入している方は対象外である。

葬祭費・埋葬料

国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していた方が亡くなった場合、葬祭費として1〜7万円受け取ることができる。

葬儀を行った翌日から2年以内が申請期限だ。国民健康保険または後期高齢者医療制度の資格喪失手続き(14日以内)をする際に葬祭費の申請も行うといいだろう。

健康保険に加入していた方が亡くなった場合は、一律5万円の埋葬料または埋葬費を受け取ることができる。

民間医療保険と公的医療保険

民間医療保険と公的医療保険 生命保険ナビ

公的医療保険には、医療費の軽減や国民の生活を保障するためのさまざま制度があることがわかった。

「公的医療保険に加入していれば民間医療保険に加入する必要はないのでは?」と思う方もいるだろう。

しかし生命保険文化センターの調査によると民間医療保険の世帯加入率は93,6%となっている。10人中9人以上の方が公的医療保険とは別に民間医療保険に加入しているのだ。

ここからは民間医療保険は公的医療保険とどのような違いがあるのか解説していく。

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民間医療保険の概要と特徴

民間医療保険とは、各保険会社が販売している保険商品である。

保障内容は各保険会社、各商品で異なるが、ケガや病気で入院・手術をした際に給付金が支払われるのが一般的だ。


公的医療保険との違い

公的医療保険は所得に応じて保険料を支払い、日本国民全員が加入している。

一方民間医療保険への加入は任意だ。加入をする際は各保険会社、各保険商品から自分で保険を選ぶ必要がある。 


公的医療保険を利用する際の注意点

公的医療保険を利用する際の注意点は下記の3点だ。

  • 高額療養費制度は月ごとに設定される
  • 公的医療保険の対象外の費用が発生する
  • 公的医療保険は今後変わる可能性がある

詳しく解説していく。

高額療養費制度は月ごとに設定される

高額な医療費に対し窓口負担を軽減できる制度だが、高額療養制度は月ごとに上限が設定されているので入院・手術するタイミングで窓口負担が大きく変わる可能性がある。

上述したとおり、年収約370〜770万円の方が医療費に月100万円かかった場合は、高額療養費制度が適用され8万7,430円の窓口負担となり、年収1,000万円の方の場合は25万4,180 円の窓口負担となる。

しかしこの例は同じ月の1日〜末日までに100万円かかった場合の話である。

例えば月をまたいだときは窓口負担が約2倍になるので注意が必要だ。

年収370〜770万円の方で例えてみよう。

医療費が月に100万円だった場合

  • 医療費100万円(窓口負担30万円)
  • 上限額8万100円+(100万円ー26万7,000円)×1%=窓口負担額(8万7,430円)

医療費100万円が月をまたいだ場合

  • 医療費40万円(窓口負担12万円)医療費60万円(窓口負担18万円)
  • 上限額8万100円+(40万円=26万7.000円)×1%=8万1,430円
  • 上限額8万100円+(60万円=26万7.000円)×1%=8万3,430円

窓口負担は8万1,430円+8万3,430円の合計16万4,860円となる。

高額療養費制度の仕組みはあくまでも月ごとに設定されているため、受診や入院したタイミングによっては窓口負担の額が変わるのだ。

また、高額療養費制度は請求してから資格審査や支払い準備を行うため、振り込まれるまでに3ヶ月以上かかる。

そのため高額療養費制度を活用しても一旦は自分で全額支払う必要がある。

しかし事前に「高額療養費認定証」などを提示すれば、月ごとの上限額を超える分を窓口で支払う必要はなくなるので、高額な医療費がかかる予定がある場合は事前に準備しておくとよい。

公的医療保険の対象外の費用が発生する

ケガ、病気で入院・手術をした際、公的医療保険では対象にならない費用も発生する。

例えば差額ベッド代、食事代、交通費などだ。生命保険文化センターの調査によると入院した際の1日の自己負担額は約2万円となっている。

また、公的医療保険は先進医療の技術料も対象外だ。

例えばがん治療で有名な先進医療に重粒子線治療や陽子線治療があるが、1回の技術料は数百万にもなり全額自己負担となる。

公的医療保険制度は今後変わる可能性がある

日本の公的医療保険の制度は充実しているが、今後変わる可能性があることを念頭に置くべきである。

このまま高齢化が進み医療費が増え続ければ、公的医療保険の制度が変わることもありえるからだ。

公的医療保険制度の改正により、自己負担が増えることを想定して、将来の医療費に備えるべきである。

公的医療保険で賄われない費用はどうすればいいのか

公的医療保険で賄われない費用はどうすればいいのか 生命保険ナビ

公的医療保険で賄えない費用は民間医療保険や貯蓄でカバーするしかないだろう。

将来「お金がなくて治療の選択ができない」という事態を防ぐためにも、民間医療保険のメリット・デメリットを理解したうえで検討してほしい。

民間医療保険を活用するメリット

民間医療保険を活用するメリットは下記のとおりだ。

  • 自分で保障が選べる
  • 公的医療保険では対象外の費用もカバーできる

順番に解説していく。

自分で保障が選べる

民間医療保険の保障内容は多岐にわたる。そのなかから、自分で保障内容を選べることが民間医療保険のメリットといえるだろう。

「長期の入院に備えたい」「先進医療にも対応できる保険に加入したい」「まとまった一時金を受け取れる保険に加入したい」などのさまざまニーズに合わせて保障内容を選ぶことができる。

公的医療保険では対象外の費用もカバーできる

民間医療保険は、公的医療保険で対象外の費用にも備えられる。

差額ベッド代、食事代、先進医療の技術料など、公的医療保険を活用しても自己負担が高額になる可能性は十分考えられる。

また、手厚い保障や一時金が受け取れる商品を選べば、入院や治療により働けなくなった場合の収入減少にも備えられるのがメリットだ。

民間医療保険を活用するデメリット

民間医療保険を活用するデメリットは下記のとおりだ。

  • 健康状態によっては加入でない可能性がある
  • 保険料を納める必要がある

詳しく解説していく。

健康状態によっては加入できない可能性がある

公的医療保険は加入が義務づけられているため、健康状態が悪くても関係ないが、民間医療保険は健康状態によっては加入できない可能性も考えられる。

民間医療保険に加入する際は、健康状態を告知する義務がある。

入院歴や手術歴がある場合や健康診断の結果が悪い場合は加入できないこともあるので、健康なうちに加入するのが望ましいといえるだろう。

民間医療保険に加入を希望していて健康状態に不安がある場合は、引受基準緩和型医療保険や無選択型医療保険を検討しよう。

引受基準緩和型医療保険は告知事項が少ないため、一般の民間医療保険よりも加入しやすく、無選択型医療保険は告知なしで加入できるのが特徴だ。

どちらも一般の民間医療保険より保障が薄く、保険料が割高になるので加入前に十分検討しよう。

保険料を納める必要がある

民間医療保険に加入した場合、当然だが保険料を納める必要がある。

現在の生活が金銭的に苦しい方は、保険料が家計を圧迫する恐れがあるだろう。

なるべく割安な保険料で医療費に備えたい方は定期型の医療保険がおすすめだ。定期型の医療保険は期間中は割安な保険料で、高い保障を持つことができる。

ただし定期型はいわゆる「掛け捨て」になるため、解約返戻金はないことを理解して加入を検討すべきだ。

民間医療保険を選ぶ際のポイント

民間医療保険を選ぶ際のポイントは下記のとおりである。

  • 保障期間で選ぶ
  • 保障内容で選ぶ
  • 保険料で選ぶ

順番に解説するので、自分に最適な医療保険を選ぶためにぜひ参考にしてほしい。

保障期間で選ぶ

民間医療保険には定期型と終身型がある。定期型は10年更新、15年更新と期間を定めるのに対し、終身型は保険料の払込が終わっても保障が一生涯続くタイプだ。

それぞれのメリット・デメリットは下記のとおりである。

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メリットデメリット
定期型医療保険保険料が割安見直しがしやすい
高い保障がもてる
解約返戻金がない
更新時に保険料が高くなる
終身型医療保険保険料が一生変わらない
貯蓄性がある
定期型に比べると保険料が割高
見直すタイミングが難しい

民間医療保険を選ぶ際は、まず定期型・終身型の特徴を理解し保障期間を決める必要がある。

保障内容で選ぶ

民間医療保険を選ぶ際に重要なのは保障内容だ。一般的に、入院給付日額や手術を受けた際に一時金が支給される医療保険が多い。

入院日額の金額や限度日数、支払い対象の手術範囲などは各保険会社・各商品で異なるため、どのような保障が自分の生活に役立つのかを考えて検討してほしい。

保険料で選ぶ

保険は長期的に支払いが発生するものである。理想の保障内容だったとしても、家計を圧迫するほどの保険料を支払わなければならないとしたら、加入をとどまるべきだ。

将来設計をしっかりと行い、自分の収入を考慮しながら無理なく支払える範囲で保険を選ぶことが重要である。

まとめ

まとめ 生命保険ナビ

本記事では、公的医療保険の概要と、民間医療保険との違い、そして民間医療保険を利用する際のポイントについて説明した。

医療保険には、社会保険の一種である公的医療保険と民間の医療保険の2種類が存在する。

公的医療保険で賄いきれない入院時の差額ベッド代や先進医療費は、民間の医療保険で補うことができる。

ただ、民間の医療保険で先進医療費を補うためには特約を付与する必要があり、本記事を理解しただけではどの民間の医療保険を選ぶべきかわからないという人は、ぜひ保険のプロに相談することも検討してほしい。

一人一人に合ったアドバイスをもらうことで、あなたに必要な医療保険を選択することができるはずだ。

ただ、保険のプロは数多く存在し、自分にとって最適な担当なのかを見極めることもまた難しい。

そんな時はマッチングサイト「生命保険ナビ」を使えば、自身の条件に合った保険のプロを見つけ、適切な相談ができる。

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執筆者

2019年に野村證券出身のメンバーで創業。お客様と保険のプロを結ぶマッチングサイト「生命保険ナビ」を運営。「投資家が主語となる金融の世界を作る」をビジョンに掲げている。

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