- 高齢者でもがん保険に入る必要性があるのかわからない
- 高齢者ががん保険に加入する際の注意点が知りたい
- 高齢者ががん保険を選ぶ際に重視すべき点が知りたい
年齢を重ねると、がんなどの重大な疾病にかかる可能性が上がるため、がん保険に加入したいと考えている人は多いのではないか。
では、60歳以上の高齢者でもがん保険へ加入することはできるのだろうか。
一般的に年齢が上がるにつれ、保険に入る難易度や保険料は上がっていくため、加入する際の注意点を把握しておくことが重要になる。
そこで本記事では、高齢者が新たにがん保険に加入する必要性について検証し、加入時の注意点や保険を選ぶ際に重視すべき点について解説する。
がん保険への加入を悩んでいる高齢者の方には、ぜひ参考にしてほしい。
高齢者ががん保険に加入する意義とは
日本では公的医療保険制度が充実しているため「加入しなくても問題ないのでは?」と考える方もいるだろう。
年齢とともに上がるがんのリスクや必要な費用について、しっかり理解しておくことが重要だ。
高齢者ががん保険に加入する意義を解説していくので参考にしてほしい。
年齢・性別毎のがんのリスクについて
高齢者にがん保険が必要か判断する前に、まず年齢や性別毎のがんのリスクについて理解しておこう。
一般的に年齢とともに病気になるリスクは上がるものだ。
がんも例外ではなく、年齢とともにがんに罹患する確率は上がる。
第82回がん対策推進協議会によると、がん罹患者のうちの70%が65歳以上という結果になり、年数とともに高齢者のがん罹患数は増加している。
年 | がん罹患者数総数 | 65歳以上のがん罹患者数 | 65歳以上のがん罹患率 |
1980年 | 251.041 | 126.336 | 50.3% |
1990年 | 401.941 | 215.626 | 53.6% |
2000年 | 532.233 | 344.342 | 64.7% |
2010年 | 806.236 | 557.820 | 69.2% |
2014年 | 876.713 | 631.924 | 72.1% |
また、厚生労働省の性別・年齢階級別がん罹患者数(1975年、2013年)を見ると男女ともに50代後半からがんの罹患率が急激に増加しており、70〜74歳の男性のがん罹患者数は90.000人を超えている。
これらのデータから、高齢者のがんになるリスクは非常に高いといえるだろう。
高齢者ががんにかかった際に必要な費用とは
高齢者ががんにかかった際にいったいいくら必要なのかを見ていこう。
日本では70歳になると医療機関を受診した際の自己負担が2割になる。(現役並みの所得がある方は3割)
つづいて75歳になると後期高齢者医療制度に自動で移行する。
後期高齢者医療制度を活用すると、自己負担は1〜3割になる。詳細は下記のとおりだ。
3割負担 | ・年間所得税145万円以上 ・年収383万円以上 |
2割負担 | ・課税所得28万以上かつ年金収入と他の合計所得金額が200万円以上の単身世帯の方 ・320万円以上の複数世帯の方 |
1割負担 | 上記に該当しない方 |
現役並みの所得がある方は3割負担だが、それ以外の方は自己負担の割合が下がる。
このことから、高齢者ががんにかかった際の医療費負担は69歳に比べて平均的に低くなることがわかるだろう。
先進医療や入院費用をがん保険で補う
上記で後期高齢者制度の件について触れたが、公的医療保険では先進医療は対象外であることを忘れてはならない。
がん治療で有名な重粒子線治療や陽子線治療は1回の技術料で約300万円の自己負担が必要だ。
また、自己負担の割合が下がったとはいえ、入院が長期化すれば入院費も高額になる恐れがある。
高額な先進医療や長期化した場合の入院費用が貯金で補えない方は、高齢者でもがん保険は必要だといえるだろう。
高齢者ががん保険に加入する際の注意点
高齢者ががん保険に加入する際は下記の3つのポイントに注意してほしい。
加入してから後悔しないためにも、しっかり注意点を把握しよう。
加入条件が厳しくなりやすい
がん保険に加入する際は健康状態や既往歴、入院歴などを保険会社に告知する義務がある。
高齢者になると何かしらの既往歴や投薬をしている方が多いため、加入条件が厳しくなり入れる保険を見つけるのが難しい場合がある。
もし検討しているがん保険がある場合は早めに加入条件や年齢制限を確認しておこう。
保険料が高くなりやすい
がん保険に限らず、一般的に健康リスクが高くなる高齢者は保険料が高額になる。
収入源が年金のみの方にとって、高額な保険料は大きな負担になるだろう。
75歳男性・保険期間終身・払込期間終身の場合の保険料は下記のとおりだ。
保障内容も確認し参考にしてほしい。
A社 | B社 | C社 | |
保険料 | 8.654円 | 5.160円 | 7.551円 |
診断給付金 | ◯ | ◯ | ◯ |
給付金額 | 1回につき50万円 | がんのステージに応じて 1回につき25.50.75万円 | がんの診断確定時100万円/ がんの入院・通院時100万円 |
支払回数 | 無制限(1年に1回) | 支払事由に該当する場合 無制限(2年に1回) | 支払事由に該当する場合 無制限 (上皮内がん診断時と通算して1年に1回) |
上皮内がん 診断時の 給付金額 | 1回につき50万円 | 1回につき5万円 | 上皮内がんと診断確定時100万円/上皮内がんでの入院・通院時100万円 |
上皮内がん 診断時の 支払回数 | 無制限1年に1回が限度(がんとの重複支払無し) | 支払事由に該当する場合無制限 2年に1回が限度 (がんとの重複支払無し) | 支払事由に該当する場合無制限 (がん診断時と通算して1年に1回が限度) |
放射線治療 | ◯ | × | × |
給付金額 | 1回につき10万円 (がん放射線治療給付金) | _ | _ |
抗がん剤治療 | ◯ | ◯ | × |
給付金額 | 1ヶ月につき10万円 (抗がん剤治療給付金) | 1ヶ月につき 10万円 (抗がん剤治療給付金) | _ |
自由診療の 給付金額 | 1ヶ月につき20万円 (自由診療抗がん剤治療給付金) | 1ヶ月につき20万円 (自由診療抗がん剤 治療給付金Ⅰ型) | _ |
ホルモン剤 治療 | ◯ | × | × |
先進医療 給付金額 | 技術料相当額 (先進医療・患者申出療養一時 給付金との通算2.000万円限度) | 技術料相当額 (通算2.000万円限度) | 技術料相当額 (通算2.000万円限度) |
先進医療 一時金 | 15万円 (先進医療・患者申出療養給付金との通算2.000万円限度) | 1回につき20万円 (がん先進医療支援給付金) | _ |
がん治療時の保障に関する備考 | 同一月に1回限度 (抗がん剤治療給付金・ 自由診療抗がん剤治療給付金) | _ | _ |
上記のように死亡保障や入院保障がなくとも保険料が5.000〜8.000円ほどになる。
保障内容を確認しながら十分に検討する必要があるだろう。
既に入っている保険と内容が被りやすい
高齢者の場合、既に保険に入っている方が多いだろう。がん保険に加入する前に、加入済みの保障内容を必ず確認するべきだ。
これから新たにがん保険の加入を検討しているなら、加入済みの保険と保障内容が被らないように考慮して選ぼう。
高齢者ががん保険を選ぶ際に重視すべき点
高齢者ががん保険を選ぶ際にどのような点を重視すべきかわからない方も多いだろう。
そこでここでは、がん保険選びの5つのポイントを解説する。
なお、具体的な保険商品については、ライフステージや属性別におすすめのがん保険をまとめたこちらの記事で解説しているので、気になる方はぜひ参考にしてほしい。
公的医療保険や貯蓄とのバランスを考える
高齢になると退職して年金生活の方が多いのではないだろうか。
後期高齢者制度を活用しても、がんの治療費は高額になる可能性が高い。
現在の貯蓄からどれくらいの割合で治療費を補い、どれくらい保険で準備する必要があるのか把握しておくことだ。
がんの治療費を貯蓄ですべて賄えるならがん保険の必要性は低いだろう。
しかし、先進医療や手術費用、長期の入院費用に不安がある方は公的医療保険や貯蓄とのバランスを考えながらがん保険を選ぶことが重要である。
必要な保障内容を検討する
現状の把握や将来設計をしたうえで、自分にとって必要な保障を考えることが重要だ。
今は健康状態に何の問題がない方も、年齢とともに病気や介護のリスクは上がる。
加入済みの保険があるなら1度保障内容を確認したうえで、今後予想されるさまざまリスクを想定し必要な保障を検討しよう。
加入条件が緩い保険を探す
がん保険に加入したくても健康状態に不安があり、加入が難しい方もいるだろう。
そんな方におすすめなのが引受基準緩和型保険だ。
一般の保険に加入する際はさまざまな告知事項があり、健康診断書の提出などを求められるが、引受基準緩和型保険は3つの告知事項をクリアできれば加入できる保険である。
ただし、一般の保険よりも保険料は割高になるので十分に検討するべきだ。
引受基準緩和型保険にも加入できなかった場合は、無告知型の保険に加入するというのも1つの手段だ。
無告知型は名前のとおり、告知がなく誰でも加入できる保険である。
その分保険料は割高となり、保障期間や保障内容も手薄くなる可能性があるので加入前にしっかりと検討が必要だろう。
生活費のことも考える
例えば貯蓄で治療費を賄える方や、がんになったときに手厚い保障が受けられる保険に加入している方は、生活費の心配は必要ないといえるだろう。
しかし貯蓄や支給される年金額が少ない方ががんにかかった場合、入院費に加えて生活費にも備えておく必要がある。
高齢者といっても貯蓄や年金額、住居形態、家族の人数など状況はさまざまだ。
自分ががんにかかった際の治療費はもちろん、生活費のことも考えて対策をするべきである。
先進医療に対応しているか確認する
がん保険を選ぶ際は、全額自己負担になる先進医療に対応しているかを確認しよう。
また、先進医療の治療1回につき支給される限度額も加入前にしっかり把握するべきだ。
重粒子線治療は身体への負担が少ない治療のため、高齢者も治療の対象である。
万が一の際に治療の選択肢を増やすために、がん保険を選ぶ際は先進医療に対応しているものを選ぶことが重要だ。
高齢者ががん保険を選ぶポイントは、貯蓄とのバランスを考えよう
本記事では、高齢者が新たにがん保険に加入する必要性について検証し、加入時の注意点や保険を選ぶ際に重視すべき点について解説した。
がん保険に新しく加入することで、がんを治療する先進医療や長期入院した際の費用を賄うことができる。
ただ、高齢の場合は加入条件が厳しくなりやすいため、自分の既往歴などを考えながら保険を探す必要がある。
また、公的医療保険と保障範囲が被らないようにがん保険を選ぶ必要もある。
そのため、本記事を理解しただけでは入るべきがん保険がどれか判断できないという人は、保険のプロに相談することも検討しよう。
一人一人に合ったアドバイスをもらうことで、加入の必要性とあなたに合ったがん保険を的確に選択することができるはずだ。
ただ、保険のプロは数多く存在し、自分にとって最適な担当なのかをすぐに見定めることもまた難しい。
そんな時はマッチングサイトである「生命保険ナビ」を使えば、自身の条件に合った保険のプロを簡単に見つけることができる。
無料で利用できるので、是非活用してほしい。