- がん保険とがん団信の違いが知りたい
- がん保障特約付き団体信用生命保険について詳しく知りたい
- がん保険とがん団信のどちらを選ぶべきかわからない
がん保障特約付き団体信用生命保険(以下、がん団信)に加入すると、がんと診断された際に支払うべき住宅ローンの残高はゼロになる。
では、がんの治療にかかる費用をまかなうがん保険とはどのような違いがあるのだろうか。
また、どちらを選ぶべきなのだろうか。本記事では、がん保険とがん団信について、それぞれの特徴や違いを踏まえ、「どちらを選ぶべきなのか」について解説する。
あなたが住宅ローンを組む際や、がん保険に加入する際の判断材料となれば幸いだ。
がん団信(がん保障特約付き団体信用生命保険)とは何か?住宅ローンとがん保障の関係
住宅ローンを組む際、基本的に団体信用生命保険と呼ばれる保険に加入する必要がある。
契約者である被保険者に万が一があると、住宅ローンの残債を弁済してくれる保険だ。
団体信用生命保険にがんの特約が付加された保険ががん団信だ。
ただ、「がん団信が何かわからない」という人も多いかもしれない。
ここではがん団信について解説する。住宅ローンとがん保障の関係性についても記載しているので、気になる人は読んでみてほしい。
がん団信の概要
がん団信とは、一般的な団体信用生命保険にがん保障がプラスされた保険だ。
死亡や高度障害状態だけではなく、がんに対する保障もカバーされている。
保障が手厚くなる分、保険料は高くなる。一般的にがん団信に加入する際は、住宅ローン金利に0.1%〜0.3%程度上乗せされることが多い。
一般的な団体信用生命保険とがん団信との違い
一般的な団体信用生命保険とがん団信の違いは以下のとおりだ。
一般的な 団体信用 生命保険 | ・死亡や高度障害状態に備えられる ・住宅ローンを契約できる年齢で告知内容に問題がなければ加入できる |
がん団信 | ・死亡や高度障害状態に加えて、がんにも備えられる ・50歳までしか加入できないケースが多い ・審査が厳しい傾向がある |
がん団信は、一般的な団体信用生命保険よりも加入可能な年齢が低い。
そのため、がん団信を検討している人は、なるべく早めに申し込んだ方が良いだろう。
また、一般的な団体信用生命保険よりも審査が厳しい傾向がある点にも注意が必要だ。
特定疾病等を保障する団信
金融機関によってはがん保障よりも手厚い保障がセットになった団体信用生命保険を取り扱っている。
特定疾病に含まれる病気は以下のとおりだ。
3大疾病 | 悪性新生物(がん)・脳卒中・急性心筋梗塞 |
7大疾病 | 悪性新生物(がん)・脳卒中・急性心筋梗塞・高血圧性疾患・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変 |
8大疾病 | 悪性新生物(がん)・脳卒中・急性心筋梗塞・高血圧性疾患・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変・慢性膵炎 |
9大疾病 | 悪性新生物(がん)・脳卒中・急性心筋梗塞・高血圧性疾患・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変・慢性膵炎・ウイルス肝炎 |
11大疾病 | 悪性新生物(がん)・脳卒中・急性心筋梗塞・高血圧性疾患・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変・慢性膵炎・ウイルス肝炎・大動脈瘤解離・皮膚がん |
より多くの病気に備えたい場合は、7大疾病や9大疾病保障が付いた団体信用生命保険に加入する選択肢もあるだろう。
疾病の種類は金融機関によって取り扱いが違うケースもあるため、必ず加入前に保障内容を確認しておいてほしい。
がん保険とがん団信の違いとは
「がん保険とがん団信の違いがわからない」「結局どちらを選ぶか決められない」という人も多いだろう。
ここではがん保険とがん団信の違いを紹介する。
それぞれのメリットとデメリットについても言及しているので、ぜひチェックしてほしい。
がん保険の特徴
がん保険とは、がんにかかった際の経済的な負担をカバーしてくれる保険だ。
がんと診断された時点で一時金が支払われたり、通院や入院に対して給付金が支払われたりする。
「一時金のみ」「治療給付金のみ」「一時金と給付金がセット」「がんと診断された後は保険料の払い込み不要」など、商品によって保障内容は違う。
充実した保障と手ごろな保険料で人気を集めるライフネット生命の「ダブルエール」の保障内容は以下のとおりだ。
ダブルエール(ベーシックタイプ) | |
保障対象 | 悪性新生物・上皮内新生物 |
保障内容 | がん初回診断一時金:100万円(上皮内新生物の場合は50万円) 治療サポート給付金:月に1回10万円(通算・入院どちらも対応) |
保障期間 | 終身 |
30歳男性の保険料 | 月々2,341円 |
診断された後の 保険料払込 | 免除 |
先進医療 | 技術料と同額を通算2,000万円まで保障 |
責任開始日以降にがんと診断されると、一時金として100万円が支払われる。支払い限度は1回まで。
上皮内新生物と診断された場合は50%の50万円が支払われる。
また、入院・通院問わずがん治療を受けた場合は、治療サポート給付金として月1回10万円が支払われる。
治療サポート給付金は支払い回数は無制限だ。
がん保険とがん団信の違い
がん保険とがん保険の特徴を比較し、それぞれの違いを確認しておこう。
がん保険 | ・がんと診断されると一時金を受け取れる ・治療を受けると給付金を受け取れる ・先進医療の技術料もカバーしてもらえる ・がんと診断されると保険料の払い込みが免除される |
がん団信 | ・住宅ローンを組んだ人だけ加入できる ・死亡や高度障害状態にも備えられる ・保険料は金利アップ分で支払う ・健康状態によっては加入できない ・万が一の場合は住宅ローンの残債がなくなる |
まず保険料の払い込み方法が違う。がん保険は口座振替やクレジットカード払いによって払うのに対して、がん団信は住宅ローン金利アップ分が保険料に該当する。
また、加入しやすさにも違いがある。健康状態に不安がある人でも加入できるがん保険はあるが、がん団信はない。
持病や既往歴のある人でも加入できる可能性があるワイド団信には、がん特約を付加できないからだ。
そして保険金の受け取り方も違う。がん保険では一時金や給付金を受け取ることによって収入が増えることになる。
一方、がん団信は住宅ローンの残債がなくなるシステムだ。
手元の現金は増えないため、医療費は貯蓄でまかなう必要がある。
ただ、最近のがん団信には一時金や給付金が支払われる商品もある。
がん保険のメリットとデメリット
がん保険のメリットは以下のとおりだ。
- 一時金や給付金が支払われる
- 治療給付金には制限がない
がん保険は一時金や給付金が支払われるため、がんの治療費だけではなく収入がなくなった期間の生活費としても使用できる。
使い道が自由な点が、がん団信にはないメリットだ。
また、一般的な治療にともなう給付金は限度がないため、長期間にわたる治療にも備えられる。
入院・通院の両方に対応しており、安心して治療を受けられるのもメリットだ。
一方、がん保険のデメリットは以下のとおりだ。
- 保険料が高くなりやすい
- がん以外の病気は保障の対象にならない
がん団信と比較すると、がん保険は高額になりやすい。そのため、家計にかかる負担が重いのも事実だ。
また、がん以外の病気は保障の対象外となる。
別の病気やケガによる治療に備えたい場合は、医療保険にも加入しなければならない。
がん団信のメリットとデメリット
がん団信のメリットは以下のとおりだ。
- 家計にかかる負担が軽い
- 住宅ローン返済の心配がなくなる
がん団信に加入すると、0.1%〜0.3%程度アップした金利分で保険料を支払うことになる。
トータル3,000万円を35年返済する場合に金利が0.1%上乗せされると、返済額は1,333円高くなる。
つまり、毎月の保険料は1,333円だ。がんと診断された時点で1,000万円以上を受け取れる可能性がある保障が、月1,000円程度で確保できるのは非常に良いだろう。
また、がんと診断された時点で住宅ローンの残債がなくなるのも大きなメリットだ。
残っている額に対して保障額が決定するため、若いうちに罹患した場合でも家族が暮らせるマイホームを維持できる。
一方、デメリットは以下のとおりだ。
- 完済すると保障期間が終了する
- 上皮内新生物では保障されない
- 契約後は内容を変更できない
がん団信の保障期間は住宅ローンの返済期間のみだ。そのため、完済するとがん保障がなくなってしまう。
繰り上げ返済した場合も同様に保障が終了するため、計画的に返済する必要がある。
がん団信は上皮内新生物が対象外のケースが多い。また、団体信用生命保険は加入後の保障見直しや解約に対応していない。
そのため、契約を見直したい場合は、他行などに住宅ローンを借り換えて別の団体信用生命保険に加入する必要がある。
ただ、もう一度審査を受けることになるため、健康状態によっては否認される可能性に注意が必要だ。
がん保険とがん団信のどちらを選ぶべき?
結論、どちらを選ぶべきというのはない。それぞれのライフスタイルや家計の状況によって、合っている商品が異なるからだ。
ここでは、がん保険がおすすめな人の特徴とがん団信がおすすめな人の特徴を紹介する。
最後にがん保険を選ぶ際のポイントも解説するので、気になる人は確認してほしい。
がん保険がおすすめな人
がん保険がおすすめな人の特徴は以下のとおりだ。
- 貯蓄が少ない人
- 先進医療を受けたい人
- フリーランスや自営業などの個人事業主
貯蓄が少ない人にとって、一時金や給付金が支払われるがん保険は合っているだろう。治療費や生活費を確保できるからだ。
また、先進医療を受けたい人にもおすすめだ。商品ごとに違いはあるものの、通算2,000万円までは実際にかかった技術料と同額が保障される。
入院によって仕事ができなくなると収入が大幅に減少するフリーランスや自営業などの個人事業主も、がん保険に加入しておくと安心だ。
がん団信がおすすめな人
がん団信がおすすめな人の特徴は以下のとおりだ。
- がんに罹患した場合の住宅ローン返済をなくしたい人
- 住宅ローンの借入額が大きい人
がん保険の場合、罹患しても一時金や給付金が支払われるのみで、住宅ローン返済はなくならない。
継続的に住宅ローンを返済する必要があるが、がん団信に加入していると残債は0になる。
住宅が完全に自分の所有物となり、使い道は自由だ。
また、住宅ローンの借入額が大きい人にもおすすめである。残債が多いタイミングでがんに罹患すると、数千万円という大金を保障してもらえるからだ。
がん保険を選ぶ際のポイント
がん保険を選ぶ際に重視すべきポイントは以下のとおりだ。
- 必要な保障内容をカバーしているか
- 今の健康状態で加入できるか
- 給付金が支払われる条件や支払い回数の限度
「診断一時金のみ」「治療給付金のみ」「診断一時金と治療給付金」のように、商品によって保障内容は違う。がんと診断された際に焦らないよう、事前に保障内容を確認しておこう。
がん保険に加入する際、告知が必要となる。そのため、健康状態に不安がある人は加入できない可能性もある。
病歴や既往歴のある人は、加入条件が緩和された緩和型保険を探してみると良い。
また、給付金が支払われる条件や支払い回数の限度にも商品ごとの違いがある。
「診断一時金は悪性新生物のみで1回まで」「診断一時金は悪性新生物と上皮内新生物の両方に対応するが1回まで」「診断一時金は2回まで」「上皮内新生物の場合は50%の一時金を支給」など、商品によって給付金が支払われる条件や支払い回数の限度は違う。
がんに罹患した場合でも安心できるように、保障内容や支払い回数は必ずチェックしておくべきだ。
がん保険に加入する際は、今回紹介したポイントを見ながら選択してみてはどうだろうか。
がん保険とがん団信の違いを知って賢く選択しよう
本記事では、がん保険とがん団信について、それぞれの特徴や違いを踏まえ、「どちらを選ぶべきなのか」について解説した。
万一の際、がん保険には給付金を受け取ることで収入を増やす役割がある。
一方がん団信には支出を減らす役割がある。その適性や必要性については、各保険の特徴を理解し、また自分自身の生活環境や経済状況、健康状態を考慮して判断することが求められるのだ。
そのため、どの保険に入るべきかの判断に少しでも疑問や不安があれば、保険のプロに相談することも積極的に検討してほしい。
一人一人に合ったアドバイスをもらうことで、あなたに合ったがん保険を見つけることができるはずだ。
また、保険のプロは数多く存在し、その中から自分にとって最適な担当を見つけるのは難しいだろう。
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