- 医療保険を一度使った後の保険料の影響を知りたい
- 医療保険を利用した後、保障が継続されるのかがわからない
- 医療保険の利用に関して注意すべきポイントを抑えたい
万が一のことがあった際に医療保険を利用する場面もあるはずだ。
しかし、一度保険を利用すると今後の保険料が増えるのか、その後の保障は継続するのかなど不安や疑問を抱えている方も多いのではないだろうか。
本記事では、医療保険を一度利用した後の保障内容や保険料の変化、利用に関する注意点について解説していく。
医療保険への加入を検討している方や、既に加入している方で保険を見直したいと考えている方には、ぜひ最後まで読んでほしい。
医療保険を一度使うとどうなるの?
医療保険に加入していれば、入院や手術のあとに保険金を請求しようと考える人は多いだろう。
だが中には、一度請求してしまうと、保険が消滅してしまったり、保険料が高くなったりと思って、請求を躊躇する人もいるかもしれない。
医療保険を使ってしまうと、現実はどうなのかを詳しく解説しよう。
医療保険がなくなることはない
加入している医療保険の保険金を請求するとどうなるのか。
結論から言うと、保障はそのまま続くし、保険がなくなることはない。
医療保険では、病気やケガをしたときに保険金が支払われる。
事前に決めた入院日額に応じて、実際の入院日数分が支払われる入院給付金と、手術を受けた際に支払われる手術給付金がメインの保障となる。
また、日帰り入院にも対応できるよう、通院給付金が設定されている保険も多い。
その他、高額な医療技術を使った先進医療用の先進医療給付金も一般的だろう。
これらの給付金ごとに何度も使えるか、制限がないかについて、詳しく見ていこう。
入院給付金
入院給付金は何度でも請求することが可能だ。
たとえば、がんに罹患すると、一度完治しても、一年後に再発や転移することもある。
そのつど入院治療を行うだろうが、一度しかもらえないと、高額な医療費をその後は自己負担しなくてはならなくなってしまう。
ただし、再入院の際には180日ルールがあるので注意が必要だ。
180日ルールとは、複数回入院するときに、初回の退院日の翌日から180日以内に、同一の疾病で再入院した場合、初回の入院日数と合算されてカウントされてしまうというものだ。
通常の医療保険では、1入院あたり60日や120日と限度日数を設けていることがあり、これにひっかかってしまう。
たとえば、1入院あたり60日限度と設定されていた場合、初回入院が50日間で、その後退院してから180日以内に同じ病気で入院すると、残り10日間分しか入院給付金が支給されないということである。
ただ、保険商品によっては、三大疾病や七大疾病での入院の場合、支払い日数を無制限で保障しているものなどもあるため、保険会社のWebサイトやパンフレットで確認してほしい。
手術給付金
手術給付金も何度でも請求することが可能である。
手術給付金は、入院日額の5倍、10倍といった金額を受け取れるように設定されているのが一般的だ。
1,000種類もの手術を対象とする医療保険もあり、前回と同じかどうかなどに関わらず、何回でも請求可能となっている。
ただし、60日に1回の手術に限定している保険会社や医療保険もあったり、1日に複数回の手術には対応していない(1日1回まで)といった制限があることも多いので、詳細は保険会社にそのつど確認してほしい。
その他の給付金
医療保険のメインは入院給付金と手術給付金で、原則何回でも受け取り可能であることは、前述の通りだ。
では、それ以外の給付金はどうなるのかというと、それぞれごとに確認が必要となる。
たとえば、先進医療特約の給付金であれば、先進医療の手術や治療にかかった実費分が支給される。
ただし上限金額が保険によって決まっているので(上限2,000万円が多い)、支給された額が累積で上限金額に達するとそこで終了となる。
がん診断一時金は、保険会社によって異なることが多い。
初回に診断された一度きりしか支給されない場合もあれば、1年以上経過すれば何度でも受け取れる設定の会社もある。
通院給付金も、保険会社によって異なる。
退院後の通院日数30日分までという保険もあれば、通算50回分という保険もあり、各社に確認する必要があるだろう。
医療保険は一度使っても保険料は変わらない
「医療保険を利用すると保険料が上昇するかもしれない」と悩む人がいるかもしれない。
だが、そんな心配は必要なく、保険料は変わることはない。
医療保険は、一度保険金を請求したからと言って、保険料が増えることは全くない。
逆に、保険によって保険料払込免除特約があれば、保険料が増えるどころか、支払いが一切不要になることもある。
また、定期型医療保険の期間更新時の保険料にも、影響することは全くない。
確かに、自動車保険の場合、保険を使うと翌年の支払いから保険の料率が上がり、保険料も高くなることはある。
自動車保険を使うと、事故を起こすリスクが高いと判断されるのが原因だが、医療保険においては一度病気やケガをしたからといって、その後、病気やケガのリスクが上がるわけではない。
「保険料が増加するのではないか」と気遣い過ぎて医療保険を利用しないようにする必要はない。
保障が必要な時には、どんどん積極的に、安心して医療保険を使用しよう。
保障期間も変わらない
保障期間も保険料と同様で、保険の利用有無によって変更されることはない。
保障期間は契約時に定められた約款に基づいており、保険金を請求したとしても、当初取り決めた期間のあいだは、同じ保障が適用される。
自ら解約するのは別として、一度締結した契約事項が変更されることはないということだ。
その医療保険が、定期型のタイプだったとしても、次回の更新時に保険金の請求の有無が影響することはない。
一度給付金を請求したからといって、医療保険の保障が途切れたり、更新時に契約が打ち切られることはないので、必要時には正しく請求して使っていこう。
一度使っても保障は続く!医療保険の保険金請求時の手続き方法と必要書類
万が一のことがあった際には、必要な保険金を請求するが、いつ請求すればいいのか、その方法や必要な書類などについて、解説する。
医療保険の保険金はいつ請求すればいい?
病気になって手術を受けたり、ケガを負って入院治療を受けたりした場合、保険金はいつ請求するのがいいのだろうか。
入院給付金であれば、入院日数分を請求するため、退院したあとに請求することになる。
がん診断一時金や入院一時金は、その事象が判明したとき(がんと診断されたとき、入院したとき)以降であれば、請求することが可能だ。
手術給付金は、手術後に請求することになる。
なお、保険業法では、保険金の請求権は3年で消滅時効になると規定されている。
退院後、慌ただしくて請求するのを忘れてしまったといったことがないよう、早めにまとめて請求するようにしたい。
医療保険の保険金を請求する方法は?
保険会社によって異なるが、スマホやPCを使ってWebから請求の手続をすべて完了できるところもあるし、書面を用意して請求する必要がある会社もある。
自分の加入している保険会社はどの方式に対応しているか、事前に確認しておこう。
Webで請求手続きを行う場合の大まかな流れは以下のようになる。
- Web上で必要な情報を入力
- 必要書類を写真撮影してアップロード
- 提出完了
- 審査後保険金受け取り
わざわざ、書類を郵送することなく、時間を気にせず手続きできるうえ、保険金の支払いも迅速に完了するので、可能であればこちらのWeb請求で行うといいだろう。
書類を用意して記載する場合の大まかな流れは以下の通りとなる。
- 保険金請求に必要な書類の取り寄せ
- 必要書類を準備
- 書類に記入・捺印
- 保険会社へ郵送で提出
- 審査後保険金受け取り
保険会社と請求書類のやりとりだけでも日数がかかるので、面倒かもしれないが、書類を郵送する方式しか対応していない場合もある。
手続きについては、保険会社の契約者向けWebページや、電話で問い合わせができるはずだ。
きちんと確認して迅速な手続きを進めたい。
請求時に必要な書類とは?
保険金を請求する際は、保険会社や給付の内容によって必要な書類が変わってくるので、これも保険会社にきちんと確認しておこう。
医療に関する給付金の請求となるので、通常は病院からの診断書が必要となる。
また、入院や手術を受けたときは、該当の医療機関が発行した領収書や診療明細書、調剤薬局発行の領収書も準備しておいたほうがいいだろう。
使えないこともある!医療保険の適正な利用について
契約している医療保険から、該当する保険金や給付金を請求する際にも知っておかなければならないことがある。
たとえば、手術給付金はどんな手術でも請求できるわけではないこともそうだし、
告知書に嘘の情報を記載していたり、伝えなければならないことをわざと書かなかったりした場合にも、保険金を受け取れないことがあるのだ。
また、複数の医療保険に加入した場合には、それぞれから保険金を受け取れるのかについても、以下で詳しく説明しよう。
医療保険が使えないのはどんなとき?
入院給付金や手術給付金の請求をしても、支払ってもらえないことがある。
- 医療保険適用外の場合
- 告知義務違反の場合
- 重大事由による解除
医療保険適用外の場合
医療保険の手術給付金では、すべての手術に対して受け取り可と思っている人がいるが、そうではない。
たとえば、保険による保障が始まる前(責任開始期前)に発生していた病気やケガが原因のものは、責任開始後に手術を行っていたとしても、給付を受けることはできない。
保障適用外の治療や手術だった場合も同様だ。
具体的には、治療を目的としていない手術がそれにあたる。
美容整形、不妊手術、診断や検査(生検や腹腔鏡検査など)のための手術などが該当すると言われている。
また、保険商品によっても異なるが、対象は公的医療保険制度でカバーされる手術を保障するところが多い。
逆に、対象外の手術は、以下のようなものだ。
- 傷の処理(創傷処理、デブリードマン)
- 切開術(皮膚、鼓膜)
- 骨・関節の非観血的整復術、非観血的整復固定術および非観血的授動術
- 抜歯
- 異物除去(外耳、鼻腔内)
- 鼻焼灼術(鼻粘膜、下甲介粘膜)
- 魚の目・タコ切除術(鶏眼・胼胝切除術)
- 参考:ライフネット生命「対象となる手術と対象外の手術を教えてください」
告知義務違反の場合
契約者や被保険者の故意または重大な過失によって、当初、告知していた内容が事実と異なる場合、告知義務違反と指摘されることがある。
そうなると、契約が解除となり、保険金や給付金が受け取れないことになる。
たとえば、医療保険加入前に、慢性C型肝炎の通院歴があった人が、告知書にそれを書かずに契約し、契約後に慢性C型肝炎が原因の肝臓がんにより、入院・手術を受けた場合がそれにあたる。
この場合、告知義務違反として、保険金が支払われないことがある。
自分を守るためにも、告知は正直に正確に行わなければならない。
重大事由による解除
以下の重大事由に該当し、保険契約が解除となると、保険金を受け取ることはできない。
- 保険金を詐取する目的で事故を起こしたとき
- 保険金請求に関する詐欺行為があったとき
- 契約者、被保険者、受取人が、反社会的勢力に該当すると認められるとき
これらの点には十分に留意しておき、必要な給付をスムーズに受けるようにしよう。
複数の医療保険に加入できる?
医療保険において、複数の保険から給付金を請求できるのだろうか。
これは、異なる医療保険に加入していても、それぞれの保険が提供する保障内容であれば、給付を受けることが可能だ。
医療保険は、実費補償するタイプを除くと、実際に発生した医療費を補填するものではない。
当初の契約に明示された保障を、決まった金額で給付する仕組みである。
たとえば、同時に2つの医療保険に加入している場合、それぞれの契約で定められた保障内容に基づいて、2つの医療保険から給付金を受けることができる。
この仕組みは、保険契約者がより充実した保障を得るために、複数の医療保険に加入することができる柔軟性を提供している。
ただし、具体的な給付金の算出や手続きは各保険会社のポリシーが影響するため、契約書や保険料の設定などをよく確認することが重要だろう。
一度使っても同じ保障でまた使える!医療保険を効果的に活用しよう!
本記事では、医療保険を一度利用した後の保障内容の変化の有無や万が一のことがあった場合の手続き方法、医療保険を利用する際の注意点について解説した。
医療保険は、病気やケガから自分を守る重要なツールである。
また、病気になり一度保険を利用した後でも保障は続くので安心してほしい。
しかし、入院時の180日ルールは考慮する必要があるし、回数や金額に制限がある給付金もあるので、保険内容をよく確認した上で加入しよう。
もし、内容が理解できず、一人で検討することが難しければ保険のプロに相談することをおすすめする。
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