- 5000万円の生命保険にかかる月々の費用について知りたい
- 保険金をいくらに設定するべきかわからない
- 生命保険に加入する際のポイントや必要性について理解したい
もしものことがあった時に、自分や家族を守る生活保障が給付される生命保険。
家族のことを考え、高額な生命保険への加入を検討している方もいるだろう。
しかし、死亡保険金はどのくらいの額に設定するのが良いのだろうか。
本記事では、5000万円の死亡保険金を例に、生命保険に加入する際に発生する月々の費用や高額保険の必要性について解説する。
また、考えられる税金の問題や保険に加入する際のポイントについても解説していく。
生命保険への加入を検討している方や、既に加入している方で、適切な保険金額がわからないとお悩みの方には、ぜひ最後まで読んで参考にしてほしい。
5000万円の生命保険にかかる費用
生命保険を5000万円に設定すると、どれぐらいの保険料になるのだろうか。
ここでは具体的な商品の保険料を紹介する。
また、どんな人が5000万円の保険に入っているのか、そして高額な保険の必要性についても解説する。
生命保険5000万の保険料と保障内容
死亡保険金を5000万にした生命保険の保険料について、実際の商品を参考にみていこう。
なお、どちらの商品も以下の条件で算出した。
[死亡保険金額5000万円・35歳・保障期間は60歳まで・返戻金なし・掛け捨てタイプ]
ソニー生命「平準定期保険(無配当)」
非喫煙者向けの料率も設定され、健康な人ほど割安の保険料が適用される。また、保険金額が一定額以上の場合には割引制度もある。
月々の保険料は、男性が15,350円、女性が11,450円となった。
オリックス生命「死亡保険FineSave(ファインセーブ)」
病気や事故だけではなく、災害での死亡も保障する。また、余命6か月以内と診断された際に死亡保険金額の全部または一部の金額を生存中に支払うサービスもある。
月々の保険料は、男性が12,450円、女性が9,150円となった。
死亡保障の金額を5000万円に設定できる生命保険にネット経由で申し込める商品は少なく、対面もしくは郵送での加入となる。
また、保険金が高額な分、告知だけではなく、健康診断結果の提出や医師の診査が必要な場合もある。
さらに、職業や年収によって加入できる保険金額が決められていることもある。
必ずしも希望通りの金額で契約できるわけではないため注意したい。
5000万の保険に入っている人はどんな人か
5000万の生命保険に加入している人はどのような人なのか。
(公財)生命保険文化センターの調査によると、世帯の死亡保険金額の割合は次のように分布している。
死亡保険金額 | 200万円未満 | 200-500万円未満 | 500- 1,000万未満 | 1,000-1,500万円未満 | 1,500-2,000万未満 | 2,000-3,000万円未満 | 3,000-5,000万円未満 | 5,000-1億円未満 | 1億以上円 | 不明 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
5.1% | 8.5% | 11.0% | 10.6% | 6.5% | 9.2% | 10.7% | 4.9% | 0.9% | 32.6% |
保険金額5000万円から1億円は、全体の4.9%にあたる。
他の設定金額より割合は少ないものの、一定数の人が死亡保障を5000万円に設定し加入していることがわかる。
続いて、年齢別の死亡保険金平均額をみてみよう。
年齢 | 全体 | 29歳以下 | 30-34歳 | 35-39歳 | 40-44歳 | 45-49歳 | 50-54歳 | 55-59歳 | 60-64歳 | 65-69歳 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
死亡保障金額 | 2,027万円 | 1,759万円 | 2,516万円 | 2,535万円 | 2,714万円 | 2,980万円 | 2,296万円 | 2,312万円 | 2,033万円 | 1,478万円 |
世帯全体の死亡保険金額平均は2,027万円となっている。
年齢別に見てみると、子どもの養育費や教育費が多くかかる30代前半から金額が増えている。40代後半で2,980万円とピークになり、それ以降は少しずつ減少している。
それでも保険金額5000万円は、どの世代よりも大きく上回り、極めて高額であることが分かる。
では、世帯年収別の死亡保険金額はどうだろうか。
年収 | 200万円 | 200-300万円 | 300-400万円 | 400-500万円 | 500-600万円 | 600-700万円 | 700-1000万円 | 1000万円以上 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
死亡保険金額 | 952万円 | 990万 円 | 1,280万円 | 1,575万円 | 1,977万円 | 2,253万円 | 2,493万 円 | 3,731万 円 |
年収別では、世帯年収が高くなるほど保険金額も高額な結果となった。
世帯年収「1,000万円以上」では3,731万円となっているが、それでも死亡保険5000万円には届かない。
年収1,000万円以上の平均額を大きく上回る5000万円を設定している人は、かなりの高収入であることが想定できる。
高額な保険金が必要なケース
高額な保険金を設定する必要があるのは、次のような人だ。
収入が多い
収入が多く教育・住宅ローン・生活に費用をかけている場合は、もしもの時の資金を潤沢に用意する必要がある。
世帯主がメインで収入を得ている場合、亡くなってしまうと家族への経済的ダメージは極めて大きい。
将来の不測の事態に備え、リスクを回避する観点から、高額な生命保険に加入する必要がある。
自営業で保障が少ない
自営業は公的な保障制度が会社員や公務員と比べて、やや手薄になっている。
残された家族が受け取れる遺族年金は、会社員であれば遺族基礎年金と遺族厚生年金の2つが支給される。
しかし自営業の場合、遺族基礎年金のみの受取りとなる。
自営業者の遺族に支給される遺族年金の金額は、会社員の遺族に支給される遺族年金の金額よりも少ない。
自営業の場合は、公的保障の不足分を補うため、生命保険で大きな保障を用意する必要があるのだ。
会社を経営している
事業を行っている場合、その人が亡くなることで企業の経営に混乱が生じる可能性がある。
万一の際に会社にまとまった金額が用意できれば、事業の継続や経営幹部の代替を確保するための資金として補うことができ、経営の安定に役立てられるだろう。
5000万円の生命保険は必要?適切な保険金の考え方
死亡保険金の必要金額は「死亡時に必要な金額」から「死亡時に受け取れる金額」を差し引くことで分かる。
ここでは、詳しい算出方法や考慮するべき点を説明する。
残された家族の必要額を明確にする
まずは、家族に必要な費用を把握しよう。例えば、次のようなものがある。
葬儀費用
通夜や告別式などの葬儀代や墓代等の資金は、死亡後すぐに必要になる。
基本的に分割払いはできないため、保険で備えておくと安心だ。
家族の生活費
突然収入が途絶えてしまう可能性があるため、家族にかかる当面の生活費を用意しておかなければならない。
普段の生活の支出を把握した上で、どのくらいの年数にわたって、いくらくらいの生活費が必要になるかを考えよう。
「毎月の生活費×必要な年数」を計算することで、家族に必要な生活費の総額がある程度イメージできるようになる。
なお、支出に波がありはっきりと分からない場合は、自分の年収×3〜5年分を目安に想定してみると良い。
子供の教育費・養育費
教育費として必要な額は進路によって大きく異なるが、文部科学省の調査によると小学校・中学校・高校・大学をすべて公立で通ったとしても、その総額は約820万円にものぼる。
そしてここには習い事や塾の費用は含まれていない。
子どもの将来の幅を狭めないためにも、多めの資金を確保しておきたい。
住居の費用
住宅に関する必要額は、持ち家か、賃貸かで変わってくる。
ローンを組んで住宅を購入している場合、多くの方が団体信用生命保険に加入しているだろう。
その場合、万が一契約者が亡くなった際には保険が適用され、以降の住宅ローンの返済は免除される。
そのため、ローン返済残高を必要額に算入する必要はない。
一方、賃貸の場合には引き続き家賃を支払う必要があるため、住居費も保険金に含めて検討しなければならない。
公的制度や貯蓄も考慮する
万一の際の必要額が把握できたところで、続けて死亡後に入ってくるお金について確認し、その分を差し引こう。
残された家族に対しては、公的な保障制度が適用される他、勤務先の弔慰金が出る場合もある。
そのため、不足する金額のすべてを死亡保険で用意する必要はない。
公的保障制度としては、遺族年金や児童扶養手当があげられる。
遺族年金は、遺族基礎年金と遺族厚生年金に分かれ、遺族基礎年金であれば「子のある配偶者」または「子」に支給される仕組みだ。
金額は年額795,000円となり、子どもの人数に応じて加算される。
遺族厚生年金は会社員や公務員の方がお亡くなりになった際に支給され、金額は死亡した方の収入によって異なる。
一方児童扶養手当は、たとえば全額支給の場合だと月額44,140円が支給され、こちらも子どもの人数に応じて加算される。
これらの公的な保障制度での支給分については、自分に当てはまるものを正確に把握した上で、必要額から差し引いておこう。
また、配偶者が働いている場合、もしくは将来的に働く可能性がある場合には、配偶者の収入分も差し引いて算出すると良い。
相続税とインフレに注意する
必要額から公的保障や配偶者の収入を差し引くと、おおよその保険金額の目安が分かる。
しかし、他にも気を付けるべきことが2点ある。
相続税
亡くなった人から資産を受け継ぐときは相続税を支払う必要がある。
ただし、死亡保険には相続税の非課税枠が設けられている。
死亡保険受取り時は「500万円×法定相続人の数」までが非課税となり、受取額がそれを下回る場合には税金がかからない。
たとえば、一括で受け取った死亡保険金が5000万円で法定相続人が2人(配偶者と子ども1人)の場合、1,000万円までは非課税になり、残りの4,000万円が課税対象となる。
このケースであれば4,200万円以内に収まっているので相続税は発生しない。
しかし、保険金が高額で法定相続人が少ないケースだと、相続税が発生する場合もある。
高額の保障額を検討するときは、実際に受け取れる額が、想定額よりも少なくなってしまうことがないよう、税金についても注意しなければならない。
- 参考:国税庁「相続税の税率」
インフレ
死亡保険金はインフレに伴う影響も考慮して設定することが重要だ。
物価が高騰することで相対的に現金の価値が下がり、契約当時であれば十分だった保険金が受取時には不足するということも考えられる。
保険金額の設定においては、今後の経済情勢や金利動向といった外部環境も踏まえて検討しなければならない。
あなたに合った保険の見つけ方
ここまで、保険金額という観点から自分に必要な保険の考え方を解説してきたが、実際に保険を選ぶ際にはこれ以外にも考慮するべき点がある。
そこで最後の章では、自分に合った保険を見つけるためのポイントを3つ説明する。
なぜ生命保険に加入するのかを明確にする
高額な保険料を払って生命保険に加入する以上、加入目的はしっかりと把握しておきたいところだ。
保険に入る目的があやふやなままだと、必要な時に必要な保障を受けられないことがある。また、不要な保障のために余計な保険料を支払ってしまう場合もある。
生命保険に加入するきっかけや目的は、次のように人によってさまざまだ。
- 社会人になったので将来へのリスクは自分で備えたい
- 結婚や出産で家族が増えた
- がんなど特定の病気に対する備えを充実させたい
- 老後の生活資金を確保しておきたい
それぞれの目的によって必要な保障や商品は違ってくるので、自分のケースに置き換えて検討することが大切だ。
目的を明確にするには、具体的に次のことをイメージすると良い。
- 誰のために入るか
- 将来のライフプランにおいて、経済的に困る人は誰なのか考える。
- どんなときのために用意するか
- 経済的に困るのはどんなときか考える。たとえば、葬儀費用・教育費・生活費など。
ライフプランに応じて調整する
保険金額や保険期間を検討する際は、年齢や家族構成を重視する。
いずれもライフプランに応じて変化するものなので、その時点において適宜検討する必要がある。
たとえば、ライフステージが変化すると必要な保障は次のように変わる。
- 結婚
- パートナーのための保障が必要となり独身のときの内容では不足することがある
- 出産
- 子どもが生まれると、夫婦2人の保障内容のままでは教育費が足りないこともある
- 子どもの成長
- 子どもの年齢に応じて必要な教育費は変化し、独立後は死亡保険で備える必要のある金額が減っていく
- 定年後
- 年金が主な収入となり、収入減に備えるための高額な死亡保障の重要度は下がる
今から何年後に、どのようなライフイベントがあるかを想定しながら保険を検討していくと、今後必要な保障、不要な保障がみえてくる。
そうすると、保険料の軽減にもつながり、保障期間に関しても、必要な時期に必要なだけの保障を選択できるようになるはずだ。
また、具体的な金額や時期が把握できれば将来の見通しがつきやすくなり、安心感にもつながるだろう。
ただし、必要に応じた軌道修正も忘れてはならない。
ライフプランを検討することは大切だが、当時の計画とズレが生じることもある。
定期的に現在の自分の状況をしっかり把握した上で、保険の見直しを行ってほしい。
保険料は無理のない範囲で検討する
保険は「保障内容」と「保険料」のバランスも意識しなければならない。
保障が手厚くなるほど保険料は高くなる。多くの保障を付けるために高額な保険料を払い、今の生活が苦しくなってしまっては元も子もない。
特に、生命保険は長期間にわたって支払うケースが多い。
月々の金額はわずかであっても、総額で大きな額になる。
経済的な理由で解約してしまうことのないように、将来的に払い続けられる金額なのかしっかり精査しなければならない。
保険料を抑える方法として、収入保障保険を選ぶのも選択肢の1つだ。
収入保障保険は、契約時から保障額が減少していくもので、保障が減る分保険料を安価に抑えることができる。
例えば、子どもの教育費のように時間の変化で必要な金額が減っていくものは、保障額に変化がある収入保障保険が適している。
一方、葬儀費用のように必要額が変わらないものは、保障額が変わらない従来の死亡保険で備えるのが適している。
それぞれの保障は組み合わせることもできる。保険料の予算や貯蓄したい額に応じて保障の形を変えて、バランスを取るのが大切だ。
5000万円の生命保険が必要なのか、月々の費用や自分に適した保険金額から考えよう
生命保険は、もしもの時に自分や家族の生活を守ってくれる重要なツールである。
だからこそ、保険金をいくらに設定するかはとても重要である。
本記事では、死亡保険金5000万円の生命保険にかかる月々の費用や自分に適した保険金額の考え方を解説した。
また、加入する際の注意点や自分に適した保険の選び方についても解説した。
保険に加入する際には、多くの商品やプランを比較し、自分に適した保険に加入することが大事である。
本記事を参考に自分に適した保険を選んでほしい。
しかし、これらの複雑な事項が多い中で自分で適切に決断し、管理するのは難しいと感じる方も多いだろう。
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