- 内縁の妻が生命保険を相続できるか知りたい
- 内縁の妻が生命保険を受け取る際の手続き方法がわからない
- 内縁の妻として生命保険を相続した後の活用法を知りたい
近年、婚姻関係にとらわれない生活形態が増加しており、「内縁の妻」もその一つである。
しかし、内縁の妻は法律上の配偶者にはあたらず、子どもがいれば基本的に夫の資産を相続することができない。
では夫が死亡した際に、生命保険を受け取ることは出来ないということなのだろうか。
本記事では、内縁の妻が生命保険を相続可能か、受け取れる場合はどのような手続きが必要か、実際に受け取る方法はどんなものかについて説明する。
内縁の妻である、もしくは内縁の妻がいる方は、参考にしてもらいたい。
内縁の妻の相続について
内縁状態とは、基本的にお互いに婚姻する意思はあるものの、法律上は結婚の届け出をしていない状態を意味する。
実態としては結婚の届け出をしている夫婦と同じであるにもかかわらず、法律上では婚姻関係を結んでいないため、相続にはさまざまな制約が生じる。
そのため、内縁の妻が相続を受けられるかも、今後のことを踏まえて把握しておかなければならない。
今回は、相続に関する課題や、法律上の位置づけについて解説する。
内縁の妻の法的位置付け
内縁の妻は、一定期間の同居をしており、双方に婚姻の意思がある状態である。
期間としての明確な定義はないが、一般的には3年程度の同居が必要となる。
そのため、一般的な婚姻関係のある夫婦と法的な位置づけも異なる。
内縁関係は、法律上の婚姻関係ではないので、夫婦で別姓を名乗れるほか、万が一別かれても戸籍に離婚歴は残らない。
そのため、親族間の制約やしがらみには縛られない点がメリットといえるだろう。
しかし、相続が発生した場合、内縁の妻であると制約が発生する。
相続権の課題や相続を受けるためにどうすれば良いのか確認していく。
内縁の妻が直面する相続権の課題
そもそも、内縁の妻には相続権がない。法律上の婚姻関係にないので、パートナーが死別したとしても、内縁の妻には法定相続人としての資格がない。
法定相続人は、基本的に配偶者が常に法定相続人となり、第1順位から第3順位までのいずれかに該当している人を指す。
- 配偶者:常に法定相続人となるが、内縁の妻は対象外
- 第1順位:死亡した人の子ども、もしくは孫といった直系卑属(ひぞく)
- 第2順位:死亡した人の親や祖父母といった直系尊属(そんぞく)
- 第3順位:死亡した人の兄弟姉妹や甥、姪
もし内縁の妻との間に子どもがいる場合は、その子どもは法定相続人となる。
法定相続分の割合は、婚姻関係のある子どもと同じ割合で相続する。
しかし、その子どもを認知している必要があるので、その点は注意が必要だ。
以上から、内縁の妻が相続権を有することはないので、基本的には財産は相続できないと把握しておこう。
それでも内縁の妻に相続させる場合、どのような手続きや対応が必要になるのかについて確認する。
内縁の妻が相続するための条件
内縁の妻に財産を相続させたい場合は、以下の対応を取る必要がある。
- 遺言書によって内縁の妻に相続する旨を記載しておく
- 特別縁故者として認めてもらう
遺言は、故人となる人の意思が反映されているので、法定相続よりも効力が強い。
そのため、内縁の妻に財産を相続させたい場合は、遺言書によってその旨を記載しておく必要があるだろう。
しかし、遺言書でいくら内縁の妻に相続させるとしても、法定相続人は遺留分を請求できる。
仮に、内縁の妻に全財産を相続させる遺言を作成しても、法定相続人が遺留分減殺請求を実施して、不足する相続分を請求できる。
そのため、基本的に財産全ては残せない可能性が高い点には気を付けておく方が良いだろう。
また、特別縁故者として裁判所に申し立てを行えば、内縁の妻だったとしても、財産を相続できる可能性がある。
ただし、特別縁故者として認められるには、被相続人に法定相続人がいない条件を満たす必要がある。
そのため、他に法定相続人がいる場合は利用できないので、注意したい。
特別縁故者の申し立てをする場合は、家庭裁判所で手続きを行う。
以上から、一般的に内縁の妻が法定相続人としての資格がないので、相続にあたってさまざまな制約が生まれやすい。
では、内縁の妻が生命保険の保険金を受け取ることができるのか確認しよう。
内縁の妻が生命保険を相続する方法
一般的に、内縁の妻が生命保険を受け取ることはできない。
というのも、基本的に生命保険の受取人は、配偶者か二親等以内の血族である必要があるからだ。
そのため、内縁の妻を受取人にすることは原則としてできない。
今回は、特例として生命保険を内縁の妻に設定できる方法について解説する。
通常は、以下の条件を満たしていないと、受取人として設定できない。
- 戸籍上の配偶者がいない
- 一定期間の同居歴がある
- 同一生計である
それぞれのポイントについて確認しよう。
戸籍上の配偶者がいない
まず、お互いに戸籍上の配偶者がいないことが条件となる。
たとえば、法律上の妻にあたる人と婚姻関係が解消されていない状態で、内縁の妻を受取人にすることはできない。
それぞれの内縁関係にある人に内密に婚姻関係がある場合は、注意が必要である。
戸籍上の配偶者がいる場合は、法定相続人がいると判断されてしまい、相続の手続き上は非常に煩雑になるだろう。
そのため、内縁の妻を保険金の受取人に設定したい場合は、お互いの戸籍に配偶者として関係してしまっている人がいるかどうか明確にしておく必要があるだろう。
戸籍上の配偶者がいないだけでは、受取人に設定することはできないので、他の条件についても確認する。
一定期間の同居歴がある
次の要件としては、一定期間の同居歴があることを証明する必要がある。
基本的に、内縁関係にある人を受取人に設定できないのは、保険金をだまし取る行為を防ぐ目的があるからだ。
そのため、婚姻関係のない人や同居していない状態の人を安易に受取人として設定できないルールとなっている。
一定期間の同居歴があった場合のみ、特例として内縁のパートナーを受取人として設定できる。
しかし、ここで注意したいのは同居歴が明確に規定されていない点である。
先ほども述べた通り、基本的に内縁のパートナーを受取人にすることは特例的な措置となる。
そのため、例外的な措置として定めるので、保険会社も個々の状況に沿って判断する。
そのため、明確な同居歴などを明記していないケースも多いので、あくまでも保険会社の判断に従う必要がある。
この点については、自分で調査することができないので、保険の専門家に相談してみるのも良いだろう。
同一生計である
最後の要件としては、生計を同一にしていることが条件となる。
生計を同一にしていることで、いわゆる通常の法律上の婚姻関係がある夫婦と同じ状況だと判断できるからである。
そのため、生計を同一にしていない場合は、原則として受取人としての設定はできない。
保険会社が最終的に受取人として設定しても問題ないのか判断するので、細かい生活状況などを伝えられるようにしておくと良いだろう。
以上から、内縁のパートナーを受取人にできる条件は、保険会社がシビアに判断する。
保険会社が厳正に判断できるように、さまざまな判断材料を用意しておく必要があるだろう。
では、手続きにどのような準備をしておくべきなのか、順を追って確認しておく。
内縁の妻が生命保険を相続するための手続き
一般的に、内縁の妻が生命保険を手続きする方法は複雑なので、事前に保険会社へどのような書類や手続きが必要なのか確認しておくと良い。
基本的に、受取人を変更する場合は、各保険会社が指定している受取人変更の請求書類に記入して保険会社へ提出する。
内縁の妻を受取人にする場合は、さらに以下の手続きが必要になる。
- 保険会社への相談
- 受取人として承認できる書類の準備
- 相続時の注意点を確認
生命保険の手続きには、専門的な対応が求められるケースもあるので、専門家にも相談しながら進めていくほうが望ましい。
それぞれのポイントについて確認しておこう。
保険会社への相談
受取人を内縁の妻に変更する場合は、保険会社への相談が必要になる。
内縁の妻へ受取人を変更できるかどうかは、保険会社によって取り扱いが異なる。
そのため、受取人を変更できない可能性もあるので注意が必要である。
もし保険会社が内縁の妻への変更を認めている場合も、生計を同一にしているか、同居期間がどれくらい長いかを確認する。
細かい要件も、保険会社によって異なるので、事前に確認しておく必要がある。
また、お互いに戸籍上の配偶者がいないのか、確認をしておこう。
内縁の妻を受取人にできるかどうかの取扱いについては、保険の専門家に相談すると良い。
以上から、まずは保険会社に内縁の妻を受取人に変更できるのか、または指定ができるのか確認するところから始めよう。
受取人として承認できる書類の準備
次に、相続を証明できる書類の準備を行う。
たとえば、自宅の賃貸契約書類で、内縁の妻が同居人として記載されている書類や、戸籍上の配偶者がいないことを証明する戸籍抄本などが必要となる。
生命保険に必要な書類だけでなく、遺言書や特別縁故者になるための手続き書類なども、並行して用意しておくと良い。
あらかじめ、どのような書類が必要になるのか確認しておけば、すぐに準備に取り掛かれるので、こうした書類の作成や手続きに必要な準備は、専門知識がある人に相談する必要があるだろう。
相続時の注意点を確認
相続時に注意したい点としては、同居期間や法律上の婚姻関係にある配偶者がいないことに注意が必要である。
また、内縁の妻が財産を相続する場合は、1親等の血族には該当しない。
そのため、相続される資産を評価した相続税額が、2割加算される。
通常よりも相続税を納める金額が高くなる点に注意したい。
内縁の妻に資産を渡す場合は、相続を活用するほかにも、年間110万円以内であれば贈与税をかけずに資産を渡せるので、生前贈与を活用しながら資産を渡す方法もある。
どのような方法で財産を内縁の妻に渡すのが良い方法かは、それぞれの資産状況や同居期間などの状況によって異なる。
そのため、まずは保険の専門家に相談してみると良いだろう。
保険の専門家といっても、得意なジャンルや領域が異なる可能性がある。
そのため、専門家に相談する場合は、相続や贈与を得意としている専門家を探そう。
内縁の妻でも生命保険を相続できる可能性がある!
本記事では、内縁の妻が生命保険を相続できるか、手続きはどうするか、受け取れる生命保険にはどんな種類があるかを解説した。
「内縁の妻」という立場からの相続を行うには、多くの複雑な課題を乗り越える必要がある。
しかし、本記事で解説したように、適切な生命保険の選択と受取人指定をすることで、課題は解消できる。
しかし、各人のライフスタイルや経済状況により最適な保険は異なるため、一人で選ぶことは難しい。
そのため、専門的な知識を持った保険のプロに相談しながら、適切な生命保険を選ぶことが重要となる。
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