「生命保険って20代でも入るべき?」「どの保障から優先すればいいのかわからない」
——こうした疑問を抱えたまま、なんとなく加入を先延ばしにしている人は多い。あるいは、勧められるまま契約したものの、本当に自分に必要な内容かどうか不安を感じているかもしれない。
必要な保障から逆算し、比較軸を揃えて候補を絞る。そうすればムダのない選び方ができる。20代男性の生命保険加入率は46.4%、女性は57.1%。半数前後が加入している現状を踏まえつつ、自分にとっての「必要」を見極める方法を整理していく。
20代の生命保険おすすめは必要保障から逆算
20代で生命保険を選ぶなら、「必要保障→商品」の順で考えると迷いが減る。いきなり商品を比較しても、自分に何が足りないのかがわからなければ判断基準がない。まず「守るべき人はいるか」「働けなくなったらどうなるか」「医療費は貯蓄で耐えられるか」を整理する。
その結果として浮かび上がる不足分を、保険で埋める——この順番が鉄則だ。
優先順位の考え方はシンプル。扶養家族がいれば死亡保障の優先度が上がり、いなければ下がる。会社員か自営業かで公的保障の手厚さが変わり、就業不能への備え方も変わる。貯蓄が厚ければ医療保険の必要性は下がり、薄ければ上がる。こうした条件を一つずつ確認していくと、自分にとっての「優先順位」が見えてくる。
会社員には傷病手当金もあり、病気やケガで働けないときは直近12か月の標準報酬月額平均÷30×2/3が1日あたり支給され、通算1年6か月が上限となる。こうした制度を知らずに保険を積み上げると、保障が重複してムダが生じる。
20代の生命保険加入率は男性46.4%、女性57.1%。年間払込保険料は男性11.9万円、女性9.6万円が平均だ。月額にすると男性で約1万円、女性で約8,000円。決して少額ではない。
生命保険は優先順位で決める
扶養の有無で死亡保障の優先度は大きく変わる。配偶者や子どもなど、自分の収入で生活を支えている人がいるなら、万一のときの生活費を死亡保障でカバーする必要がある。逆に、独身で扶養家族がいなければ、死亡保障の優先度は低い。葬儀費用程度を想定した最低限の保障か、あるいは加入しないという選択肢もある。
就業不能保障は「対象外の人ほど」優先度が上がる。会社員であれば傷病手当金が受けられるが、自営業やフリーランスは原則として対象外だ。働けなくなったときの収入源がないまま固定費だけが出ていく状態は、家計へのダメージが大きい。
生活障害・就業不能保障の加入率は全体で5.3%と低い。必要性を感じている人は多くないが、公的保障が薄い働き方をしているなら、真っ先に検討したい。
公的保障と貯蓄を先に整理する
医療費を見積もるときは「上限内」と「上限外」を分けて考える。高額療養費制度で自己負担には上限があるが、差額ベッド代や食事代、先進医療の技術料などは対象外だ。制度でカバーされる範囲と、自己負担になる範囲を把握しておくと、医療保険で備えるべき金額が見えてくる。
会社員が病気やケガで働けなくなったとき、傷病手当金で収入の一部を埋められる。計算式は「直近12か月の標準報酬月額平均÷30×2/3」。たとえば標準報酬月額の平均が30万円なら、1日あたり約6,667円が支給される。支給期間は支給開始日から通算1年6か月が上限だ。
生活防衛資金がどれだけあるかも確認しておきたい。固定費の3〜6か月分が目安とされることが多い。公的保障と貯蓄で埋められる範囲を把握し、「それでも足りない分」だけを保険で補う——この発想が過剰加入を防ぐ。
20代は小さく始めて見直す
加入率データを見ても、「20代全員が高額な保険に入っている」わけではない。男性46.4%、女性57.1%という数字は、約半数が未加入であることも示している。加入している人の保険料も、年間で男性11.9万円、女性9.6万円。月額1万円前後だ。
保険料は固定費になる。一度設定すると、解約しない限り毎月出ていく。20代は収入が伸びる途上にあり、転職や結婚、出産など生活環境が変わりやすい時期でもある。最初から「一生分」を固めようとせず、今の状況に合わせた最小限で始める。変化があれば、そのつど見直せばいい。
20代で生命保険が必要か判断するチェック
自分に保険が必要かどうかは、いくつかの条件で「必要」「不要寄り」「保留」に分類できる。すべての20代に同じ答えがあるわけではない。扶養の有無、働き方、貯蓄状況によって優先すべき保障は異なる。以下のチェック項目で、自分がどの条件に当てはまるかを確認してみてほしい。
20代で死亡保障が必要な条件
死亡保障が必要かどうかは、「守るべき人がいるか」が最大の判断基準だ。配偶者や子ども、あるいは親など、自分の収入がなくなると生活が立ち行かなくなる人がいるなら、死亡保障の優先度は高い。
片働きで家計を支えている場合は特に重要だ。共働きでも、どちらか一方の収入に大きく依存しているなら同様に検討する価値がある。住宅ローンを組んでいる場合は団体信用生命保険でカバーされることが多いが、それ以外の生活費や教育費は別途考える必要がある。
独身で扶養家族がいないなら、死亡保障の優先度は低い。葬儀費用として100〜200万円程度を想定するか、貯蓄で賄えるなら加入しないという判断もある。
20代で医療保障を検討する条件
20代の過去5年間の入院経験率は9.9%。10人に1人が入院を経験している計算だ。直近入院時の自己負担費用は平均19.8万円、自己負担費用と逸失収入を合わせた総額は平均26.8万円となっている。
高額療養費制度があるため、医療費そのものには上限がある。年収約370万〜約770万円の区分では、自己負担限度額は「80,100円+(医療費−267,000円)×1%」だ。医療費が100万円かかっても上限は約87,430円。
貯蓄で30万円程度の出費に耐えられるなら、医療保険の優先度は下がる。逆に、貯蓄が薄く、入院が家計に大きなダメージを与えそうなら、医療保険を検討する意味がある。
20代で就業不能保障が効く条件
会社員であれば、傷病手当金で収入の約2/3が通算1年6か月まで支給される。この制度がセーフティネットになるため、就業不能保険の優先度は相対的に下がる。
一方、自営業やフリーランスは傷病手当金の対象外であることが多い。国民健康保険には原則として傷病手当金の制度がないため、働けなくなった瞬間から収入がゼロになるリスクがある。直近入院で逸失収入があった人の平均は総額30.2万円、1日あたり平均21,000円というデータもある。
20代で保険が不要寄りの条件
以下の条件に当てはまるなら、「今は不要寄り」と判断できる可能性がある。
- 扶養家族がいない(死亡保障の必要性が低い)
- 会社員で傷病手当金の対象(就業不能の公的保障がある)
- 貯蓄が生活費の6か月分以上ある(短期の入院や休業に耐えられる)
- 勤務先の福利厚生が手厚い(団体保険や休業補償がある)
ただし、「不要」と断定するのは危険だ。持病がある、妊娠を予定している、転職を考えているなど、状況が変われば判断も変わる。あくまで「今の条件では優先度が低い」という整理であり、定期的な見直しは必要だ。
20代向け生命保険の種類と役割
保険は「目的(リスク)」で分けると、迷いが減る。死亡、医療、がん、就業不能、貯蓄——それぞれの保険が「何のリスクを埋めるためのものか」を整理しておくと、自分に必要な保障が見えてくる。
| 種類 | 主に埋めるリスク | 必要になりやすい人 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 定期保険 | 一定期間の死亡 | 扶養家族がいる人 | 更新時に保険料が上がる |
| 収入保障保険 | 遺族の生活費(年金形式) | 子育て期の世帯主 | 保障額が年々減少する |
| 終身保険 | 一生涯の死亡保障+貯蓄 | 相続対策や貯蓄目的の人 | 途中解約で元本割れリスク |
| 医療保険 | 入院・手術の自己負担 | 貯蓄が薄い人 | 日額と一時金の設計に注意 |
| がん保険 | がん治療の長期化・高額化 | 家族歴がある人など | 医療保険との重複に注意 |
| 就業不能保険 | 働けない期間の収入減 | 自営業・フリーランス | 免責期間と支払条件を確認 |
| 貯蓄型(学資・年金) | 将来の資金準備 | 長期継続できる人 | 途中解約で元本割れ |
20代の死亡保険は定期と収入保障
20代で死亡保障を検討するなら、定期保険か収入保障保険が選択肢になる。どちらも「一定期間だけ」の保障を得る商品で、保険料が抑えられる。
定期保険は、契約期間中に死亡した場合にまとまった保険金が一括で支払われる。シンプルでわかりやすいが、更新ごとに保険料が上がる。
収入保障保険は、死亡時から契約満了まで毎月一定額が支払われる。子どもが独立するまでの生活費を想定するなら、こちらのほうが合理的なケースが多い。保障額が年々減少するため、定期保険より保険料が安くなる傾向がある。
20代の終身保険はメリデメ確認
終身保険は一生涯の死亡保障が得られ、解約返戻金という貯蓄機能もある。ただし、20代で加入を急ぐ必要があるかは慎重に考えたい。
- 若いうちに加入すれば保険料が安い
- 長期間払い込むことで返戻金が増える
- 保険料が高めで固定費化しやすい
- 途中解約すると元本割れするリスクがある
20代の年間払込保険料は男性11.9万円、女性9.6万円。終身保険を中心に組むと、この金額を大きく超える可能性がある。貯蓄と保障を分けて考え、「保障は掛け捨てで安く、貯蓄は別の手段で」という発想も選択肢に入れておきたい。
20代の医療保険は入院と手術
医療保険は、入院や手術にかかる自己負担と、働けない期間の生活費を補う役割を持つ。高額療養費制度があるため医療費そのものには上限があるが、それ以外の出費や収入減までカバーするわけではない。
疾病入院給付金日額の平均加入額は全体で8,700円、男性9,600円、女性8,100円。必要額の平均は9,700円で、加入額は必要額の89.7%。やや不足気味ではあるが、大きな乖離ではない。
入院一時金の平均加入額は18.7万円、必要額は24.3万円で、加入額は必要額の77.0%。こちらは差が大きい。短期入院が増えている現在、日額よりも一時金のほうが使いやすいと感じる人も増えている。
20代のがん保険は必要性を見極め
がん保険は、がん治療に特化した保障だ。診断一時金、通院給付、先進医療特約などが組み合わさっている商品が多い。
がん治療は長期化・高額化しやすく、医療保険だけでは不足するケースがある。一方で、20代のがん罹患率は相対的に低い。家族にがんの既往歴がある、遺伝的なリスクが気になるといった事情がなければ、優先度は高くない。
医療保険とがん保険の保障が重複すると、保険料がかさむ。両方に加入するなら、カバー範囲が重複していないか整理しておきたい。
20代の就業不能保険は免責が重要
就業不能保険は、病気やケガで働けなくなったときの収入減を補う保険だ。会社員には傷病手当金があるが、自営業やフリーランスには同様のセーフティネットがない。
加入率は全体で5.3%と低い。認知度が低いこともあるが、短期の休業は貯蓄で乗り切り、長期化したときだけ保険で備える——この考え方が基本になる。
就業不能保険には「免責期間」がある。多くの商品で60日や180日の免責が設定されており、その期間は給付されない。傷病手当金の支給期間(通算1年6か月)との兼ね合いを考え、免責期間をどう設定するかがポイントになる。支払条件も商品によって異なるため、「どの状態になったら支払われるか」を必ず確認しておきたい。
20代の貯蓄型は学資と個人年金
貯蓄型の保険には、学資保険や個人年金保険がある。いずれも「将来の特定の目的」に向けて積み立てる商品だ。
メリットは、強制的に貯蓄できること。保険料として引き落とされるため、使い込みを防げる。デメリットは、途中解約すると元本割れするリスクがあること、長期間資金が拘束されることだ。
20代で学資保険を検討するのは、子どもがいる場合に限られる。個人年金保険は老後資金の準備手段だが、20代から始める必要があるかは人による。iDeCoやつみたてNISAなど他の選択肢と比較し、自分に合った手段を選べばいい。
20代の生命保険の比較軸は5つ
保険を比較するときは、「5つの軸を揃える」とブレが減る。保障額、保障期間、掛け捨てか貯蓄型か、特約、加入経路——この5つを同条件で並べて初めて、比較が意味を持つ。
| 比較軸 | 確認項目 | 注意点 |
|---|---|---|
| 保障額 | 死亡保険金、入院日額、一時金など | 必要額を先に計算する |
| 保障期間 | 何歳まで、何年間 | 更新の有無と条件 |
| 掛け捨て/貯蓄型 | 返戻金の有無 | 途中解約のリスク |
| 特約 | 先進医療、三大疾病など | 必須と任意を分ける |
| 加入経路 | ネット、対面、代理店 | サポート体制の違い |
20代の必要保障額をざっくり計算
必要保障額は、「不足分」を式で書き出すとわかりやすい。
死亡保障:遺族の生活費×必要年数−(遺族の収入+公的年金+貯蓄)=不足分
医療保障:想定される自己負担+収入減−(高額療養費+傷病手当金+貯蓄)=不足分
就業不能保障:固定費×想定休業期間−(傷病手当金+貯蓄)=不足分
式に自分の数字を入れてみると、「いくら必要か」が具体的になる。相場や平均値をそのまま使うのではなく、自分の家計に当てはめて計算する。それが出発点だ。
20代の保障期間はいつまでにする
保障期間は「いつまで必要か」から逆算する。死亡保障であれば、子どもが独立するまで、住宅ローンを完済するまでなど、期限が設定しやすい。
医療保障や就業不能保障は、終身で持つか、一定期間で区切るかの判断が必要だ。若いうちは更新型で安く抑え、収入が安定したら終身に切り替えるという方法もある。
更新型の場合、更新ごとに保険料が上がる。更新時の年齢で再計算されるため、長く続けるほど負担が重くなる。
20代は掛け捨てと貯蓄型を使い分け
掛け捨ては保障に特化した商品で、保険料が安い。貯蓄型は保障と貯蓄を兼ねるが、保険料が高く、途中解約すると元本割れするリスクがある。
貯蓄型が向くのは、強制的に貯蓄したい人、長期間解約しない自信がある人、相続対策を考えている人などだ。20代で貯蓄型を選ぶなら、「20年以上払い続けられるか」を冷静に判断してから決めたい。
20代の特約は付ける順番がある
特約は「必須→高額リスク対応→細かいもの」の順で検討する。
先進医療特約は加入率25.6%。技術料が高額になるケースに備えるもので、保険料は月100〜200円程度と安い。この価格なら付けておいて損はない。
三大疾病特約、女性疾病特約、通院特約などは、本当に必要かどうかを吟味する。「あったほうが安心」ではなく、「ないと困るか」で判断する。
20代の生命保険は加入経路も比較
加入経路には、ネット、対面(保険会社の営業職員)、保険代理店・保険ショップなどがある。
ネットは保険料が安い傾向があるが、自分で調べて判断する必要がある。対面は相談しながら決められるが、特定の商品を勧められやすい。保険代理店は複数社の商品を比較できるが、手数料の高い商品を優先される可能性もある。
20代の生命保険料の目安と予算
保険料は「家計が継続できる上限」で決める。相場や平均値を基準にするのではなく、自分の収入と支出から逆算して、無理なく払い続けられる金額を設定するのが正しい順番だ。
20代の保険料は上限を先に決める
保険料は固定費になる。一度設定すると、解約しない限り毎月出ていく。貯蓄目標を先に決め、残りで保険料を考える。
20代の年間払込保険料は男性11.9万円、女性9.6万円。月額にすると男性で約1万円、女性で約8,000円。これはあくまで平均であり、「このくらい払うべき」という基準ではない。
手取り収入から、家賃、食費、通信費、貯蓄目標などを引いた残りが保険料に使える上限だ。営業担当者の提案額をそのまま受け入れるのではなく、自分で上限を決めてから相談に臨むほうが、不要な保障を断りやすい。
20代で保険料を下げる工夫
保険料を下げるには、いくつかのレバーがある。
- 保障期間を短くする(終身→定期)
- 保障額を下げる(必要額を再計算)
- 特約を外す(必須以外は削除)
- 掛け捨てを選ぶ(貯蓄型→掛け捨て)
- ネット加入を検討する(対面より安いことが多い)
入院日額は必要額9,700円に対し加入額8,700円で、割合は89.7%。必要額と加入額に大きな乖離がなければ、無理に上げる必要はない。入院一時金は必要額24.3万円に対し加入額18.7万円で、割合は77.0%。こちらは差が大きいため、一時金を手厚くするか、貯蓄で補うかを判断する。
20代の入院日額と一時金の考え方
医療保険には「日額タイプ」と「一時金タイプ」がある。日額は入院1日あたりいくらと決まっており、入院日数に応じて給付される。一時金は入院したら一定額がまとめて支払われる。
直近入院時の自己負担費用は平均19.8万円、自己負担と逸失収入の総額は平均26.8万円。入院日数の平均は20代で18.0日。日額5,000円で18日入院なら9万円、日額10,000円なら18万円だ。一時金20万円なら、入院日数に関係なく20万円が受け取れる。
必要な入院保障のタイプは、全体で日額が67.9%、一時金が17.5%。ただし20代では一時金を選ぶ人が男女とも25%台と、他の年代より高い。短期入院が増えている現状を考えると、一時金のほうが使いやすいと感じる人が増えているのかもしれない。
どちらが正解ということはない。自分の貯蓄状況と、想定するリスクに合わせて選べばいい。
20代の生命保険料控除はおまけ
生命保険料控除は、支払った保険料の一部を所得から差し引ける制度だ。所得税の計算で、一般の新生命保険料は最高40,000円、適用限度額は合計12万円とされている。
控除はあくまで「おまけ」と考える。保険は保障のために入るものであり、節税のために入るものではない。
ライフステージ別の20代生命保険おすすめ
ライフステージによって、必要な保障の優先順位は変わる。独身か既婚か、子どもがいるかいないか、会社員かフリーランスか——自分に近いケースを参考に、優先順位を当てはめてみてほしい。
| ライフステージ | 死亡保障 | 医療保障 | 就業不能保障 |
|---|---|---|---|
| 独身会社員 | 最小限または不要 | 貯蓄次第 | 傷病手当金があるため低め |
| 独身フリーランス | 最小限または不要 | やや高め | 高め(公的保障が薄い) |
| 既婚子なし | 片働きなら検討 | 中程度 | 働き方による |
| 子どもあり | 高め(子の独立まで) | 中程度 | 中〜高め |
| ひとり親 | 最優先 | 高め | 高め |
独身会社員の保障の優先順位
独身で扶養家族がいない会社員の場合、死亡保障の優先度は低い。葬儀費用程度を想定するか、貯蓄でカバーできるなら加入しなくてもよい。
医療保障は貯蓄状況による。高額療養費制度で医療費には上限があり、入院の自己負担と収入減の総額は平均26.8万円。この程度を貯蓄で耐えられるなら、医療保険の優先度は下がる。
就業不能保障も、会社員であれば傷病手当金がある。収入の約2/3が通算1年6か月まで支給されるため、長期の休業でなければ貯蓄と傷病手当金で乗り切れる可能性が高い。
独身フリーランスは就業不能が鍵
フリーランスや自営業は、傷病手当金の対象外であることが多い。働けなくなった瞬間から収入がゼロになるリスクがある。
医療保障も、会社員より優先度が上がる。入院中の収入減を補填する意味で、日額や一時金を手厚めに設定する選択肢がある。
既婚子なしは医療と最低限の死亡
共働きで、どちらかに万一のことがあっても生活が成り立つなら、死亡保障の優先度は低い。片働きで一方の収入に依存しているなら、最低限の死亡保障を検討する価値がある。
医療保障は、家計の余裕度による。入院の自己負担と収入減の総額は平均26.8万円。夫婦の貯蓄で吸収できるなら、医療保険は最小限で済む。
就業不能保障は働き方による。会社員同士なら傷病手当金でカバーできる部分が大きい。どちらかがフリーランスなら、その人の就業不能リスクを重点的に考える。
子どもありは死亡保障を厚めに見る
子どもがいる場合、死亡保障の優先度は上がる。特に子どもが小さいうちは、独立するまでの期間が長く、必要な保障額も大きくなる。
収入保障保険が合理的な選択肢だ。子どもが独立するまでの年数を保障期間に設定し、毎月の生活費を補填する形で設計する。定期保険でまとまった金額を準備する方法もあるが、収入保障のほうが保険料を抑えやすい。
医療保障と就業不能保障も、家計を支える側は優先度が上がる。入院や休業が長引くと、生活費だけでなく教育費にも影響する。
ひとり親は必要保障を最優先する
ひとり親世帯は、すべての保障の優先度が高い。万一のことがあったとき、代わりに収入を得る人がいないからだ。
死亡保障は最優先。遺族年金や児童扶養手当などの公的支援はあるが、それだけで子どもが独立するまでの生活費を賄えるかは、家計状況による。不足分を死亡保障でカバーする。
医療保障と就業不能保障も、貯蓄に余裕がなければ手厚くする意味がある。ただし、保険料が家計を圧迫しては本末転倒だ。固定費全体を見直し、保険に回せる金額を確保することが先決だ。
20代で生命保険に入る前の注意点
加入前に「告知・免責・解約条件」を確認しておくと、後悔を避けられる。保険は契約だ。内容を理解しないまま加入すると、いざというときに「出ると思っていたのに出ない」という事態が起こりうる。
20代の告知と加入条件を確認する
保険に加入する際は、健康状態や過去の病歴を「告知」する必要がある。告知義務違反があると、保険金が支払われないことがある。
告知書には正直に、正確に記入する。「バレないだろう」と思って虚偽の記載をすると、いざというときに契約解除や保険金不払いのリスクがある。
持病がある場合は、引受基準緩和型や無選択型の保険が選択肢になる。ただし保険料は高め。通常の保険に入れるかどうかを先に確認し、入れない場合に検討する流れになる。
20代でも免責と待機期間は要確認
免責期間とは、契約後一定期間は給付されない期間のこと。待機期間とは、保障が開始されるまでの期間のこと。どちらも、「加入直後に何かあっても出ない」ことを意味する。
約款や契約のしおりで、免責・待機期間を必ず確認する。「入っていれば安心」ではなく、「いつから有効か」を把握しておきたい。
20代の特約は盛りすぎない
特約を付けすぎると、保険料が上がり、固定費を圧迫する。営業担当者から勧められるまま特約を追加すると、気づいたら月々の負担が重くなっていることがある。
特約は「必須」と「任意」に分けて考える。先進医療特約は保険料が安く、コストパフォーマンスが高い。三大疾病特約や女性疾病特約などは、自分のリスク認識と照らし合わせて判断する。
「あったほうが安心」という理由だけで追加しない。「ないと困るか」を基準にする。
20代の貯蓄型は途中解約に注意
貯蓄型の保険は、長期継続を前提に設計されている。途中で解約すると、払い込んだ保険料よりも解約返戻金が少なくなる「元本割れ」が起こる。
20代はライフイベントが多い時期だ。転職、結婚、出産、住宅購入など、支出が増えるタイミングで保険料を払い続けられるか、慎重に考える必要がある。
「とりあえず貯蓄型」で始めて、数年後に解約するくらいなら、最初から掛け捨てを選んだほうが合理的だ。貯蓄型を選ぶなら、20年以上払い続ける覚悟があるかどうかを自問してから決める。
20代の相談は比較前提で使う
保険相談を利用するなら、「比較するため」という前提で臨みたい。一社だけの提案を聞いて決めると、より良い選択肢を見逃す可能性がある。
相談に持っていく質問リストを用意しておくと、話が脱線しにくい。たとえば以下のような項目だ。
- この保障額・期間で、保険料はいくらになるか
- 同条件で他社の商品と比較したらどうか
- 特約を外すと保険料はどれだけ下がるか
- 更新時の保険料はどうなるか
- 途中解約した場合の返戻金はいくらか
20代の生命保険を見直すタイミング
保険は一度入ったら終わりではない。ライフイベントごとに見直すことで、過不足のない保障を維持できる。
20代の見直しタイミング一覧
以下のようなタイミングで、保険の見直しを検討する。
| イベント | 見直す保障 | 確認すること |
|---|---|---|
| 就職 | 全般 | 会社の福利厚生、傷病手当金の有無 |
| 転職 | 就業不能、医療 | 傷病手当金の継続、団体保険の有無 |
| 結婚 | 死亡、医療 | 扶養の有無、家計構造の変化 |
| 出産 | 死亡 | 必要保障額の再計算 |
| 住宅購入 | 死亡 | 団信との重複確認 |
| 収入変化 | 全般 | 保険料の上限再設定 |
| 更新前 | 該当商品 | 更新後の保険料、乗り換え検討 |
20代の見直しは3ステップで進める
見直しは以下の3ステップで進めるとスムーズだ。
今加入している保険の証券を集め、保障内容、保険料、期間を一覧にする。
扶養の有無、収入、貯蓄、公的保障を踏まえ、不足分を算出する。
現在の保険を継続した場合と、新しい保険に乗り換えた場合を、同じ条件で比較する。
見直しの結果、「今のままでよい」という結論になることもある。大切なのは、定期的に確認する習慣をつけることだ。
20代の乗り換えは不利益を確認
乗り換えを検討する際は、以下の点に注意が必要だ。
- 再告知が必要:健康状態によっては新しい保険に入れない可能性がある
- 保険料が上がる:年齢が上がっているため、同じ保障でも保険料は高くなる
- 免責期間がリセットされる:新しい保険では、免責・待機期間がゼロからスタートする
- 保障の空白期間:旧契約を解約してから新契約が有効になるまでの間、保障がない期間ができないよう注意する
乗り換えが常に正解とは限らない。現在の保険を継続したほうが有利なケースもある。不利益がないかを確認したうえで判断する。
20代の生命保険おすすめFAQ
20代で生命保険はいらないって本当?
一概に「いらない」とは言えない。扶養家族がいない独身で、会社員として傷病手当金の対象であり、貯蓄が生活費の6か月分以上あるなら、優先度は低い。ただし、条件が変われば判断も変わる。20代男性の加入率は46.4%、女性は57.1%。約半数が加入している現状を踏まえると、「必要か不要か」は個人の状況による。
20代は医療保険だけで足りますか?
足りるかどうかは、リスクの優先順位による。入院の自己負担と収入減の総額は平均26.8万円。この程度を貯蓄でカバーできるなら、医療保険の必要性は下がる。一方、扶養家族がいれば死亡保障の優先度が上がり、自営業なら就業不能保障の優先度が上がる。「医療保険だけ」で済むかは、個人の状況を見て判断する必要がある。
20代の死亡保険金はいくら必要?
必要額は「不足分」で決まる。遺族の生活費×必要年数から、遺族の収入、公的年金、貯蓄を引いた金額が目安だ。扶養家族がいないなら、葬儀費用として100〜200万円程度、あるいはゼロでもよい。子どもがいるなら、独立するまでの生活費と教育費を見込んで計算する。平均値ではなく、自分の家計に当てはめて計算するのが近道だ。
20代の保険料は月いくらが目安?
年間払込保険料の平均は男性11.9万円、女性9.6万円。月額にすると男性で約1万円、女性で約8,000円だ。ただし、相場に合わせる必要はない。手取り収入から貯蓄目標と固定費を引いた残りが、保険料に使える上限だ。平均値は参考程度にとどめ、自分の家計から逆算して決めるのが正しい順番だ。
20代で終身保険は早すぎますか?
目的による。一生涯の死亡保障が欲しい、長期間解約しない自信がある、相続対策を考えているなら、20代から終身保険に入るメリットはある。若いうちに加入すれば保険料は安い。一方、途中解約すると元本割れする、保険料が高めで固定費化しやすいというデメリットもある。ライフイベントが多い20代で、20年以上払い続けられるかを冷静に判断してから決めたい。
20代で保険を比較するコツは?
「5つの軸を揃える」ことがコツだ。保障額、保障期間、掛け捨てか貯蓄型か、特約、加入経路——この5つを同条件にして比較する。入院日額は必要額9,700円に対し加入額8,700円で割合89.7%、入院一時金は必要額24.3万円に対し加入額18.7万円で割合77.0%というデータがある。必要額と加入額の差を意識しながら、複数の見積もりを並べて判断する。
まとめと次のアクション
20代の生命保険選びは、「必要保障の逆算」から始まる。まず公的保障(高額療養費制度、傷病手当金など)と貯蓄でカバーできる範囲を把握し、不足分だけを保険で補う。
比較するときは、保障額、保障期間、掛け捨てか貯蓄型か、特約、加入経路の5軸を揃える。保険料は相場ではなく家計から逆算し、無理なく払い続けられる上限を先に決める。加入後はライフイベントごとに見直し、過不足のない保障を維持する。
判断に迷ったら、複数の見積もりを取って比較することをおすすめする。保険ショップや保険代理店で相談する場合は、同条件で見積もりを依頼し、持ち帰って検討する時間を確保するとよい。
出典一覧
- 生命保険文化センター『2022(令和4)年度 生活保障に関する調査(本誌)』
https://www.jili.or.jp/files/research/chousa/pdf/r4/2022honshi_all.pdf - 生命保険文化センター『付属統計資料』
https://www.jili.or.jp/files/research/chousa/pdf/r4/p197-203.pdf - 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
https://www.mhlw.go.jp/content/000333280.pdf - 厚生労働省「高額療養費制度について(参考資料)」
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001621877.pdf - 全国健康保険協会(協会けんぽ)「傷病手当金について(FAQ)」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g6/cat620/r307/ - 協会けんぽ「病気やケガで4日以上仕事を休んだとき」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/honbu/event/kohoshizai/47_sogo_syoute.pdf - 国税庁『源泉徴収のしかた』
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/shikata_r04/pdf/00.pdf


