- 80代にも生命保険が必要なのかわからない
- 80代が保険を選ぶ際や見直しをする際に重視するべきポイントが知りたい
- 80代が抱えるリスクについて理解したい
年を重ねるに連れて自分や身の回りで病気やケガを経験する人が増えてくる。
これからの生涯を安心して過ごすために、これまで入っていた保険を見直したり、新たに必要な保障を備えた保険に加入したりすることを検討する方もいるだろう。
しかし、80代は若いときに比べて保険料が高額かつ入れる保険の種類が限られることから、「シニア世代に保険は必要ない」という意見もある。
本記事では、80代における生命保険の必要性から、おすすめの保険とその選び方について解説する。
ぜひ最後まで読んで参考にしてほしい。
80代に生命保険は必要なのか
「80代から本当に生命保険は必要になるのか」という疑問について、80代で生命保険を検討する一般的なケースや80代の生命保険加入率、80代のライフステージや健康リスクなどから解説する。
80代に生命保険は必要か否か
80代に生命保険が必要か否かは、貯蓄状況や生活環境によって変化する。
必要になる・ならないについてどちらが正解かを断言はできない。
80代で生命保険を検討する場合に考えられる、一般的なケースを以下にまとめた。
- 自分が亡くなったときの葬儀費用を準備したい
- 子どもや孫に相続財産を残したい
- 自分が亡くなった後の家族への保障(遺族年金など)に不安が残る
- 病気・ケガの費用や介護関係で配偶者や子どもの手を煩わせたくない
- 長期化する傾向にある80代の入院・治療に備えておきたい
- 後期高齢者医療制度では保障範囲外になる部分をカバーしたい
80代は自分への保障や自分が動けなくなることへの保障よりも、配偶者や子どもなど他の人のことを重視するケースが多い。
80代の生命保険加入率
公益財団法人 生命文化センターの調査によると、80代以降の民保の世帯別生命保険加入率(個人年金含む)は次のようになっている。
2009年 | 2012年 | 2015年 | 2018年 | 2021年 | |
---|---|---|---|---|---|
80~84歳 | 51.2% | 52.6% | 62.1% | 64.5% | 69.1% |
85~89歳 | 38.2% | 47.6% | 57.9% | 58.1% | 55.4% |
90歳以上 | 54.5% | 44.4% | 43.5% | 57.1% | 52.2% |
80代という年齢でも、半数程度の方が民間の生命保険等に加入していることがわかる。
全生保(民保、簡保、JA、県民共済・生協を合わせたもの)で見ると、2021年度の80~84歳の加入率80.2%、85~89歳の加入率67.5%、90歳以上の加入率52.2%と民保だけの数値より高くなる。
さらに医療保険・医療特約に絞ると、2021年度は民保の加入ベースで80〜90%が加入しているとの結果が出ていた(2018年度は60〜70%)。
このように生命保険加入率から見ると、80代でも多くの方が生命保険を利用しているとわかるだろう。
しかし一方で、80代から新しく加入できる生命保険の種類は、かなり絞られてくるのも事実だ。
高年齢者でも加入できる生命保険でも、契約可能年齢が満80歳までに設定されているものが多い。
80代からの生命保険の見直しは、加入済みの生命保険の保障内容や保険料の変更がメインになるだろう。
とはいえ80歳以上で加入できる生命保険や、満90歳まで保険期間が設定できる生命保険も存在する。
80代から新しい生命保険に加入するのも不可能ではない。
ライフステージや健康リスクの合わせた見直しの重要性
80代というライフステージは、終活に向けたさまざまな準備を進めるおよび終わらせおく年代だ。
厚生労働省「令和4年簡易生命表(2023年7月)」によると、日本人の平均寿命は男性81.05歳、女性87.09歳と、女性がやや高いもののどちらの性別も80代である。
80代から10年・20年単位の保障を検討するよりも、自分が亡くなった後を見据えた保障内容を考えておくのがよいだろう。
しかし病気やケガになったケースを想定したとき、年金金額や貯蓄に不安が残る場合は保障を手厚くするのもよい。
80代は定年から約20年前後経っており、退職金や貯蓄が目減りして医療費の負担が大きくなっている可能性があるからだ。
また健康リスクは20~50代の頃より大幅に上がっており、がんを含めた三大疾病などへの罹患率や入院・治療にかかる日数も増えているリスクもある。
80代でも加入しやすい生命保険としては、「引受基準緩和型保険」「無選択型保険」が挙げられるだろう。
それぞれの特徴は次の通りだ。
名称 | 特徴 |
---|---|
引受基準緩和型保険 | 審査基準の緩さや告知項目の少なさが特徴の保険商品 |
無選択型保険 | 原則として健康状態の告知や医師の診察が必要ない保険商品 |
引受基準緩和型と無選択型はいずれも入りやすい反面、保険料が同系統の一般的な生命保険より高くなる傾向がある。
80代におすすめの生命保険を紹介
ここからは80代からでも契約でき、保障も手厚いおすすめの生命保険を3つ紹介する。
今回紹介するのは、「終身保険 ライズ・サポート・プラス」「医療終身保険 新メディフィット生命A」「終活相談付き みんなの葬儀保険」の3つだ。
あくまで弊社の見解でのおすすめであるため、保険を選ぶ際の参考情報の1つとして活用してほしい。
終身保険 ライズ・サポート・プラス(オリックス生命)
オリックス生命の「終身保険 ライズ・サポート・プラス」は、85歳まで申し込める終身型の死亡保険である。
引受基準緩和型保険であるため、持病や入院・手術経験があっても入りやすい商品だ。
掛け捨て型ではなく、解約返戻金があるタイプである。
設定できる死亡保険金は80代だと100万〜1,000万円で、100万年単位で選べる。
オリックス生命のシミュレーションツールでは、80歳からの加入で保険金100万円だと15,844円となっていた。
月々1万円以下に保険料を抑えたいときは、月々の保険料を3,000円から選べる「保険料から選ぶ終身保険 ライズ・サポート・プラス」を選択するのもよい。
一生涯の死亡保障の他にも、リビングニーズ特約、保険料払込免除、24時間電話健康相談サービス、介護・認知症サポートサービス、セカンドオピニオンサービスなども利用可能だ。
80代で手厚い保障を受けたいなら、終身保険 ライズ・サポート・プラスを検討してみよう。
ただし、掛け捨て型の保険と比較すると保険料が高い点に注意が必要である。
医療終身保険 新メディフィット生命A(メディケア生命)
住友生命グループのメディケア生命の「医療終身保険 新メディフィット生命A」は、病気やケガをトータルサポートする終身医療保険である。
主契約は85歳まで契約が可能だ。
主契約には疾病入院給付金、災害入院給付金、手術給付金、放射線治療給付金、骨髄移植給付金、骨髄ドナー給付金が揃っており、入院・治療に対する保障は万全の商品となっている。
85歳の方でも申し込める特約には、先進医療・患者申出療養に関する給付金、入院一時給付特約、通院治療特約、8代生活習慣病入院特約、女性医療特約、そのほかがんや三大疾病向けの特約が揃っている。
さらに死亡保障や介護保障もオプションとして付けられることから、医療終身保険 新メディフィット生命Aは、80代の健康リスクに対してあらゆる面で備えられる商品だと言えるだろう。
ただし特約で手厚くする分だけ、保険料が高くなる点には注意したい。
終活相談付き みんなの葬儀保険(アイアル少額短期保険)
住友生命グループのアイアル少額短期保険の「終活相談付き みんなの葬儀保険」は、リーズナブルな保険料で葬儀費用を準備できる保険商品である。
84歳まで申込みが可能だ。申込みの際は告知書のみで、医師の診査や診断書の提出は必要ない。
保障内容はシンプルに「葬儀費用を準備すること」に絞られている。
アイアル少額短期保険と提携している葬儀会社の利用であれば、保険金を直接葬儀会社へ支払うことが可能だ。
また、終活に関する相談ができる終活よろず相談ダイヤルも利用できる。
女性が契約者だと、男性の約半分程度の保険料支払いで済むのも終活相談付き みんなの葬儀保険のメリットだ。
1回の契約で設定される保険期間は1年間で、原則として毎年自動更新されていく(満期2か月前に連絡あり)。
保険料を抑えつつ葬儀費用を効率よく貯めたい場合は、終活相談付き みんなの葬儀保険を検討してみよう。
ただし、他の医療保障などは付けられないので注意が必要だ。
このように、いつ保険に加入するかで最適なプランは異なる。
年齢別におすすめの保険をまとめたこちらの記事も参考にしていただくと、より60代で気をつけるべきポイントへの理解も深まるだろう。
80代の生命保険の選び方と見直し方
ここからは80代からの生命保険の選び方と見直し方について、「80代の自分に合う生命保険に加入する重要性」「80代ならではの生命保険の選び方・見直し方」などを具体的に解説する。
80代の自分に合う生命保険に加入する重要性
80代からの生命保険の選び方・見直し方でとくに重要なのは、自分にあった保険に加入することである。
80代は残りの人生を考えると、間違った保険選びや見直しを取り返せる機会がほとんど存在しない。
無駄な保障に対して保険料を支払ってしまうと、セカンドライフの楽しみや家族へ残す財産も少なくなる可能性がある。
「なぜ80代になってから保険の見直しを始めるのか」の目的を明確にし、あなたのニーズに合う商品へ加入しよう。
80代ならではの生命保険の選び方・見直し方
80代ならではの生命保険の選び方・見直し方のポイントを以下にまとめた。
- 数十年以内の終活を意識し、相続財産や葬儀費用の準備を意識した保険商品・保険金額を考える
- 80代からの生命保険は保険料が高くなる傾向があるので、貯蓄や収支状況をしっかり確認しておく
- 相続財産や遺族年金で配偶者の生活が十分に担保できそうなら、死亡保険金の金額を下げて保険料を安くすることを検討する
- 自分が亡くなったときの遺族年金や相続財産と、残される配偶者の生活費のバランスを見る
- 病気やケガで長期入院になったときの、介護サポートについても考えておく
- 後期高齢者医療制度や高額療養費制度による保障との兼ね合いも見ておく
生命保険見直し時の参考データとして、公益財団法人 生命保険文化センター「2021年(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」より80代の世帯年間払込保険料(民保)の金額を以下で紹介する。
2009年 | 2012年 | 2015年 | 2018年 | 2021年 | |
---|---|---|---|---|---|
80~84歳 | 44万2,000円 | 34万円 | 30万7,000円 | 28万3,000円 | 30万2,000円 |
85~89歳 | 18万3,000円 | 68万3,000円 | 17万4,000円 | 38万9,000円 | 30万1,000円 |
90歳以上 | 37万2,000円 | 21万2,000円 | 21万7,000円 | 23万6,000円 | 18万1,000円 |
サンプル数の少ない年代であるためややバラツキが見られるが、おおよそ2万円かかっていると推測される。
また、世帯主年齢別の普通死亡保険金(民保)の平均額も紹介する。
2009年 | 2012年 | 2015年 | 2018年 | 2021年 | |
---|---|---|---|---|---|
80~84歳 | 1,435万円 | 1,245万円 | 1,351万円 | 979万円 | 863万円 |
85~89歳 | 1,448万円 | 1,976万円 | 646万円 | 1,044万円 | 1,150万円 |
90歳以上 | 2,067万円 | 1,333万円 | 1,986万円 | 1,459万円 | 588万1円 |
80代は医療保険やがん保険に入るべきか
80代でも入れる医療保険やがん保険へ入るべきか否かは、80代時点でのあなたの健康状態や貯蓄状況に左右される。
80代は病気やケガによる入院・治療期間が長くなるので、金銭的な保障だけでなく、介護サポートや健康相談サービスがある医療保険やがん保険に入るのも1つの選択肢だ。
「年金収入や貯蓄が少ないので、医療保険やがん保険の給付金を当てにしたい」というのも、80代から保険を見直す理由となる。
生命保険と並行して、医療保険やがん保険への加入も検討してみることをおすすめする。
80代は生命保険による死亡保障や医療保障の必要性が高まる!健康状態も考慮して保険を選ぼう
本記事では、80代における生命保険の役割から、おすすめの保険とその選び方について解説した。
年齢を重ねるに連れ健康リスクは徐々に高まり、生命保険による死亡保障や医療保障の必要性もまた高まる。
しかし、一口に生命保険と言っても数多くの保険会社やプランが存在する。
その中で、年齢だけでなく、それぞれのライフステージに合わせて自分が求める保障内容を備えた保険に入ることが求められるだろう。
本記事で紹介したおすすめ商品や保険選びのポイントを参考に、あなたに合った保険を見つけてほしい。
生命保険の選び方・見直し方で何より重要なことは、保険の特徴を理解した上で、自分自身の生活環境や経済状況、健康状態を考慮して保険を選ぶことだ。
「80代からその生命保険に入るべきか」の判断に少しでも疑問・不安があれば、保険のプロに相談することも積極的に検討してほしい。
1人ひとりに合ったアドバイスをもらうことで、あなたに必要な保険を的確に選択できるはずだ。
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