- 貯蓄型医療保険の商品内容や基本的な情報を知りたい
- 貯蓄型医療保険が持つデメリットを詳しく知りたい
- 医療保険を選ぶ際に「掛け捨て型」か「貯蓄型」のどちらを選ぶべきかわからない
病気・ケガへの備えと貯蓄の2つの効果が得られる貯蓄型医療保険は、たくさんの人に選ばれている人気の高い保険商品だ。
しかし、メリットばかりの商品ではない。本記事では、貯蓄型医療保険が持つデメリットを詳しく解説し「掛け捨て型」・「貯蓄型」の違いについても紹介する。
様々な種類がある医療保険の中で、果たして「掛け捨て型」・「貯蓄型」のどちらを選ぶべきなのだろうか。
この記事が、あなたにとって最適な保険を選ぶために役立てば幸いだ。
貯蓄型の医療保険とは
貯蓄型医療保険とは、払込み保険料のうちの一部が戻ってくる医療保険だ。
決められた条件のもとで、保険料の全額相当分が戻ってくるタイプの医療保険もある。
一般的に医療保険のほとんどが掛け捨てタイプの商品なのに対して、貯蓄型医療保険は文字通り貯蓄性を併せ持つため人気の商品となっている。
ただし、貯蓄型医療保険には特有のデメリットもあるので、医療保険選びの際には、掛け捨て型と比較・検討することが重要だ。
貯蓄型医療保険の特徴
貯蓄型医療保険とは、契約時に定めた条件のもとに、保険料の一部または全てが戻ってくる。
保険料の一定額が積み立てられていくため、医療費の保障と貯蓄性を併せ持つことが大きな特徴だ。
ただし、貯蓄型医療保険は、保険料のうち一部が健康祝金などの形で戻って来る場合がほとんどである。
このため、終身保険や個人年金保険、学資保険と異なり、資産形成に向く商品ではない点に注意すべきだろう。
貯蓄型医療保険の種類とは?
貯蓄型医療保険は、保険料の戻り方によって次の3つのタイプに分類される。
- ボーナス型
- リターン型
- 解約返戻金型
ボーナス型
ボーナス型とは、保険金の支払いを受けなかった場合、一定期間経過するたびに健康祝金と呼ばれるボーナスを受取ることができる医療保険だ。
健康祝金は数万円単位で、3年か5年経つたびに支払われる商品が多い。
また、保険会社によっては、健康祝金を特約として付加できる場合もある。
リターン型
リターン型の医療保険とは、決まった年齢に達するまでに保険金の支払いを受けなかった場合、払込み保険料の全額相当分が戻ってくる医療保険だ。
また、保険金の給付を受けた場合でも、払込み保険料が給付された保険金を上回る場合には、差額が戻ってくる。
解約返戻金型
解約返戻金型とは、保険料の一部分を積立てることにより、貯蓄性を持たせた医療保険のことだ。
中途解約した場合には解約返戻金が支払われるが、返戻金が払込保険料を下回り、実質的に元本割れとなる場合も多い。
解約返戻金型の医療保険には、保険料が高いというデメリットがある。
このため、解約返戻金を少なく設定する代わりに保険料を抑えた「低解約返戻金型」の商品もある。
貯蓄型医療保険の契約例
ここではタイプ別に、貯蓄型医療保険の契約例をみてみよう。
リターン型の契約例
- リターン型(期間まで保険料を払い込むことで、保険料全額が戻るタイプ)
- 契約者 30歳男性
- 保険料還付年齢 60歳
入院給付金日額 | 5,000円 |
---|---|
毎月の保険料 | 3,379円 |
手術給付金 | 2万5,000円または5万円(手術内容による) |
健康還付給付金 | 1,175,400円 |
先進医療給付金(限度額) | 通算2,000万円 |
この商品の場合、60歳までに保険金の支払いを受けないと1,175,400円の健康還付給付金が支払われる。
また、途中で保険金の支払いを受けた場合でも、払込保険料との差額が給付される。
ただし、リターン型商品は健康還付金の原資を積立てるため、「ボーナス型」と比較して毎月の保険料が高くなる。
ボーナス型
- ボーナス型(一定期間経過するたびに健康祝金が支払われる)
- 契約者 30歳男性
- 健康祝金 : 5年経過するたびに5万円(継続10日以上入院しなかった場合)
入院給付金日額 | 5,000円 |
---|---|
毎月の保険料 | 2,624円(保険料払込期間60歳まで) |
手術給付金 | 外来2万5000円 入院中5万円 |
健康祝金 | 加入から5年するたびに5万円 |
先進医療給付金(限度額) | 通算2,000万円 |
この商品は、一定金額の保険金を受け取らない場合、加入から5年経過するたびに健康祝金5万円が支払われる。
「リターン型」と比較すると貯蓄性は低いが、保険料が安いため、保険料負担を減らしたい人に向いた商品といえるだろう。
解約返戻金型の契約例
- 解約返戻金型(中途解約時に解約返戻金が支払われる)
- 契約者 30歳男性
- 解約返戻金を抑えた低解約返戻金タイプ
入院給付金日額 | 5,000円 |
---|---|
毎月の保険料 | 2,868円(保険料払込期間60歳まで) |
手術給付金 | 外来5万円 入院中 5万円/10万円/25万円 |
生活習慣病特則 | 8大生活習慣病の場合は入院日数無制限 |
解約返戻金 | あり(低解約返戻金タイプ) |
先進医療給付金(限度額) | 通算2,000万円 |
中途解約した場合に、解約返戻金が支払われるタイプの商品だ。
ただし、解約返戻率を低く設定した低解約返戻金タイプであるため、毎月の保険料が抑えられる代わりに貯蓄性が低くなっている。
なお、現在販売されている解約返戻金医療保険型は、ほとんどが低解約返戻金タイプの商品だ。
貯蓄性を追求するのであればリターン型の商品を選択するか、別に終身保険(死亡保険)を契約する方がよいだろう。
貯蓄型医療保険が持つデメリットと選び方
ここまで紹介してきたように、貯蓄型医療保険は大きなメリットを持つ保険商品だが、デメリットといえる点もある。
加入を検討するには、デメリットについても押さえておくことが大切になるだろう。
貯蓄型医療保険が持つデメリットとは何か
貯蓄型医療保険には、次のとおり3つのデメリットがある。
- 保険料の負担が大きい
- 貯蓄性が低い
- 選べる商品が少ない
「貯蓄型」は、保険料のうち一部を積立てることで、健康祝金および解約返戻金の支払いに充てている。
このため、同じ保障内容を持つ「掛け捨て型」と比較すると保険料の負担が大きくなる。
保険料の安さを求める方には大きなデメリットといえるだろう。
また、貯蓄型医療保険は、保障と貯蓄の両方の機能を備えているため、他の貯蓄型保険と比較して貯蓄性が低い。
このため、貯蓄や資産形成目的での加入には適さない点に注意が必要だ。
加えて、貯蓄型医療保険は選択できる商品が少ない点もデメリットといえる。
商品の選択肢が少なくなるため、思ったとおりの保障が受けられないことも考えられる。
貯蓄型医療保険を選ぶ際のポイント
貯蓄型医療保険は、「掛け捨て型」と比較して保険料が割高な上、商品の選択肢が少ない。
加入を検討する際には、次のポイントをチェックするとよいだろう。
- 保障の充実度
- 健康祝金や解約返戻金の額
- お金の受け取り方
- 保険料
保障の充実度
貯蓄型医療保険は、あくまでもケガ・病気に備える商品である。
このため、商品選びでもっとも大切なポイントは保障の充実度といえるだろう。
例えば、同じ入院給付金日額で比較しても、商品によって次のように保障内容が異なる。
保障内容例
入院給付金日額 | 手術給付金 | その他 | |
---|---|---|---|
A社 | 5,000円 1回の入院で60日まで/通算1,095日 | 入院中の場合 : 5万円 外来手術 : 2万5千円 | 放射線治療 : 5万円 先進医療給付金 : 最大2,000万円 |
B社 | 5,000円 1回の入院で60日まで/通算1,095日/三大疾病の場合は無制限 | 入院中の場合 : 5万円/10万円/25万円 外来手術 : 2万5千円 | 放射線治療 : 10万円 |
C社 | 5,000円 1回の入院で60日まで/通算1,095日/通算730日 | 一律5万円 | 退院給付金 : 2万5千円 通院給付金 : 1日2,500円 |
特に注目したいのは、手術給付金の額や三大疾病の保障、放射線治療や先進医療への対応などだ。
加入を検討する際は、各商品の保障内容を比較することが重要である。
健康祝金・解約返戻金の額
「貯蓄型」は、健康祝金・解約返戻金の額も選ぶ際のポイントだ。
特に解約返戻金のある商品の場合、解約返戻率の高さは重視すべきポイントといえるだろう。
なお、「貯蓄型」の医療保険は、保険料を抑える代わりに解約返戻率を低く設定した「低解約返戻金タイプ」の商品がほとんどである。
低解約返戻金タイプの場合、中途解約時の解約返戻金は少額で、貯蓄性はあまり期待できない点に注意が必要だ。
お金の受け取り方
「貯蓄型」は商品によってお金の受け取り方が異なる点にも注意したい。
「ボーナス型」の場合、保険給付を受けないと定期的に一定の健康祝金が支払われる。
これに対して、「リターン型」は契約時に定めた年齢に達するまで保険金の支払いを受けないと、保険料全額が還付される。
一方、「解約返戻金型」は中途解約時にのみ返戻金が支払われる点に注意が必要だ。
保険料
貯蓄型医療保険は、商品のタイプによって大きく異なる点に注意が必要だ。
同一の保障内容で比較した場合、保険料は高い順に「解約返戻金型」「リターン型」「ボーナス型」となる。
商品を選ぶ際には、同一の保障内容でタイプごとに保険料の見積もりを行い、求める保障に対して保険料が妥当か検討することが大切だ。
「掛け捨て型」・「貯蓄型」どちらを選べば良いのか
「掛け捨て型」と「貯蓄型」では、商品の内容が大きく異なるため、商品を選びにくいという人も多いだろう。
ここでは、両者の違いや、それぞれの商品がどのような人に適しているのか紹介する。
「貯蓄型」と「掛け捨て型」との違いとは?
「貯蓄型」と「掛け捨て型」の主な特徴を比較すると次のとおりである。
貯蓄型医療保険の特徴 | 掛け捨て型医療保険の特徴 | |
---|---|---|
貯蓄性 | あり | なし |
解約返戻金・健康祝金 | あり | なし |
保険料 | 高い | 安い |
保障の充実度 | 手術給付金・入院給付金が中心 | 保障内容が豊富 |
商品の種類 | 少ない | 多い |
貯蓄性の有無
両者で大きく違うのは貯蓄性の有無だ。
「貯蓄型」は、解約返戻金または健康祝金があるため、保険料の一部分を積立てる必要があり、保険料は高くなる。
保障の充実度
「掛け捨て型」は保障項目が豊富で、さまざまな特約を付加できる。
一方、「貯蓄型」は手術給付金・入院給付金を中心としたシンプルな商品が多い。
商品の種類
「掛け捨て型」は非常に多くの商品が販売されているので、選択肢が豊富だ。
これに対して「貯蓄型」は商品が少ない。納得のいく保障内容が得られないのであれば、「掛け捨て型」の商品を検討するのもよいだろう。
「掛け捨て型」が適している人とは?
「掛け捨て型」は次のような人に適した商品だ。
- 保険料負担を減らしたい人
- いずれ保険内容を見直したい人
- 保障を充実させたい人
保険料負担を減らしたい人
「掛け捨て型」は毎月の保険料が安いため、保険料負担を減らしたい人に適している。
いずれ保険内容を見直したい人
「掛け捨て型」は貯蓄性がないため、いずれ保険内容を見直したい人でも気軽に加入できる。
ただし、医療保険は年齢の経過とともに保険料が高くなるほか、健康状態によっては他の保険へ加入できない場合もあるので注意が必要だ。
保障を充実させたい人
「掛け捨て型」は保障内容を充実させたい人にも適している。
通院保障や重大疾病の保障が追加できる商品も多いので、幅広い病気や治療法に対応可能だ。
また、契約後に特約で保障内容を追加できる商品もある。
「貯蓄型」が適している人とは?
「貯蓄型」は次のような人に適した商品だ。
- 掛け捨てタイプの保険商品に抵抗がある人
- 健康状態に自信がある人
- 他の医療保険へ加入している人
掛け捨てタイプの保険商品に抵抗がある人
「貯蓄型」は、健康祝金や解約返戻金として、支払った保険料のうち、一部が戻ってくるため、掛け捨てタイプの保険商品に抵抗がある人に適している。
健康状態に自信がある人
貯蓄型保険の特徴である健康祝金や健康還付給付金は、一定期間に保険金給付を受けなかった場合に限り支払われる。
このため健康状態に自信がある人に適した医療保険といえるだろう。
他の医療保険へ加入している人
貯蓄型保険は、入院給付金および手術給付金が中心のシンプルな内容のものが多い。
すでに他の医療保険へ加入している方が追加で加入するのに適した保険といえるだろう。
特に、三大疾病やがん治療、先進医療などへの備えを充実させたい方におすすめだ。
自分に合った医療保険を選ぶ方法
ここまで、貯蓄型医療保険の内容およびデメリットについて紹介してきた。
最後に、「貯蓄型」・「掛け捨て型」を問わず、自分に合った医療保険を選ぶ方法を紹介しよう。
- 必要な保障額を考える
- 保障内容や特約を選ぶ
- 女性特有の病気や持病を考える
必要な保障額を考える
日本は公的な医療保険制度が充実しているため、特定の病気を除いて医療費が高額になるケースは少ない。
また、入院などの場合も高額療養費制度によって、医療費の負担額は高額になりにくい。
例えば、69歳以下の一般的な所得者(年収370万円〜約770万円)の場合、医療費負担の上限は概ね9万円程度だ。
このため、サラリーマンなど給与所得者の場合、高額な保障は不要といえる。
ただし、自営業者やフリーランスの場合は、入院時の所得補償の意味合いから保障額を高めに設定することも必要だ。
保障内容や特約を選ぶ
医療保険は商品内容が多岐にわたっているため、自分にとって必要な保障内容や特約を選ぶことが大切だ。
例えば、三大疾病やがんに備えるためには、これらの疾病に備えた特約を付加することが望ましい。
また、すでに三大疾病保険やがん保険に加入している場合、医療保険は入院給付と手術給付のみのシンプルな保障内容で足りるはずだ。
女性特有の病気や持病を考える
医療保険を選ぶ際には、女性特有の病気や持病を考えることも大切だ。
女性の場合、乳がんや子宮頸がんなど、特有の病気に罹患した場合に医療費が高額になりやすい。
医療保険には、女性特有の病気と診断された場合に、一時金や上乗せ保険料が支払われる商品もあるので検討しよう。
また、高血圧症や糖尿病など持病がある場合、重篤な病気に罹患するリスクが高い。
このため、保障額や保障内容を充実させる必要がある。
ただし、自分で医療保険を選ぶことが難しいという方も多いだろう。
必要であれば、保険のプロに相談するのもおすすめだ。
まとめ
貯蓄型医療保険は、医療給付と貯蓄の二つの効果がある便利な保険商品である。
しかし、この保険にはデメリットも存在する。本記事では、貯蓄型保険の特性と、メリット・デメリットを説明した。
また、「掛け捨て型」・「貯蓄型」の違いについて解説しているので、自身の保険選びに活用してほしい。
また、自分自身のライフスタイルや価値観を理解した上で、専門家の意見を参考にしながら保険選びをすることも大切だ。
しかし、自分に合った保険のプロを探すことは難しい。
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