- 医療保険の払込免除がなにか分からない
- 払込免除が適用される条件や手続きの方法について知りたい
- 払込免除特約を利用すべきか判断する基準が知りたい
医療保険の払込免除とは、特定の状況下で保険料の支払いが免除されることを指す。
一体どのような場合にこの制度は適用されるのだろうか。また、特約として付加しておく必要はあるのだろうか。
そこで本記事では、「医療保険の払込免除」について解説を行う。
記事の内容を参考に、払込免除特約の必要性を理解し、医療保険を上手に活用できるようにしてほしい。
医療保険の払込免除とは何か?
払込免除は、医療保険をはじめ生命保険には代表的な保障内容である。
保険料を通常、定められた払込期間に基づいて支払う必要があるが、保険料を支払っている間に保険会社が定める所定の状態になると、保険料の支払いが不要となる。
そのため、保険料は払う必要なく保障を継続することができる。
ただし、払込免除は保険商品ごとに付加できる要件が異なる。
特に、医療保険は保険会社ごとの競争力が激しいため、払込免除の保障内容も各会社で特徴が違っているので、よく内容を把握しておく必要があるだろう。
そのため、今回は保険料の払込免除を付加するメリットをはじめ、主契約と特約で保障内容がどのように異なるか確認する。
主契約に含まれる払込免除
医療保険には、メインの保障となる主契約と、主契約の保障を手厚くするための特約がある。
主契約には、以下のいずれかに該当した場合に支払いが不要になる保障がついている。
- 不慮の事故による身体障害の状態に該当した場合
- 傷害または疾病で約款所定の高度障害状態に該当した場合
高度障害状態は、両目の視力や言語機能などが永久に失われている状態である。具体的には、以下の状態に該当した場合が高度障害状態に該当する。
番号 | 状態 |
---|---|
1 | 両目の視力を全く永久に失ったもの |
2 | 言語またはそしゃくの機能を全く永久に失ったもの |
3 | 中枢神経系または精神に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの |
4 | 胸腹部臓器に著しい障害を残し、終身常に介護を要するもの |
5 | 両上肢とも、手関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの |
6 | 両下肢とも、足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの |
7 | 1上肢を手関節以上で失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの |
8 | 1上肢の用を全く永久に失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったもの |
基本的に、四肢のうち2箇所以上が機能不全になっている場合に該当することが多い。また、身体障害状態は事故を原因として、180日以内に所定の身体障害に該当したら適用されることがある。
保険料を上乗せする必要はない。基本的な保障として準備できる点がメリットといえるだろう。
特約で付加できる払込免除
一方、医療保険の特約を活用する場合、保険料を上乗せすることでより充実した払込免除の保障を準備することができる。
特約で準備できる保障内容は、保険の種類や保険会社の商品ごとにそれぞれ異なる。
一般的に、特約で付加できる払込免除の種類は、以下の3つである。
- 三大疾病
- 要介護状態
- 就労不能状態
三大疾病が発動する要件は、がんを含めた急性心筋梗塞と脳卒中で所定の状態になった場合である。三大疾病については、保険会社や商品ごとに対象となる保障の範囲が異なる。
例えばがんの場合、悪性新生物のみ払込免除の対象となる商品もある。悪性新生物のほか、上皮内新生物も払込免除の対象となるか確認すると良い。
同様に、急性心筋梗塞だけでなく、狭心症なども対象となる心疾患に保障となるか、また脳血管疾患は脳卒中も保障対象となるかを確認すると良い。
また、払込免除の要件も見ておく必要がある。
例えば、60日以上の就労制限や言語障害が残ると医師に診断された場合に保険料が免除される場合と、入院や手術といった治療を実施すれば免除される場合もある。
次に、要介護状態になると払込免除になる保障について解説する。要介護状態は寝たきりや痴呆等で常時介護を必要とする状態や、家事や身支度等の日常生活に支援が必要になった状態を指す。
要介護状態の区分は、以下の通りである。
要介護状態が1から5の中で、どの区分に該当すれば保険料が免除されるのかを確認すると良い。
最後に、就労不能状態の免除特約について確認する。就労不能状態は、文字通り働けない状態を意味する。
- 公的年金制度の障害年金1級または2級に認定された場合
- 障害基礎年金の受給権が生じた場合など
上記のいずれかに該当すると保険料が免除される。
保険料払込免除のメリット
保険料の払込免除特約は、所定の状態に該当すれば、その後の保険料を支払う必要がなく、保障を継続できる特約である。
保険料の免除特約が準備できていると、三大疾病や障害、介護など治療費や生活資金が必要な場合に、保険料の支払いが不要になる。
保険料の支払いが不要になれば、家計の圧迫が生じやすいリスクに対しても助けになる可能性が高い。
以上から、保険料を以後支払う必要がなくなり、さらに保障が継続できる点は保険料払い込み免除を付加するメリットといえるだろう。
払込免除特約が適用される条件と申請プロセス
医療保険は、各保険会社で払込免除要件が異なる。保険会社によって、どのような条件となっているか解説する。
また、払込免除特約を付加した医療保険で、実際に免除要件が適用された場合、どのような申請手続きを実施する必要があるのかについて、それぞれ確認しよう。
三大疾病の払込免除特約
三大疾病の払込免除特約は、保険会社ごとに要件が異なる。医療保険の払込免除特約には、以下の要件がある。
- 60日以上の就労制限や言語障害
- 20日以上の継続入院や手術
- 1日以上の入院や手術
最も要件が厳しい免除要件が「60日以上の就労制限や言語障害」である。
この要件は、医師から診断されないと免除の対象にならない。保険会社ごとに、それぞれの払込免除の要件を解説する。
例えば、はなさく生命の払込免除要件は以下の通りである。
- がん
- がんと診断確定された場合
- 心疾患
- 急性心筋梗塞の治療のため1日以上の入院や手術、急性心筋梗塞以外の心疾患は20日以上の継続入院や手術を受けた場合
- 脳血管疾患
- 脳卒中の治療のため1日以上の入院や手術、脳卒中以外の脳血管疾患は20日以上の継続入院や手術を受けた場合
- 出典:はなさく生命
また、保険料をさらに上乗せすれば心疾患や脳血管疾患も1日以上の入院や手術で免除される要件に拡充させることができる。
さらに、3大疾病だけでなく8大疾病を免除要件にしているケースもある。
8大疾病は、以下の疾病である。
- がん
- 心疾患
- 脳血管疾患
- 肝硬変
- 慢性膵炎
- 慢性腎不全
- 糖尿病
- 高血圧性疾患
次に、オリックス生命の医療保険の免除特約がどうなっているか確認する。
同じ医療保険だが、保険料払い込み免除の要件は異なる。
- がん
- 初めてがんと診断されたとき
- 心疾患
- 急性心筋梗塞は入院や手術をした場合、それ以外の心疾患は継続10日以上の継続入院か手術をした場合
- 脳血管疾患
- 脳卒中は入院や手術をした場合、それ以外の脳血管疾患は継続10日以上の継続入院か手術をした場合
- 出典:オリックス生命
最後に、ネオファースト生命の医療保険について解説する。保険料の払込免除は、三大疾病A型やB型、八大疾病B型に分かれる。
三大疾病A型はがんと診断確定された場合をはじめ、心疾患や脳血管疾患で20日以上の継続入院か手術で対象となる。
三大疾病B型は、心疾患や脳血管疾患で1日以上の入院や手術で払込免除となるので、保障の要件が拡充する。
八大疾病B型は、三大疾病以外に以下の疾病が対象となる。
- 糖尿病
- 肝疾患
- 膵疾患
- 腎疾患
- 高血圧性疾患
- 出典:ネオファースト生命
上記の疾患は、1日以上の入院をした場合か公的医療保険の給付対象となる手術を受ければ対象となる。
就労不能状態
就労不能状態で保険料の払い込みが免除される要件を確認する。
SOMPOひまわり生命の健康のお守りでは、就労不能状態に保険料の支払いが免除される「医療用保険料免除特約」がある。
保険料の免除要件は、以下の通りである。
- 七大疾病による所定の事由に該当
- 障害等級1級2級の状態に該当した該当していると認定された場合
- 当社所定の就労不能状態に該当した場合
就労不能状態は、心臓の移植手術や、永続的な透析療法などで回復の見込みがない状態である。
払込免除を受けるための手続き方法と注意点
保険料の払込免除を受けるには、基本的に各保険会社に請求手続きが必要である。
申請手続きには、各保険会社の請求用紙に加えて、専用の診断書が必要になる。
請求手続きに必要な書類は、各保険会社のコールセンター、もしくはWebサイトからダウンロードして取り寄せる。
以上から、払込免除の要件に該当した場合は、各保険会社に請求して免除の手続きが必要になるが、専用の診断書が必要となる。
払込免除の要件は、保険会社の商品で異なる。そのため、どのような要件で免除になるのか、確認したうえで準備すると良い。
払込免除特約は利用すべき?
医療保険では、保険料の払込免除特約は利用すべきかを解説する。
払込免除特約を付加すると、保障内容が手厚くなる。しかし、払込免除を付加すると保険料が高くなるので、特約を付加するべきかよく検討する必要がある。
保険料の払込免除特約を付け加えて保障を手厚く準備する必要があるのか、それぞれのポイントについて解説する。
払込免除特約を利用するべき人
保険料の支払いが必要なくなる払込免除特約に加入する必要があるかは、世帯要件や資産状況によって異なる。
三大疾病で治療やリハビリを余儀なくされて、そのまま働けない状態が継続してしまった場合、治療費や生活費の確保が必要になる。その場合、貯蓄や資産を目減りさせる可能性がある。
資産が目減りして家計が圧迫されると、配偶者や子どもの生活に影響し、負担がかかってしまう。
逆に払込免除特約を付加すると保険料が必要以上に高くなってしまい、余分なコストをかけてしまうことにつながる。
資産に余裕がある場合や、資産が目減りしても生活に支障をきたさない場合は、保険料の払込免除を必ず付加する必要はない。
以上から、世帯の要件や資産状況によって準備する必要性が変わるので、誰もが準備しておくべきというわけではない。
ただし、自分で保険料の払込免除特約を付加するべきか判断するのは難しいだろう。そのため、保険の専門家に世帯や資産の状況を伝えて、専門的なアドバイスを受けると良い。
払込免除特約を選ぶポイント
払込免除特約を選ぶ場合は、どのような条件で免除になるかを検討したうえで、各保険会社の免除要件を確認すると良い。
要件は、三大疾病だけでなく就労不能状態や要介護状態に該当した場合である。
世帯状況や資産状況を踏まえて、どの免除要件を取り入れている医療保険に加入するべきか検討すると良い。
また、同じ三大疾病で免除されるとしても、各保険会社で異なるので、その点を把握して選ぶことも重要である。
例えば、60日以上の就労制限や言語障害が残ると医師に診断された場合に免除されるケースや、20日以上、または1日以上の継続入院や手術で免除されるなど、対象となる要件も違う。
また、免除される対象の疾患が異なる部分も踏まえて検討すると良い。がんであれば、悪性新生物のみ対象となるケース、急性心筋梗塞や脳卒中であれば心疾患や脳血管疾患まで幅広く対象になるか確認すると良いだろう。
以上から、払込免除特約を選ぶ場合は、各保険会社の免除要件を踏まえて準備すると良い。
専門家への相談も検討する
保険料の払込免除特約を付加する場合に気を付けるポイントや必要性について確認したが、自分で払込免除特約を付加するかどうかを判断するのは難しい。そのため、保険の専門家に相談するのも重要である。
ライフプランにあわせた保障内容となっているか、保険商品の払込免除の内容を比較して準備する必要もあるだろう。
実際に、医療保険は治療費以外にも、収入をカバーする目的で準備するケースもある。
このように、世帯状況や目的に応じて医療保険をどう準備するか違ってくるが、免除特約を付けるかは経済状態によって異なる。
ライフプランに見合う保障となっているかを踏まえた上で、払込免除特約を保険商品ごとに比べると良い。
とはいえ、保険料の免除特約が自分に合うかを自分で検討するのは時間や手間がかかる。
どのように準備するかは、現契約の内容や健康状態、また保険料といった個別の事情で異なる。そのため、保険の専門家にアドバイスしてもらえると良い。
まとめ
本記事では、「医療保険の払込免除特約」について解説した。
医療保険の払込免除特約とは、一定の条件を加入者が満たすことで、保険料の支払いが免除になる制度のことだ。
払込免除には、元々の保障内容として備わっているものと、特約で付加できるものの2種類が存在する。
生活習慣病など特定の疾患に対する保障を充実させたい場合は、払込免除特約を利用することをおすすめする。
しかし、自分一人で払込免除特約を付けるべきか、判断するのが不安な人もいるだろう。
そんな時は、保険のプロに相談することも検討するといい。保険のプロがもたらす的確なアドバイスにより、自分に必要な医療保険の特約を見つけることができるだろう。
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