- 糖尿病への備えとして保険に入る必要があるのか知りたい
- 糖尿病にかかった際に受け取れる保険金について理解したい
- 糖尿病に備えるためにおすすめの保険が知りたい
この記事では、糖尿病になった場合の保険金について解説する。
糖尿病は、日本人にとって代表的な生活習慣病のひとつであり、重症化すると死に至る合併症を引き起こすこともある。
厚生労働省の調査によれば、17.0%の人が糖尿病と指摘されたことがあるとのことだ。
糖尿病への備えとして必要な保険の内容、およびおすすめする保険商品も紹介する。
糖尿病への不安を感じ、保険の加入を検討している人は、ぜひ参考にしてほしい。
- 出典:厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査報告」P159 「第 50 表 糖尿病の指摘の状況-糖尿病の指摘の有無,年齢階級別,人数,割合-総数・男性・女性,20 歳以上」より引用
糖尿病に備えて保険へ入るべき?糖尿病で保険金は受け取れる?
ここでは、糖尿病への保険の必要性を解説する。
糖尿病は、初期段階での自覚症状がほとんどないが、重症化すれば合併症により重篤な病気を引き起こす。
この病気になってしまうと、長期的な療養が必要になるため、家計におよぼす医療費の負担は大きい。
糖尿病になると、どれほどの費用がかかるのか、また費用は保険でまかなえるのかについて説明する。
また糖尿病に備えるには、どのような保険に加入すべきかについても述べていく。
糖尿病とは
糖尿病とは、血液中を流れるブドウ糖(血糖)をコントロールするインスリンが十分に働かないために、血糖値が上昇する病気だ。
インスリンが分泌される膵臓の機能低下、あるいは生活習慣によりインスリンが働きにくい体質になることが原因といわれている。
血液中の血糖値が上昇すると多尿になることで、脱水状態になり、口の渇き・多飲という症状がみられる。
この後には腹痛や意識障害・昏睡状態に陥る場合もある。
さらに悪化すると、さまざまな合併症を引き起こすことが多い。
- 糖尿病網膜症
- 白内障・緑内障などの眼科疾患の原因となるほか、硝子体出血・牽引性網膜剥離・虹彩血管新生などによって失明する恐れもある
- 糖尿病神経障害
- 胃腸障害、発汗障害、起立性低血圧、末梢のしびれ、神経痛、不随意運動、黒内障などの症状が起こる
- 糖尿病性腎症
- 少しずつ体がむくむネフローゼ症候群という状態になり、その後は腎不全に至るため、治療をしなければ死に至る恐れがある
※ネフローゼ症候群:強度の全身倦怠感・皮膚の蒼白化や無気力・食欲不振・腹水・胸水・血尿などを起こす症状
- 血管合併症
- 下記の疾病は糖尿病の有名な合併症であり、糖尿病になると、これらの疾患は通常よりも重篤化し治療が難しくなることが多い
- 虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)
- 脳梗塞
- 閉塞性動脈硬化症
- 下記の疾病は糖尿病の有名な合併症であり、糖尿病になると、これらの疾患は通常よりも重篤化し治療が難しくなることが多い
- 皮膚合併症
- 糖尿病性リポイド類壊死症をはじめとし、さまざまな皮膚病や皮膚感染症を起こす
※糖尿病性リポイド類壊死症:足のスネの部分に斑点ができた後、橙色に変色し、悪化すると腫瘍になる症状
- 糖尿病性リポイド類壊死症をはじめとし、さまざまな皮膚病や皮膚感染症を起こす
- 下肢合併症
- 末梢血管での血液循環が低下し、血行異常が生じる症状。症状が進展すると糖尿病性壊疽(足趾壊疽)のため、下肢を切断しなければならないこともある。
※壊疽(えそ):皮下組織や筋肉組織が壊死する状態
- 末梢血管での血液循環が低下し、血行異常が生じる症状。症状が進展すると糖尿病性壊疽(足趾壊疽)のため、下肢を切断しなければならないこともある。
- その他
- 免疫不全・創傷治癒遅延・肝機能障害などを引き起こす場合もある
糖尿病に必要な費用
糖尿病の医療費やその負担感について、糖尿病ネットワークの調査結果を紹介する。
- 1ヶ月の医療費の自己負担額
- 全体:1万円以上=50.6%、1.5万円以上=17.2%
- インスリン療法を受けている人:1万円以上=72.6%、1.5万円以上=25.5%
- 医療費の負担感
- 全体:「重い負担」または「大変重い負担」と回答=69.4%
- インスリン療法を受けている人:「重い負担」または「大変重い負担」と回答=82.0%
※糖尿病ネットワーク:東京都糖尿病協会など医療団体の事務局を行っている創新社が運営する情報サイト
糖尿病の初期段階では食事療法や運動療法、場合によっては経口血糖降下薬を用いる。
しかし効果がない場合は、血液中のインスリン量を増やすためインスリン療法が必要になり、費用負担が大きくなる。
上記のアンケート結果によれば、インスリン療法に対して、82%の人が「重い負担」または「大変重い負担」と回答している。
さらに重篤化し入院することになれば、医療費の負担は一層大きくなる。
- インスリン導入のために9日間入院した場合
- 125,720円(3割負担)
- 足の壊疽と閉塞性動脈硬化症で25日間入院した場合
- 437,290円(3割負担)
- ※閉塞性動脈硬化症:足の動脈硬化が進み血管が詰まる、または細くなって血行障害が起きる症状
保険の必要性
糖尿病の治療には、医療費が継続的に必要となり、入院すれば家計への経済的負担が一層大きくなる。
また入院する際に発生する以下の費用は、公的医療保険の保障対象外であるため、すべて自己負担となる。
- 差額ベッド代
- 入院中の糖尿病食の費用(自己負担分)
- 先進医療や自由診療にともなう費用
- 入退院時や通院時の交通費
- 入院中の消耗品代
自宅で家族とは別に糖尿病食を作る費用や、体質改善のためにジムへ通う費用も、すべて自己負担だ。
さらに個人事業主の場合には、入院している間は収入が途絶えるが、その間の収入保障もない。
以上のことから、糖尿病に備えて、これらの費用を保障してくれる保険に加入しておくべきではないだろうか。
糖尿病に備えて加入すべき保険とは
糖尿病に備えるためには、どのような保険に加入すべきだろうか?
入院や手術の費用を保障してくれる医療保険が、死亡時に保険金が得られる死亡保険(生命保険)より、病気の備えには適している。
医療保険では、脳卒中・心筋梗塞などの合併症への保障、さらには通院での治療費も保障してくれる保険もある。
また糖尿病は一生付き合う病気になることもあるので、生涯にわたって保険料が変わらない終身型医療保険をおすすめする。
高齢になれば重篤化リスクが高まる糖尿病だが、定期型医療保険には、一定の年齢になると保険の更新ができないものもあるからだ。
糖尿病になったら受け取れる保険金とは
ここでは糖尿病を発症した場合に、受け取れる保険金の種類や内容について解説する。
それぞれの保険金については、給付条件や金額も説明する。
多くの保険会社が、さまざまな保険を販売しているため、ここでは明治安田生命のベストスタイルを例にして紹介する。
どのような保険金が糖尿病では受け取れるのか?
以前までの医療保険では、糖尿病のため入院した場合に、その入院費用を保障した。
しかし糖尿病は通院での治療が主流であるため、通院でも保険金が給付される保険商品も多い。
また糖尿病と診断されると、一時金を給付する場合もある。
さらには就業不能状態になった場合に、給与の代わりに保険金を毎月給付するものもある。
糖尿病になった場合に受け取れる保険金
糖尿病になった場合に受け取れる保険金を、明治安田生命“ベストスタイル”を例にして紹介する。
この保険は、従来の主契約に特約を付けるタイプの保険ではなく、必要な保障を自由に組み合わせられる組立型保険だ。
保険商品によっては、下記の保険金がないものや、他の保険商品と組み合わせて加入しなければならない場合もあるので注意しよう。
保険金 | 給付要件 | 金額 |
---|---|---|
早期発見・治療 支援給付金 | 保険の加入から1年経過した後に、受診した健康診断の結果により 要注意基準に該当し、通院または入院した場合に給付される。通算5回まで給付。 | 2万円 (1回あたり) |
重症化予防支援 保険金 | 医師に「糖尿病」と診断されたとき、または保険会社が規定した状態になった場合に給付される。 合併症の場合は通算2回まで給付。 | 100万円 (1回あたり) |
入院初期一時金 | 1日以上入院した場合に給付される。 1回の入院につき1回の給付とし、通算30回まで給付。 | 10万円 (1回あたり) |
入院給付金 | 入院した日数に応じて給付される。 1回の入院での給付上限を180日分までとし、通算して1,095日分まで給付。 | 5,000円 × 入院日数 |
先進医療給付金 | 先進医療による治療を受けたときに、通算2,000万円まで給付。 | 先進医療の技術料 と同額 |
重度疾病保険金 | 日常的かつ継続的なインスリン療法を180日以上継続して受けたとき、 または合併症が保険会社の規定した重症化状態になった場合に給付される。 糖尿病では合併症ごとに通算7回まで給付。 | 200万円 (1回あたり) |
給与・家計 サポート給付金 | 糖尿病のため、保険会社が規定した就業不能状態が30日間継続した場合に給付される。 12ヶ月分を1回として、通算2回まで給付。 | 毎月20万円 × 12ヶ月 |
糖尿病に備えるための保険を紹介
ここでは上記に説明した明治安田生命の保険商品以外で、糖尿病に備えるために、おすすめする保険商品を紹介する。
持病があっても加入しやすい保険
糖尿病になっていると、一般的な医療保険では、保険を申し込む際に行われる保険会社での審査に通過しない場合がある。
そこでここでは、終身医療保険の他に引受基準緩和型保険、および無選択型保険についても説明する。
これらは、いずれもすでに糖尿病にかかっている人向けの保険だ。
持病があっても加入しやすい引受基準緩和型保険や無選択型保険では、以下の特徴を持っている。
概要 | 注意点 | |
---|---|---|
引受基準緩和型保険※ | 一般的な保険と比べて、告知項目数が少ない 加入前の持病も保障対象に含まれる(加入前に医師からすすめられた入院・手術は保障対象外) | 一般的な保険より、保険料は割高 保険加入から一定期間は、支払われる保険金が削減される場合がある |
無選択型保険 | 引受基準緩和型保険に加入できなかった人向けの保険であり、健康状態とは関係なく加入できる 健康状態に関する告知をまったく必要としない | 引受基準緩和型保険よりも、さらに保険料は割高である反面、支払われる保険金は少ない 保険加入から一定期間は、保障対象外となる場合や、保険金が削減される場合もある |
終身医療保険:オリックス生命“キュア・ネクスト”
最初に一般的な終身医療保険を紹介する。
オリックス生命は、実店舗を持たないネット型生命保険であり、担当営業がいる対面型生命保険の保険商品と比べて保険料が割安だ。
ネット型生命保険の保険料には、店舗経費や人件費が含まれていないからだ。
この保険でも、入院の際には入院給付金が受け取れるが、退院のときにも「退院時一時金」が受け取れる。
さらに、保険加入者は「糖尿病専門サポートサービス」が受けられる。
これは糖尿病治療に関する相談を受けて、場合によっては糖尿病の専門医を紹介してくれるサービスだ。
限定告知型終身医療保険:SOMPOひまわり生命 “新・健康のお守り ハート”
SOMPOひまわり生命は、3メガ損保の一角にある、SOMPOホールディングスのグループ企業だ。
この保険商品は糖尿病などの持病があっても、以下の三つの告知事項の回答が、すべて「いいえ」であれば保険に申し込める。
- 今後3ヶ月以内に、入院または手術の予定がある
- 過去5年以内に、がん(悪性新生物・悪性腫瘍)・上皮内がん・肝硬変で、医師の診察・検査・治療・投薬(薬の処方を含む)、または入院・手術を受けたことがある
- 過去2年以内に、病気やケガで入院または手術を受けたことがある
この保険でも入院給付金が受け取れるが、退院後に通院した場合には、通院給付金が受け取れる。
ただし保険金のすべてにおいて、保険の加入日から1年間は、規定の保険金額の半分しか支給されない。
無選択型医療保険:太陽生命“やさしい保険”
この保険には告知義務がなく、過去に入院・手術の経験がある人や現在通院中の人でも加入できる。
入院給付金以外に、手術を受けたときには手術給付金、放射線治療を受けた場合には放射線治療給付金が受け取れる。
ただし保険の加入日から90日間は、病気への保障は対象外になり、各保険金は支払われない。
また保険に加入する前に発病している病気に対しては、加入日から2年間は保障対象外となる。
なお、持病のある方に向けた保険加入のポイントや糖尿病でも加入できる保険については以下の記事でも解説している。適宜参考にしていただきたい。
糖尿病のリスクを保険金でカバーするなら保障内容をよく確認して加入しよう
この記事では、糖尿病への備えとしての生命保険の必要性について解説した。
さらに、糖尿病になったときに受け取れる保険金や、おすすめする保険商品も紹介した。
糖尿病は、初期段階では自覚症状がないが、重篤化すれば死に至る合併症を引き起こすこともある病気だ。
自分の健康状態に応じた保険商品を選ぶためには、経験豊富な「保険のプロ」からのアドバイスをもらうことも大切だ。
保険のプロとのマッチングサイト「生命保険ナビ」では、全国の保険のプロから、自分に最適なアドバイザーが選べる。
豊富な経験と専門的な知識を持つ専門家の助言を得ながら、保険を選びたい人は、以下のボタンから申し込んでほしい。