- 糖尿病患者が生命保険に加入する必要があるか分からない
- 糖尿病患者が生命保険を選ぶ際のポイントが知りたい
- 糖尿病患者が生命保険に加入する際の注意点が知りたい
糖尿病を患い治療を受けている人の中には、生命保険に加入できないのではないかと不安を感じている人もいるだろう。
しかし、結論から言うと糖尿病にかかっていても加入できる生命保険は存在する。
そこで本記事では、糖尿病患者が生命保険に入る必要性や、保険を選ぶ際に重視すべきポイントと加入する際の注意点について説明する。
自分や身の回りの人が、糖尿病にかかってしまい、生命保険への加入を検討している方は、参考にしてほしい。
糖尿病患者が生命保険に加入する意義
糖尿病を患っている方の中には「すでに発症しているから」「今さら保険なんて」と、生命保険の加入をあきらめている方も多いだろう。
しかし、すでに糖尿病を発症している方でも加入できる生命保険商品が増えていることをご存じだろうか。
糖尿病患者は、将来的に重篤な合併症を発症する可能性があることから、生命保険に加入する意義は大きい。
ここでは、 糖尿病患者の方が生命保険に加入する意義や加入するメリットを紹介しよう。
生命保険における糖尿病の定義とは
糖尿病とは、インスリンが不足もしくは正常に作用しないことが原因で、慢性的に高血糖状態が続く病気のことだ。
生命保険における糖尿病の定義は、医学上の定義と同様だ。次の内容を総合的に判断して診断が下される。
- 空腹時の血糖値
- HbA1c(ヘモグロビンA1c)の値
- 経口ブドウ糖負荷試験の値
- 糖尿病の典型的な症状の有無
ただし、糖尿病の確定診断には、医師による複数項目のチェックと評価が必要だ。
検査項目に異常がある場合や自覚症状がある場合は、まず専門医へ相談するとよいだろう。
糖尿病患者は生命保険に加入できるか
糖尿病は、確定診断が下されると完全に治癒することがない。
このため、糖尿病を患うと「もう、生命保険に加入できない」と考える方が多いだろう。
しかし、現在では糖尿病など持病がある方でも加入できる「引受基準緩和型」「無選択型保険」と呼ばれる保険が販売されており、徐々に種類が増えている。
- 引受基準緩和型
- 無選択型保険
これらの保険について、詳しく内容と特徴をみていこう。
引受基準緩和型保険とは、糖尿病などの持病がある方や、過去に大きな病気を患った方でも加入しやすい保険商品だ。
告知事項が少ないため「限定告知型保険」とも呼ばれる。
引受基準緩和型保険の主な特徴は次の通りだ。
- 告知事項が少ない
- 既往症の治療費も保険の対象となる
- 加入から一定期間は支払われる保険金が減額される場合がある
- 一般の保険商品に比べて保険料が高い
引受基準緩和型保険は、告知事項の少なさが最大の特徴だ。
「現在、入院しているか」「一定期間内に入院や手術を勧められているか」など、3〜6項目の質問に回答するだけで告知が完了する。
また、既往症がある場合の治療費が保険の対象になる点も特徴といえる。
ただし、引受基準緩和型保険は加入条件が緩い分、デメリットも存在する。
まず、加入から一定期間に入院や手術が必要となった場合は、保険金が減額される商品が多い。
また、一般の保険に比べて保険料が高い点もデメリットの一つだ。
加入する際には、保障内容が保険料に見合ったものであるか、十分に検討することが望ましい。
一方、無選択型保険とは、健康状態の告知や医師の診察を必要としない保険である。
引受基準緩和型保険よりも更に加入のハードルは低くなるが、保険料が高い上に保険金支払いの制約も多い。
無選択型保険の主な特徴は次の通りだ。
- 告知や医師の診察が不要
- 加入から一定期間は保障が受けられない(ケガは保険開始日から保障対象)
- 加入から一定期間は保険金が削減される
- 引受基準緩和型保険よりも更に保険料が高い
無選択型保険は告知や医師の診察が不要のため、持病や既往症がある方でも加入しやすい点が特徴だ。
ただし、加入から一定期間は病気の保障が受けられないほか、保険金が削減されるなど、制約も多い。
また、引受基準緩和型保険よりも、更に保険料が高い点に注意すべきである。
このため、糖尿病患者の方は、まず引受基準緩和型保険を検討し、加入できない場合に無選択型保険を検討するのがよいだろう。
糖尿病患者が生命保険に加入するメリット
糖尿病患者は三大合併症をはじめ、心疾患や脳卒中などの重篤な病気を併発しやすく、発症後は医療費の負担が大きくなる傾向がある。
また、厚生労働省が発表した「令和2年(2020)患者調査の概況」によると、糖尿病患者の平均入院日数は30.6日となっており、発症後に高額な入院費用が必要となる傾向にある。
このため、糖尿病患者の方が医療保険を中心に、生命保険へ加入するメリットは大きい。
また、健康診断で異常が指摘された「糖尿病予備軍」の方も、早めに生命保険への加入を検討するとよいだろう。
糖尿病発症後は、加入できる保険の選択肢が減るほか、保険料も高くなるケースが多いためだ。
糖尿病患者が生命保険に加入する時に重視すべきポイント
糖尿病患者が生命保険に加入する時に重視すべきポイントは次の通りだ。
- 保障内容が多岐にわたっているか
- 保障内容と保険料が適切かどうか
- 信頼できる保険会社か
これらの内容を詳しくみていこう。
保障内容が多岐にわたっているか
糖尿病患者が生命保険に加入する場合には、保障内容が多岐にわたっているかという点を重視すべきであろう。
引受基準緩和型保険は、商品によって加入条件や保障内容が大きく異なるからだ。
例えば医療保険の場合は、日帰り入院や短期の入院をカバーしているかという点をチェックすべきだろう。
医療技術の進化によって、入院日数は年々減少する傾向にあるからだ。
また、最近では治療方法が多様化しているため、手術だけでなく、放射線治療や骨髄移植、がんなどの先進医療に対応していることも商品選びのポイントになる。
糖尿病患者の場合、病気の進行度合いによっては、今後新しい保険への乗り換えが困難になる場合も多いだろう。
このため、可能な限り保障内容の充実した生命保険を選ぶことが大切だ。
保障内容と保険料が適切かどうか
引受基準緩和型保険や無選択型は、一般の生命保険に比べて保険料が高い。
このため、保障内容と保険料が適切かどうかも重要なチェックポイントになる。
特に、特約をつける際には「本当に必要な特約か」「保険料が特約に見合っているか」をしっかりと見極める必要があるだろう。
加えて、日本では公的健康保険の高額療養費制度が利用できるため、医療費の自己負担額が高額になりにくい点も考慮したい。
医療保険に加入する場合は、「公的健康保険の不足分をカバーするもの」と考えた方がよいだろう。
信頼できる保険会社か
生命保険は生涯にわたる契約となるため、保険会社の信頼性は加入前にしっかりチェックすべきだ。
一般的に、保険会社の信頼性は次の指標で判断されることが多い。
- ソルベンシー・マージン比率
- 格付け
ソルベンシー・マージン比率とは、災害などで予想を上回る保険金支払いが必要となった際に、保険会社がどこまで対応できるかを表す支払余力のことだ。
ソルベンシー・マージン比率は、高いほど支払余力があると判断され、200%を下回ると監督官庁による業務改善命令の対象となる。
これに対して格付けとは、民間の格付け機関が、企業の財務内容を独自の基準で評価した指標だ。
生命保険会社の場合は、保険財務力や保険金支払い能力が評価対象となる。
格付けは、AAAやBB+といったアルファベットで表わされ、保険会社の財務状況や健全性を示す重要な指標の一つとされる。
なお、これらの指標は保険会社が公表しているディスクロージャー誌などで確認できる。
保険内容と併せて、ぜひ加入前にチェックしておきたい。
糖尿病患者が生命保険に加入する時の注意点
糖尿病患者が生命保険に加入する場合は、いくつか注意すべき点がある。
- 制限事項がないか確認する
- 既往歴を確実に報告する
- 加入条件が緩い保険を探し出す
生命保険は、生涯にわたって保障を提供してくれる大切な存在だ。これらの注意点をしっかりチェックした上で契約すべきだろう。
なお、持病のある方に向けた保険加入のポイントについては以下の記事でも解説している。適宜参考にしていただきたい。
制限事項がないか確認する
糖尿病の方が生命保険に加入する場合、保険金の支払いや保険の効力発生時期などに、制限事項がないか確認することが大切だ。
引受基準緩和型保険や無選択型保険には、これらの制限事項が設けられていることも多く、制限が付されている場合は、条件と内容を詳しく知った上で加入する必要がある。
例えば、引受基準緩和型保険や無選択型保険には、次のような制限がついている場合が多い
- 加入から1年間は手術や入院の際の給付金が半額
- 加入から90日後に病気の保障が開始(ケガは加入日から保障開始)
- 加入できる入院給付金日額や死亡保険金が少額
このため、糖尿病患者が保険に加入する場合は、「必要な時に必要な額の保障が受けられるか」を基準に商品選びをすべきだろう。
既往歴を確実に報告する
生命保険は、加入時に既往歴や現在の健康状態、仕事の内容などを告知する必要がある。
糖尿病患者の方であっても、既往歴を正確に報告せず申し込みを行った場合は、告知義務違反となるので注意が必要だ。
告知義務違反があった場合、責任開始日から2年以内であれば、保険契約は解除される。
また、責任開始日から2年経過している場合でも、その期間中に保険金の支払いが行われている場合は、詐欺を理由に保険契約が解除されることになる。
なお、告知義務違反は、意図せず告知もれがあった場合でも該当するので注意したい。
病気の治療を受けている場合は、病院の領収証やお薬手帳をもとに、正確な告知を行うことが大切だ。
加入条件が緩い保険を探し出す
近年、引受基準緩和型保険の種類は増える傾向にあるが、それでも一般の保険に比べて選択肢は少ない。
このため、持病を抱える糖尿病患者の方にとって、加入条件が緩いことは保険選びの大きなポイントといえるだろう。
加入条件の緩さは、告知項目の数や告知内容、保険会社の引き受け条件などで判断できる。
これらの内容は、保険のパンフレットや提案書、重要事項説明書(注意喚起情報)で確認可能だ。
ただし、加入条件の緩さだけで保険を判断し、保障内容が二の次では本末転倒となってしまう。
自分で最適な保険を選ぶことができない場合は、「生命保険ナビ」など、マッチングサイトを活用し、プロに相談することが大切といえるだろう。
糖尿病患者だからこそ生命保険に加入してリスクを減らそう
本記事では、糖尿病患者が生命保険に加入する意義と加入時に重視すべきポイント、加入時の注意点を解説した。
結論として、糖尿病でも適切な選択を行えば安心して生命保険に加入することが可能だ。
ただし、そのためには保険選びの具体的なポイントを理解し、自分に適した保険を見つけることが重要となる。
それには保険会社の選び方や保障内容の観点が大切で、更には制限付き特約に関する理解も同時に必要となる。
これらを理解しながら、保険会社を比較していくには、専門知識や膨大な時間が必要であり、一人で行うのは難しい。
そんな時は専門家の助けを借りることで適切な判断が可能になる。
豊富な経験から第三者目線で、一人一人に合わせた的確なアドバイスをもらうことができるからだ。
ただ、生命保険のプロは数多く存在し、自分にとって最適な担当なのかを見極めることは難しい。
マッチングサイト「生命保険ナビ」を利用すれば、全国の保険のプロの中からあなたの条件や意向にあった担当者を選ぶことが可能となる。
糖尿病を患っていて、すぐにでも適切な保険に加入したいと考えている方は、是非参考にしてもらいたい。